バカとテストと大怪獣   作:後藤陸将

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本来なら続きを書く気は薄かったんですが、現在執筆しているガンダム物で書きづらいところが連続するシーンに差し掛かっており、ちょっと嫌気が差したので気分転換に一本書き上げてみました。
これからの構想とかも全く考えていないので、投稿はまさに気分次第の不定期になります。


第二問

「霧島さんと……ええと、確か工藤さん?」

 突然の来客に美波も僕の腕にかける力を緩めてくれた。助かったって思うけど、同時に更なるトラブルの予感が……

 

「そうだよ。Fクラスのみんなとは試召戦争以来かな?改めて自己紹介するね。Aクラスの工藤愛子です。趣味は水泳と音楽鑑賞、スリーサイズは上から78・56・79。特技はパンチラで好きな食べ物はシュークリームだよ」

 あれ、今自己紹介の中にへんなものがまじっていなかった?

「あれ、吉井君、どうかしたの?」

「いや、特技のところ……」

 確か、パンチラって言ってたけど、それって特技に入るのだろうか。

「ううん、聞き間違いじゃないよ。疑ってるなら見せてあげても……」

 そう言いながら工藤さんはスカートの淵に手を伸ばす。僕の姿勢もやや前屈みになる。

 

「待て……明久」

 あれ?ムッツリーニ、いつもならここで鼻血を出しているはずなのに……

「どうしたんだよムッツリーニ!カメラの準備はどうしたのさ!?」

「……やつはスパッツを穿いている」

 そんな殺生な!!僕らの夢と希望をなんだと思っているのさ!!

「し、翔子!?俺は何もぎぃやァァァア!?」

「……私以外の女の色気に反応したら許さない……」

 ついでに婚約者に目潰しされている雄二に謝るべきかもしれない。結局雄二は理不尽に目を潰されたんだから。

 

「ひどいや工藤さん!!純情な少年の心を弄んで!!」

「あはは、ごめんね~。ところで、みんな何か面白そうなことしてたけど、何やってたの?」

「ああ、実はババア長がね……」

 僕は工藤さんにここまでのあらましを説明した。

 

 

 

「なるほどね。新システムの実験台なんだ」

「文字通り実験動物(モルモット)なんだけどね……」

「それでさっきは島田さんに関節を極められていたんだね」

「うん。そう。ジャミラなんか召喚されてもフォローなんて腕が捻れてもげるゥウ!?」

 一瞬のうちに僕の右腕は美波に掴まれて肩の関節が回らないところまで強引に回された。

「あ!れ!は!忘れなさい!!」

「美波!腕が!僕の腕がぁぁ!?」

「あははは、なんか面白そうだね~そのまま一回転できるかも?」

 助けて!!誰か!!僕の肩はソフビ人形みたいに一回転しないから!!

 

 

 あの後関節が外れる寸前のところで美波は僕の腕を開放してくれた。だけどまだ僕の腕には感覚が戻っていない。

「ひ……酷い目にあった。工藤さん、お願いだからもう少し自重してよ。このままじゃ僕の腕が何本あっても足りないよ」

 工藤さんも頭をかきながら苦笑する。

「ごめんごめん。やっぱり吉井君の反応って面白かったからさ。でも、吉井君も気をつけたほうがいいよ。口は災いの元って言うからさ」

「確かに明久はたまに口が軽くなることがあるからのぉ。もう少し発言には気をつけるべきじゃ」

 秀吉にも言われると考えさせられるなぁ。

 

