僕のヒーローアカデミア~Eの暗号~ Phase2   作:エターナルドーパント

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「今回で一区切り、だな?」
『ったく、シナリオ無視して神風特攻仕掛けてくれやがって・・・はぁ、原作買わなきゃな。でもスラッシュライザーポチってるしなぁ』
「だったらバイトすれば良いだろう」
『コロナショック直撃中の高校3年生にそれ言う?』


第30話・黒きI/鉄・拳・粉・砕

(地上サイド)

 

「ハッハッハァ、クスリが切れた。触らせろカワイ子ちゃん」

「むぅ~ッ、嫌ッ!」

宙を舞う波動ねじれが、巨人と戦闘を繰り広げている。

この巨人、初っ端に門をぶち破って警官数人を殴り飛ばした大男である。他者に触れながら吸息する事で活力を吸い取り巨大化する能力だが、拘束された後に予め投与しておいたブーストドラッグが作用し、吸息するだけで多数の人間から活力を吸えるようになったのだ。最も、その効果は今し方切れた訳だが。

「退避、完了シタ!」

「ゴアァァァァァアッ!!」

ネメシスが触手を展開し、スーパータイラントが雄叫びを上げた。

この敵の能力下において例外的に振る舞えているのは、八意永琳率いる永遠亭組だけである。

永淋は体内で強壮薬を生成して対処したのだが、アレクシアやゲンムⅡ、その他のB.O.W達は、ウィルスやアマゾン細胞の強靭な生命力でゴリ押し突破したのだ。

そして、動けなくなった警官隊を運び避難させた。

「梅雨ちゃんッ!」

その時、地下にいる筈の麗日が道を走って来る。

「ケロッ、お茶子ちゃん!?」

「応援を呼びに来た!彼処の十字路の真下で、プロ達が足留めしてはる!至急加勢をッ!」

道の先の十字路を指差し、用件を伝える麗日。そしてそれを聞き取り、永淋とアレクシアは数秒沈黙。そして同時に眼を見開き、ソルジャーモードからコマンダーモードへとスイッチを切り替えた。

 

「リッカーとフロッピー!敵の眼を舌で攻撃!視界を塞ぎなさい!ハンターとスカルミリオーネはアームカッターでアキレス腱を切断ッ!」

「ネメシスはランチャーで打撃ッ!タイラントとツヴァイはドロップキック!目標地点まで敵を吹っ飛ばしてッ!」

 

「ケロォッ!」

「ハァァァァッ、シャーッ!!」

「カカカカッ!」

「ヴァオォウッ!!」

まず永淋の指示通り、4名による連続攻撃が叩き込まれる。

「ぐあッ!?い、痛ェッ!?」

「グオォォォウッ!!」

 

―ガゴォンッ―

 

「ゴアァァァッ!!」

「ぜぇりゃァァァァッ!!」

踏ん張りの効かない敵の腹部をネメシスが渾身の力で振るったロケラントンファーが打ち据え、そこに助走をつけた体重200㎏超の化物2体のドロップキックが追い討ちを掛ける。タイラントはアマゾン細胞で強化された瞬発力で、ゲンムⅡのキックにピッタリと追随。完璧なタイミングでヒットしたt単位の威力を持つダブルドロップキックは、敵の巨体を容易く吹き飛ばした。

「ねじれ!私ごとありったけぶちこみなさいッ!」

そして十字路直上、リューキュウは翼を盾にし、ねじれが放ったエネルギー波砲を受けて敵を叩き落とす。

「ドンピシャ!!」

すると道路が大きく砕け、地下空間へと落下。集合している先行隊を視認した。

「ッ!?りゅ、リューキュウ!?」

「え?お茶子ちゃん!?じゃあさっきのは・・・」

地下で眼を見開くプライムローグ。それを見て、フロッピーは上に視線を移す。

「にへへ、梅雨ちゃん達も来てたなんてねぇ。正に更に混沌(プルスケイオス)ってカンジですね♪」

ぶち抜かれた穴の縁で、麗日に化けていた渡我が変身を解いていた。隣にはトゥワイスとマグネ、そしてトゥワイスが複製したMr.コンプレスがいる。

(ヴィラン)連合・・・やっぱりいるよなぁ、あの録で無し共」

エターナルが心底面倒臭そうに呟く。するとその意思に応じてガングニールのガントレットが展開し、タービンが高速回転を始めた。

 

―――アイディアル~な♪英雄シミュレーショ~ン♪息切れ~なんて~縁の無い~世界~♪―――

 

(ワンフォーオール10%・ガングニールプラス!!)

