僕のヒーローアカデミア~Eの暗号~ Phase2 作:エターナルドーパント
「止めとけ止めとけ、どうせ回収できないんだから」
『いいや限界だ!入れるねッ!!』
「そんなん出すぐらいなら俺ちゃん出せぇぇぇえッ!!」
『だが断る』
「何ィィィィ!?」
現在、保須市地下下水道にて、仮面ライダー達によるドーパント確保の為の包囲網が作られている。敵を確実に捕らえる為だ。
「此方エターナル。今の所異常は無い。皆はどうだ?」
『ジョーカー、問題無いよ』
『スカーレットファング、同じく』
『此方アクセル。変化無しだ』
『ファラ・スユーフ、敵影見受けられませんわ』
『レイア・ダラーヒム、地味に変わり無く進行中』
『マスタぁ~、退屈だゾ~』
『あ~ぁあ、何でガリィがこんな薄汚い所に来なきゃならないんですかね~ぇえ?』
2名を除き、メンバー達はエターナルの通信に真面目に答える。因みにガリィとミカの2体は開始してからずっとこの調子だ。
「ライダーの強化視覚を使えば、作業用電灯が点いた下水道なら明るく見えるだろう。物陰に注意して進め」
──了解!──
通信を切り、意識を周囲に戻すエターナル。気流感知による索敵も行っているのだが、下水道は意外にもガスの動きが多く、更にエクスビッカーに繋がれた時の後遺症として処理スペックが少し落ちている為、職場体験の時ほど正確な感知は出来ないのだ。*1
「・・・ん?」
そんな中で、エターナルは何かの気配を感じ取り瞬時に構えた。その視線は、下水の中に向けられている。
「何者だ」
エターナルの言葉に殺気が乗った。それは言外に、出て来なければ殺すという意識も含んでいる。
─ザパッ─
「あっちゃ~、バレちったか」
意外にも、気配の主はあっさり姿を現した。その男は下水から上がり、エターナルに向かい合う。
175cm前後で中肉中背。顔はそこそこ整っており、中世の旅人のような服装で頭にはターバンを巻いた男だ。特徴的なのは、エルフ耳とまでは行かずとも尖った耳と、縦に裂けたような瞳孔。
「やっぱオレ、隠密ヘタクソだな~♪」
「その割には楽しそうじゃねぇか」
エターナルの警戒は尚一層深まった。否、そもそも深まらない筈が無いのだ。
封鎖されているこの場所、しかも下水の中から現れた事と言い、雰囲気からダダ漏れる胡散臭さと言い・・・そして何より・・・
(コイツ、ヤバいタイプの奴だな)
男の笑顔の奥に潜む感情・・・品定めでもするような
エターナルは仲間に入電しようと通信機を起動する。
── ザーーーーーー ──
しかし、耳元に流れたのは砂嵐のようなノイズだけだった。
「チッ、ジャマーか。貴様、何が目的だ?」
「さぁて、何だろうねぇ?」
男はそう言い、飄々とした態度でフザケてみせる。
「まぁ取り敢えず────」
─ッドッッ!!─
「
男は瞬時に上へと跳び、天井を足場としてエターナルの眼前に迫った。
(速ッ!?)
─ガッ─
「・・・へぇ~♪」
「・・・」
男が前に蹴り出した右足を、エターナルは左腕で受け止める。男はすぐさまバックステップで距離をとり、その顔にジョーカーマスクのような笑みを浮かべた。
「結構、楽しめそうだね~♪うんうん、噂通りだ~♪」
男が嬉しそうにはしゃぐ反面、出久はマスクの下で冷や汗を流す。
(何てキック力と瞬発力してやがる・・・不意打ちとは言え、俺の反応速度でギリギリだったぞ・・・)
呼吸を整えながら痺れを覚える左腕を装甲の上からさすり、油断無く腰を落として構えを直した。そしてこのままでは不利である事を悟り、メモリを取り出す。
【ガングニール!】
「詠装!」
───Destination time Gungnir zizzl~♪───
オレンジの光と共に追加装甲が装着され、エターナルは必中の槍の鎧を纏った。
「ヒュ~♪それが、シンフォニックアーマーってやつか。ちょっとは・・・
楽しめそうだッ!!」
男は再びエターナルに飛びかかる。そしてその爪を向け、エターナルの顔に迫った。
(思考加速!)
