僕のヒーローアカデミア~Eの暗号~ Phase2   作:エターナルドーパント

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『どうも。最近HELLSINGにハマってるエターナルドーパントです』
「俺ちゃんだ」
『注意事項。今回、出久の精神描写がかなりハチャメチャです。それでも良い人は』
「 ゆ っ く り し て い っ て ね 」


第26話・因縁のE/憎・悪・再・燃

イガリマのデスサイズを構え、腰を落とすエターナル。

「よっと」

「うおッ!?」

ペストマスクの男・・・窃野が手を翳すと、エターナルの手からデスサイズが引き剥がされた。そしてそれは窃野の手に収まり、動きを止める。

「クッ、《窃盗》の窃野か。ライダー相手には相性が良いな畜生」

エターナルはエターナルローブで身体を覆い、更に伸ばして後ろのライダーズを隠した。

「ん~?おかしいな。そのマントは盗めないみたいだ。って、鎌も消えちまったし」

「当然さ。エターナルローブは俺の意思に従う。お前の引き付けより強く、俺の方に引き戻せば良いだけだ。

そのアームドギアも、適合者の俺が触れてエネルギーを増幅しなけりゃ自壊する」

(そして、欲しかったのはこの一瞬!)

 

―BANG!―

 

「ぐぁっ!!?」

鋭い銃声が響き、窃野が顔を押さえ踞る。

エターナルローブの隙間から、NEVERのスナイパーである賢が狙撃したのだ。最も、弾はゴム弾だったが。

「あぁックソォいてェ!本部長ォ!」

 

―グバッ―

 

「ぬおッ!?」

窃野がのた打ち回りながらも絞り出した声に呼応し、エターナルの足元に穴が開く。

ショルダーアーマーまでエターナルローブで隠していたエターナルはまたもや反応が間に合わず、穴に落ちてしまった。

「兄さん頼んだ!」

「・・・はぁ、オーダー」

エターナルに指揮権を委託され、呆れで息を吐く克己。

【アイズ!】

【ジュエル!】

【アノマロカリス!】

その直後に、3人はそれぞれドーパントに変身。

「ッ!・・・フッ、アイズか。懐かしいな」

口許を綻ばせながら言葉を紡ぎ出した克己の眼はしかし、強い憎悪で燃えていた。

「イレイザーヘッド。コイツらは俺と賢に任せて先に行け。京水、しっかり焼きを入れてやって来いよ」

「分かったわ」

克己に答え、賢以外が京水に続いて突き進んで行く。

「よっと!」

「ッ!」

それに眼もくれず、アイズは賢の2丁拳銃(スルト&ネクロ)を奪った。

「うおっ、おっも。さてと、動くなよ?自分の得物で、頭ブチ抜かれたくないだろ?」

「・・・フッ」

銃口を賢に向けるアイズ。それに対し、克己は鼻から吹き出すような嘲笑を返した。

「あ?何で笑えんだよ、この状況で何が可笑しいってんだ?」

苛立ちを曝け出すアイズ。ジュエルも警戒して腰を落とし、アノマロカリスも牙をガチガチと鳴らした。

「殺るぞ、賢」

「GAME START」

克己に短く返し、賢は上体を前に倒す。

「プロとアマチュアの差を、今味わわせてやる」

 

―パキッ―

 

克己のフィンガースナップと同時、賢は倒れ込む重力加速を利用して、縮地でアイズの懐に飛び込んだ。

 

(出久サイド)

 

―――時は少し戻り―――

 

「ぬぉっ!?」

長い真っ暗な滑り台を落とされ、急に開けた場所に放り出された。踵の蹴爪で地面を引っ掻き、ブレーキを掛けて膝立ちになる。

まだ良く見えないが、かなり広い部屋のようだ。

「クッソ、何処まで落とす気・・・ッ!」

薄闇の中、不自然な色の魂を見付けて即座にアームドギアを構えた。

俺の目の前には、2体の異形・・・ドーパントと、そして白い・・・()()()()()()5つ以上の魂があった。

「オぉ?来タカァ、仮面ライダー」

「待ッテタゼェ?」

異形の魂2体は、俺に向けて歩みを進める。俺も漸く蛍光灯の光に眼が慣れ・・・

 

