僕のヒーローアカデミア~Eの暗号~ Phase2 作:エターナルドーパント
「漸くかッ!!待ちに待ったぜデップー行きまーす!!」
『そして皆様お待たせしました!メリークリスマス!』
(出久サイド)
「出久!三奈ちゃん!」
「戻ったか、フラン!」
「お帰りフランちゃん!」
「ただいまぁ~!早速だけど血ぃ頂戴!」
ステージ裏。パフォーマンス衣装に着替え、最終チェックをしているタイミングで帰って来たフラン。その勢いのまま俺に抱きつき、首筋に犬歯を突き立て吸血を始めた。
「お疲れ様。お使いは出来たかな?お嬢様」
「うん!バッチリ買ってきた!」
フランは首筋から口を離し、腕の中からゾルッとレジ袋を取り出す。
「・・・よし、全部注文通りだ。ありがとうな」
「えへへ~♪」
照れて笑うフランを撫でながら、俺はマルチミネラルゼリーパックで鉄分を補給する。今朝も血をやったからな。流石に厳しい。因みに今日はこれで3本目だ。
「すまん、遅れたか?」
「いや、まだ大丈夫だ兄さん。お疲れ様」
そして、敵を捕縛し警察に受け渡した兄さんも戻って来た。
「しかし、やはりあの男と話すと、少し懐かしい気分になるな」
「あぁ、竜兄さんな。確かに、原点のアクセルにそっくりだしな」
そんな事を話しながら、兄さんは専用に調整したマイクを握る。観客席をチラリと覗いてみれば、見事に満席だ。しかも、デップーや鈴仙もいる。関係者として入場が許可されたんだろう。
「よし!それじゃあ行くかッ!」
『応ッ!』
士気は上々、気合いも充分。さてさて・・・
「抜いてやるかね、皆様の度肝!」
「呼んだ?」
「あ、すまん三奈。お前じゃない」
締まらねぇなぁ畜生・・・
(NOサイド)
消灯された体育館。観客席に座るミリオ達はワクワクと心踊らせ、壊理は少し不安なのかミリオにしがみついている。
「いやー楽しみだなぁ♪」
観客席の更に後ろの通路で、プレゼントマイクが相澤に呟いた。
「お前、とっとと持ち場に戻れ。パトロール中だろうが」
「良いじゃねぇの、ちょっとぐらいさぁ!」
プレゼントマイク、まさかの堂々職務放棄、つまりサボり中である。後々始末書を書くだけで済むのだろうか。
「他科の2年や3年の中には、雄英の現状への不平不満をA組に向けてる奴らもいる。端から楽しむ気なんざ更々無い奴らの目に、お遊戯同然に映らなきゃ良いが・・・」
相澤が一抹の不安を抱く中、ステージの幕が上がった。
生中継配信、開始。
『最初に言っとくぞ』
インカムマイク越しに、爆豪のドスを効かせた声が響く。
『俺らがやるライヴは、楽しむ気のねェ奴らの事なんざ考えねェ。こんなの突き詰めりゃ、只の自己満足なんだよ。テメェらがハシャごうがシラケようが、此方にゃ関係ねェ!
良いかッ!俺らにゃこれ以上、前フリなんざねェ!!最初から最後まで、徹底的にフルスロットルの全力疾走だッ!!楽しみてェ奴だけ、死ぬ気で着いて来いやァッ!!』
―BBBBBBOM!!―
爆豪が爆破で火柱を上げ、それを合図に常闇がエレキギターを掻き鳴らす。
継いで爆豪がドラムを打ち鳴らし、耳郎がマイクを握った。
「宜しくお願いしまァァァすッ!!」
―――――雨上がり Break Cloud 隙間から、青空が手招きしてる。All Right!そろそろ、行こうか!
腹から響く明るく力強いハスキーボイスで、耳郎はSURPRISE―DRIVEを歌う。
同時に、レイア筆頭のダンス隊が前に飛び出し踊り始めた。
戦闘訓練が下地となったキレのある動きは、練習により更に結束と切れ味を増している。
「Go!レーザーGo!」
「ウィ☆」
「うっりゃ!」
そしてフランとヒーローコスチュームを着た青山が中央にステップし、血の触手で青山を打ち上げた。青山は空中で身体を捻り、四方八方にレーザーを撒き散らす。
「おースゲェ!」
「人間花火かよ!」
この派手な演出に、観客席は大きく沸き上がった。落ちてきた青山はフランがキャッチし、再びダンスに加わる。
―――――Fire Up!Ignition!ヘヴィーなプレッシャーぶッ壊して、アクセル踏み込めッ!!
