ついに公開されたゴジラVSコングの予告映像。めちゃくちゃ凄かったですね。今年は今まで以上にゴジラな年になりますねぇ!
そして自分が映像で一番興味をひかれたのが、ゴジラとコング二匹が乗り、戦って、沈まない空母でした。
なお、映画を見た後、もしかしたら投稿済みの話に変化がつくかもしれません。そん時は連絡します。
今回で3巻は終了です。
「これはまた……凄い状況ですね……」
「………まさに天変地異」
ハジメと離れてからしばらく。日が傾き始めたころ、ユエとシアはウルの町にたどり着いていた。
あの後、ユエとシアは周辺の捜索に赴いた。犠牲が出ている可能性も考慮しての捜索だったが、意外にも見つかる人々は散り散りになってはいたが、犠牲者はいなかった。どうやら魔物たちもまたゴジラとメトシェラの戦闘に恐れおののき、逃げだしていたようだ。おかげで散り散りになった避難民達は魔物と遭遇せずにすんだようだ。だが、それでも怪我人はかなりの数になっている。擦り傷、打撲はまだいい。中には骨折している者もおり、とてもじゃないが、すぐには動くことはできそうもない。そのため、彼らは動けない者を収容する仮設キャンプを設営。少しでも動けるようになるまで、全員が残る事になったのだが、それと並行して、ユエとシアが町まで戻り、物資の運搬、それと出来ればハジメ達と合流した後、出来る限りの馬車を手配してほしいと言う話が持ち上がった。
最初はどうしようかと迷った彼女たちだったが、ウィルが依頼として申請してきてた事、更に言えば、好き好んで見捨てようとも思わなかった事もあり、無碍に断ることはせず、ハジメ達に相談すると言って、ありったけの回復薬(神水は除いて)を残し、ここまで戻ってきていた。
目の前の惨状を見て軽く身震いをするユエ達だったが、軽く頭を振って意識を切り替えると、ハジメ達を探し始める。
と言っても彼らは意外とすぐに見つかった。ウルの町と北の山脈地帯を繋ぐ街道……否、街道だった物に繋がる北門に彼らは集合していた。
二人が近づけば、神羅とハジメも気付いたのか手を振りかえし、そのまま彼らは合流を果たす。
「お疲れ、二人とも。あっちはどんな様子だった?」
「……怪我人が大勢。すぐに動くことはできない。一応みんな固まってキャンプをしている」
「それで、ですね……ウィルさんや町の人たちから物資の運搬、馬車の手配をしてほしいと頼まれたんですが……」
「その程度なら問題ない。元々、ある程度復興の手伝いをする話になったからな」
そっかとユエ達は小さく頷き、
「……それじゃあちょっと聞くけど……あいつどうしたの?」
ユエが指さしたのは項垂れた状態でぶつぶつと覚めろ、覚めろと呟き続ける清水だった。愛子が付き添っているが、周りの状況が一切見えていないのか呟き続けている。
「ああ、あれはのう……」
それに対し、ティオが神羅と合流してからあった出来事を説明すると、二人は驚愕に目を見開き、シアは恐れおののくように肩を抱き、
「そんなことまで可能なんですか……末恐ろしいですねぇ、神羅さん……」
「と言っても、ほいほいできる物ではない。生きた肉体、と言うのはそれだけで物理強度はともかく干渉系にはそれなりの効果を発揮する鎧だ。恐らくだが、魔壊を直接、全力で叩き込まないと破壊し尽くす事は出ないだろう」
神羅の言葉にシアはそうですか、とほっとしたように息を吐く。その隣で、ユエは目を見開いたままぱちぱちと瞬きをしていた。
「どうした?ユエ」
「え?あ、な、何でもない」
ハジメが心配になって問いかけると、ユエははっとなった後、はぐらかすようにそう言う。
「それじゃあ、しばらくはここに残ると言う事?」
「そうだな……それとだ。今回は派手に暴れた。もしかしたら神の方で何か動きを見せるかもしれん。後手に回るが、そこら辺を確かめておきたい」