その瞬間、エターナルは自身の思考を加速させる。そして自分めがけて飛んでくる男をスウェーバックで回避した。
─ザリリッ─
「っと、やっぱ最初みたくは行かないか。だったら・・・コイツはどうだ!」
─ビュッ!─
男の口から飛び出した何かを、エターナルはアームドギアで受け流す。
「舌・・・(それも、骨が無い。カメレオンじゃなくてカエルだな。まぁどっちにしろ・・・)こっちが有利になった!」
その舌が男の口に戻るより早く、エターナルは2つ目のメモリを取り出して腰のマキシマムスロットに叩き込んだ。
【アイスエイジ!マキシマムドライブ!】
─運命の~GATE呼び掛けて~いる~♪─
そしてその冷気をアームドギアに流し込み、更に歌ってエネルギーを増幅させる。
「うっ寒っ!」
─走れLORD OF THE SPEED~♪─
初めのフレーズを歌い終え、エターナルはアームドギアを男に向けた。その刃が宿す絶対零度に、今度は男が冷や汗をかく。
「喰らえッ!!
─バキバキバキバキッ!!─
その槍を地面に突き立て、閉じ込めていた冷気を一気に開放した。それは無数の氷の槍となって、男に襲い掛かる。
「ちょっ!?流石にコレはヤバいって!!」
後ろに飛び退き続ける男を氷が追い掛け、分厚い壁となった。
「・・・手応えは無しか」
アームドギアを引き抜き、構え直すエターナル。今し方撃ち放った技・・・凍漣の
──いや~、流石に強いねぇ!予想外だ!──
氷の向こうからだろうか。男の声が響く。その声色は実に楽しそうだった。
「・・・テメェ、何者だ!」
──ハハハッ、俺はただの快楽主義のカエルだよ~♪所で、そろそろ仲間の方に行かなきゃまずいんじゃな~い?──
「ッ!!」
──じゃ~ぁね~♪仮面ライダーエターナル~♪──
「・・・消えたか」
気配が消えた事を感じ、シンフォニックアーマーを解除するエターナル。
『マスター!此方レイア!派手に応答願います!』
男のジャマーが離れた事で、通信機が復活した。
「済まんレイア、ジャマー持ちの敵と交戦していた。状況は?」
『現在、センチピードと地味に交戦中!これから派手に引きずり出します!』
「地味とは思えんが了解した。そっちに向かう」
【アイスエイジ!マキシマムドライブ!】
「凍結・ホワイトアルバムッ!!」
再びアイスエイジのマキシマムを発動し、エターナルは足裏に生成した氷のブレードで凍結した下水道を滑走し始めた。
(出久サイド)
「フンッ!」
「オリャッ!!」
「タァッ!」
『KSHAAAaaaaaaaッ!!』
俺が合流すると、ライダー全員がセンチピードに攻撃を叩き込んでいた。
「死ねよこの害虫共!!」
「この数は、厄介ですわねぇ!」
「地味に面倒!」
「あーもうッ!キリがないゾ!」
一方
ガリィは熱湯攻撃で、ファラは(俺が造り直した)
「遅くなった!」
「おっせぇんだよ役立たずマスター!とっととあの害虫引きずり出せ!」
ガリィが毒を吐いてくるが、今回ばかりは何も言えないな。
「遅れた分の働きはするさ!」
【ボーダー!マキシマムドライブ!】
「開門!スティッキィィィィフィンガァァァァズッ!!」
ボーダーメモリのエネルギーを両腕に集め、飛び上がって天井にパンチのラッシュを叩き込む。すると天井に境界線が引かれ、その境目が広がる形で大きな穴が開いた。
「ッシャ!引き上げるぜぇ!」
【レストレイント!マキシマムドライブ!】
そして俺は地上に上がり、レストレイントのマキシマムを起動。エターナルローブが繊維状にバラけ、センチピードに絡み付く。そのままその糸を掴み、力任せに引っ張った。
『ギチギチギチギチッ!』
節足をコンクリの壁に食い込ませて抵抗するセンチピード。だが・・・
「地味に無駄な抵抗は止めろ」
「大人しく出ろ!」
─ガガガガガンッ! ガキャキャキャキャッ─
『GYAAAAAA!?』
レイアとアクセルが投げ銭とエンジンブレードで節足を破壊した。
「(ワン・フォー・オール!アーマード!)どっせェェェいッッ!!」
それにより踏ん張りが利かなくなり、それに合わせて俺もワン・フォー・オールで身体能力を更に強化してセンチピードを引きずり出す。
『グギャッ!』
俺の力で地面に叩き付けられ、ビッタンビッタンとのたうち回るセンチピード。全く、気持ち悪い事この上無いドーパントだ。
「出久!作戦成功?」
「あぁ!こっからだ!」
『ウジュルウジャカカカカッ!!』
毒液と涎をぶちまけながらブチ切れるセンチピード。それと共に節足が再生し、ガチガチと地面を叩いた。