そしてエターナルが歌い始めると、更に蒼と緑の放電現象が発生。タービン内に吸収され、回転機構を赤熱化させる。

「あ~、あれはヤバイです。逃げましょう」

渡我が撤退を進言すると同時に、エターナルが拳を連合出向組目掛けて突き出した。

 

―――独砲 Panzerfaust(パンツァーファウスト)・スマッシュ

 

展開していたガントレットが収縮し、銃のハンマーのように激突。そのインパクトをマニピュレーターグローブの機構が誘導し、指向性を持つ衝撃波として撃ち出す。

「うわわっ!?」

「危ない!」

「ウヒャア!」

「ぐべぱっ!?」

渡我は回避し、マグネとトゥワイスはギリギリ射線外。しかしコンプレスは逃げ遅れ諸に喰らってしまった。

「おじさんの扱い、酷すぎなじゃない?」

愚痴を零しながら崩壊するコンプレス。敵ながら不憫である。

「クソ・・・全て滅茶苦茶だ!もう良い!壊理などもうどうでも良いッ!!壊理のDNAはアイツ等に渡してある!ヴォジャノーイの裏切りも含めて、奴等に落とし前をつけさせてやるッ!!」

ウェザーはスクリューユニットで竜巻を起こして瓦礫を退かし、その下の一つに固まったままの地面を露出させる。そしてその地面を錬成し、柱のように盛り上げ始めた。

 

―――さぁ仕掛けろFight!感じるなFear!The strongest enemy was virus!真の勝~利を目指~せ~ば♪―――

 

しかしエターナルはそれを許さない。再びガントレットを赤熱化させ、今度は直接柱を殴り抜く。

 

―――独砲 KANONE18(カノゥナ・アハティン)・スマッシュ

 

―ガゴンッ!!―

 

「ぐあッ!?クッ、このォ!!」

砲弾が突き抜けたような大穴を開けられ、柱は崩壊。しかし、ウェザーは咄嗟に風を操作して両足に竜巻を生成する事で落下は免れた。

「ぬぅぅ・・・おいスポンサー!どうせ何処かで見てるんだろうッ!!出て来いッ!!」

ウェザーが叫ぶと、その背後の空間が湾曲。真っ黒なワームホールが出来上がり、黒服を着た男・・・ヴォジャノーイ達、()()のリーダーが現れた。彼は足元に金色に光る幾何学的な魔方陣を浮かべ、その上に立っている。

「呼びましたか?」

「ッ!貴様、どういう事だッ!?お前が優秀だと宛がったあの改造人間共は役に立たないし、ヴォジャノーイに至っては裏切って計画の核を奴等に受け渡しやがったッ!!」

目の前の真っ黒な烏天狗にどれだけ凄まれようが、男は微笑みを一切崩さない。

その態度が、ウェザーの神経を金ヤスリで逆撫でる。

「貴様聞いているのかッ!!この落とし前、どうつけてくれ―――」

 

「喧しい」

 

「ッ!?」

静かに放たれた言葉はしかし、途轍もない重圧をウェザーに与えるモノだった。否、ウェザーだけでなく、下にいたエターナル達さえも、ザワザワと項が粟立っている。

「平伏しなさい、這い蹲って」

「ッ!!」

怒りを感じるより先に、身体が勝手に言葉に従った事に酷く驚くウェザー。竜巻の操作も出来ず、男が立っている結界に無様に這い蹲る。

「彼に裏切られた?それは、足りなかっただけでしょう。貴方の技量が。それに、私も賛成ですよ?彼の行動にはね。

何せ、時代を育む宝物ですからね、子供は。巻き込むべきでは無いのですよ、我々大人の闘争には」

「アイツ、最低限弁えてるらしいな」

嘘でない事を見抜き、エターナルは少し感心する。

「しかして、興味はありました。貴方達の目指す道の先にもね。故に下したのです、苦渋の決断を・・・しかし蓋を開けてみれば、期待外れですよ、飛んだ」

男は溜め息を吐き、やれやれと首を振った。

「私はてっきり、進化圧でも掛けるのかと思っていました。個性因子に脅威を認識させて。そして頂点に返り咲くのだろうと期待したのですよ、構成員の進化を促す事で。

ですが、貴方がやろうとした事は・・・逆ですよね、まるっきり。

周囲を下げて、浮き彫りにしようとしただけだ。自分は今の高さにしがみついて。自分達が強くなろうとしているんじゃあない。その実、進もうとしていないのですよ、進んでいるつもりでも。

 

