僕のヒーローアカデミア~Eの暗号~ Phase2   作:エターナルドーパント

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「ねぇ、何時になったら俺ちゃん出られるの?文も最近会えてないしさ」
『いや、それはマジでスマン。文化祭には出すから』
「言ったな?」
『その代わり前みたく無理矢理突入しないでくれよ?』
「おっけー牧場」


第39話・Fの憤怒/祭・事・当・日 その2

(フランサイド)

 

「ッチィ、避けられたッ!」

高速魔力弾の狙撃も、2度目ともなれば流石に通じないか。

「とっとと追わないとッ!」

鉄骨を抱えて、下の足場に着地。下にあった空気膜は、血刀でブツッと貫き霧散させる。そしてワンフォーオールを脚に溜め、足場の縁を蹴って大きく跳び出した。

それは放物線を描く跳躍と言うより、水平方向への落下と言った方が正しい。ビリビリと風を切り裂き、ジョーカーに迫る。

『ぬォッ!?何と言う速さッ!』

「吸血姫を嘗めるんじゃないよ!」

電柱を踏みつけてポイントジャンプ。出久が訓練で使っていたのを真似してみたけど、意外と簡単に出来た。

「ウッラァァァァァァ!!」

『クッ!』

付き出した抜き手は、ジョーカーの黒いマントを貫くだけだった。マントを使って身体のシルエットを誤魔化し、体幹を逸らしたんだろうね。

そして此処は、既に雄英の山に繁る林だ。チラリと周囲を見れば、木の陰から複数のT2マスカレイドが此方を窺っていた。

(30、いや20分で良い!私に任せて!)

手早く手話で要求を伝えると、マスカレイドは黙って頷き、走り去った。

これで、少なくとも京水姉さんには伝わった筈。ルナドーパントの能力で生み出した分身の状況は、ある程度分かるって言ってたし。

ジョーカーの方に向き直ってみれば、都合よくマントが目隠しになって見えなかったみたい。

『ぬぅ、君の個性は退却時まで取っておきたかったが、背に腹か』

何かゴチャゴチャ言ってるけど、何をさせる訳にもいかない。

眼に魔力を流し、魔眼を発動。正面に壁用、左上に着地用の空気膜。しっかりと場所を確認して、右前方に飛び込む。

ジョーカーは当然、私に向けて空気膜を張った。でも、狙い通り。

私は右手の血刀を分解し、鎖分銅に再構築。小振りな分銅部分を指に挟み、ワンフォーオールで発射する。狙いは、正面にあった壁用空気膜!

「うりェェッ!!」

『ゴハァッ!?』

分銅は膜の隙間を通って、壁にぶつかり反射。それを無理矢理鎖で引き戻せば、ジョーカーの右脇腹を狙い通りに分銅が打ち抜いた。

「捕縛ッ!」

『ぬぅッ・・・』

「きゃっ!?」

更に鎖を細かく糸状にバラし、ジョーカーを雁字搦めに捕縛。そして左手からも細い血鎖を出し、ラブラバを縛り付ける。

「チェックメイト、だよ・・・すぐ、警察に引き渡すから・・・もう、諦めて。メモリも、渡して」

説得しつつ、嫌な予感が頭から離れない。だって、呆気なさ過ぎるんだから。

ここで引き下がる訳が無い。そんな、嫌な確信があった。

「ジェントル――――

 

――――愛してるわ」

 

―ビキッ ビキバキッ―

 

「ぐっ!?」

ラブラバが愛を囁いた瞬間モヤが吹き出し、ジョーカーに纏わり付く。すると縛っていた鎖が軋み、悲鳴を上げ始めた。握っている手にも、凄まじいパワーが伝わる。

『あぁ、ありがとうラブラバ・・・私もだともッ!』

 

―バキィンッ―

 

「うがっ!?」

遂に、ジョーカーを縛っていた鎖が砕ける。そして刹那の後、地面に叩き倒されていた。

『済まない、お嬢さん。力ずくの解決は好みじゃないから―――

 

―――こういう所は何時も、カットしているんだ。

暫し、眠ってくれ給え』

「ごめんね、フランドールちゃん。最後に必ず――――」

 

―ガンッ―

 

「――――()()()()のよ」

 

・・・今、この女・・・何と言った?

