僕のヒーローアカデミア~Eの暗号~ Phase2 作:エターナルドーパント
『難しいんだよ。描写もシチュエーションも』
「ケッ、糞が」
『止めろ馬鹿たれ』
「お前に言われたくない」
『お前よりゃマシだ』
(出久サイド)
「っつー事なんだよ。何か分かるか?緑谷」
「ふむ、成る程・・・」
インターン帰りの切島から、活動中にあった事を相談された。
何でも、変な弾丸を撃ち込まれた天喰先輩が個性使用不能に陥ったらしい。その効果がエターナルレクイエムと酷似していたから、俺に心当たりを聞いてきたとの事。
「確かに、よく似てるな。だが、詳細が何も解らないんじゃ判断のしようも無い」
切島の話だと、えーりんが先輩を一緒に連れて行ったらしい。だったら、近い内に報告が来るだろう。
「梅雨ちゃん麗日~、すごいよ~名前出てる~」
「切島くんも、ネットニュースで取り上げられてるね!」
三奈とフランの言う通り、
とまぁ、それはさておき・・・
「かっちゃん、えーりんは何か言ってたか?」
「いや、何も。つか、永遠亭に戻ってすぐに先輩から採った血を分析してたからな。それに、切島が弾いた
「成る程。なら、任せた方が良いな」
彼奴等なら、キッチリ解析してくれるだろう。
「仮免と言えど、街に出れば同じヒーロー。素晴らしい活躍だ。だが、学業こそ学生の本分!居眠りはダメだよ!」
「おうよ飯田!」
「俺も2、3徹程度なら平気だ」
ある程度睡眠深度を操作出来るから、小一時間も仮眠を取れば徹夜も苦にならん。
「あと出久。えーりんセンセが、放課後来てくれってよ。保須警察病院だ」
「ほう?保須警察病院か・・・なら、多分ドーパントになってた男に対する尋問かな」
俺も丁度、その男に聞きたい事があったんだ。
―――――
――――
―――
――
―
「よっ、お待たせ」
放課後。保須までボイルダーをカッ飛ばし、警察病院に到着した。ボルサリーノに手を添えて、受付窓口前で待っていたえーりんに軽く会釈する。
因みに鈴仙にウィルやレックス、アマゾンズのハルカとジンも一緒だ。
「久し振りね、出久君」
柔らかい微笑みで挨拶を返してくるえーりん。
「お久し振りです!」
ニパッと笑いながら、鈴仙は右手を振り上げる。今日は白いウサミミ形のサポートアイテムを着けており、服装と相まってかなりコスプレっぽい。
「あぁ。久し振りだな、
「ちょ、ちょっと!ドイツ軍のコードネームは止めて下さいよぅ!」
ウガーッと唸って見せる鈴仙。可愛らしいが、能力は中々えげつないんだよなぁ。
「で、お相手は何処だ?どうせ尋問だろ?」
「えぇ、貴方の得意分野。049番室よ、こっち」
「あいよ」
案内するえーりんに着いて行くと、すぐにその049号室に着いた。
―カラカラカラ・・・―
「邪魔するぜ」
「ひぃ!?」
病室の戸を開くや否や、拘束衣で縛られたヘタレそうな男がベッドの上から悲鳴で挨拶してくる。
「ひぎゃぁぁぁ!く、来るなッ来んなァ!来んといてぇやァァァ!」
「かなりの錯乱状態だなオイ。それにしても、ヒッデェ面してんなぁ。何があった?」
泣き散らしながら喚き倒す男の顔は、包帯でぐるぐる巻きにされていた。更に窪んだ目元に真っ黒な隈、包帯の上からでも判る程痩けた頬に土気色の顔色、おまけに腫れ上がった額の下に充血しきった真っ赤なギョロ眼と来たもんだ。
「それがねぇ。身体的には、極度の疲労と一部骨折で済んでるんだけど・・・何故か、極度の睡眠障害、不眠症に陥ってるのよ。昨日担ぎ込まれてから、彼は一睡もしてないわ」
「ほう?不眠症か・・・」
成る程。この充血した眼と錯乱状態は、睡眠不足から来るものか。
「誘眠剤の投与は?」
「効果無し」
「鈴仙の催眠波」
「掛かってたら起きてないわ」
「スタンガン」
「持ち込めないわよ」
「脱酸ガス吸入」
「待て親父殿。コイツが怪我人って事を忘れてねぇか?」
・・・そういやそうか。怪我人は簡単に死んじまうしな。ジンの言う通りだ。
「尽くせる手は尽くしましたが、どんな方法も受け付けませんでした。催眠も、より強い命令で掻き消されているような感じで・・・」
「しかも、CTスキャン等にも一切反応無し。
間違い無いな。
「十中八九、ガイアメモリの毒素の影響だ。ガイアメモリ直挿しは本来、脳内麻薬を大量分泌させるからな。その命令が、誤って脳に刻み込まれたんだろ」
ガイアメモリの影響は、ガイアメモリでしか打ち消せない。シンフォギア世界の仁なら分からんが・・・いや、力失ったっつってたな。
「もうイヤやぁ・・・」
「ん?」
コイツ、大人しくなったと思ったら急にベソかき始めたぞ。情緒不安定だなオイ。
「何がアカンねん・・・おれ、弱いのイヤやっただけやん・・・力欲しがって、当然やん・・・強ぉなりとうて、強い兄貴らに勇気出して着いていったんや・・・せやのに何でっ、何でえっ・・・!
