孫悟飯に憑依してしまった~舐めプはしない~ 作:MAEKOU
俺が悟空に修行を頼んで一年が経過していた。そして俺の年齢は四歳となりラディッツ襲来の時期が近付いてきた。まだ亀仙人に挨拶を行く話は出ていないから、まだ猶予はあるだろう。
この一年で分かった事をまとめると、悟空は原作やアニメで表現される一面とは違う驚きの一面があった。それも二つもだ。一つは俺を含めた家族をしっかりと愛し子育てをちゃんとしている事。チチと話している悟空は穏やかでチチの事を愛しているんだなと理解できる。
次に悟空は働いていたのだ。悟空は働いていのだ。大事な事なので二回言った。家の庭、更には広大な土地を活かした農業をしているのだ。ただし免許は持っていない様なのでトラクター等の機械を使わず人力で畑を耕していたが。道具も駆使して立派だった。
なので基本的には自給自足の生活で、例外なのは調味料や米、牛乳等を筋斗雲で買いに行くくらいだ。で、肉類は悟空かチチが狩ってきている。俺も悟空の付き添いで狩りはした。初めて命を奪う行為という事もあり、忌避感を覚えたが、いずれは敵を殺すんだ。そうして俺は命に対しての割きりを覚えた。
収穫した野菜は大量に余ったりする事もあるので、その時は都市に赴き悟空が現地に赴いて卸している。悟空は俺の見識が広まる様にと思ったのか、一緒に行った。
こうして原作の様な家計が火の車という事もなく、
続いて俺の実力について語ろう。
「そりゃ!!」
「あめぇぞ悟飯」
今、俺は悟空と組手をしていた。俺の右による突きを悟空は難なく掴み取る。そのまま俺の身体を持ち上げて木に向かって投げつける。俺はもはや条件反射の様に空中で一回転し着地。と、同時に.....
「なっ!....残像拳か....いつの間に」
そう残像拳を発動し、俺は悟空の背後を取るも、
「ここだ」
「ぐッ!!」
咄嗟に腕をクロスにして防ぐも衝撃が内部までに届く。その衝撃を無視し俺は顔目掛けハイキックをかます。悟空をそれを「ひょい」と躱し地面に接している俺の足を払いのける。
俺は眉間に皺が寄るのを自覚しながらバク転をしながら距離を取る。分かっていた事だが強い。
「悟飯、残像拳が使えたとか驚いたぞ」
「前の組手の時、父さん使ってたので」
「その時に一発で覚えたか、昔のオラを見てるようだ」
「なら、もっと驚かせてみせますよ」
悟空の顔が怪訝になるも俺は、その必殺の構えを取る。修行のお陰で俺は体内の気に関しては把握する事ができる様になった。まぁ、まだ悟空の様に気の探知や潜在エネルギーを探る事はできないが。
「か~め~は~め~」
「なっ!?」
俺の両手には体内にある気を集中させたエネルギーが顕現されていた。やがて、俺が溜めれる限界まで集め一気に放つ!!