『ッ!?この少女、腕で防いでッ!?』

今し方この女が発した言葉と、首を狙い打ち込まれた手刀を防いだ腕の痛みが、私の精神を焚き付ける。

「愛は、勝つ・・・だと?」

脳が、五臓が、六腑が、煮え滾り吹き零れる。

愛が勝つなら、何だ?要するに、()()()()()()()、とでも・・・ほざくつもりか、この女はッ!!

「巫山戯るな・・・ッ!!

 

巫山戯るなよッ!私だって、なぁ!!愛してる男から、託されてんだよォッ!!」

 

視界が紅く染まり、心臓が跳ね回る。そして私は右手の指を首に、首に着けたクロムウェルIIのスイッチに掛けた。

 

「拘束制御術式、3号、2号、1号、解放ッ!」

 

―カチッ カチッ カチッ―

 

1つずつ指でスイッチを弾き、封印を解除して行く。あの夜と同じように翼が裂け、闇色が噴き出した。

 

―バキンッ バキンッ―

 

そして翼が腕と変異し、肩に巻かれた魔封鎖(カテナ)を引き千切り砕く。

 

「ぶっつけ本番、危険も未確認!然れどやらねばやられるだけッ!だったら賭けてやろうじゃないッ!!」

 

封印から解放されたショルダーは、そのまま紅の翼となった。バキバキと広がり、身体を包んでしまえる程に巨大化する。

『どうやら、やるしかないらしい』

「そうね。でも大丈夫。私達なら、乗り越えられるわ」

ジョーカーの腕に抱かれながら、彼女はメモリを取り出した。

【エクストリーム!】

「ッ!依りに依って、それかッ!!」

首元にメモリを挿し、彼女は虹色の光を纏う。そして人の姿を保ったまま、背中に天使のような翼を生やしたドーパント態になった。

同時に、先程からジョーカーに纏わり付いていたモヤがキラキラと輝く虹色のエネルギーに変わる。

「・・・言わないよりゃ、マシか。

一応言っとくよ。今すぐメモリを棄てて。でないと、命の保証が出来なくなる。

笑い方を知らない子に、笑顔を教える為のパフォーマンスをするんだ。そんな日に、殺しなんてしたくない」

『何度でも言おう、お嬢さん。我々は、決して諦めない』

「はぁ・・・仕方無い、か」

もう、説得なんて考えない。全力で、潰しに行く。

 

―――禁忌・フォーオブアカインド―――

 

「「「「コンティニューはさせないよ」」」」

『元より一発勝負のつもりだ!』

3人の分身と共に、ジョーカーに飛び掛かる。その内1人は、バフを掛けているであろうアタッシュケースを抱えたエクストリームに突貫。

『ぬぅッ!ラブラバッ!』

やはり、ジョーカーはエクストリームを逃がすように投げ飛ばした。そして同時に、バック宙しながらムーンサルトで分身の顎を打ち抜き、一発で消滅させる。

「あーあ、一発KOか。本体より防御力は下がってるとは言っても、ガイアメモリで強化した吸血姫の身体なんだけどねぇ?」

『ジョーカーメモリは想いによって力を増す事はご存知だろう。だがそれがどうやら、自分のモノだけとは限らないようでね。このラバーモードによって流れ込むラブラバの愛もまた、ジョーカーの力を引き上げてくれるのだよ』

「良い事聞いたッ!」

 

―ゴウッ―

 

再び踏み込んでレーヴァテインで薙ぎ払ってみるが、バックジャンプで軽やかに避けられてしまった。

 

『Good Morning!!準備は此処まで、いよいよだッ!!』

 

「ッ!始まった!」

 

―ドゴンッ―

 

「あっ!」

『失敬、隙があったものだから、ついな』

プレゼントマイクのアナウンスに気を取られた隙に、また1人分身が消されてしまった。油断しちゃったな・・・

『更に、トウッ!』

「ぬわっ、またエアボーラかッ!」

またしても空気膜を投げ付けてくるジョーカー。しかも念入りに6個もだ。

「でも、これぐらいならすぐ―――」

『すぐ切れる、か?だがそれで十分だ』

 

―ガッ ドグッ―

 

