ぐだぐだMoiraアカデミア 作:冥府さん@がんばらない(古)
幼い頃に母親は消えた。
そこからはずっと、祖母に育てられてきた。
そして祖母が死んで、俺は親族をたらい回しにされた。
虐待に次ぐ虐待。どいつもこいつもろくでもねぇ。俺がそんなに嫌いか? わかんねーけど、どいつもこいつも、俺に拳を向けてきて。
キレた。キャパオーバー。いいや、そういうわけでもなく、あるいはとっくの昔にキレていたのだろう。俺は、そう。あと手紙を見たときから希望なんかに興味はなく、腹の底に溜まった衝動を吐き出すようにぐちゃぐちゃなギターを背負って生きてきた。
独り立ちできる年齢になるまで、親族を回された。
そんな日々の中、たまたま立ち寄った家電量販店で見つけた、自分がいつかに捨てられた家の子供。
そいつはテレビの中で戦っていた。エレフとかいわれてる男と、一緒に戦ってやがった。
体裁で持たされたケータイ電話の中に、そいつのアドレスは入っていた。だから、連絡を取ろうと思えばいつも取れる。けど取ることはなかった。
それだけ。ただの他人にも似た関係だった。
けど、なんとなく、テレビの前の椅子に陣取って、その活躍を見ていた。
「───なんか」
思っていたよりも、人間臭いんだなぁ、というのがその感想。
人間味のある姿を見るのが同じ家に住んでいたとしても初めてのことだったので、そのぶん過剰に驚きがある。
最終種目、と言われたその場で、一番最初に上がった彼を見た。
その彼は、体育祭の中でも最強格であろうエレフセウスと互角と言えるほどの勝負を繰り広げていた。と、いうか。
最初のうちに倒し切る、短期決戦を狙いにいったというか。
彼が展開した、よだかの星という能力。
その光は、どことなく綺麗に感じた。
まるで焔のような、星のような。苛烈で鮮烈なその光。それを見て、なんとなく、ギターを手元にほしくなった。
今ならなんか、歌を書けるような気がする。
そんな漠然としたような直感だけれど。
まぁ、間違っていないだろう。
次に展開された屋根裏物語という技は、あれは競技で利用していいのか、と思うほどに禍々しかった───まるで、あの家の
どういうことか、というと、その屋根裏が似合うほどに気の狂った女がかつて住んでいた───住まわせてもらっていた、家にはいたということだ。
「───なるほど、いろんなルーツがあるんだな」
個性の話を聞いたことがある。
誰かが綴った物語を、誰かが綴った歌を、カタチにする個性。そう言っていた覚えがある。
「───とはいえ、まるでおかしいぜ。あのクソ女の怨念はそこまでだったのかよ」
覚えている。その女が、どれほど気が狂っていたのかを。
「───ミシェルのババア」