「ッッッ!?!?」

 

そして、絶句した。

部屋の其処ら中に、幾人分ものバラバラ死体が転がっていたのだ。

それも唯の死体では無い。引き千切られ、焼き斬られ、捻り切られ、握り潰され、噛み砕かれ、そして貪り喰われた死体だ。

「ゲプッ・・・漸クダ・・・オマエヲ、殺セル時が来タ!」

異形の片割れの男が、嬉しそうに声を上げる。その身体は、動力パイプや機械が組み込まれたもの・・・所謂、改造人間だった。もう1人の方も、何ら変わらぬグロテスクな姿だ。

そして、どちらも黒い仮面で顔を隠している。

「ッたく、有名人ってのも辛いな。何処の誰とも判らねぇ奴から恨まれるんだからよ」

そう言いつつ、チラリと真っ白過ぎる魂の方を見やった。

「「「「「・・・」」」」」

「ッ!」

其処に居たのは、捕虜服に似た服を着た物言わぬ十代後半程度の少女達。アルビノなのか、肌も髪も真っ白な上に眼はルビーのような深紅だ。

しかしその顔に、俺は大いに見覚えがあった。

いや、顔もそうだが・・・最も見逃せぬのは、右額に生えた小振りな()()()()だ。

「エリ、ちゃん?」

そう。アルビノ染みたこの形質に、右額の角。

その姿は正に、エリちゃんの10年後と言った外見。そんな少女が、見渡した限り此処に5人だ。

「・・・そうか・・・そう言う事かッ・・・!」

俺は一瞬遅れ、完全に理解した。

 

クローン培養。

 

体細胞からDNAを採取し、そこから生殖細胞を作って量産しやがったんだ。

成る程、道理で同じDNA反応が・・・待て。どうして気付かなかった・・・あの死体達も、真っ白な肌と髪をしている・・・

 

「オォ?俺等ノ()()ガ、ドウカシタカァ?」

 

・・・つまり、コイツらは人を喰う特性を持ったドーパントで、このエリちゃんのクローン達はコイツらのエサとして此処に居る、って事か・・・

 

――ビキッ――

 

巫山戯るなッ!

 

「サァテト、ソンジャ・・・アン時ノ借リ、返サセテ貰ウカナァ?」

「あの時?」

「アァソウサ、忘レモシネェ。3()()()()()()()、アフガニスタンで俺達ノ出世ルートヲ潰シテクレタ事ヲナァ!!」

・・・ッ!!3()()()だと!?

 

―――ありがとう、おじさん!―――

 

「まさ、か・・・ッ!

貴ッ様等はァァァァァァァアッ!」

 

「漸ク思イ出シタカ!ソウダヨ、オ前ノ被害者、第一号サ!」

コイツ等はあの日の、病院小屋の奴等だ。

それが解った途端、俺は腹の中に鋳融かした鉄を流し込まれたような錯覚を覚えた。

両手足のブルーフレアが、俺の心象を投影するが如き勢いで激しく燃え上がる。その炎は俺の身体を覆い包んでもまだ足りず、遂には部屋の天井まで届く蒼い火柱となった。

怒りの炎に着いて来られなかったのか、シンフォニックスタイルが解除されてイガリマメモリも俺の中に消える。

しかし、今は思考からこの怒りを切り離すしか無い。怒り狂い我を忘れれば、それこそコイツ等の思う壷だ。

「クハハハ。死ネヨ、仮面ライダー」

「クタバレ」

【グスタフ!】

【ドーラ!】

それぞれのメモリを心臓に突き立て、奴等はドーパントに変身した。

グスタフドーパント&ドーラドーパント。

全身に大量の装甲を装着しており、腰には弾倉、脚には履帯(キャタピラ)。そして胸が肥大化し頭と同化しており、そこから正面に長い砲塔が伸びている。

グスタフ、ドーラ。どちらも、ドイツで開発された超弩級列車砲の名だ。列車砲だからキャタピラは付いてない筈だが・・・近代化改修って奴か?