「そういえば翔子、工藤。この後少し時間あるか?」

「……雄二を迎えに来て、後は一緒に帰って、一緒にご飯を食べて、一緒にお風呂に入って、一緒に寝るだけ。今日は他の予定はいれてない」

「よし。俺は今日一人で帰るし、一人で時間を過ごす。それで、工藤は?」

 この野郎。霧島さんとお風呂に入れる機会を断るなんて……なんて失礼なやつだ。後で異端審問会だ。

「僕も時間はあるよ。元々代表と一緒に帰る予定だったし」

「それならちょっと実験に参加してみないか?せっかくだしな」

 確かに二人の召喚獣は気になる。工藤さんの召喚獣なら姫路さんの召喚獣に負けず劣らずの大胆な召喚獣が出てくるかもしれないしね。

「……雄二の頼みだったら、やってもいい……愛子は?」

「僕も興味はあるなぁ……でも、参考までにみんなはどんな召喚獣を召喚したのか教えてくれない?」

 雄二は露骨に渋い顔を浮かべながら口を開いた。

「…………俺はレッドマンだ」

「……吸血宇宙星人ドラキュラス」

「ワシはモスラじゃ」

「わ……私はエレキングっていう女の子です」

「僕はウルトラマンダイナだよ」

「…………」

 あれ、一人だけ紹介してない。……え~と、雄二から順番に言ったから、美波が言ってないのか。

「美波、美波の番だよ?」

「……ウチの召喚獣は……あれよ……言わなくてもいいじゃない」

「そういえばさっき僕が工藤さんに言ったっけ。美波の召喚獣はジャミって突然僕の首から変な音がしてるゥ!?」

 僕の首に蛇のように瞬時に巻きついた美波の腕が関節をあらぬ方に曲げようとしていた。

「あんたはさっき木下の言葉の何を聞いていたのよぉ!!!」

「あの馬鹿の軽口が一朝一夕で直るわけがあるか」

「……痛い目をみても学習しない」

「いつか軽口が死因になりそうじゃのう」

 みんな冷静なこと言ってないで助けて!!僕の首が!呼吸が!ピンチです!

 

 

 

「それじゃぁ、やってみようか。試獣召喚(サモン)!!!」

 首が変な方向をむいたまま治せなくなってしまった僕を尻目に工藤さんが召喚獣を召喚する。

 幾何学模様の陣が展開されその中から召喚獣が飛び出した。見た感じは宇宙人っぽい。

「なんだか、まんま宇宙人!ってかんじの宇宙人ね」

 美波がしげしげと眺めながら感想を言う。僕も同感だ。てっきり姫路さんの召喚獣みたいにセクシーなやつが出てくると期待していたから少しがっかりでもある。ムッツリーニなんか残念そうにカメラを掲げていた腕を下ろしてるし。

「ムッツリーニ君、君が期待していたようなセクシーな女の子が出てこないで残念なのは分かるけど、そんなに露骨にがっかりしないでよ」

「そうだ、ムッツリーニ。早くこいつの正体を調べてくれ」

 雄二と工藤さんに促されてムッツリーニは渋々ノートパソコンに向かった。

「……あった。これは妖艶宇宙女王レディベンゼン星人」

「でも、これが工藤さんの本質ですか?」

 姫路さんが首をかしげている。確かに工藤さんの本質らしくない感じはするけど。

「……この宇宙人は人間に化けることができる。その姿が実にブフゥゥ!?」

「「「ムッツリーニ!?」」」

 瞬時に僕が輸血パックを用意して、秀吉がムッツリーニの体勢を整える。そして雄二がチューブを用意して救命措置が施された。

「レディベンゼン星人の人間体は……歴代の宇宙人の中でも色々な意味でいやらしい……おそらく、それが工藤愛子のほんし…………ガク」

「し、死ぬな!ムッツリーニ!!」

「そうだよ!僕はまだ君からあのエレキングの写真を買ってないんだ!!」

「しっかりするのじゃ!!」

 

 

 

 僕達の息のあった迅速な対処のおかげで何とかムッツリーニの容態も峠を越えたみたいだ。ムッツリーニを教室の隅に寝かせて僕達は次に霧島さんの召喚獣を見ることにした。

「それじゃ、翔子。やってみてくれ」

「……うん。試獣召喚(サモン)

 霧島さんがそう呟いた直後、僕は背筋に寒気を感じた。そして床に展開された幾何学模様の陣から紫電が迸り、その光の中に女性を思わせるシルエットが浮かび上がった。

光が収まり、霧島さんの召喚獣の姿が見えてきた。だけど、その姿は僕らの予想を超えたものだった。

「……おい、明久。これってまさか」

「胸にカラータイマーあるし、顔立ちもそれっぽいよね」

「まさか……ウルトラマンじゃと!?」

 

 その姿はまさにウルトラマン。雄二の召喚獣のような紛い物ではない本物のウルトラマンに近いデザインだ。だけどこのウルトラマンは僕らの知るそれと決定的の違うところがあった。