「がッ~!?!?」

けしかけた最後の分身も手刀で肋骨を粉砕されて消滅。その勢いのまま、ジョーカーは私の腹に蹴りを叩き込んできた。

内臓全部が揺さぶられ、後ろに打ち飛ばされる。木に直撃して止まった時、肺も空気を無理矢理吐き出させられた。

「ごっはっ・・・ぐぁ・・・っ」

衝撃が脊髄から脳まで突き抜け、視界がチカチカと明滅する。それ程までに、ジョーカーの一撃は重く突き刺さった。

『行こう、ラブラバ』

『えぇ、ジェントル』

 

(NOサイド)

 

(お、追い掛け、なきゃ・・・ダメだ。お腹の中で、内出血を起こしてる・・・血が、抜け・・・!そうだ、()()!)

「う、ぐぅぅりゃぁ!!」

『『ッ!?』』

翼腕で木の枝を掴み、通常魔力弾を放ちながら身体を無理矢理中腰まで引き起こす。そして何とか魔眼を発動し、自分の身体を見下ろした。

(腹筋郡、背筋、及び腹斜筋から出血中・・・止血!溜まった出血は、速やかに血管内に再吸収!

骨格・・・極軽度の亀裂骨折、複数・・・血液を優先的に循環させて完治!

内臓・・・全体的に軽度のダメージ!出血に至る損傷無しッ!

横隔膜及び肋骨、筋膜痙攣発生中!血管ごと血液を操作して、無理矢理正常稼働再開ッ!!)

「まぁぁだぁぁぁッ!まだァァァァッ!!」

翼腕で木の幹を気付け代わりに握り潰し、それを力任せに投げ付ける。

スレスレで躱されたものの、明らかに2人は動揺していた。

『ば、バカな・・・ラバーモードによる本気の蹴りだぞ!?』

『そんな・・・あぁ、ごめんなさい、ごめんなさいジェントル!愛が足りなかった!』

『・・・否ッ!君の想いが足りなかったなどと、誰が証明出来ようッ!!』

何かアイツら盛り上がってるけど、早いとこ決めないと此方がヤバい。

「いい加減ッ!止まれよッ!!」

『止まらぬよッ!ジェントリーサンドイッチッ!!』

「うごっ!?」

鳩尾を狙った前蹴りを避けられ、更に上から大量の空気膜を叩き付けられてしまった。

『サンドイッチとは本来、薄ければ薄い程上品とされる食べ物。故に、幾重にも重ねるのは好みじゃない。

しかし、そうまでしても叶えたい。中年の淡い夢だ。

 

歴史に、後世に!名を残すッ!これより未来、()()()()()()!私の生き様に想いを馳せ、憧憬するッ!

この夢、もはや私1人のものではない!諦めろと言われ、おいそれと諦められる程、軽いものではないッ!!』

 

ジョーカーの熱弁に耳を傾けながら、キヴァは翼腕の手の甲の眼で空気膜の破壊の目、物質崩壊点を探す。

『君も雄英生なら、この夢に焦がれる想い、お分かり頂けよう』

「ウッラァ!!」

全力で凝視した事で見つけ出した全ての空気膜の物質崩壊点を翼腕で突き破り、拘束から脱出。ジョーカーに拳を振るった。

「其処まで分かって尚文化祭かッ!!夢の為なら、皆の努力と準備を、絆をッ!十把一絡げに踏み躙れるのかッ!!」

『それはもう、そういうもんだろうッ!!』

拳同士がぶつかり合い、お互いに吹っ飛ぶ。

「夢の為なら、笑い方も分からない哀れなGirlの笑顔もッ!魂を注ぎ込んだ祭りもッ!!踏み潰すのかッ!!」

『夢を叶えるとはそう言う事だッ!!』

右回し蹴り同士の衝突。何とか押し勝つ。魔封鎖に縛られた鎧がある分、キヴァに軍配が上がったようだ。

『勝って、ジェントルッ!』

『はぁァァァァッ!!』

「クッ!」

キヴァはジョーカーの拳を掴み、何とか受け止めた。しかし、感情の昂りとエクストリームのバフのせいで、出力で押し負けている。

更に左手も掴み合い、押し比べになってしまう。

『問おう!ヴァンパイアプリンセスッ!君は何の為に、ヒーローを志すッ!?』

何の為に?決まっている。あぁそうだ、決まりきっているとも。

 

「惚れた男の背中を支え、一緒に弱者を救う為だッ!!出久が何時か語り聞かせてくれた、真の英雄(仮面ライダー)達みたいにッ!!

