「セナに買おうとしたジェリカンが目の前で売れ切れたのも、今日はやけに蒸し暑いのも、セナが外に出られないのも、全部、私のせい私のせい私のせい………」
「はぁ……結愛、また癖が出てるよ」
こんにちは、セナだ。
早速で悪いが結愛が暗い。
聞いての通り、私のために新作のジェリカンを買おうとしたところ、目の前で完売してしまったということが起きたらしく、家に帰って早々こんな事態になった。
気持ちは嬉しいが、それでネガティブなられたらちょっと困ってしまうな。
癖が出ていることを指摘して、気分を元に戻してもらう。
またやっちゃったと呟いて結愛が苦笑い。
結愛が小学校の時から続く、いつものやり取りだ。
悲しむところなのか、笑うところなのか。
しかし確かに今日は蒸し暑いようだ。
まだ初夏だと言うのに、気温は30度前後に達してるし、昨日が雨だったせいか湿度も高い。
人間には不快極まりない環境だろうね。
しかしそれは私にとっては少し嬉しいことだ。
不快ということは外に出にくいということ、外に出ないということは、結愛と一緒にいれる時間が増えるということだ。
それは素直に嬉しい。
そして私の想像通り、結愛は今日は買い出しに出掛けずに、冷蔵庫にあるもので済ませるそうだ。
「それじゃあ久しぶりに、一緒になにか作る?」
そう話を振ってくる結愛。
そういえば、確かに二人でなにかを作るのは久しぶりな気がする。
私の武器である大鎌【ブラックローズ】とガトリングガン【トリカブト】も、一緒に考えて作った武装だった。
マント?これは黒いゴミ袋で作った安物だ。
世間は防弾・および耐ビーム性能があるといっているが、流石に素材がゴミ袋だからそんな素敵性能はない。
見た目だけだ。
だけれど、確かに安物ではあるが、結愛が私に最初に作ってくれた武装だ。
いくらでもスペアは作ってくれてはいるが、私にとってはどんな高級品よりも大切な宝物だ。
さて、それじゃあ二人で何かを作ろうと言う話になったが、いざ作ろうとするとなにも浮かばない。
そうえば、あの二つの武装を作るときも、とくになにも浮かばない状態から始まったっけ?
そんな懐かしいことを思い出しながら、考える。
「あ、こんなのどうかな?」
結愛がなにか思い付いたらしい。
それを早速聞いてみる。
なんでも、私のブースターの増強アイテムらしい。
そういえば私のブースターは全くの手付かず、ほぼ結愛の腕前でどうにかしてきたけど、確かにブースターがパワーアップすれば機動性も上がるだろうね。
ん?既製品を買えば良い?
既製品のブースターは大きすぎて、マントの中に入らないんだ。
だから合えて外して、素のブースターでさえなしでやり取りしていたんだよね。
そう考えたら、結愛、本当に相当の天才だね。
よくブースターなしてF1グランプリを制覇し続けれるよ。
これでネガティブがなければ完璧なんだけれどもな。
いや、メディアの前では自信満々を振る舞ってるから大丈夫なのか?
「よし、早速作ろう。パテ持ってくる!」
「それじゃあ私はプラ板だね」
こうして役割分担して、私たちはマントの中に入るサイズのブースターを作ることにした。
結果から言えば、これは成功に終わる。
途中パテが足りなくなって、結愛が近所の模型店に走ったり、間違えて真鍮線をプラモ専用ニッパーで切ろうとしてヒヤヒヤしたりしたけど、それは笑い話になった。
今日も今日とて、私と結愛は仲良くやってます。