「なるほど……ある程度復興が終わったら出発ですね?」
「そう言う事だ」
「少しいいかのう」
ハジメ達の方針がまとまりかけたところでふいにティオが声を上げる。
「ん?どうしたティオ。何か気になる事でも?」
「いや、そう言うわけではない。ただ、復興が終わったらお主等はウィル坊を送り届けてまた旅に出るのじゃろう?」
「うむ、その予定だが……」
「その旅に妾も同行させてほしいのじゃ」
突然の申し出にハジメたちは驚いたように目を丸くし、地球組も驚きを露わにしている。
「ふむ……確かお前には外界からの来訪者の調査が……っと、我らもそれだったか」
「まあの。じゃがそれ以外にも……」
そこで一回言葉を区切ると、ティオは神羅と真っ直ぐに向き合い、
「神羅殿。貴方と共に行きたいと思ったのじゃ」
その言葉の真意が分からず、ハジメ達が首を傾げていると、ティオはその真意を語り出す。
「何と言えばいいか……いや、嘘偽りなく答えよう。あの時、神羅殿が変異した姿を見た瞬間、妾の肉体が、心が、魂が理解した。貴方こそ、本当の王であると。この世界の全てのものがひれ伏し、首を垂れるべき王者であると妾の全てが認めたのじゃ………その圧倒的で、絶対的な強さに、その威風堂々たる姿に、妾はどうしようもなく魅せられてしまった。出来るならば、貴方と共に旅をし、少しでもその威容に近づきたいと妾が望んだ。故にこそ……」
そこでティオは神羅に対し服従を示すかのようにひざをつく体制となり、頭を下げる。
「貴方様の下に付き、共に行きたいと願ったのです」
それはまるで仕えるべき主を見つけた従者のようで、ハジメ達は口を挟むことができず、視線が神羅に集中する。
神羅はううむ、と難しそうな顔を浮かべ、後頭部をポリポリと搔いている。
元々自分は自分勝手に生きてきただけだ。ただ己の縄張りを広げ、敵対するものに容赦はせず、最愛を守り、共に生きてきた。そんな生き方をこう称されると言うのは、前世でもなかった事だ。どうにも背中がむずむずする。
神羅はそれを誤魔化すように軽く咳ばらいをし、
「まあ、ついてくる、と言うのはこちらとしては別に問題はない。もっとも、安全は保証せん。他の怪獣と戦う事にもなるだろうし、命の保証は一切ない。それでも構わないと言うのなら、我はいいが。他の面子は?」
「まあ、俺も別に……」
「……大丈夫」
「私も……はい」
「なるほど……ならば、一緒に行くか」
「ありがとうございます」
「ああ、後。そう言う口調はやめてくれ。王として認められた後もそんな口調で話してくる輩はいなかった。普通に普段通りの口調で頼む」
「それは……いや、神羅殿がそう望むなら」
そこで話がつき、神羅は小さく息を吐くと視線を愛子たちに向ける。
「さて……それで、お前たちはどうする?」
「え、ど、どうするって……」
「そのままだ。このままここに残って復興の手伝いをするか、それとも早く移動するかだ。早めに決めておいたほうがいいぞ」
神羅の言葉に愛子は戸惑うように声を上げ、他の生徒たちもどうしようか、と言うように顔を見合わせる。あれほどの戦闘があった直後だ。すぐにその場から離れたいと思うのは不思議ではない。しかし、これほどの惨状を放っておくこともできず、迷っているようだ。
その中で、優花はちらちらと神羅達に視線を向ける。それに気づいた彼らが首を傾げていると、大きく息を吐いて、優花は神羅の前に立ち、
「あの……神羅……その旅関係でさ、何か、私にできる事ってある?」
その申し出に神羅達は困惑と共に目を丸くし、愛子たちは驚きで目を丸くする。
「それは……また急にどうした?」
「えっと……さ……今回の件さ、完全にアンタやハジメたちに任せっきりだったじゃん?あの巨大な魔物も……あんたが撃退して………だからさ、何か……返したいと思って……」
そう言う優花だが、その目には迷い、そして何よりも恐怖が浮かんでいる。