そして、救われぬ者に、救われるべき者にッ!光の、笑顔の救いを与える為だッ!!」

 

キヴァは翼腕を地面に突き立て、ギリギリと押し返す。

感情で強くなるのは、ジョーカーだけの専売特許では無い。寧ろ、魂に力の根源を依存する吸血鬼こそ、精神的な強さがそのまま物理的な強さに変わるのだ。

(ジェントル、信じるわ!貴方が負ける筈が無いって!だから私も、出来る事をッ!!)

ジョーカーとキヴァの戦闘を尻目に、エクストリームは持っていたアタッシュケースを開いた。

中身は、この日の為に特別に組み上げたパソコンとハッキングソフト。特殊な電波通信により、雄英のセキュリティを麻痺させられる代物だ。

しかし、今の位置ではギリギリ圏外である。

(もっと、近付かないとッ!!)

エクストリームは、山を登り走り出した。己の役割を全うする為に。

だが・・・

 

―ギャオンッ―

 

『きゃっ!?』

それを赦さない者が、突如として風の刃を放った。

その鋭い圧縮空気の刃は、特製のパソコンごとエクストリームのエネルギーを削り取る。

『う、嘘ッ!?そんな、これじゃ・・・「悪いな、お嬢さん」ひっ!?』

茂みの奥から、翠の戦士が現れる。

「此処より先は、通行止めだ」

肩から延びる銀のマフラーを首に巻き付け、抜き放ち風を纏わせた刀を右手に握る仮面ライダー―――――サイクロン。

更にその後ろには、ヒートドーパント、メタルドーパント、ルナドーパント、そしてスルトとネクロを両手に握ったトリガードーパントまでもが続く。

(いや・・・いやッ!)

『逃げてジェントルッ!ヒーローがすぐ其処まで―――ッ~!?』

掛け戻ったエクストリームが見たもの。それは、銀の右足でジョーカーを下した、キヴァの姿だった。

 

(フランサイド)

 

「一番、戦いにくかったよ。ジョーカー・・・いや、ジェントル・クリミナル」

【タブー!マキシマムドライブ!】

『ぬアァァァァァァァッ!?』

マキシマムで右脚の魔封鎖を砕き、ヘルズゲートを解放。キバの紋章が浮かび上がった脚で、ジョーカーの背中を踏みつけた。

マキシマムのエネルギーがジョーカーの身体を駆け巡り、強制変身解除。辛うじてほんの少し残っていた虹色のエネルギーも霧散する。

『い、いや・・・放してッ!!ジェントルを放してよッ!!』

涙で顔をグシャグシャにしながら、ポコポコと殴ってくるエクストリーム。だが、味方へのバフだけが能力なのか、ライダーの鎧越しには全く通らない。

『ジェントルが心に決めた企画なのよッ!大好きなティーブレイクも忘れて準備してきたのッ!

放せッ!何が救いよッ!!私を救ってくれたのはジェントルだけよッ!!ジェントルだけが私の光よッ!!』

・・・何だ?この女・・・何を、言っているんだ?

少しずつ冷え治まってきていた筈の(ハラワタ)が、再び煮え立ち始める。この女の、余りの意地穢(いじきた)なさ・・・そして何より、身勝手さに。

『ジェントルが私の全てよッ!!ジェントルを奪わないでよッ!!』

「ッ!だま―――――」

 

「――――黙れェ!」

―ギャインッ―

 

『がっ!?』

私がこの女の首に爪を振るう寸前、克己兄さんが天之尾羽張で薙ぎ払った。そして首に押し付け、木に叩き付ける。

「・・・フラン。言ってやれ」

「・・・うん、ありがとう」

克己兄さんが私の代わりに激昂してくれたお陰で、逆に少し頭から血が抜けた。

あぁ、危ない。こんな下らない事で、危うくこの女を殺す所だった。下らない血で、笑顔を与える為のこの身体を穢す所だった。

「おい、聞け」

『がふっ!?』

克己兄さんが天之尾羽張を引くと同時に、私は再度封印を施された右足で再び木に縫い付ける。

「アンタ達は、私達の文化祭と言う希望を、潰そうとしたんでしょ?踏み躙ろうとしたんでしょ?

