黒紅の死神の静かな日常   作:しじる

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ACT4 セナの友人

生暖かい風が、開いた窓から流れ込む初夏の平日のこと。

その時、時刻は午前11時を指していた。

結愛は平日と言うこともあって、学校にいってる。

私は留守番と言うわけだ。

結愛の正体がばれるというのもあるが、そもそも学校に武装神姫ならびにフレームアームズ・ガールは携帯と同じく持ち込み禁止だ。

とくにテストでは不正があるためか、テスト期間の場合は厳重に注意が入る。

まあ、テスト期間はもう過ぎて、今は普通の日々なのだけれども。

さて私は何をしているかと言うと、いつものように結愛のパソコンで神姫ネットワークを漁っていた。

やっぱり平日の昼間は多くのマスターが仕事か学校で出掛けているためか、掲示板の流れもそれ相応に早い。

相変わらず画面の向こうの同士たちは、どうやってこの小さな体で、自分よりもそれなりに大きなキーボードを素早く打ち込んでいるのだろうか。

私はキーボードを打つさい、ジャンプして押し込んでるため、まったくと言っていいほど遅い。

誰でも良いから早くキーボードを打ち込むコツを教えてほしいものだ。

そんなことを思っていたときだった。

窓をノックする音が聞こえる。

2回、3回と、コンコンと小気味良く。

ここはマンションの四階、人間が窓をノックできるとは到底思えない。

となると私のなかでは、可能性は一つに絞られるわけだ。

あぁ、あの子(・・・)が遊びに来たなと。

ゆっくりと窓に向かい、そのロックを開けてあげる。

がらららっと、ガラスの窓が開かれて、向こう側にいた彼女が入れるようになる。

緑の髪に、オレンジのラインがボディペイントに入った、ほぼ何一つ弄っていない素体の彼女が。

 

「どーも、遊びに来たですぅセナ!!」

 

彼女の名前は【エミ】、結愛の部屋のとなりに住むサラリーマンの神姫。

【マオチャオ】と呼ばれるタイプで、明るく元気で天真爛漫がウリな神姫だ。

となりのサラリーマンはケモノ好きらしく、猫娘型のマオチャオは真っ先に購入対象になったとか。

犬娘のハウリンと迷ったらしいけど。

さて、そんなマオチャオのエミもマオチャオらしく元気一杯だ。

マスターがいない時間帯は、暇なのでこうしてこちらに遊びに来ることが多々ある。

私も結愛がいない間は寂しいし、やることが掲示板漁りしかないので、結構助かってたりする。

 

「いらっしゃいエミ。今日は何を話す?」

 

エミと私のすることは、基本会話だ。

いわゆる井戸端会議に近いものがあるだろう。

お互いのマスターの良いところや悪いところを話したり、最近何があったを話し合ったりするものだ。

まあ後半になってくると基本互いのノロケ話になってしまうのはご愛敬だろう。

そうして私とエミの話は始まる。

今日のお題はずばり、マスターの治してほしいところだ。

これは私は言うまでもなかった。

 

「ネガティブなことだね。殆ど何もかも自分のせいにして落ち込んでしまうところが一番治してほしいかな」

 

「あーそういえばそうですぅねぇ。セナのマスター初対面でもわかるくらいビクビクしてるですぅ」

 

「嘘みたいでしょう?あれでF1連覇の覇者なんだよ」

 

あぁ、そうだ。

エミ、と言うかとなりのサラリーマンには私のことはバレてる。

もちろん結愛の正体も。

あれは今から数ヶ月前だったか、私が結愛を見送るところをガッツリ二人に見られてしまってね。

そのサラリーマンの人は話がわかる人で、結愛の正体のことは隠してくれている。

もちろん私についても。

交換条件として、エミとの交流およびライドバトルの指導をたまにで良いからしてほしいと言われた。

それくらいお安いご用だと、二言返事で私たちも承諾した。

それからエミと付き合いが始まったっけ?

懐かしいことを思い出しながらも私の口は進んでいく。

 

「本当に、メディアの前ではあんなにミステリアスで自信満々な王者なのに、いざ家に帰ってきたら世間の反感を買ってないだろうかとかヘイトが怖いだとか。後ろ向きなことばかり。あの自信はどこにいったのかと毎回疑問に思うよ」

 

「ホント、テレビの中とは別人ですぅ。顔見られてないからですかねぇ?」

 

「それもあるかもしれないね。そもそもあのマスクを被るのも、自分を偽りたいと言う思いからだったしね」

 

そう、結愛がマスクを被るのは、ネガティブな自分をバトルで見せないため。

そういう思いから、マスクを被り始めたんだけど、まさかあそこまで人が変わるとは思わなかったね。

結愛のコンプレックスは、以外と顔だったりするかもしれない。

別に変な顔ではないと思うんだけどね、普通に可愛らしいと思うんだけど。

いや、自分のマスターだから贔屓目で見てるかもしれないな。

でも、それでも変ではないと思うんだけれどもな。

 

「ところで、エミのマスターの治してほしいところって?」

 

「食事がいい加減なところですぅ。もっとバランスよく食べないと体に悪いですぅ。いっつもそうなんですよ!」

 

食事か、結愛はそうでもないか?

考えは見るが、そんないい加減というような食生活は送ってないと思うけれども。

まあ、私の方も注意して、結愛の食生活を考えることにしよう。

 

「そうだ、食で思い出したけど。新作のチョコミント味のジェリカン試したかい?あれ買うかどうか悩んでるだよね」

 

「あれはびみょーなんですぅ、やめておくですぅ」

 

ホントかい?

悩む段階で正解だったかもしれない。

そんなことを話ながらも時間は過ぎていく。

今日も今日とて、平和で静かな日です。

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