黒紅の死神の静かな日常   作:しじる

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ACT3 久しぶりの共同作業

「セナに買おうとしたジェリカンが目の前で売れ切れたのも、今日はやけに蒸し暑いのも、セナが外に出られないのも、全部、私のせい私のせい私のせい………」

 

「はぁ……結愛、また癖が出てるよ」

 

こんにちは、セナだ。

早速で悪いが結愛が暗い。

聞いての通り、私のために新作のジェリカンを買おうとしたところ、目の前で完売してしまったということが起きたらしく、家に帰って早々こんな事態になった。

気持ちは嬉しいが、それでネガティブなられたらちょっと困ってしまうな。

癖が出ていることを指摘して、気分を元に戻してもらう。

またやっちゃったと呟いて結愛が苦笑い。

結愛が小学校の時から続く、いつものやり取りだ。

悲しむところなのか、笑うところなのか。

しかし確かに今日は蒸し暑いようだ。

まだ初夏だと言うのに、気温は30度前後に達してるし、昨日が雨だったせいか湿度も高い。

人間には不快極まりない環境だろうね。

しかしそれは私にとっては少し嬉しいことだ。

不快ということは外に出にくいということ、外に出ないということは、結愛と一緒にいれる時間が増えるということだ。

それは素直に嬉しい。

そして私の想像通り、結愛は今日は買い出しに出掛けずに、冷蔵庫にあるもので済ませるそうだ。

 

「それじゃあ久しぶりに、一緒になにか作る?」

 

そう話を振ってくる結愛。

そういえば、確かに二人でなにかを作るのは久しぶりな気がする。

私の武器である大鎌【ブラックローズ】とガトリングガン【トリカブト】も、一緒に考えて作った武装だった。

マント?これは黒いゴミ袋で作った安物だ。

世間は防弾・および耐ビーム性能があるといっているが、流石に素材がゴミ袋だからそんな素敵性能はない。

見た目だけだ。

だけれど、確かに安物ではあるが、結愛が私に最初に作ってくれた武装だ。

いくらでもスペアは作ってくれてはいるが、私にとってはどんな高級品よりも大切な宝物だ。

さて、それじゃあ二人で何かを作ろうと言う話になったが、いざ作ろうとするとなにも浮かばない。

そうえば、あの二つの武装を作るときも、とくになにも浮かばない状態から始まったっけ?

そんな懐かしいことを思い出しながら、考える。

 

「あ、こんなのどうかな?」

 

結愛がなにか思い付いたらしい。

それを早速聞いてみる。

なんでも、私のブースターの増強アイテムらしい。

そういえば私のブースターは全くの手付かず、ほぼ結愛の腕前でどうにかしてきたけど、確かにブースターがパワーアップすれば機動性も上がるだろうね。

ん?既製品を買えば良い?

既製品のブースターは大きすぎて、マントの中に入らないんだ。

だから合えて外して、素のブースターでさえなしでやり取りしていたんだよね。

そう考えたら、結愛、本当に相当の天才だね。

よくブースターなしてF1グランプリを制覇し続けれるよ。

これでネガティブがなければ完璧なんだけれどもな。

いや、メディアの前では自信満々を振る舞ってるから大丈夫なのか?

 

「よし、早速作ろう。パテ持ってくる!」

 

「それじゃあ私はプラ板だね」

 

こうして役割分担して、私たちはマントの中に入るサイズのブースターを作ることにした。

結果から言えば、これは成功に終わる。

途中パテが足りなくなって、結愛が近所の模型店に走ったり、間違えて真鍮線をプラモ専用ニッパーで切ろうとしてヒヤヒヤしたりしたけど、それは笑い話になった。

今日も今日とて、私と結愛は仲良くやってます。

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