私はね?大好きなんですよ、人間が。

完璧さの欠片もなく、酷く不完全。しかしだからこそ、進化の権利を手にいれる者が現れる。踏破してね、不可能(諦め)を・・・その時こそ、その瞬間こそが、目映き輝きになのだよ!何にも勝る、至上の輝きにね!」

男は、自らの人間讃歌の哲学を熱く語る。エターナルにはそれが、自分に無いものに憧れ羨む憧憬の念が含まれているように聞こえた。

「故に、許しませんよ私は。自分の進化を諦め眼を逸らし、人間の進化を否定する者はね。

今までは、データ収集の為に態々泳がせていたんですが・・・もう済みましたからね、それも。もう一片も無くなったのですよ、貴方の価値は。

と言うかそもそも、自分をすごく棚上げしてますよね、貴方。何故使っているんですか?個性を。病気なんでしょう?貴方から見れば。ガキですか、貴方は」

心の底からの軽蔑を込めて、男はウェザーをネチネチと罵る。

「その挙げ句、汚いと断じた他人を自らと融合させましたねぇあろう事か。そしてものの見事に慢心し、手痛いしっぺ返しを喰らう始末ですよ、自らが搾取してきた少女から。

これって・・・無様、ですよねぇ?とっても」

依然動けぬウェザーに、まるでブレンがメディックにしたように煽る男。

「貴方は不要、処か有害ですね、人類にとって。任せましょうか化物退治は。仮面ライダーにね、専門家の」

そう言い放ち、男はウェザーを足場から蹴り落とした。

「クッソォォォォォォォォォオッ!!!!」

支配から解放されたウェザーは両腕を突き出し電磁竜巻を放つが、男はワームホールを潜って姿を消してしまう。落ちる先に待っているのは、怒り滾る死神達だった。

 

(出久サイド)

 

「三奈、やってやれ」

「合点!さっきのお返しだ、ッよ!!」

落ちてくるウェザーをしっかり視認し、ジョーカーは緩く固めた拳をストレートリードで叩き込む。右拳から左肩までの総ての関節を一直線にして、全体重を掛けて放つその拳は、衝撃の一切を逃がさずウェザーの頬を鋭く打ち抜いた。

「序でに、テメェに恩を仇で返された俺の大好きなおやっさん(どっかの誰かさん)の気持ち分だ。取っときなッ!」

 

―――独雷 HAFTHOHLLADUNG(ハフトゥラドゥング)・スマッシュ

 

―ガゴチョンッ!!―

 

俺は更に地面に落ちかけたウェザーを蹴り上げ、肩甲骨を前方に引き出すようにしてパンチを腹に放つ。零距離戦闘術(ゼロレンジコンバット)の技、ウェイヴパンチだ。

「ばハァッ!?」

嘴から血を噴き出し、殴り飛ばされるウェザー。ドーパント体であっても、内部に浸透するウェイヴによって意識外から内臓をズタズタにされる激痛には耐えられない。耐えられる筈が無い。

 

「どうした?黒いの。立てよ。たかが一発二発良いの喰らった所で、そんだけでハイお仕舞いって訳にはいかねぇんだよ小僧」

 

俺は血反吐を吐くウェザーに歩み寄り、拳を繰り返し握りながら睨み付ける。

 

「ヴアァァァァァアアアアアッッ!!!!」

 

ウェザーが抜き手を突き出した。しかし、容易くガントレットで叩き払いカウンターを決める。

 

―ビキビキッ―

 

「ぬぅ・・・」

だが、奴の分解能力でガントレットが傷付いてしまった。適合を果たしたシンフォニックスタイルでさえも、アイツは分解してしまうらしい。

だったら・・・

「出久・・・あれを、使うの?」

胸に向かい掛けた手を咄嗟に掴んだのは、後ろから飛んで来たタブー。チラリと脇を見れば、ジョーカーも心配そうな顔をしていた。

「あぁ、使う。あの呪いの力・・・イグナイトシステムを」

 

イグナイトシステム・・・原点のシンフォギアに搭載された、短期決戦用ブースターシステムであるイグナイトモジュールを、シンフォニックメモリに再現し落とし込んだもの。シンフォニックアーマーを意図的に激情化、暴走させ、その手綱を握る事で爆発的な戦闘力を生む機能だ。

 

俺は今まで、何度か起動実験を行って来た。しかし、結果は全敗。何とか起動は出来ても、直ぐに変身解除してしまっていた。

だが、過去に踏ん切りを付けられた今ならば・・・望みはある。

「大丈夫だ・・・今なら、使い熟せる。いや、熟して見せる。だから少しの間、時間を稼いでくれ」

「・・・分かった」

微笑みながら、ジョーカーは一歩下がる。タブーも同意し、腕を組んで引き下がった。

「やるからには、絶対勝って」

「あぁ、当然。負ける気なんざ、端から毛頭在りはしない」

ウェザーに向き直ると、自分の身体を分解し錬成し直している最中のようだ。なら、今しか無いな。

 