まぁ良い。何にしろ、今度こそ殺せば済む話だ。

【アクセルッ!マキシマムドライブ!】

「でェヤッ!!」

 

―ガゴォンッ!!―

 

俺はアクセルのマキシマムを発動。瞬時にグスタフに肉薄し、加速を丸ごと乗せた跳び蹴りを叩き込んだ。

しかし・・・

「効カネェヨッ!」

「ごあッ!?」

全く歯が立たず、逆に殴り飛ばされてしまう。

クソ、何て堅さだよ。金属の柔軟性もあって、ジュエルより厄介だ。

 

―ガガガガガガガガガッ!―

 

「ぐあッガッ!?」

受け身を取って着地するより先に、俺の身体は激しい無数の衝撃に襲われた。

乱回転する視界を、加速した思考で読み解く。すると、両腕を此方に伸ばし下腕から煙を上げているドーラの姿があった。

「ゴハッ!」

床に叩き付けられながら、無駄に早い思考で敵の攻略法を探す。

 

バイオレンスでぶん殴る――あの堅さじゃ効くか怪しい。

アイスエイジで凍結――初歩的な攻撃なので対策されている可能性大。

ヒートで融解――出来ない事も無いだろうが、余熱でクローン達は確実に死ぬ。なるだけ殺したくは無い。

ファングで空間裂切――この密閉された地下空間ではどうなるか分からん。

メモリのコンボ―そもそもギリギリ1本使えるかどうかだから、装填時のタイムラグで袋叩きにされる。

 

八方塞がりじゃねぇかクソッタレ。

「クッソォ・・・機関砲搭載した超弩級列車砲だァ?近代化改修進み過ぎだろ」

「良イ~マシンガンダロ~!コリャ ドーパント ノ体質ジャネェ!俺達ノ腕、ソノママサ!」

・・・腕を改造して機関砲くっ着けるたァ、随分と熱心だな。

 

―ドワオッ―

 

「ごッ!?」

身体を吹き飛ばすインパクト。壁に叩き付けられるベクトル。埃を巻き上げる衝撃波。

そして、()()()轟く爆音。

息が全て吐き出され、横隔膜を筆頭に全身の筋肉や内臓が一斉に大パニックを起こした。

「ッ~!ッ~!?」

何だよ今のは!?音より先に衝撃が・・・ッ!アイツまさか、弾頭を超音速で飛ばせるってのか!?人間サイズで!?

「ガハハハハッ!良イ気味ダゼ!」

「オイ仮面ライダー、小便ハ済マセタカ?神様ニオ祈リハ?部屋ノ隅デガタガタ震エテ、命乞イヲスル心ノ準備ハOK?」

言うや否や、奴等はギャリギャリと履帯を回し始める。そして俺を掴んで部屋の真ん中に放り投げ、周囲をグルグルと廻りながら大量の弾丸を浴びせかけて来た。

「グゥゥ・・・!」

エターナルローブで何とか耐えながら踏ん張るが、それでも衝撃までは0には出来ない。

瞬く間に筋肉が悲鳴を上げ、骨が軋み始める。

どうすれば・・・どうすれば奴等を殺せる?考えろ、思考を止めるな。

 

ガングニール・閉鎖空間じゃ長物は不利か。予備動作もデカくて、この高起動な戦車型ドーパントに当たるか怪しい。

ガングニールβ・間合いが短過ぎるし、槍と同じく予備動作が大きい。

アメノハバキリ・エターナルローブを棄てた紙装甲だから手数で封殺される。

イチイバル・部屋を崩落させずあの装甲を貫くなんて器用な事が出来る程熟れてない。

イガリマ・単体では俺の魂の温度に着いて来られなかった。

シュルシャガナ・装甲が足りない。

アガートラーム・ソードビットまで弾き落とされる。

神獣鏡・脳内の反射角及び出力の演算処理が追い付かん。

 

クソッ、シンフォニックスタイルでさえも活路が見えねぇ!

「ソォラヨッ!」

「クタバレクソッタレ!」

 

―ドドワォッ―

 

「がッッ!!」

前後両方から超音速弾と衝撃波で挟まれ、俺は土煙幕の中で遂に膝を着いてしまった。

「オラオラオラオラァ!」

「正義ノ味方気取リモ終ワリダナァ!」

「がぁっ!!」

グスタフに胸板を蹴飛ばされ、ダメージの蓄積で変身が解除されてしまう。

俺の身体は壁に打ち付けられ、頭から帽子が外れて地面に落ちた。

クソ!何か、何か無いのか?奴等を倒す何か・・・

「ニシテモ、ブッ放ナスト腹減ルヨナァ」

「俺ラ、燃費ワリィモンナ。飯ニシヨウゼ」

そう言って目元をニチャリと歪めながら、グスタフとドーラはクローン達にガチャガチャと近付く。

奴等、俺に見せ付けるつもりか?あの哀れなクローン達が咀嚼され、腹に落ちるのを・・・それも、俺を捨て置いて?

