ぐだぐだMoiraアカデミア 作:冥府さん@がんばらない(古)
イヴェールはコミケ行ってそう(致命的なニコニコ汚染)
「なぁエレフ」
「何だオリオン」
少年───エレフは、オリオンと呼んだ少年に顔を向ける。
オリオンはエレフの視線を受けて雑誌をエレフが見やすいように傾けた。
「またレオンティウスさん載ってるぜ。テレビにも引っ張りだこだし、弟のお前は鼻が高いんじゃねぇか?」
「なぁオリオン。たしかに俺は兄さんのことを個人的に尊敬してるし、毎日ヒーローとして戦っててすげえと思うよ。だがなオリオン。俺はマスコミを信用しないんだ。兄さんが有名になることを、あまりよく思いはしない」
「へぇ。そりゃまたなんでだ?」
「ミーシャにまでやつらの手が及ぶかもしれない」
エレフの言葉にオリオンは遠い目をして、息を吐く。
「……お前はほんとにミーシャが好きだよなぁ」
「考えても見ろ。ミーシャは天上の神すら嫉妬してしまうほど美しい子だ。その姿がこの世界に晒されてしまえばどうなる? 当然、ミーシャを狙うやつが出てくるだろう。そしてミーシャは祈りに捧げられて───あぁ、駄目だ。考えれば考えるほど怒りが湧いてくるぞ。どうすればいいと思う? オリオン」
「もうお前黙ればいいと思うぞ」
「……もしそんなことになれば、俺は祖国に牙を剥くだろうな。いや、神だって殺してしまえるかもしれない」
「それは無理だろ」
「いいや出来る。俺は兄さんの弟だぞ。日本で十指に入るヒーローの弟だぞ? うん。いけるいける。余裕余裕」
「お前のその自信はどこからくるんだ……」
エレフは世間一般でいうシスコンであった。
オリオンはエレフと妹───ミーシャの仲がどれほどいいのかを知っているから、もう呆れることしかできない。
彼らは中学生、それも三年生という時期。
性に多感な時代であり、オリオンもそりゃあミーシャのことを一瞬意識したことはあったが、しかしそんなことを知られてしまえば間違いなくエレフが殺しにくるのでその心を捨て去った。
「しかし、ミーシャ……遅いな……」
「そう早く済むもんじゃねぇだろ? もっと気長に待とうぜ」
エレフ達の通っている学校では、もう少しで文化祭の季節なのだ。エレフの妹は、委員として文化祭の出し物の案として乱立されたものの中から一つを選ぶという作業に現在勤しんでいる。
であれば、時間がかかることを想定しているのも当然だった。
「そういえば、エレフ。お前って高校どうするか決めたか?」
「ん? ……あー、雄英にするか迷ってるな」
「へぇ、やっぱりレオンティウスさんが通ってたからか?」
「あー……いや、別にそういうわけじゃないんだが。お前のほうはどうするか決めたのか?」
「おう、雄英はさすがに倍率がなぁー……適当に近くのヒーロー科目指すわ」
「ふーん、お前は雄英目指すもんだと思ってたんだが」
「さすがに厳しいだろ。それに別に雄英出身を目指す必要はないしな。俺は俺が愛したこの街を守るだけのヒーローになるーっ、てな!」
ふーん、とエレフがいい、言葉をつなげようとしたときだった。
「───エレフ様!」
「ん? お、オルフか。久しいな。文化祭の準備は終わったのか?」
「はっ、勿論! 私達はクレープ屋を出店することになりました!」
「ほう……それはそれは。ならばミーシャと共に行ってみようか。オルフ、その時はもてなしてくれるのだろう?」
「勿論ですエレフ様! このオルフ、誠心誠意全力を尽くさせていただきます!」
「いやこえーよお前ら」
唯一客観的な視点で見ていたオリオンがツッコんだ。
オルフはエレフの後輩である。そしてエレフを崇拝している。まるで王を見るかのように、救世主を見るかのようにオルフはエレフを尊敬していた。
その姿は他から見れば信仰であり、その信仰が会話の度に増していく進行という狂気。
どれくらい狂気かといえば、収穫を誤ってしまいそうなほどである。
「エレフ様、こちらの方は……」
「ああ、知らないのか。オリオン、自己紹介してやれ」
「お前なんでそんな態度デカイんだ……俺はオリオン。こいつの友達やってる」
「……では、オリオン様と!」