「………それは、いわゆるご機嫌取りか?我と言う怪物の」
その言葉に優花はびくり、と肩を震わせる。その言い方にハジメたちがそれは無いだろうと非難の眼差しを向けるが、神羅は気にしたそぶりもなく、優花に視線を向ける。
愛子たちがオロオロとする中、優花は一瞬顔を俯かせるも、少しして、ふう、と息を吐いて顔を上げると神羅を見据え、
「……そうね。正直に言うわ。怖い。あんなでかくなって、しかも滅茶苦茶に暴れて……地形すら変えちゃって……言い方は悪いけど、怖くないはずがない。でも、それでも、あんたがこの町を守るために戦ってくれたのは分かる。じゃなきゃ、町自体の被害も凄い事になってただろうし。それに、私たちを即座に逃がしてくれて……だから私たちは助かった……だから、感謝してるのも本当。ありがとう。そして、それに報いたいと思うのも本当の事」
そう言い、だから、と続ける。
「できる事があるなら、手伝いたいの。そりゃ、私はあんた達からしたら碌な力を持ってないかもしれないけど……それでも……」
その目を神羅は静かに見据える。優花もまたその目を見返す。そこには変わらず恐怖があるが、覚悟もある。
その何とも言えない緊張感にその場の他の全員が固唾をのんで見守っていると、神羅は唐突に宝物庫を光らせ、そこから鳥獣愛護のバンダナを取り出す。それを手に持った状態で口笛を吹く。しばらくすると、ぴぃーと言う鳴き声と共に昨日、道案内をしてくれた鳥が現れ、神羅の肩に留まる。
神羅は鳥と目線を合わせ、何度も唸り声を発する。鳥もまたそれに答えるように何度も鳴き声を発する。それを何度か繰り返したところで、鳥は神羅の肩から離れると、そのまま優花に向かって飛んでいく。
「え?ちょ、ちょっと!な、なに!?」
突然の事に優花は目を白黒させながら狼狽え、鳥から逃げようとするが、鳥はそのまま優花の頭上に舞い上がると、そのまま旋回を始める。
困惑しながらそれを全員が見つめていると、神羅は鳥獣愛護を優花に差し出す。
「ならば、お前には我らとの連絡係を任せよう」
え?と全員が首を傾げる中、神羅は説明をする。
「内容は単純だ。この鳥と鳥獣愛護をお前に預ける。そして、何かあったらその鳥に手紙を持たせてこちらによこせ。そしたらこちらで対応を検討し、また鳥を使って連絡をする。所謂伝書鳩とその飼い主だ。鳥獣愛護はお前達でも扱える」
それは……ハジメ達にとっては中々にありがたい事だった。幾らハジメたちが強く、様々なアーティファクトを持っていても、基本的には一組だ。一緒に行動している以上、得られる情報には制限がかかる。だが、もしも別行動をとっている者達と連絡が取り合えるなら、必然的に得られる情報量も増え、対策も立てやすくなり、ぐっと動きやすくなる。
「えっと……伝書鳩って……それ、やるとして、ちゃんとたどり着くの?お互いに移動してるでしょ?」
「問題ない。かつてそうやって連絡を取り合っていた連中がいる。実績は十分だ。本人も問題ないと言ってるしな」
神羅がそう言うと鳥がぴゅい!と力強く鳴く。
「で、どうするのだ?やるか、やらないか。今決めろ。ちなみに言っておくが、やった場合、厄介な連中に目を付けられる危険がある。身の安全は保証できないぞ」
その言葉に優花は肩を震わせ、差し出された鳥獣愛護を見つめる。力になりたいと言ったのは本当だ。だが、それはいわば自分の我が儘で、それによってほかのみんなが危険にさらされるのは本意ではない。
迷うように視線を彷徨わせる優花を見て、愛子は声をかけようとするが、その瞬間、言葉に詰まるように視線を彷徨わせ、一瞬神羅に視線を向けた後、小さく息を吐いてから声をかける。
「……優花さん。その……私は構いませんよ……」
「愛ちゃん先生……」
「生徒のために教師が頑張るのは当然です。優花さんが本気でやりたいと思うのなら、先生はそれを応援します」