「巫山・・・戯、るな・・・」

心拍数を無理矢理跳ね上げ、思考を加速。どんよりと遅くなった時の中で、俺は考えを巡らせた。

しかし、幾ら考えようとも解決策は浮かばない。何より、身体が言う事を聞いてくれないのだ。

全く、一貫性の欠片も無いな。同じく意思の無い脳無は躊躇無く殺した癖に、あの人形同然のクローン達は何故か無性に助けたい。

いや・・・彼女達は、まだ罪を犯してはいない。ただただ何も教えられなかっただけだ。

チンピラから化物に成り下がった脳無とは違う。

ならば、救済対象に入るんじゃ無いか・・・?

であれば・・・救わねばなるまい。

 

『頑張るなァ、俺』

 

(ッ!お前は・・・)

刹那。俺の視界はモノクロに染まり、目の前に左右と色が反転した俺・・・《ネガ》が現れる。

(忙しい。後にしろ)

『おいおい、そりゃあんまりだろ。折角アドバイスに来てやったのに』

アドバイスだと?

『俺が平行世界から貰ったメモリは、シンフォギアのヤツだけじゃねェだろ?1人ではまだ使った事ねぇヤツがある』

・・・ッ!そうか!あれならリスクはあるが、戦えるかも知れない!

『じゃ、精々頑張りな』

(あぁ!)

色彩が戻り、ネガが消える。俺は痛み苦しみを全て放り捨て、右腕を上げてトリガーマグナムを召喚。引き金を引いて光弾を連射し、頭や肩をバシバシと撃った。

「アァン?」

「ッタク、無駄ナ事ヲ」

俺の狙い通り、奴等は俺に向き直る。そして砲塔をギリギリと延ばし、此方に照準を合わせた。

「オ楽シミハ最後マデ取ットキタカッタガ、モウ良イカ」

「ダナ。殺ソウ」

安っぽい殺意を受けながら、俺は片頬を引き上げて立ち上がる。

そして、それを煽るように口を開いた。

「ほざけ、雑魚」

次の瞬間、2門の砲塔が火を吹いた。

 

(NOサイド)

 

―ドドワォッ―

 

超音速で撃ち出された弾丸が空気を切り裂き、衝撃波で塵が舞う。高温高圧で圧縮された空気がプラズマ化し、その熱膨張で再び衝撃波が広がった。

「ハッハッハッハァー!スカ~ット気分爽快ダゼェ!」

「良イ気味ダナ」

着弾を確信し、出久を嘲笑うグスタフとドーラ。そして自らの餌に向き直り、再び歩き出そうとする。

 

―――~♪~♪~♪~♪―――

 

「「ッ!?」」

しかし、突如響いたハープの音を聞き、驚きながらも振り返った。

 

「ふぅ、危ない危ない・・・クイーンバリアも、超弩級砲撃2発には流石に耐えられないか」

 

未だ舞う灰塵の中、抉れた黒い地面を踏み締めて歩く男が1人。

言うまでも無く、出久である。

身体中に傷があるものの、確りと両の脚で地面に立っていた。

そして・・・着目すべきは、その両手である。右腕は肘から先に、左手は手首から先に、それぞれグローブのようなガントレットを装着しているのだ。

右腕は暗い赤紫の布でぴっちりと包まれており、指先は黒く刺々しいアーマーで覆われている。左手のものは右腕に比べゴテゴテしたゴツい作りで、手の甲にはターコイズブルーに輝く菱形の水晶に似た結晶体が組み込まれていた。