「こえーよなんだよお前その忠誠心」
信仰とは正に狂気である。と、オリオンはこの時思ったそうな。
エレフの兄であるレオンティウスは、どれだけ仕事が忙しくてもなるべく家に帰るようにしている。
とはいえ、やはり人気ヒーロー故か中々家には帰らない。そんなレオンティウスが帰ってきたのは六時頃。
ミーシャと一緒にごろごろぴょんぴょんしていたエレフはレオンティウスが随分早い時間に帰ってきたことに若干の疑問を抱きながら、寝転んでいたその体を起こして兄を迎えた。
「おかえり兄さん」
「ただいまエレフ。それにミーシャも」
「兄さん! おかえり! 今日は早いね?」
「ああ、今日は早く返してもらったんだ。働き詰めだったからね……上から休めって言われてんだ。休暇も溜まってるし、文化祭は行くよ」
「ほんとか兄さん!」
「やったー!」
レオンティウスはほほえみ、二人の頭を撫でた。まだ手の中に収まるほどだ。この二人の笑顔を守るために、今も彼は戦っている。
「ああ。普段家を開けてるからね……家事ももう、二人に任せてしまって。毎日大変だろ? 済まないな」
「大丈夫。兄さんが俺らのために働いてくれてるって知ってるんだから」
「うん。お父さんもお母さんもいない私達を助けてくれてるのは兄さんなんだよ? その兄さんが一番がんばってるんだから、家事くらい全然だよ!」
レオンティウスは曖昧にほほえんだ。
エレフとミーシャの両親は亡くなった。それはある
(恩讐で動くことは愚かしいことだ)
頭では当然、理解している。しかしその思いを持っていても止められないものがある。
幼い二人を傷つけた人間───その敵が
(───わかっていても止められない、か。私はやはり咎多き人間だ。非道い理由でヒーローになったものなのだから)
自らのファンがいることを知っている。……だから、自分がヒーローになった動機がそのファンに後ろめたい。
レオンティウスは本来評価されるほど高潔な人間でもないのだ。
ただ、身内を愛する一人の人間だった。
「なぁ兄さん、せっかくだしテレビでも見ながらゆっくりしててくれよ」
「……そうはいってもなぁ。いや、そうだね。そうするよ。この時間帯ってなにかおもしろいのやってたかな?」
「あー……録画してたやつでも見る?」
「何録画してたの?」
「仮面ライダー」
「あー……久々に見ようかな」
テレビの前に座った。ゆっくりと録画一覧を眺める。
「……………………」
レオンティウスの出た番組がしっかりと取られてて、なんだかほっこりとした気持ちになった。
「……な、なんだよその目」
「いや、何でもないよ。そういえば私はこの番組を結局見ていないんだ。予定は変更して、これを見ることにしよう」
「おー……オールマイトと共演したやつだ。これおもしろかったよ兄さん」
「そうかい? それはよかった」
「エレフー! こっちきてー!」
「なんだいミーシャー!」
二人が部屋へと向かっていき、レオンティウスは深くソファに沈み込んだ。今は槍を持っていない。こんな日も、久しぶりだ。
テレビでは自分の印象について人が語っていた。意外に人気があるようで、褒め言葉が多く寄せられている。一度聞いたがやはり嬉しいものだ。
のんびりと、リモコンを持ってテレビを眺める。二人はなにをしているのだろうか? と思っていると、ミーシャが戻ってきた。
「兄さん、文化祭来てくれるんだよね?」
「ああ、行くつもりだよ?」
「それでね、今日文化祭の出し物が決まったんだけど」
「うん」
「
「…………」
「ってエレフに言ったらね? 『ミーシャのメイド姿なんて誰にも見せるものか! ……
「エレフなら言いそうだね」
「でしょ? ……それでね、おもしろい案が出たの。絶対喜ぶと思うから文化祭を楽しみにしててね、兄さん!」
「……うん? うん。楽しみにしてるけど……」
と、言い残してミーシャは部屋へと戻っていった。
文化祭の日は……だいたい二週間後ほどだ。
かなり待ち遠しいな、と、レオンティウスは思った。
ブラック☆ロリコン……それはに(ry
運営は残酷だ(規制)
書きだめすらしてないので次回更新は未定です