おれはただ、強ぅなりたかった、だけやのに・・・何でこんな仕打ち、受けなならんのや・・・」
・・・甘ったれてるなぁ。あぁイライラする。
「そうやって泣いて同情してもらえるのは、自分の立場を理解しながら限界まで努力して、それでも尚駄目だった奴だけだ。
対して、お前はどうだ?弱いと自覚しながら、自分からは動けずに小判鮫みたく強者に貼り付いてお零れで粋がってただけだろうが。
甘ったれた事を言うんじゃない。弱者として同情してもらう権利を、お前は自分から投げ捨てたんだよ」
「うぅっ、ひぐっ・・・」
「聞いとんのかコラァ。あ゙ぁん?」
「ヒィッ!?」
グズるヘタレの顔をひっ掴み、無理矢理目線を合わせる。
滑稽な奴だ。強者になろうと思ったら、行き着いたのがこんな無様にベッドの上でベソをかき続ける結末。実に、実に滑稽だ。
「まぁ良い。こんな屑等、どうなろうが知ったこっちゃ無い。
オイ屑。これから2つだけ選択肢をやる。選べ。
1、二人っきりになれる場所で、俺に
2、すぐにメモリの出所を喋り、安眠を手に入れる。
さぁ、どっちを選ぶ?」
「2番や!」
提示するや否や、ヘタレは藁にも縋ると言った顔で即答した。
―――――
――――
―――
――
―
「ありがとう、出久君」
「いやいや、此方こそ。興味深い情報が聞き出せたから、良かったよ」
時間にして、ほんの20分。
久々に拷問出来るかと思って少しばかり浮わついていたが、蓋を開けたらこれだ。アイツ、炙るまでも無くベラベラ喋りやがったよ。
そんで約束通り、一旦スキマスペースに入れてエターナルレクイエムで副作用を消した。個性ごと消えてるだろうが、まぁ命には変えられないだろう。お陰で俺も、何かを
「拷問はまた今度ね」
「その今度が何時になるやら・・・にしても、《裏カジノ》か」
ヘタレから聞き出した情報、裏カジノ。
何でも、仮面を着けたセールスマンが客をスカウトするらしい。
行き方も一切合切謎で、気が付けばそこにいたとの事だ。
そこそこ広く、少なくとも2~30では利かない人数・・・それも、殆どがかなり良い身なりだったらしい・・・がギャンブルに興じていた、と。
「そのカジノで少しの間ゲームに興じていた所、突然セールスマンにメモリを売られた、だったわね」
「あぁ。しかも、個性と似通ってて使いやすそうなメモリをピンポイントでだ」
分かった事は2つ。
まず、奴等・・・便宜上《組織》と呼ぶか。組織は裏カジノを経営しており、恐らくそれを資金源にしている事。
そして・・・恐らくそこには、メモリの適合者を
「しかしカジノの名前も知らないと来たもんだ。こりゃ只のモルモットだな」
まだまだ実験する気だよこりゃ・・・まぁ、この世界には個性なんてイレギュラーがあるからな。確かめたくなるのも当然か。
「取り敢えず、コイツは個性が消えた。ガイアメモリを使ったら、打ちのめされた挙げ句に最悪後遺症の治療の過程で個性まで消される・・・良い脅しになると思うぜ?超人を夢見て魔性の小箱に手を伸ばそうとする、バカな餓鬼共にはな」
「恐ろしい男ね。貴方は絶対敵に回したくないわ」
「有り難うドクター。それは最高の誉め言葉だ。仮面ライダーとしても、死神としても」
そう呟き、俺はニヤリと口角を引き上げる。
その翌朝、ガイアメモリの危険性は新聞の一面を飾った。麻薬のような依存性、個性の暴走、倫理観の消失。そして・・・後遺症による
(NOサイド)
出久が情報を入手した2日後の放課後、沈み掛けの夕日すら殆ど入らない雄英高校サポート科の開発工房内。
ピンクのドレッドヘアー風の髪型の少女が、5つのアタッシュケースを作業台に並べていた。