「体型から察するに、女性のウルトラマンだよね?そんなのもいるんだ」

「でも……黒い……ウルトラマンっているんですか?」

「瑞希……ウチも日本に来てそう長くはないのよ?そんなのわからないわよ。アキ、何か知らないの?」

 いきなり話を振られた。だけど、実は僕はこのウルトラマンに心当たりがある。昔、姉さんに連れられて行ったウルトラマンの映画に黒い女のウルトラマンを見たことがあった。

「ムッツリーニ、パソコン借りるよ」

 教室の隅でダウンしているムッツリーニに一言かけて僕はあのウルトラマンについて調べる。予備知識もあったからお目当ての資料はすぐに見つけることができた。

 

「あった!これだ!」

「おっ!明久にしては仕事が速いな。たまには役に立つじゃねぇか。……どれどれ」

 雄二がパソコンの画面を横から覗き込む。だけどその顔は瞬時に引き攣った。

 

 

『愛憎戦士カミーラ

 

 身長 49m 体重 3万9千t

 

 3000万年前はウルトラマンティガの恋人だった闇のウルトラマン。

 南太平洋に浮上した超古代都市ルルイエに封印されていたが、遺跡が発掘されたために蘇る。

 復活早々に結婚式を控えた元彼の元に向かって復縁を迫るが、あっさりと断られる。

 怒りのままに鞭で打ちのめして剣で刺してと散々に痛めつけた末に一度はウルトラマンティガを圧倒する。

 戦闘中に目の前で元彼と元彼の婚約者とのいちゃラブを見せつけられて激怒。そのまま邪神と融合してラスボスになる。

 痴情のもつれの末に元彼ごと世界を闇で覆い人類を滅亡させかけた前科があるために特撮史上最強のヤンデレとしても名高い。』

 

 

 怖い。霧島さんの本質怖すぎる。隣を見ると雄二が顔を真っ青にして荒い呼吸をしている。あれ?もしかして過呼吸?

「あ……明久……」

 雄二が恐る恐る僕のほうに顔を向ける。だけど、僕にできることは何も無い。僕は雄二の肩にやさしく手を置いた。

「……霧島さんの彼氏は雄二だから。僕にはどうしようもないよ」

「雄二……強く生きるのじゃ……」

 なんでだろう。こんなに可愛くてスタイルのいい彼女がいるはずの雄二が初めて哀れだと思った。

「どうしたのよ、アキ。調べ終わったんならさっさとウチたちにも教えなさいよ?」

 ゴメン、美波。今回は流石に雄二が可哀想過ぎて教えられないよ。

 

 

 

「坂本君、確か今回のテストでは召喚獣の動きとかもテストするんですよね?時間も後20分ほどしかありませんし、そちらもテストし始めませんか?」

 覇気を失った雄二に姫路さんがおそるおそる話しかける。確かに姫路さんの言うとおり、消化すべき実験はまだ残っている。 

「そうじゃな。ひとまず、軽く戦わせてみるのはどうじゃ?実戦も想定した動きもできそうじゃ」

「じゃあ、僕が最初にやるよ。ウルトラマンダイナは人型だから今までの召喚獣と操作の勝手は変わらないだろうしね。雄二、相手してくれない」

 僕は意気消沈したままの雄二に顔を向ける……あれ?雄二がいない?

「……雄二、私の召喚獣って何?」

「いや、それはだな。あ~、俺もよく知らないわけだ」

「……それは嘘。さっき土屋のパソコンで調べてた」

「じ、実は途中で画面が消えてって頭がぁぁ!?」

「……嘘は許さない」

 どうやら雄二は霧島さんと楽しくやってるみたいだ。二人の世界に立ち入るのも野暮だろう。

 

「雄二は忙しそうだから、僕らでやろうか……うん、美波。準備してもらっていい?」

「どうしてウチなの?」

「そりゃあ僕の点数じゃ姫路さんや工藤さんに敵うわけないし。僕の身体がボコボコにされちゃうじゃないか」

 召喚獣の力は点数に比例する。僕の点数じゃAクラスレベルの点数をもつ二人が相手なら再悪一撃でKOされかねない。しかも僕の召喚獣は特別仕様だから召喚獣の痛みがフィードバックしてしまう。数倍の点数をもつ召喚獣に攻撃でもされたと思うと恐ろしくてたまらない。

「なら、木下でもいいんじゃないの?」

「秀吉のファンシーなモスラを攻撃なんてできないよ!!」

「つまりウチの召喚獣なら容赦なく攻撃できるって言いたいのね……吉井、あんたは焼き殺すわ…………召喚獣を出しなさい!!試獣召喚(サモン)!!!」

「明久よ、もう少し言い回しを気をつけたらどうじゃ……」

 いや、ジャミラも怪獣になってしまった背景を考えれば攻撃には多少は抵抗あるんだよ?まぁ、怪獣化した後に罪の無い一般人を殺してるからあまり同情されないけどさ。

 