その言葉に優花はしかし、迷うように目を伏せる。それからちらりと他のクラスメイトの方に視線を向ける。彼らは怯えるような反応を見せ、それから互いに顔を見合わせ、もごもごと口を動かす。すると、彼らは優花に視線を向け、恐る恐ると言うように頷く。
それを見て、優花は小さく息を詰まらせ、それから再び迷うように視線を動かすが、少しして、大きく息を吐いて神羅に視線を向けると、鳥獣愛護を手に取る。
「………いいわ。その役目、引き受ける」
「……そうか。まあ、連中の件もある。連絡は本当に必要なときのみに、絶対に見過ごせない事態がそちらで発生した時のみにしておこう。それでは、物資輸送の件をやるか」
神羅がそう言うと、ハジメ達は一様に頷き、立ち上がって動き始める。
神羅もそれに続いて歩き出したが、不意に立ち止まると、愛子たちの方を振り返り、
「最後に一つ言っておく。力がないとダメ、等と言うのはただの逃げだ。本当に覚悟があるものと言うのは、たとえ何の力がなくとも、動き、戦える者の事を言う」
その言葉に生徒たちは何を言って、と言うように視線を向ける。その視線を受けながら、神羅は鼻を鳴らし、
「かつてだ。かつて我が窮地に追い込まれたことがあった。我自身、手も足も出ない時、我を救ったのは、魔力も、何の力も持たないただの人間だった」
その言葉にクラスメイト達が困惑する中、神羅の脳裏には幾人かの人間の姿がよぎる。
大きなダメージを負い、回復に努めている中、己の命と引き換えにゴジラの力を運び込んだ一人の男。偽王が我が物顔でのさばっている時、偽王を他の怪獣から引き離し、時間を稼いだ一人の少女。偽王との戦いで援護をしてくれた者達。そして、三度追い詰められた時、奴を引き寄せ、自分が覚醒するまでの時間を稼いだ者。そこにどんな事情があったか、善悪の程はゴジラには分からない。だが、彼らがいなければ、自分は偽王には勝てなかった。それは紛れもない事実だ。最強の怪獣を救ったのは、特別な力を持たないただの人間達だった。
「彼らは覚悟を持っていた。己の全てを使ってでも成し遂げなければならない事を自分で選び、それと向き合い、逃げずに、どれ程傷つこうと走り続ける覚悟を………お前らは、どうするのだ?」
それだけを言うと、神羅は今度こそ、歩き去って行った。
その後姿をクラスメイト達は何とも言えない表情で見つめ、優花は手元の鳥獣愛護をじっと見つめていた。
それから、神羅とシアと言うパワー組が馬車を引いて怪我人を町に運び込み、その間にハジメが練成を使って整地を行い、ユエとティオが魔法を使って瓦礫や露出した岩などを取り除き、愛子が作農師の技能で土づくり、クラスメイト達がケガの手当てや薬草の採取などであちこちに走り回った結果、数日でウルの町はそれなりに復興した。
まだまだ完全な復興には程遠いが、これ以上は町の人間に任せたほうがいいと判断した神羅達は当初の目的通り、ウィルを連れて町を後にした。
外界から完全に閉ざされたその空間は、しかし、ゴジラやメトシェラが暴れるのは厳しいが、動く分には問題ないほど広大だった。そこは一切の光源がないにもかかわらず、うすぼんやりとした緑の光に照らされ、周囲の様子を伺う事が出来る。
その光に照らされ、何かが岩壁にあった。それは一見すると高さ数十メートルの三日月型の岩のように見える。だがそれはぬめりのような物を帯びており、見ようによっては生物の繭のように見える。
だが、それは一切、何の動きも、反応もなく、そこに鎮座し続けている。そのせいか、それはやはり、岩にしか見えない。
だが、岩の一角が唐突に、赤く、帯状に連続して点滅する。だが、その光はすぐに消え、それ以降、点滅することはなかった。
故に、それは誰にも気づかれなかった………
クラスメイト達は逆らったら力を壊されるのではという恐れから頷きました。