「波ッーーーー!!」
瞬間、ドンッ!!という爆発音と共に砂煙が舞う。そのせいで悟空の姿は見えないが、十中八九、平気だろうな。
「ひゅーまじか。流石のオラでも驚いたぞ」
「無傷ですか.....」
悟空は片手を突き出した状態から、手首を回しながら余裕の表情を浮かべていた。俺は限界以上まで気を高めたせいで、一気に疲労が襲ってきて、手を地面に付く。もはや立つ力もない。
「はぁ、はぁ....」
「悟飯、よく、かめはめ波を会得できたな」
「父さん....が使えたんだ。だったら僕も会得できますよ」
「ああ。流石オラの息子だ」
その時、悟空は柔和な笑顔を浮かべ頭を撫でてくる。頭に感じる温かさは俺の身体に喜びと罪悪感が襲う。俺は未だに悟飯に憑依した別人という事を明かせないでいた。明かしたら失いそうで怖いんだ。悟空やチチがそんな人じゃないという事は分かる。けれど怖い。
こんな事なら生まれた瞬間からの転生の方が何倍も良かった。そうすれば最初から『悟飯』の魂はこの世界では存在しないと考える事ができたのに。
「かめはめ波は、よう練習だな。それと残像拳だが、残像拳を使った瞬間に気を絶たないとな。じゃないと気配で分かるからな」
「了解...です」
因みに話し方は悟飯を演じる内に違和感なく喋れるようになった。
「さて、家に帰えるか」
「はい..」
悟空は俺が立つ力が無い事を理解している為、俺をおんぶする。この時ばかしは恥ずかしい。基本的に子供扱いの代表、抱っこやおんぶは滅茶苦茶恥ずかしい。
余談だが、俺の格好は髪は短く、服装は悟空の昔使っていた道着を着ている。上は青、下は黄色。まぁこれで察せれるが俺の服装はGT時代の悟空の道着だ。どうやら幼い頃はこの道着を着ていた時もあったそうだ。
俺は悟空の背中から感じる熱のせいか眠気が襲ってくる。悟空は俺が眠たそうになっているのに気付く。
「悟飯、疲れただろ。今は寝とけ」
「.....はい」
瞼が自然と重くなり、俺が最後に見たのは茜色の空だった。
それから約一ヶ月が経過。その間も俺は勉強と修行の二足の草鞋生活をしていた。まぁ学習面に関しては小学生レベルなので苦ではない。四歳児にやらせる内容ではないが。
「よし、悟飯!亀仙人のじっちゃんの所に行くぞ」
「確か、父さんの師匠なんですよね」
「ああ」
「それじゃ、悟空さ。武天老師様によろしくな。それと悟飯ちゃん。しっかり礼儀正しくだぞ」
「わかってます母さん」
「なら、いいだ」
いよいよだ。今日からがドラゴンボールZ開始時期だ。今日を境目に一時は平穏は訪れない。気合入れないとあっという間に死んでしまう。俺はまだ、親として接してくれている二人に対して答えは出ていない。
それこそ戦う意義なんてない。けれど、この短い期間だけでも俺はこの二人に感謝と、確かな親愛を抱いている。だからこそ悟空は死なせない。
その影響で悟空達の大幅強化の機会は逃れるが、最悪、悟空にさりげなくアドバイスを言えばいい。ブルマに依頼しての重力室の開発だ。そうすれば界王星に行かなくても強くはなれる。デメリットは界王拳や元気玉が会得できないという事か。
今日が運命の分かれ道。分岐点だ。
「ほら、悟飯ちゃん。帽子忘れてるだ」
「ありがとう」
「準備はいいな。筋斗雲!!!」
俺は亀仙人に初めての挨拶という事もあり、孫の字が刺繍されている、一番立派な服を着ている。立派というのは素材的な話だ。
悟空が筋斗雲を呼んだことで快晴な空に黄色の軌道を描きながら雲が向かってくる。やがて、悟空の目の前に「キキィィィィ」というブレーキ音を出して停止していた。
悟空は軽快に筋斗雲に乗り、俺も乗る。どいう訳か俺も筋斗雲に乗れるのだ。これが俺の心の清さなら素直に喜べるのだが、生憎俺の心はそんなに清らかじゃない。生前は、それこそ女性に対して劣情を抱いたり、狡賢い方だっとと思う。問題行動と言われる様な事はしていないが。
これは、俺が勝手にたてた仮説になるが。悟飯の身体だからこそ、何かしらの補正が効いているんだと思う。
「行ってくる」
「行ってきます」
「明日の夕飯前には帰ってくるだよーー」
チチの言葉に悟空は頷き、筋斗雲を飛ばす。何回も乗ったお陰で空を飛ぶ事には慣れた。
そしてあっという間に海に出る。
「悟飯、どうかしたのか?」
「どうって?」
「今日の悟飯はなんだか気が張っている様に思えたな」
悟空の鋭い指摘に、内心ギクッ!とするが直ぐに表情を取り繕う。
「緊張してるんだと思います」
「そっか。悟飯は亀仙人のじっちゃんやクリリンには初めて会うもんな」
「はい。なので楽しみですね」
「そっか。なら急ぐか!」
しばらく海の上を飛んでいると、ポツンと立っている家が見えてきた。ドラゴンボールファンからしてみれば、感動する光景だが、俺はラディッツ襲来しか頭にはなかった。