出久はそのゴツい指で地面に落ちた帽子を拾い、自分の頭に乗せ直す。

「ナ、何デ死ンデネェンダ!?」

「教えてやるもんか」

ドーラに冷めた口調で返す出久の身体を、金色の魔方陣のような物が通り抜けた。それにより出久の傷は多少塞がり、表情も幾らか余裕を取り戻す。

「ほう・・・適合し切ってはいなくとも、この程度なら使えるか」

キリキリと指を動かし、具合を確かめる出久。そして今度は右手を顔に翳し、手首のスナップを効かせて投げキスのような仕草をした。

 

―ザクッ―

 

「グアッ!?」

次の瞬間、グスタフの右腕の機関銃が鋭い音と共に斬り落とされる。痛覚は無いものの、衝撃でグスタフは半歩程よろめいた。

「派手に外したな。やれやれ・・・やはり、馴れない得物は儘ならないものだ」

そう言いつつ、指をゴネゴネと動かす出久。良く眼を凝らせば、その指の間には微かに煌めく極細の糸が張られていた。

「ワイヤカッターカヨッ!!」

「死ニ損ナイガァッ!!」

出久の生存が気に食わず、ドーラとグスタフは機関銃を発砲。しかし、その弾丸も全て出久の手前で明後日の方向に弾かれてしまった。

「「ナッ!?」」

「ほう?素人でも、この程度は出来るのか」

出久のした事は極めてシンプル。糸を縦横に組み合わせて、即席の盾を造ったのだ。

「使用者の錬金術も記憶してる上に、この糸まで使える。いやはや、実に優秀だな・・・

この、()()()()()()は」

腕を振るって糸を舞わせ、出久はフッと息を吐く。

出久の右腕と左手を覆うグローブ・・・それは、ダウルダヴラのファウストローブを必要最低限のみ纏ったものだった。

出久のハイドープ能力の1つである適合体質でさえも、ダウルダヴラを完全に纏う事は適わない。何故なら、ダウルダヴラを扱うのであれば、それに合わせて肉体を完璧以上に完成された女性体へとチューニングしなければならないからだ。

故に出久は、辛うじて糸を扱えるだけのグローブを纏った。指先からは極細の鋭い糸が伸び、それ等は出久の意思に応じてくねり蠢く。

「クソガァッ!!」

「クタバレバ良カッタモノヲッ!!」

 

―ギジャリンッ―

 

「「グアッ!」」

怒り任せに主砲を撃とうと砲塔を延ばすグスタフとドーラだったが、その砲塔ですらワイヤに巻かれ一瞬で輪切りにされた。

「イ、イテェ!?」

「グゥゥゥ・・・!」

砲塔は機関銃とは違い、変形した身体の一部。故に、斬り落とされた激痛が容赦無くドーパントを襲う。

 

「さぁて、屑共。小便は済ませたか?カミサマにお祈りは?部屋の隅でガタガタ震えて、命乞いをする心の準備はOK?」

 

【挿絵表示】

 

 

先程グスタフに言われた台詞を、そっくりそのまま言い返した出久。その間にも指は忙しく動き、順調に獲物を絡めとる。

 

「まぁ、命乞いは聞かんがな。豚のような悲鳴をあげろ」

冷徹に、冷酷に言い放ち、出久は右手を強く握る。すると糸はギリギリと絞まり、グスタフとドーラを雁字搦めに拘束した。

「クッソォ!放セェ!」

「誰が放すか」

 

―トッ ブチブチッジャクッ―

 

出久が右手首を軽くチョップすると、その衝撃を糸が増幅。瞬く間にドーラを切り裂き捻り切った。

「ウ、ウワァァァァァッ!?止メロォ!!止メテクレェ!!嫌ダァァァァァ!!!」

「・・・」

哀れな異形を見つめる、冷たい眼差し。それはピクリとも変わらず、出久は無言で指を動かした。

 

―ギリギリギリギリギリッバキンッ―

 

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ!?」

糸が絞まり、グスタフの両の手足を捻る。金属装甲がけたたましい音を発ててねじ切られ、血が吹き出して壁に掛かった。

しかしそれでも尚、グスタフの死は遠い。

「改造人間のしぶとさが仇になったな」

出久が嘲笑と共に、右腕を大きく振るう。すると糸に引っ張られ、グスタフは部屋の壁に強く打ち付けられた。

「ウギャァァァァァァッ!?」

砕けた骨や装甲が筋肉を切り裂いて貫き、激痛に絶叫するグスタフ。それを無視し、出久は執拗なまでにグスタフを叩き付け続ける。

4~5度打ち据えられたグスタフは、最早死に体であった。

「ア・・・ア・・・」

「・・・もう十分だな。いや、少し遊び過ぎたか」

呟きながら、膝を抜いて座り込む出久。全身打撲状態で、無茶を続けた事が祟ったのだ。だが、糸に込める力は緩めない。

「今度は、見逃さない。生かしては帰さない。今度こそ、確実に・・・仕留める」

 