あぁ、そうなれば素敵だね。最悪さ。今までの準備も、計画も、団結も、練習も何もかも!ものの見事に、台無しさ・・・

動機がどうであれ、アンタ達はそれを為そうとした。希望を奪い、無残な残骸にしつくそうとしたんだ。

・・・聞いてるの?ねぇ?」

 

―ギリッ―

 

『うぐッ!?』

私の脚圧から逃げようとジタバタ抵抗するエクストリームに対し、逃がさないと言う意思表示を込めて強めに踵を捩り込む。

どんなに涙目になっても、どんなに泣き喚いても、哀れみなんてちっとも湧いてこない。寧ろ、もっと苦しめてやりたいくらいだよ。

「・・・それでさ。私がした事は只の自己防衛だし、その結果アンタ達に降り掛かる現実だって、アンタ達が私達にしようとした事と全く同じ。

アンタ達が私達を踏み躙ろうとしたから、私はそれを迎撃し蹂躙し返した。ただそれだけよ。何も変わらないわ。どんなに大事な計画だったとしても、希望を手折られて苦しくても、知ったこっちゃ無い。自業自得でしか無いんだもの。そうでしょう?

で?アンタはそれをエベレスト越えるような上空遥か彼方まで棚上げして・・・何て、言ったんだったっけ?」

牙を剥き出し、血走っているであろう眼をこれでもかと見開いて睨んだ。エクストリームの顔は、恐怖と苦痛と絶望に歪んで、グチャグチャになっている。

「あぁそうそう・・・()()()()()()()()()、だったよね・・・

 

嘗め腐るのも大概にしろよッ!!」

 

―ゴウッ メキメキャッ―

 

肩の翼が突風を生み、翼腕が木を数本握り潰す。

堪忍袋の緒は切れた。

「自分は!他人様(ひとさま)に迷惑を掛け倒した挙げ句!希望を侵そうとしておいてッ!いざ自分が奪われる側に立ったら?みっともなく命乞い!?

脳内お花畑処か、もう蜂蜜漬けのジャムじゃないッ!!虫酸が駆けずり回るぐらい、甘ったるいったらありゃしないのよッ!!

私は言ったよね?諦めろって、何度も何度もッ!でもアンタ達は、その警告を無視して汚い土足で踏み込んで来たでしょ!?

その時点で既に、アンタには希望を抱く資格も、夢に破れたと泣く権利も!ありゃしないのさッ!!」

『うるさいうるさいッ!ジェントルは受け入れてくれたのッ!!だから私の全てを捧げるって誓ったのッ!!』

何だ、何なんだ、この女は。懇切丁寧に説教してやったら、今度は癇癪?

もう、知らない。コイツがどうなろうが、知った事か。

「ああ、そう。じゃあもう良いわ。

その幼稚な頭に言っても聞かないなら、メモリを叩き出す序でに―――――魂に直接、教え込んであげる」

【タブー!マキシマムドライブ!】

 

―バギャンッ―

 

再び右脚の魔封鎖が砕け、ヘルズゲートが解放。其処から紅い霧状の魔力が噴き出し、エクストリームに突き刺さる。

『あ・・・っ~!?ギャァァァァァァァッ!?イヤッ!!イヤァァァッ!?』

そして私の怒りと憎悪と殺意のありったけを、魂魄を焼き焦がす苦痛として流し込んだ。

ビクビクと痙攣して白眼を剥き、エクストリームは力尽きる。首元から排出されたメモリが、コトリと地面に落ちた。

「さぁ―――――

 

―――――地獄を、楽しみなさい」

 

自然と、私は冷酷にサムズダウンしていた。

この女に心からの侮蔑を込めて、鋭く嘲嗤いながら。

「克己、これ」

「ッ!T2だと!?」

レイカ姉さんが拾い見せたジョーカーメモリとエクストリームメモリを見て、克己兄さんは驚く。

「これは・・・出処を聞き出す必要があるな」

 

