ぐだぐだMoiraアカデミア 作:冥府さん@がんばらない(古)
続け発表された本選───第二競技。
『第二競技は
単純明快。わかりやすい。
その競技の詳細に、ある少年達がにやりと笑った。
イヴェールとローランサン。
盗みに長けた二人の少年───故に、彼らからすればこの競技は、なによりも自分達の見せ場であった。
セットが組まれる待機時間は十五分。たったそれだけの間に、まるで立派なお城を築き上げたのだから雄英の技術力は飛び抜けている。
その城へ、四十二人が踏み込んだ。
ゆっくりと誰もがタイマーの開始を待つ。ゆっくりと、時間がやってくる。
『───開始!』
その言葉が聞こえた時、全員が一斉に駆け出した。
城はそれ単体で大量の部屋が用意されており、ざっと廊下を見るだけでもわかりやすい。外周四キロの雄英のグラウンドを埋め尽くすほどのサイズで建てられたのだから、それだけ広いということだった。
「どういう技術力だよ……」
エレフは呆れる。あちらこちらに見えるカメラで、現在自分の姿が映されているのだと思うと気は抜けない。
まず真っ先に考えるのはみんな、広間などのようだ。細々とした部屋を調べている人はいない。だからこそ、真っ先に、通路の最奥の部屋へと入っていって、
そして扉を開いた瞬間、内部から銃撃される。
「うぉ───ッ!?」
先程恐ろしい速さを目の当たりにしたのだから、その程度の速さはなんとか対応できる。なんとか回避し、そして完全に回避したことを確認して部屋に入り込んだ。
部屋の中は簡素だ───その部屋の中に、小さなロボットがあった。
銃を内蔵しているようで、現在もエレフに向かって銃弾を撃ち続けている。それを横にスライドするように動くことで回避し、壁を蹴って瞬間的に接近した。
そのまますれ違う最中に手を伸ばしてその首をもぎとる。
完全に無力化したのを確認してから、エレフは警戒を解いた。さっさとこの部屋を調べてしまおう、と思った。だから、小さく簡素な部屋にぽつんと置かれていた机を開けて、宝を探す。
「……は? 全然ないぞ?」
あんまり宝を探すのに時間はかけていられない。だからこそ、簡単にしか見れてはいないが───宝はない。
騙された。
「トラップだったか───!」
エレフはそう判断し、急いで部屋を出ていった。無駄に時間を使った。このぶんの遅れを取り戻さないといけない。だからこそ、急いで走っていった。
───そして。
エレフが立ち去った後、すぐさま部屋に入ってきたのはローランサン。彼は部屋を見て、
「……こいつはツイてるな」
マットを引っ張り、その下の床を露出させる。
ころん、と小さな宝石が現れた。
「───漁父の利ってやつか? まぁいい。結構いいペースだぜ。もう
「ローランサン! 見つけたか!?」
「ばっちりだぜ! ほら、こいつはお前にやるよ!」
「おっ、ありがとよ。……さて、こいつはいい宝石だ。こんなもんがごろごろこの城には落ちてやがるらしい。となりゃあ、決まってるよな?」
「おう! 拾って拾って、」
「「拾い尽くす!」」
「いくぞローランサン! ヘマすんなよ!」
「お前こそな!」
エレフは走る。全く宝石の姿も見えない。だから闇雲に走っていても駄目だ、ということはわかる。だからといって、しかし。
焦らないなど不可能だ。特に、時間をロスしてしまった以上、挽回しようにも挽回は厳しい。
周りを見るとまだ宝石を確保していない者も多い。だからといって、持っている者がいないわけではない。
「……どうする?」
玉座の間まで登り詰めた。しかし、どこにも宝石はない。隅々まで隈なく探せば発見できるのだろうが……どうする?
玉座の間はその名の通り、玉座が鎮座している間だ。しかしその姿は教会のようでもある。なにせ、カラーガラスが天窓に使われており、さらに中央に綺麗な宝石のような珠を埋め込んだ十字架まで飾っているのだから。
しかしそれ以外はレッドカーペットと景観に優れた広間の姿、鎮座する玉座のみ。
「───いや、まて」
なにかがひっかかった。
まずかなりの高さにあり、手で取れそうではないし、あれが宝石なのかは疑問があるが、しかし
「見つけた───!」
相当な高さがある。しかし、あの高さであれば───カラーガラスに登り、そこから十字架を回収することは可能だろう。
それに、民家の屋根に登るより高くはない天井だ───故に、そこを駆け上るのにわけはない。
ゆっくりと体勢を落とし、地面を蹴り前への推進力を確保しながら、そのまま壁へとぶつかりそうになる───そこを、筋力を持って壁を垂直に駆け上がる。
相当な筋力がいる。だが、しかし、このくらいの高さなら全然登ることができる───!