―ギリッ バキベキボキバキッ―

 

そして出久は拳を握り締め、グスタフの関節と言う関節をあらゆる方向に回転させ捻り砕いた。

「ターゲット、死亡(Die)

機械的に状況を確認して、出久は右腕に手を宛がう。

「ぐっ・・・」

一瞬の焼け付くような痛みと共に、下腕からダウルダヴラメモリが排出された。

「ぬぅ・・・やっぱり、肉体にもメモリにもチューニングが必要だな・・・」

ふとクローン達の方を見やれば、彼女等はただひたすらに出久を凝視している。見た事が無い人間に対して、本能的に興味が湧いたのだろうか。

「取り敢えず、回復を・・・」

【サイクロン!】

【ヒーリング!マキシマムドライブ!】

サイクロンを首筋に挿し、ヒーリングのマキシマムを発動。周囲の気圧を操作して風を産み出し、それを吸収して体力の回復を謀る。

「休憩が終わったら・・・早く、合流しないとな」

出久は未だ力の入らない身体に若干の焦りを覚えながらも、今は回復に努めようと壁に凭れ掛かるのだった。

 

(克己サイド)

 

「ぐ・・・あ・・・」

「ゔぅ・・・」

「む゙ぅぅう・・・」

俺達は3人組のドーパントを縛り上げ、排出されたメモリを回収する。

「拍子抜けだったな、克己」

「全くだ。期待外れだな」

事も無げにそう言った賢に同意の返事で返し、先程の戦闘を振り返った。

 

俺の合図で賢が間合いを詰め、アイズの腹にミドルキック。

そこに俺が天之尾羽張を鞘ごと投擲し、賢がそれをキャッチして鞘先を突き立てる事でアノマロカリスの口腔を破壊。

直後に俺が飛び込み、突き立てられた天之尾羽張を抜刀。ジュエルに対して、2連続の上段振り下ろし・・・ゲームで見た技である、《葦名一文字二連》を叩き込んだ。

そしてそれぞれが大きく怯んだ隙に、まずアイズの顔面・・・更に言うと眼窩のバイザーを、天之尾羽張で切り裂いて視界を封殺する。

そして賢のスルト&ネクロを取り戻し、アノマロカリスに葦名一文字二連を叩き込んで両腕を破壊。

賢がタングステン徹甲弾を装填し、それを複数撃ち込んでジュエルを沈めた。

 

「連携は良いメンバーだったのかも知れんが、ドーパントの体質が使いこなせていなかった。チンピラ等、所詮はこの程度だ」

ふと見やれば、3人組は無様な有り様だった。

アイズの奴は両目を切り裂かれ戦意喪失。

アノマロカリスは歯が全部砕けて意識朦朧。

ジュエルは身体中に銃創がある。

「行くぞ賢。京水達と急いで合流する」

「ラジャー」

俺が通路に走り出し、賢が後ろに続く。周囲の警戒を緩めずに、俺達は先を急ぐのだった。

 

to be continued・・・




キャラクター紹介

緑谷出久
我等が化物。今回は作者の発想でまさかのウォルター化を果たした。
ダウルダヴラのファウストローブは完璧以上に完成された女体でなければ使えない為、出久は完全装着出来なかった。しかし、それでも屑を始末するには十分だった模様。

大道克己
克己ちゃん。天之尾羽張を早くも使いこなしつつあるが、常にコンバットナイフも携帯している。
「使いなれた武器を危険地帯で肌身離さぬ事が、プロ最低条件だ」
最近フロム・ソフトウェアのダークソウルとか隻狼に嵌まっている模様。

芦原賢
何気に初めてマトモに会話する描写が出来た。
今まで会話パートが少なかったせいだ。だが私は謝らn・・・
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