「イグナイトシステム始動。暴走防止リミッターを解除。目標、眼前敵ドーパント。疑似鏖殺の魔剣(ダーインスレイフ)・・・抜剣」

 

宣言と同時に、胸を叩く。するとメモリを挿し込んだ心臓から赤黒いエネルギーが放出され、コンバットベルトを破壊。そして複数の蛇龍の形をとり、俺の身体に噛み付いた。

 

――――ドックンッ――――

 

意識が黒に染まり、沈んでいく。降り立ったのは・・・言わずもがな、あの場所だ。

『ねぇ、おにいさん』

後ろからの、幼い声。振り向けば、やはりあの子がいた。

『どうして、たすけてくれなかったの?』

「・・・」

俺は黙って、彼女を見つめる。足元にいる過去の俺とあの屑戦車共は色を無くして止まり、炎だけが朱く紅く燃えていた。

『あつかった。くるしかったよ。ねぇ、おにいさん・・・どうして、たすけてくれなかったの?』

「それは・・・俺が、弱かったからだ」

重い口を開き、そう答える。少女は黙って、俺の次の言葉を待っているようだ。

「あの時・・・呆気に取られたりせず、本気で助けに行こうとしてたら・・・きっと、君達は助けられたんだと思う。本当に、済まなかった」

謝罪を紡ぎながら、頭を下げる。

「俺はあの日、君に手が届かなかった・・・でも、今は違うんだ。あの子を救うには、あと一歩。もう少しなんだ・・・」

拳を握ると、蒼い炎が灯る。同時に、足元からナニカが這い上がってくるのも感じた。

黒く暗い虚ろなナニカ。しかしそれは、あやふやな癖にハッキリとした目的意識を持って俺の中に侵蝕してくる。

総てを壊滅せんとする、ドス黒く血深泥な破壊衝動。足元から登ってくるそれを見れば、成る程、呪いの奔流が蛇の形をとった事も頷ける。

しかし、俺は負けない。負ける筈がない。この程度の必要悪、呑み込めずして何が戦士か。

「もう、届いた手は離さないから・・・だから、見ててくれ。俺の――――」

 

――――変身・・・

 

呪いの奔流が俺を包み込む刹那・・・あの子が、微笑んでくれた気がした。

『合格だね』

闇の中で、ネガが現れる。そいつはニッと怪しく笑い、その右目はオレンジに燃えていた。

「そうかい、なら良かった。狂気その物の擬人であるお前に言われたんなら、もう心配要らねぇな」

『うん・・・さぁ、存分に歌うが良い。呪詛にまみれた、滅びと希望の混沌歌を』

「あぁ。歌ってやるさ」

 

―――

――

 

(NOサイド)

 

「ウォアァァァァァァァァ!!!!」

分解修復の激痛から立ち直ったウェザーの鋭い抜き手が、黒に覆われたエターナルに迫る。

 

―BBBBANG!!―

 

「ぐぅッ・・・!!」

しかし、賢が12.8㎜タングステン合金徹甲弾を装填したスルトとネクロでその手を鋭く撃ち抜いた。

(対ドーパント弾の残弾数・・・左右合計、6発)

改造ロングマガジン2本に24発ずつ、合計48発あった対化物徹甲弾も、此処まででかなり消費していた。表情が薄めな賢の顔にも、流石に危機感が表れる。

「凍れやコラァ!!」

「黙れェ!!」

グリスブリザードが左腕のパワークローを展開し、冷却粒子を大量に噴き放った。しかしウェザーは、電磁竜巻内で高温のプラズマを発生させて無理矢理押し戻す。

「何処まで俺を怒らせる気だ病人共がァ!!」

下半身を竜巻で包み、浮上するウェザー。

「塵一つ残さず、消え失せろォ!!」

そして両腕のユニットを猛烈に回転させ、再び電磁竜巻を生成。更にそれを圧縮し、眼下のエターナル目掛けて解き放つ。

「これはちょっと、ヤバイかもッ!」

【タブー!マキシマムドライブ!】

タブーがマキシマムドライブを発動しレーヴァテインで受け止めようとするが、減衰する気配は無い。寧ろウェザーは更にエネルギーを送り込み、押し通す気でいる。

音本の個性で引き出されたウェザーの力。それはシルバークラスのメモリでありながら、格上たるゴールドクラスのタブーを真っ向から圧倒する程にまで出力が引き上げられていた。