カラーガラスの窓枠に足をかけ、十字架の中心部に配置された宝石に触れる。あんまり深くはセットされていないようで、すこし揺さぶればころりと十字架から落ちた。それを手で握りしめ、その高さを飛び降りる。
かなりの振動があった。足がじーんと痛む。かっこつけて着地するものじゃあない、と思いつつ、痺れる足を無理矢理動かして立ち上がった。
玉座の間の扉が開く。
「───っち、既に獲られてたか!」
「くっそ、ここであったが百年目! その宝石を渡してもらおうか」
「……ほう」
エレフの閣下モードに火がついた。
「そうか。これがそんなにも欲しいと言うか」
「……ん? なんだ? くれるのか?」
「馬っ鹿野郎ローランサン! 警戒を解くな! あいつの入試のときを忘れたのか!?」
「……ん? なんだっけ───」
「そんなにほしいならくれてやる───!」
エレフは握りしめた宝石を、見事なフォームで投擲した。威力は相当抑えたが、それでも一人を昏倒させるぶんには十分なほどだ。
その宝石はローランサンの頭部に直撃。がいんっ、と良い音を立ててローランサンは倒れた。
「い……いゔぇー……る……弟、いもう、と……大切にし、ろよ……」
「馬鹿野郎ォ───!」
倒れた相棒の亡骸を抱え、イヴェールは叫んだ。
「畜生……ローランサン……お前、俺の妹のことを羨ましがってたよな……妹を意識したことがあるっつって何回も半殺しにしたよな……なぁ……なんとか言えよ。本当に覚えてないのか? 今尚、眩いあの日々さえも───あ、いやよく考えたらお前妹に告白しやがったんだった。じゃあいいや。ここでくたばってろ。人の妹に手を出すな。次やったらマジで殺す」
「……中々そっちも大変なようだな」
「ああ……そういえば、お前も妹がいるんだったか?」
イヴェールは立ち上がる。そしてエレフと数秒視線を合わせた。
そして固い握手を交わした。
「お前からはいい兄の気配がする」
「お前もな。なぁ、エレフって呼んでいいか?」
「ああ。こっちもイヴェールって呼ぶな。お前の相方だけど放っといていいか? いいか。妹に手を出すやつは人間じゃない」
「だよな。いやぁ、お前とはいい酒が飲めそうだぜ。折角だし俺と組むか? こいつのぶんの宝石はやるよ。俺は今四つ、こいつは三つ宝石を持ってる。たぶん今一番多く回収した自信があるぜ」
「おお、そいつはありがたい。じゃあ遠慮なくもらっとくぜ」
エレフはローランサンから宝石を回収した。これで合計四つ。
これでかなりのアドバンテージを得た。
あとはこれを取られないように、守りつつ増やせば、それだけで上位圏内には入れるだろう。
「それじゃあ行くかイヴェール」
「ああ。発見は任せろ、俺はそれが得意分野だからな」
「お、マジか。じゃあ捜索は全部そっちに任せる。俺は……トラップを解除する役目か?」
「ああ。俺の防御力じゃ結構厳しいトラップもあるからな……そっちはお前に任せるぜ」
二人は互いに頷き合い、即座に走り出した。
残り時間は十分。
十分の間逃げ切れば───勝ちである。
宝石数、合計十二。
エレフ───最終種目、進出。
宝石数、合計十二。
イヴェール───最終種目、進出。
宝石数、合計八。
ローランサン───最終種目、進出。
サンホラを知らない人にもわかるようにどっかでサンホラについての注釈を入れたいんですけど、中々厳しいですね……そもそも僕もローラン歴はくっそ浅いですし、学も浅いですし。めっちゃ変な解釈しそう。
オリジナルキャラにもノエルくんとかサクリ姉並の悲惨な話を作りたいです。でも僕の矮小な脳みそじゃあ思いつきません。