『ウジャジャジャジャジャッ!!』
─ボボボボッ!─
センチピードが口から毒々しい黄色のエネルギー弾を撃ち出してくる。あれは、防がない方が良さそうだな。
「フッ!ハッ!」
─ドババンッ!─
燃え上がらせたブルーフレアをエターナルエッジに纏わせ、鋭く振るって炎斬波を飛ばす事でエネルギー弾を迎撃した。
『グルルルルルッ!!』
更に苛立った様子でセンチピードは唸り、腕のリストブレイドのような節足を展開し突撃して来る。そう、
「ファラ!」
「了解しましたわ!」
─ギィンッ!─
節足を
─ガシャッバグンッ ベキベキッ!!─
『グジャァァァァァァァッッッッ!?!?』
ファラの
「あら、やはり自らの刃を『剣』と認識していたようですわね。ならば・・・この
キリキリとファラの眼球が回転し、瞳が縮小して口角がつり上がった。何てひぐらし的な顔だ。今度からひぐらし顔と呼ぼう。
「ま~たファラが変顔してるゾ」
「派手にテンションが上がった時の、地味に困る癖だ」
「「うわぁ・・・」」
・・・まさか、人格元のキャロル・マールス・ディーンハイムにもこんな面があったのか?想像出来・・・ないな。ギリギリ無いわ。*2
つか三奈達が引いてるぞオイ。
「まぁいい。三奈!俺とアクセルが止める!その隙に決めろ!」
「オッケー!」
三奈に指示を飛ばし、アクセルとアイコンタクトをとった。アクセルは頷き、エンジンブレードを構える。
【ヴォンヴォォオンッ!!】
「ハァッ!!」
そしてエンジンを吹かして猛スピードで背後に回り、エンジンブレードをセンチピードの下半身に振り下ろした。
【エレクトリック!】
─バヂバリヂヂヂヂヂッ!!─
『GyAaaaaaaaaッッッッ!?』
高圧帯電するエンジンブレードで斬りつけられ、激しく感電するセンチピード。そしてそちらに意識が向いてる間に・・・
【ボーダー!マキシマムドライブ!】
「ウォラッ!」
俺は再びボーダーのマキシマムを発動し、センチピードを羽交い締めにして拘束する。更にガイアメモリから身体へのエネルギー回路に境界線を引いてエネルギーを遮断した。こうなれば、ドーパントにとっては心停止も同然。碌に動けなくなる。
「今だ!」
「はいよ!」
【ジョーカー!マキシマムドライブ!】
三奈が10m程離れた所でメモリをマキシマムスロットに装填し、マキシマムを発動した。左腕を引いて右腕を左上に伸ばす一号ポーズを取り、エネルギーを右足に集めて駆け出す。
そして───
「ライダーキック!ハァッ!!」
─ドゴンッ!ギヂヂヂヂヂッヂヂッ!!─
助走をつけて高く跳躍し、紫のスパークが迸る右足をセンチピードの胸に叩き込んだ。その瞬間ジョーカーのエネルギーが流れ込み、センチピードの体内に残ったガイアエナジーを相殺する。だが、このままでは毒素のツケが一気に来て死んでしまうだろう。故に・・・
「仕上げだ!」
【ユニコーン!マキシマムドライブ!】
エターナルエッジにユニコーンメモリを装填し、それをコイツに突き立てるッ!
─キュゥン・・・パキンッ─
ユニコーンの浄化作用で溜まっていた毒素が分解され、メモリブレイクが完了した。センチピードの身体も、ドーパントから人間に戻る。
「・・・海外のチンピラか。最近密航なんかの不法入国が多いらしいからな、そこに目ぇ付けられたのか」
変身者の彫りの深い色白の顔と腕のタトゥーを見て、外国人のチンピラと判断。変身解除した竜兄さんが、その手首に手錠をかけた。
「作戦成功、だな。さぁて竜兄さん、取り敢えずソイツ、警察病院に搬送して」
「分かった。雄英ライダーズ、協力感謝する」
「それ俺等の事?まぁ受け取っとくよ。じゃ、俺等は帰る」
「あぁ、気を付けろよ」
竜兄さんはそのままパトカーにメモリ使用者を詰め込んで、ディアブロッサで走り去る。
「さて、と・・・じゃ、帰ろうぜ」
【ボーダー!マキシマムドライブ!】
俺はエターナルエッジにボーダーを装填し、空間を切り裂いてスキマゲートを開いた。
「疲れた~!」
「結構善戦だったよね!」
肩を回しながら、三奈達はスキマゲートに飛び込んだ。
「ふぅ・・・」
───ただの快楽主義のカエルだよ~♪───
「・・・報告した方が良さそうだな」
(NOサイド)
「~♪」
真っ黒なビルの中、その男は口笛を吹きながら足取り軽くご機嫌に歩く。エターナルとの喧嘩が、思った以上に楽しかったからだ。
「いや~楽しかった~♪」
やがて男は扉を開けて部屋に入り、入り口近くの棚に置いてあったポーチを掴んでその口のジッパーを開いた。中には、大量の