「ヤベェッ!!」

グリスブリザードはすかさず前に飛び出し、両肩のアイスパックショルダーからヴァリアブルアイスを放出。強固な防壁を形成して地面に突き立て、防御の構えをとった。

「ジョーカー!私は大丈夫だから、早く下がってッ!」

「ッ~!・・・わかった!」

苦虫を噛み潰しながら、タブーに従うジョーカー。それを目尻に見やり、タブーは冷や汗を流しながらも精一杯の強がりで片頬を引き上げて見せる。

「いい加減に消えろッ!穢らわしい病人風情ガァァァァァッ!!!!」

ウェザーの眼が鈍く輝き、竜巻の内部で蒼いプラズマが鋭く光った。壊理の個性で巻き戻ったモーフィングパワーが、再び覚醒し始めているのだ。

 

「クッ・・・こぉんなくそォォォォォッ!!」

 

竜巻の重圧を受けながら、タブーは盾にしていたレーヴァテインの切っ先を真っ直ぐ突き出す。マキシマムドライブで白熱化したその刃はしかし、敵の威力に押され皹だらけだ。然れどタブーは、微塵も諦めない。

「消し飛べェェェェェェッ!!」

次の瞬間、圧縮された空気が全てプラズマ化し、閃光が周囲を呑み込んだ。

その光に網膜を焼かれながら、タブーは全力でレーヴァテインを突き出し続ける。後ろにいる、呪いと戦っているエターナルを護る為に。

(熱い・・・痛い・・・何も見えない・・・やだ・・・出、久・・・)

 

「ありがとうフラン。良くやった」

 

―――――

 

光、衝撃波、遅れて轟音が響き、周囲の細かい瓦礫を軒並み吹き飛ばす。

「クッ・・・フランちゃんッ!」

煙や粉塵が舞い、視界は通らない。グリスブリザードの氷城壁に守られたジョーカーは思わず飛び出すが・・・そこに、エターナルとタブーの姿は無かった。

「クッハハハハハハハハ!!あのいけ好かない死神も、病気持ちのクソアマと一緒に消し飛んだなッ!いい気味だァ!!」

「ッ!このッ・・・!」

「落ち着けよ」

歯を喰い縛りながら握った拳から特濃の酸液を分泌するジョーカーの肩を、ゲンムがポンと叩く。

「デップー・・・」

「おいオーバーホール!テメェは勘違いしてるぜェ!」

ゲンムはウェザーを指差し、声高に言い放った。

「まず一つ!テメェのプラズマ竜巻は確かに高出力だが!当たった地面を硝子化させる事すら出来ない貧弱な攻撃だ!その程度では、ライダーシステムで強化した人体は跡形も無く消し飛びはしないッ!

二つ!テメェは2人が消し飛ぶ瞬間を見た訳じゃあねェ!死んだ証拠は何処にもないッ!

そして三つッ!」

 

―バガンッ!バガンッ!―

 

「何ッ!?」

「《最終局面にて主人公が奥の手発動》ッ!《仲間による必死の時間稼ぎ》ッ!《護り役の諦めの踏破》ッ!《視界のホワイトアウト》ッ!

()()()だよなァ!!」

撃鉄を打つような音を響かせ、ウェザーの周囲を飛び回る黒い影。その正体を全員が確信する中、ゲンムは更に声を張り上げる。

 

「オーバーホールゥ!何故フランちゃんが、危険を厭わず抵抗を続けたのか!何故俺ちゃんが解説しているのか!何故皆に希望が戻ったのくァ!!

その答えは、ただ一ォつ・・・オゥバーホールゥ!!貴様が生み出したこの状況こそがァ!!仮面ライダーのォ―――――」

 

「ぜェりゃァァァァァァァァ!!!!」

 

「ゴェアッ!!?」

 

()()()()()だァかァらァだァァァァァッ!!ヴァーッハハハハハハハハハァ!!!!」

 

ゲンムの高笑いと共に、ウェザーが地面に叩き落とされる。その上には、タブーを・・・フランを横抱きに抱える、漆黒の戦士の姿があった。

 

(出久サイド)

 