「あぁ、精々頑張るがいいさ。どうせ無駄だがな」

 

「「「「「「ッッ!?」」」」」」

頭上から声。慌てて見上げるが、木の葉に遮られ何も見えない。

「返して貰ったぞ」

「何ッ!?」

今度は背後から声。振り向くと、フードを深く被ったローブの女が立っていた。左手に、今し方回収した筈のT2メモリを持って。

「何時の間にッ!」

「おいおい待て、私は争いに来た訳では無い。用は済んだ。お(いとま)させて頂くよ」

「逃がすかッ!」

克己兄さんが居合斬りを繰り出すが、切っ先が当たる寸前で、女は消えてしまった。

「クッ・・・逃がしたものは仕方無い。フラン、コイツらは俺達が照井に引き渡しておく。早く出久の所に行け。今、9時半だ。10時からだろ?」

「わ、分かった!ありがとね、克己兄さん!」

「気にするな」

変身を解除しクロムウェルIIを掛け直しながら、私は走り出す。

あぁ、喉が渇いた。帰ったら少し、出久から血を貰おう。

 

to be continued・・・




~キャラクター紹介~

フランドール・スカーレット
現状最強の吸血姫。出久の嫁にして主。
ラブラバが見事に地雷を踏み抜き、人生最高にブチギレた。大体ラブラバとは合わないタイプだろうし。
ラバーモードのジョーカー相手に何故真正面から勝てたかと言うと、実は籠っていた気持ちがフランのモノだけではなかったから。それらはボンヤリしていたが、その分単純に数があったのでエクストリームで更に強力になっていたラバーモードとも対等に戦えた。
タブーのマキシマムによって、ジョーカーとエクストリームを撃破。しかも相手の中に自分の感情から生まれた攻撃性の魂の欠片を無理矢理注入するというえげつない技を編み出しちまった。
やっちゃったぜ☆

大同克己
仮面ライダーサイクロンとして参上し、ラブラバのPCを一発でぶっ壊すというファインプレーを見せた。
希望の為に足掻く奴は大好きな彼だが、自分の事を棚上げする輩は例外だったみたい。
フランが暴走しないよう、わざとフランの目の前で激昂して見せた。

ジェントル・クリミナル
ジョーカーメモリの適合者。
素の身体能力に加え、夢に掛ける情熱で更に強いジョーカーになっている。
やろうと思えば、空気膜でHUNTER×HUNTERのヒソカのバンジーガムみたいな事も出来なくは無いが、そんな余裕が無かった。
気持ちの昂りで強くなるという性質と、相方の個性である愛情によるブーストの相性が良すぎてえげつない強さになっていたが、そもそもメンタルがフィジカルに直結するのは吸血鬼、それも真相であるフランも同じだったので互角の勝負をした。
決まり手はストンプキック。エネルギーを素早く流し込まれ、メモリが弾き出されると同時に意識を刈り取られた。

ラブラバ
エクストリームメモリの適合者。フランの地雷を踏み抜いた子。
単体では効果を発揮せず、他者と組み合わさる事でその力を何倍にも引き上げると言うまんまエクストリームメモリな能力をしていたので、安直ながらエクストリームに。
ドーパント態の特質でラバーモードのブーストが更に強力になるが、其方にリソースを全振りしたせいで身体能力は生身と変わらない。
実際ダブルのエクストリームの敵の閲覧能力もメモリじゃなくフィリップの地球の本棚を引き伸ばしたモノだし、実はそんな特別な能力は無さそうなので。まぁ専用武器の生成とかはあるけど。
フランの言う通り、あり得ない程脳内がお花畑。しかもプロレベルのストーキングスキル、ハッキングスキルを独学で習得すると言うとんでもない才能を持った天才タイプだから余計に質が悪い。忠告無視して制裁を受けたら今度は逆ギレとか庇いようが無い。
因みにフランの悪意を護りようが無い魂に打ち込まれたが、死んだり発狂したりはしない。ただ、眠りに就く度に今までの行いに対する非難や罵倒を浴びせ続けられると言う悪夢を見るようになるけど・・・まぁあんだけやらかしといて、命があるんだから安いもんだよね?
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