「じゃあ、行くよ!!試獣召喚(サモン)!!!」

 床から光の柱が立ち上り、その中にウルトラマンダイナが出現し、美波の召喚したジャミラに対してファイティングポーズを取る。

 

 

『Fクラス 吉井明久 VS Fクラス 島田美波

 総合科目 840点    総合科目 920点』

 

 

「死になさい!!」

 まず、ジャミラが高熱火炎を口から吐き出した。ダイナはそれを左に飛び跳ねることで回避した。しかし、ジャミラはそのまま炎を左に薙ぐ軌道で放つ。炎はまるで追尾するかのようにダイナに迫る。

「きゃ!?」

 召喚獣の吐き出した炎だから実態があるわけではない。だから実際には熱くもなんともないんだけど、自分に炎が迫るのに驚いた姫路さんが後ずさりする。

 本当なら肩慣らしみたいに軽く済ませるつもりだったけど、どうやら美波は完全に殺る気だ。なんとかジャミラを倒さないと!!

 だけど、このままじゃ炎に追われ続けていつかは直撃を食らってしまう。だから僕は咄嗟にダイナをジャミラの足元に飛び込ませる。

 そしてそのままダイナはジャミラに足払いをかけた。元々バランスのいい体格をしていないジャミラは体勢を持ち直すことができずに前のめりに倒れてしまう。ダイナはそこですかさずマウントポジションを取り、そのままチョップを立て続けにジャミラの背中に浴びせかけた。

「この!!うざったいんだからぁ!!」

 ジャミラは高熱火炎を吐き出しながら強引に身体を回転させてダイナを振りほどこうとする。その際にダイナは高熱火炎の直撃を受けて吹き飛ばされた。

「熱い!!熱い!!熱いよぉ!?」

 ダイナとダメージがフィードバックした僕はシンクロした動きで床を転げまわる。設定では確か数百万度の火炎だ。あんなの何発も受けたら僕は瀕死になってしまう!!

「どんどんいくわよ!」

 転げまわるダイナにジャミラが追撃の火炎を放つ。ダイナは上半身をバネにして飛び上がり、そのまま斜め前に前転して炎を避ける。だけど、ジャミラはここで炎を吐くのをやめ、ダイナに向けてのしかかりを極めた。

 そのダメージでたまらずダイナの動きが硬直する。ダイナがダメージで怯んだ一瞬の隙をついてジャミラはダイナの首に腕を回し、その首を締め付けた。

「ぎゃー!?く、首がぁ!?」

「まだまだよ!!」

 ウルトラマンダイナの胸のカラータイマーの色が青から赤に変わり、警告音を鳴らしながら点滅を始める。

 まずい!フィードバックで首がやばい!!美波さま!首が苦しいです!

 

 

 絶体絶命のその時、幼少期に見たウルトラマンの姿が何故か脳裏に蘇った。

 いつも必死で、一生懸命で、何度倒されても諦めずに立ち向かっていくウルトラマンダイナ(ヒーロー)。あれは確かに造り物のヒーロー像かもしれない。だけど、あの時ブラウン管の向こうにいたウルトラマンダイナがまだ幼かった僕らに与えてくれた夢と希望は造り物なんかではなかったと今でも思える。

 今、僕の目の前で首を絞められて苦しんでいるウルトラマンダイナ。たとえ召喚獣であっても、僕らに夢と希望を与えてくれたウルトラマンダイナ(ヒーロー)にこんな無様な格好をさせることには耐えられない!!

「負けない!ウルトラマンは負けはしない!」

 僕は首の苦しさに耐えながらダイナに首を締め続けているジャミラの手を掴ませる。そしてダイナは背負い投げの要領でジャミラを前方に投げ飛ばした。

「まだまだ!!」

 そのままダイナは腕を掲げ、両腕に溜め込んだエネルギーを円盤状の光輪に変えてジャミラに射出した。ジャミラは光輪に切り裂かれてよろめく。

 よし!予想通り光線技も使えるみたいだ!ジャミラも炎を吐けたからできると踏んでいたけれど。

 ジャミラはフラッシュサイクラーによるダメージを受けながらも再び立ち上がる。

 

 