【Forbidden Braid Unseal!BLACK-IGNITE!!ヤベーイッ!】

一瞬視界が紅く明滅し、その光が全身に行き渡る。つかこの音声・・・仁の奴、ハザードトリガーを流用したな?まぁ、奴の本領はビルドシステムだから出来るだろうが・・・

俺は蹴り落としたオーバーホールを一瞥し、地面に着地。更にジャンプし、ジョーカーの側まで移動する。

「出久・・・大丈夫、だよね?」

「あぁ」

フランをジョーカーに渡すと、全身の装甲から冷却ガスが噴出。更に細部がカシャカシャと動き、現在の状態に最適化した。

「出久・・・よかった」

「あぁ、お前が時間を稼いでくれたお陰だ。ありがとう」

タブーの頭を優しく撫でる。そしてグッと拳を握り具合を確かめると、視界の右上に何かが表示された。

「げっ、リミッター全解除しちまってるせいか残り時間短いな」

確か、3分で強制解除だったか。そのカウントダウンがもう100秒切りやがった。あと1分半とちょいしかない。

「ちゃっちゃとやるか。ダメならダメで、まだ策はあるしな・・・よしッ!」

 

――BURN IT UP!MAZINGER!――

 

―――終~焉~の審~判~は下さ~れた~♪暗~黒の軍団~が押し寄せる~♪―――

 

「その不愉快な歌を止めろォォォォォッ!!」

ウェザーが炎を巻き込んだ竜巻を放って来た。灼熱の砂塵を含んだそれは、恐らく瓦礫の散弾が洗濯機のことく掻き回されている状態だろう。

だが、それがどうした。

俺は脚のパワージャッキを地面に食い込ませ、右拳を握り込む。そしてタービンを回転させて更に大量の空気を取り込み、無理矢理圧縮して熱エネルギーを濃縮してラジエーター状に変形させたガントレットから放射。

そこからガントレット全面にスリット状の放出口を形成し、前方に撃ち出した。

 

―――覚醒人 シナプス弾撃

 

竜巻全体と同等量のエネルギーを持つまでに圧縮された大量の空気は、放出されると同時に一気に冷却。炎の熱量を相殺し、気流バランスを大きく乱して霧散させる。

「クソッ!なら此方だッ!」

再びスクリューを回すウェザー。そして今度は吹雪を発生させてぶつけて来た。

体表は白く凍結し、霜が装甲に付着する。

「凍えてしまえ死神ィ!!」

気分良さげに、ウェザーは冷気を吹き付けてくる。メモリのせいやらストレスのせいやら、大分思考回路が幼稚になっているらしい。

 

――今世界~は~♪闇~に~抱ぁ~か~れ~♪その力を~♪待~ち~続~け~る~♪――

 

ガントレットを展開し、タービンを接触状態で激しく回す。霜が降りる程に冷えきっていた機構はすぐに赤熱化し、その余熱で体表の氷は全て蒸発する。

お生憎様、痛くも痒くもねぇよ。

「クッ~!!なら、これはどうだァ!!」

今度はマグネットを回して紅雷を放ってきた。ガングニールなら・・・良いカモだ。

 

―BZZZZZZZZ!!―

 

その落雷を、拳を突き上げて受けてやる。

「な、何を・・・グッ!?」

 

―ギャリリリリリリリリリリリリリリリッ―

 

――お~ま~えとなら感じ~てKnight!お~ま~え~ならば出~来~るゥ~!Rock me~!!――

 

そしてまたガントレットを展開し、タービンを回転。歌も丁度サビだ。その分上昇したフォニックゲインを、ほぼほぼ回転動力にブチ込んでやる。

すると先程と同じく赤熱化。更に、そのエネルギーを突き上げている拳に集めて雷撃の通ったプラズマの道を押し返す。トールハンマーブレェカーの応用で、受けた電撃も織り混ぜて倍返しだ。お釣りはいらん。

「がッ!?!?ば、バカなッ!?」

エネルギーのオーバーフローで狼狽えるウェザーに向けて、俺は漆黒の拳を構える。それは見るまにゴツく変形し、一回り大きなマニピュレーターとガントレットを形作った。

そして肘からエネルギー噴射を開始し、哀れな化物へと照準を合わせる。

 

――お~ま~えだけが最強のKnight!お~ま~えならば出~来~る~!Rock me~!!――

 

――――鉄拳 ロケットパンチ

 

―SHUBANG!!―

 

――MAZINGER!!――

 

俺が放った鉄の拳はウェザーを撃ち抜き、確実に意識を刈り取った。

「俺達の、勝ちだ」

撃ち出されたロケットパンチは、指からの逆噴射で戻ってきて腕に収まる。

心臓からガングニールβメモリを引き抜き、シンフォニックスタイルを解除した。

「フシィィ・・・」

息を吐き出し、ウェザーメモリが排出されたオーバーホールを見やる。白眼を剥いてビクビクと痙攣するその様は、正直かなり気持ち悪い。

「出久、平気?」

「あぁ。思った程、負荷も強くなかった。と、T2ウェザーは回収しとかなきゃな」

息を整えてオーバーホールに近付こうとする。

 