彼女は発目明。サポート科に籍を置く、若干サイコパスの特徴が見られるブッ飛んだ若き発明狂いである。自分の発明品をベイビーと称し、それらを目立たせる為には他者を笑って嘘で欺き利用しまくる病的な自己中心主義者だ。
「やぁ、発目」
その工房の影に突如として亀裂が生まれ、中から帽子を被った出久が姿を現す。発目から連絡を受けて、文字通り飛んで来たのだ。
「おや、緑谷さん!お待たせしましたねぇ、ケース含めて、漸く出来上がって参りましたよ♪」
「相も変わらず、ブッ飛んだ作業ペースだな。流石は発明狂い。バケモノの武器はやはり、バケモノに造らせるに限る」
ニヤリと鋭く口角を上げながら、出久は左端のかなり長いアタッシュケースを手で撫でた。
「見せて貰っても?」
「どうぞご自由に」
発目には目もくれず、そのアタッシュケースを開く。
「・・・成る程」
中から出てきたのは、黒地にブルーフレアのペイントが施された鞘に収まる太刀。
鞘から抜き払って見れば、芯鉄には独特な斑模様。その艶消しが施された刀身には【
「硬質
「成る程、やはりこの斑はダマスカスか。そして、名前は人の身を切り裂けぬ神殺しの刃・・・」
―ビンッ―
「悪く無い、寧ろ良い出来だな。さて、次だ」
カーボンエッジを軽く指で弾いて鞘に納め、次のケースを開く。中身は、足首が動かしやすい構造のミリタリーブーツだ。
「対暴徒制圧仕様、高圧電流コンバットスタンブーツ《トラロック》。電圧100万ヴォルト、電流5アンペア。市販の非殺傷スタンガンと比べて、かなり強力です。
キック攻撃と同時に爪先先端の端子から放電し、最大34㎜の衣服を貫通して感電させます。バッテリーは、腰のベルトに並列リチウムイオンバッテリーをマウントする構造です」
「アステカ神話の雷雨の神か。良いセンスだ」
そう言いながら、次の箱を開ける出久。
出てきたのは、先端がハンマー状になった棒術用の棒だった。
「伸縮可能鉄槌棍棒《
また、槌の先端には鉄工用ポンチと同じ機構を搭載しており、硬質な敵の装甲を砕くのに最適です」
「ふむ、どれ・・・ほぅ。ちょっと重いが、まぁ俺達なら誤差の範疇だ。これの出来も中々だな」
クツクツと笑いながら、出久は上機嫌に次の箱を開けた。入っていたのは黒い鞭だ。
「対中距離攻撃用伸縮鞭《ナイアーラ》。素材に強靭な伸縮防刃ゴムを使用しており、着撃の際に先端に流れ込む事で威力が倍増する構造となっております」
「まさか、そこまで作り込んでくれるとは。期待通りの期待以上だ」
「技術者、冥利に尽きます」
実は此処までの武器の中で、金屋子のポンチとナイアーラの伸縮強鞭機能は発目が勝手に搭載したものである。
発目へのオーダーは、最低限NEVERメンバーの希望した図面通りの物を造る事。そして・・・出来る限り、《えげつなく》する事。
「そして、最後のベイビー。この中で、最高の自信作ですよ」
「それはそれは。楽しみだな、とても」
期待に胸を膨らませながらアタッシュケースを開いた出久。その口から先ず漏れたのは・・・
「ほぅ・・・これは・・・」
感嘆。そしてケースの中身である、マズルが並外れて長い二丁の拳銃を手に取った。
ズッシリと重いそれは、白と黒の1対。
白には黒文字で【
黒には白文字で、【
と、それぞれ彫り込まれている。
そして、それぞれ銃の全高の1.5倍以上の長さがある鈍色のロングマガジンがそれぞれ4本ずつ付属していた。
「対化物戦闘用12.8㎜大型特殊拳銃、
全長40㎝、重量8㎏、装弾数各24発。威力を追求し過ぎて、相当強力な異形型や増強系でもなければ、もはや人間には扱えない代物ですね。