「~♪」
─ちゃりっ ピィ~ン─
そのメダルを取り出し、指で弾き打ち上げて大口を開けた。
「あ~ぁむっ、ゴクンッ」
そのままメダルは口の中に消え、飲み下される。
人間にはまず不可能な事だが、男はお構い無しに次々とメダルをさも美味そうに飲み込み続けた。
─ピィ~ン─
「あ~・・・」
─パシっ─
しかし、唐突に弾いたコインを掴む。そしてふてくされた顔を作りつつ、ドアの方を見やった。その先には、スーツの上にローブを着込んだ女がいる。
「ねぇちょっとヤガー!止めてよね、こういうイタズラ!」
そう言って男は、掴み取ったコインをパキッとへし折った。しかし、その断面は黒茶色だ。銀紙で包まれたコインチョコである。
「・・・貴様、何のつもりだ?」
ヤガーと呼ばれた女は、重苦しい声で男に問い詰めた。
「何のこと~?」
「とぼけるなッ!何故彼奴にちょっかいを出したのかと聞いているんだ、
ヤガーに怒鳴りつけられても、男・・・ヴォジャノーイは何処吹く風で飄々とした態度を崩さず、へし折ったコインチョコの銀紙を剥がして口に放り込んだ。
「落ち着きなってヤガー。あんま怒ると、小皺増えるよ?君の使うメモリみたいにさ!」
「ッ~!」
寧ろ煽る始末である。
「・・・貴様の喰らうセルメダルとて、無限に使って良い訳では無いのだぞ」
「それこそ別にいいじゃ~ん?タコ助クンのお陰で、まだまだいっぱいあるんだしぃ~。それに、悪いけどコレばっかりは俺のハイドープとしての体質だから仕方ないよ。
俺がこのまま全く使えなくなっても良いなら別だけどさ~」
「それは良い。トラブルメーカーが大人しくなって清々すると言うものだ」
「うへぇコワッ」
フザケ続けるヴォジャノーイに、ヤガーの青筋は更に増えていく。額に血管が浮き出るのも時間の問題だろう。
「おや?帰っていたのですか、ヴォジャノーイ」
ドアを開け、
「お~お帰り!どう?有望な子はいる?」
「えぇ。約束しましたよ、渡我被身子さんには。メモリをあげるとね」
「うひょ~太っ腹~♪」
黒服はデスクに入っているアタッシュケースを取り出し、蓋を開く。その中には、多種多様な
「ふむ・・・何が似合うでしょうかね、彼女には・・・
「マニアックなメモリばっかりだね。で?何か動きはあった?」
メモリを小振りなケースに移す黒服に、再びヴォジャノーイは問い掛ける。
「あぁはい。何でも、コンタクトをとるらしいですよ。死穢八斎會に」
死穢八斎會・・・その名を聞き、ヴォジャノーイは分かり易く顔をしかめた。
「オレ、あの連中キラ~イ」
「でしょうね。では、私はこれで」
そう言って、黒服は部屋を出て行く。
「にしても、今日はラッキーだったな~♪まさか仮面ライダーに会えるなんてサ!」
実は、エターナルと遭遇したのは全くの偶然だ。
偶々、ヴォジャノーイの気紛れな散歩ルートで捕獲作戦が始まっただけなのである。
「貴様、おかしな気は起こすなよ?」
「ダイジョブだって!オレも流石に死にたくはないしさ!」
そう言って拳でコンコンと叩くヴォジャノーイ。ヤガーは、それなら良いと目を瞑った。
「フゥ~・・・(でもな~・・・やっぱ、窮屈なんだよな~。ちょっとばっかし・・・)」
────to be continued・・・
「ちょっとどころかガッツリ出してんじゃねぇか」
『ゴメン、筆が思ったより乗った』
「ったく、此処まで来て未完とか許さねぇかんな?この小説、もうお前だけのモンじゃねぇんだぞ?」
『分かってる。弟子2人がコラボしてくれてるし、未完にはしないよ』
「だと良いんだけどな・・・じゃ、次回もお楽しみに!」
『チャオ~♪』
ちょっと面白いこと考えたから、パルスィ出して良い?
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良いゾ~ソレ
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ウェッ!?ナジェダァ!?(OwO)
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ゆ゛る゛さ゛ん゛ッ!!
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(良い訳)無いです。
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パルスィ登場ッ!承認ッ!!