―ボッッ―

 

「どぅわッ!?」

「出久!?」

しかし、直前で何かに突き飛ばされたが如く弾かれてしまった。

「いやはや。お見事でしたよ実に。言う他ありませんね、天晴れと」

現れたのは、さっきの人間讃歌野郎。

今更だが、顔はかなり整ったイケメン。太めのしっかりした眉に、細く少し吊り気味の目。髪は紺。外見年齢は20代後半って所か。

奴は空中浮遊し、拍手しながらゆっくりと降下して来る。あの動きと周囲の気流からして、風圧操作じゃないな。重力操作か、もしくは俺みたいな念力か?俺を突き飛ばしたのも、多分それだろう。さっき使ってた結界も含めると、随分多才らしい。

奴が手を翳すと、瓦礫の下からT2ウェザーメモリが浮かび上がった。そしてその手に吸い寄せられ、キャッチされる。

「随分成長したようですね、このメモリも」

手の中のメモリを見てご満悦そうに微笑む様は一見無用心そのもの。だが・・・

(コイツ・・・気配的に隙が一切無い。手の内が見えない以上、下手に飛び掛かるのはこの上無く危険か)

どうやら、意識は完全に此方をマークしているらしい。どんな隠し球があるか分からない内は、迂闊に動けそうに無いな。

「さて・・・仮面ライダーエターナル。先程言ってましたね、君は。『まだ策はある』、と・・・」

「一切記憶に御座いません」

・・・途轍もなく嫌な予感がする。

奴はニヤリと笑い、掌をオーバーホールに当てた。

「神経回路接続。個性強制発動」

「ッ!?まさか!」

 

―BANG!BANG!―

 

賢兄さんがスルト&ネクロで銃撃するが、弾丸は金色の六角形障壁(ヘキサゴンバリア)で防がれる。そしてオーバーホールは白眼を剥いたまま、落ちてきた大男と自分の顔に手を着けた。

その瞬間、双方の身体は分解され、再び1つに融合する。

「役立って貰いましょうか。ゴミはゴミなりに」

【ウェザー!】

更に奴はT1のウェザードーパントメモリを起動し、オーバーホールのキメラに投擲。生体コネクタを介さず無理矢理挿入され、再びドーパント態・・・ウェザーC(キメラ)G(ギガント)へと変身させた。

「や・・・やりやがった」

「あーもう作者のアドリブばっかりで桜が錯乱して寒気がランニング」

ゲンムがまた訳分からん事を言い出した。だがまぁ、気持ちは分かる。

「さぁ見せて下さい?策とやらを。あるのならね、そんなものが。

これは抑えておきますよ。準備が整うまではね。5分ですよ、猶予は」

そう言ってウェザーCGを結界で閉じ込めるスポンサー。生憎ここじゃ人が多過ぎてエターナルレクイエムも使えそうに無い。

だったら、やるっきゃ無さそうだ。

「あぁ~畜生。手の内を晒すのは好きじゃないんだがな。やるぜ、三奈」

「・・・はぁ、了解」

【エターナル!】【ジョーカー!】

俺と三奈は変身を解除し、ダブルドライバーを装着。お互いにメモリを起動し、構えを取る。

同時に、頭上にエクストリームを召喚。

「「変身ッ!」」

【エターナル!ジョーカー!】

意識が三奈の身体に移り、俺の身体はデータ分解されエクストリームが回収した。

そしてすかさずドライバーを閉じ、エクストリームを装填。

【エクストリーム!!】

スロットを再び展開し、エターナルジョーカーエクストリームに強化変身を遂げる。

『さて・・・行くぜ』

「うん!」

互いに心を調和させ、俺達は巨大な敵を見据えた。

 

to be continued・・・




~キャラクター紹介~

緑谷出久
過去にケジメをつけ、漸くイグナイトを克服。因みに今回はリミッターが軒並み外れてたせいであんな無茶苦茶な無敵ムーブが出来てただけで、普通はダメージ喰らう。
自分が振るう力は容易に人を殺せると言う暗示から、ノックアウトガングニールの技名は《独〇(兵器を分類する一文字)+ナチスドイツ製兵器名+スマッシュ》となっている。但しイグナイト時はスパロボネタ。
技名の元ネタは下記。
因みにどうやって竜巻を避けたかと言うと、覚醒してワンフォーオールで駆け出し、フランを抱えて跳んだだけ。後は手足の爪で壁に張り付き、絶対来るであろうデップーの反応を待っていた。