実際私もパワードサポーター越しでさえ反動でブッ飛ばされて、手首の骨にヒビ入りました」
「撃ったのかよ」
「言い付けを守った結果です。リカバリーガールに治して貰いましたよ」
発目は、以前出久に言われた《人体実験はまず自分でしろ》と言う忠告を律儀に守っていた。言った本人の出久すら、「作業台に固定とか、他にも色々あっただろ」と呆れる。
「良いじゃないですか。
また、殺傷用のホローポイント弾以外にも様々な特殊弾頭を用意してあります」
もはやそれは学生が一個人で造れる範疇を大きく逸脱していた。しかし最も驚くべきは、出久がこのプランを校長に見せてOKで通った事である。
「通常戦闘用弾頭は?」
「タングステン合金製、ホローポイント弾。八百万さんにご協力頂きました」
「た、タングステン?これはまた・・・」
タングステンと言えば、この世で最も重く硬い金属である。一応レアメタルなので数は作れない・・・と言う事も無く、何と発目は八百万に創造させて制作費用をゴッソリ削る事に成功していた。
「どうやら、予想以上にえげつない物を作ってくれたらしい・・・ン゙ッン。で、捕獲用弾頭は?」
「5万ヴォルトXREP改造弾《ショッカー》。*1
他にも、筋弛緩剤注入弾頭《アンボイナ》や誘眠剤注入弾頭《ヤクシニー》等を設計中ですが・・・」
「ショッカーだけで良い。呉々も、薬物は使わない方向で」
「認識しました」
流石に薬物系の弾丸はヤバイと思ったのだろう。出久が掛けた待ったに、彼女はすんなり従った。
「さてと・・・非殺傷制圧用は?」
「耐熱ゴム弾」
「広域殲滅は出来るのか?」
「定義出来るかは判断しかねますが、マグネシウム小粒を詰め込んだドラゴンブレス弾があります。また、上部は穴抜きになっていて内部にはエンジンラジエーターから着想を得たカーボン空冷機構を内蔵していますので、連続使用にも幾らかは耐えられるかと」
聞けば聞く程、規格外の高性能。やはり人選は正解だったな。
「では改めて・・・対化物戦闘用と銘打つだけあって、これだけでは無いだろう。
対ドーパント専用弾は?」
「12,8㎜合金徹甲弾」
「弾薬は?」
「マーベルス科学薬筒MMA9」
「弾殻は?」
「真鍮製、フルメタル・ジャケット弾殻」
「弾頭は?質量式か?速度式か?」
「螺旋加工済み、質量式タングステン合金弾頭で」
―ガチッカチッ ジャカッ ガチンッ カンッ―
「パーフェクトだ発目」
「感謝の極み」
4秒程でこの工程を終わらせて称賛の言葉を投げ掛ける出久に、発目は恭しく一礼する。
「では、今後ともご贔屓に」
「あぁ、今回は有り難う発目。ご苦労だった」
【ボーダー!マキシマムドライブ!】
発目を労いながら、スキマスペースにアタッシュケースを全て収納した。そして帽子を軽く擦りながら、右手でサムズアップを作る。
「じゃあまたな。良い夜を、ブラックスミス」
【ゾーン!マキシマムドライブ!】
そんな格好付けたキザな挨拶を残し、出久は工房から姿を消した。
to be continued・・・
「遅過ぎィ!そんでもって進んで無さ過ぎィ!」
『すまん』
「あと、分かり易くHELLSINGに嵌まってんなお前。トリガーの二丁拳銃なんか、まんまジャッカルじゃねぇか。あと発目ちゃんとの掛け合いもだ。盾の勇者でも使ってたしよぉ」
『次は少佐の演説でもしてみたいな』
「収拾つけろよ?」
『分かってるって。
ではでは皆さん、閲覧有り難う御座いました!』
「次回も宜しく!何時になるか分からんけど」
『さいなら~』