『Fクラス 吉井明久 VS Fクラス 島田美波

 総合科目 132点    総合科目 202点』

 

 

 僕の召喚獣は維持コストとして毎秒一点を消費する。さっきのフラッシュサイクラーも点数を削って放たれたものだから消耗は激しいけど、美波の召喚獣も炎を吐くたびに点数を消耗していたから、そこはお互い様。

 だけど、もうウルトラマンダイナは2分少々しか戦えない。ならもう次で決めるしかない。ウルトラマンダイナの必殺技で。

 

「……なかなかやるじゃないの、アキ。でも、もう終わりよ」

「まだだよ。ウルトラマンダイナは伊達じゃないんだ」

 

 

 

「なんか、凄い戦いですね……まるで映画を見てるみたいです」

「ううむ……これは演劇でも使えるかもしれんのぉ……」

「学園長先生も見かけによらないよねぇ。こんなもの造っちゃうなんてさぁ」

 教室の隅にいた観客勢も思い思いの感想を呟く。因みにムッツリーニは未だに回復していない。

「…………男なんて無力だ……」

「……妻に隠し事は許さない」

 雄二も決着がついたらしく、霧島さんの隣で静かに正座している。ただし、その手には錠がかけられていたけれど。

 

 

 

「くらいなさい、アキ!!」

 ジャミラがダイナに向かって突進を仕掛けてきた。顔の前で掲げた腕はこちらのカウンターに対処するための盾のつもりだろう。

 だけど美波、それは悪手だ!

 ジャミラはその胴体が大きいから腕だけじゃ顔の部分しか護れない。がら空きのボディに必殺技を叩き込めば僕の勝利だ。

 そしてウルトラマンダイナの必殺技は光線技。ジャミラが突進を決める前に正確にボディに攻撃を当てることができる。

 

 ジャミラが迫る中でウルトラマンダイナは右腕を縦に、左腕を横にして胸の前で十字に組んだ。その構えは初代ウルトラマンのスペシウム光線の構えと同じもの。

「くらえ!ソルジェント光線」

 迫るジャミラを迎撃すべく、ウルトラマンダイナの十字に組んだ腕から蒼い光線が発射されてジャミラの胴体を貫――――――かなかった。

 

「へ?」

 雄二たちも唖然としている。美波以外の日本で生まれて日本で育った彼らはダイナがとったポーズが初代ウルトラマンがスペシウム光線を放つ構えと同じであると気づき、ダイナが必殺技の光線を放とうとしていることを瞬時に理解していたのだ。

 しかし、光線は不発だった。ジャミラはそのままダイナに体当たりを決め、フィードバックされた体当たりの衝撃で僕の全身に激痛が走った。

「ぎゃあぁぁ!?全身がまるでダンプカーに撥ねられたように痛いぃぃ!?」

 

 

『Fクラス 吉井明久 VS Fクラス 島田美波

 総合科目 DEAD    総合科目 202点』

 

 

 美波のジャミラが勝利の咆哮をあげる中、僕のウルトラマンダイナ(ヒーロー)はそのまま霞むように消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うむ……てっきり必殺技を出すと思っておったのじゃが、まさか不発とはのぉ」

「間抜けなやられ方だ。ま、明久らしいがな」

「……スペシウム光線は出せなかったの?」

「う~ん。あそこで光線だしてジャミラを倒していれば吉井君もかっこよかったんだけどなぁ~」

「何、みんな。あの腕組んだポーズって何なのよ?ねぇ、教えてよ!」

 何でみんな僕の容態じゃなくて光線のことが気になってるの!?

 

 

「大丈夫ですか、吉井君」

 僕を心配してくれるのは姫路さんだけだ!まるでナイチンゲールだよ……

 

 

 

 

 

 因みに実験終了後にババア長の元を尋ねて光線が出なかった件について聞いてみた。

 ババア曰く、

「必殺技クラスの技が腕輪無しで出ると思ったのかね、アホガキ」

 とのこと。

 つまり僕のウルトラマンダイナが必殺技を放つためには僕がテストで単科目400点以上を取らなければいけないらしい。

 この瞬間、ウルトラマンダイナが必殺技を放つという希望は完全に潰えた。




元ネタは

工藤愛子――妖艶宇宙女王レディベンゼン星人(ウルトラマンゼアス2 超人大戦・光と影より)
霧島翔子――愛憎戦士カミーラ(ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEYより)

です。

翔子は根源破滅天使ゾグにするか迷いました。
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