フランドール・スカーレット
出久の第二夫人。イグナイトに順応中のエターナルを守り抜いた、実質MVP。()()()()()()()貴重な人材としてスポンサーは気に入った。
プラズマの光で眼がやられた。まだショボショボしてる。

治崎廻
オーバーホール。スポンサーからは活動のほぼ全てを否定され、最早完全に敵のペースに飲み込まれている。終いにはゲンムのメタ解説で綺麗に踏み台にされた。
それだけでは飽き足らず、意識が無くなった後もスポンサーに好き勝手弄られて化物に逆戻り。もう何か哀れになってきた。

永遠亭組
活力を吸う大男(活瓶力也)を、原作の梅雨ちゃん・麗日に代わって地下にブチ込む活躍を見せた。
麗日が地下にいるからね、しょうがないね。
持ち前のタフさや薬物生成能力でゴリ押し活動続行。原作よりも周囲のグロッキーな人等が片付いている。
因みにネメシスのロケラン、今回はスティンガーも持ってきておらず、本当にただの鈍器。まぁ実際そういう技あるらしいしね。

デッドプール
メタ野郎。解説の時は皆さん頭の中でEXCITEが流れた事でしょう。
自分のメタ解説によって因果律に干渉し、オーバーホールが踏み台になる未来を確定させた。こう言う形の因果律干渉ってメタいキャラでなきゃ出来ないよね。
本人も派手に出番が出来てご満悦。

此処にいない突入隊の皆
制圧した構成員とか怪我人の運び出しをやってる。自動人形(オートスコアラー)も此方にいる。
因みに揺れで狼狽える他の警官達をガリィが怒濤のリーダーシップで統率したりしている。
「ビビッてんじゃねぇー!!お前らが気にした所で何も出来る訳ゃねーだろーが!!ビクついてる時間があるなら脚動かせ!」
ミ「あんなガリィ初めて見たゾ」
レ「派手な変貌だ」
フ「いざって時には、頼りになるのよねぇ」
ミ(それ、いざって時以外役に立たないって事カ?)
さ、流石はガリィコーチ(目逸らし)。

スポンサーのリーダー
黒服を着たイケメン。癖のある丁寧口調で喋り、進化を中心とした人間讃歌を掲げる。
尚、興奮すると若干口調が崩れかかる模様。
念動力、ヘキサゴンバリア、神経接続など、行使可能な能力は出久と同等もしくはそれ以上。オーバーホール所か出久まで威圧された為、彼よりも高位の戦力或いはハイドープなのだろう。
今回でキーワードはかなり出揃っている。恐らく正体に気付いた人もいるだろう。
オーバーホール平伏シーンのモチーフはかの有名な某頭無惨。

~技名の元ネタ~

・パンツァーファウスト
言わずと知れたドイツ産の携帯式対戦車擲弾発射器。
強烈な衝撃を打ち出すのが由来。

・カノゥナ・アハティン
口径150㎜のカノン砲。カノゥナはドイツ語のカノン。
パンチの衝撃で砲弾がブチ込まれたが如く対象を穿つ事に由来する。

・ハフトゥラドゥング
対戦車用円錐爆裂穿孔吸着地雷。敵戦車に磁力で張り付き、回避しようの無い無慈悲な爆裂をお見舞いして装甲をブチ抜く。
零距離で放たれ、敵の防御を貫通して内臓に致命的ダメージを与えるウェイヴパンチの性質が酷似している事に由来する。
今更だが作者は某現代忍者さんに絶賛ド嵌まり中である。

・シナプス弾撃
ベターマンに登場するメカノイド、覚醒人が使う技。音声コード《ブレイク・シンセサイズ》の認証で周囲の気体を吸入し、様々な物質を合成して放つ技。
吸入→圧縮→噴射というプロセスが被っていた事に由来。

・ロケットパンチ
言うまでもない。元祖スーパーロボット、マジンガーZの代名詞とも言える技。
鉄拳がとんでもないスピードで突貫していく。やろうと思えばジャマダハルを展開してアイアンカッターも可能。そうでなくとも大体の敵は出力次第では圧力のゴリ押しで粉砕貫通出来る、実は結構殺意高い技。

「急な路線変更いやぁキツイッス。ったくやりたいことつぎ込んで尺が足りねぇから持ち越しだとさ。
すまん読者の皆、次回を待っててくれ。
俺ちゃんはちょっとあの作者(アホ)ノしてくる」
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