『『サプ~ラ~ィズ!!』』
瞬間、四方に舞うクラッカーの紙吹雪と、伸びる氷の道。
轟が瀬呂のテープをガイドとして作ったそれの上を、フランと麗日を乗せたエターナルボイルダーが駆ける。
「楽しみたい方ハイターッチ!」
更に麗日はサドルから飛び、フランが血の触手で引っ張る。
10人以上の生徒が手を上げ、麗日が次々とタッチ。個性で全員無重力化し、ファラが風圧操作で瀬呂が飛ばしたテープを使って氷の道に観客を固定する。
その間にボイルダーはステージに戻り、ギター係の上鳴とレイア、そしてミカを無重力化させた。
「我々に地味は似合わない!故に我らも派手にやる!」
「派手派手花火、ブッパだゾ!」
ミカは掌から白熱化したカーボンロッドを、レイアは音速に迫る投げ銭をそれぞれ放つ。炭素の結晶はレイアが放ったコインに砕かれ、瞬時に燃焼し花火となった。
その紅い花火の元、上鳴はギターを掻き鳴らす。
―――――All we need is 'DRIVE'!
「何時だってそうさ。目を伏せて、傍観者気取っていれば♪」
そして2番からは、赤メッシュの付け毛を前髪に着けた克己が加わる。
克己と耳郎のデュエットは、代わる代わる歌ったと思えば今度はハモり、かと思えば今度は片方が先行しもう片方が追い掛けるというトリッキーなもの。変則的な歌声の掛け合いはしかし、聴く者を魅了するには充分過ぎる程に美しい。
―――――SURPRISE!今、時代がDRIVE!
再びサビに入り、今度は克己がメインで歌う。
周囲の熱が伝播し、彼の肌にはうっすらと汗が光っていた。
その頃には観客のウォーミングアップも進み、最初は楽しむ気が無かった者もすっかり場の熱に呑まれている。
―――――トップギア回せ・・・ッ!All we need is 'DRIVE'!
「Ah~・・・瞬き、してたら・・・チャンスも、見失うッ!」
「タフなァ~運命でッもォォ!」
「「Baby kick on DR~IVEッ!」」
完璧に重なる声。打ち付け合う拳。ステージのボルテージは最高潮となり、観客席にいた壊理の顔が、遂に眩い笑みと染まった。
「「SURPRISE!世界中がDRIVE!」」
「Feeling high!目覚めるような~♪」
「始まる、運命には・・・バックギアは、無い・・・!」
「SURPRISE・DRIVE!」
「SURPRISE・DRIVE!」
「シグナル、変わる時―――――」
荒い息を吐きながら、歌いきった耳郎。一拍遅れて、体育館は拍手喝采に包まれる。
耳郎は一息吐き、一礼。するとライトが落とされ、ステージが暗転する。
「ど、どうしたのかな?」
「何だろうね?エリちゃん」
ザワつく観客席。しかし次の瞬間、その空気は切り裂かれた。
「「「変身ッ!」」」
―――激凍ゥ心火ァ!グリスッブリザァァドッ!
ガァキガキガキガキガッキィ~ン!!―――
―――大義晩成・・・プライムロォォグッ!
ドリャドリャドリャドリャドッリャァァァァ!!―――
―――極熱筋肉ゥ!クロォズマグマァッ!
ア゙ァチャチャチャチャチャチャチャアッチャァァァウッ!!―――
緋色の炎。水色の細雪。そして黄金色のパイプ。
それらが闇の中で弾け、八百万がキーボードでイントロを演奏し始める。
―――――大切な人達を・・・
―――――護りたい、それだけ・・・
―――――それだけで、戦える・・・
「「「負ける気が、しないよ、今・・・ッ!」」」
グリスブリザード、プライムローグ、クローズマグマと順にスポットライトが当たり、最後にグリスが掌を爆破。白く輝くダイヤモンドダストを撃ち放った。
―――――誰の為に生きる?誰の為のチカラ!
―――――誰の為に、戦う?
―――――この手で今を護り抜くよッ!
―――――壊れかけた街で、壊されない想い
―――――抱きしめるよ、願いを。心は誰も奪えない!
グリスは掌底とキックを、クローズはパンチを多用したバトルスタイルのようなダンスを躍り、ローグは祈るように歌う。
熱く激しく戦うグリスとクローズ。その真ん中で祈るローグは、異色でありながら不思議とベストマッチしており、場面が引き締まっている。
――――大切な人達を!
―――――護りたい!それだけ!
―――――それだけで、戦える・・・
「「「負ける気がッ!しないよッ!今ッ!」」」
そして、クローズはソレスタルパイロウィングで、グリスはヴァリアブルアイスの噴射で飛行を開始。迸る火の粉と細雪が舞い、眩い光が乱反射する。
「「燃え上がる、この想いの果てッ!見える!世界ッ!取り戻せッ!」」
「負けない情熱がッ!焔になる!願いと!」
クローズとローグのハーモニーの後に、熱いシャウト気味のグリスのソロ。
【シングルアイスッ!ツインアイスッ!】
クローズとグリスが、ビルドドライバーのボルテックスレバーを回す。ドライバーのリアクター内でボトルの成分とエネルギーが増幅され、全身から陽炎と霧として噴き出した。
「「BURNING MY SEOULッ!」」
【ボォルケニックッフィイ゙ニッシュゥッ!!】
【グレイシャルフィイ゙ニッシュゥッ!!】
エネルギーが最高潮に達し、マグマの龍と氷山の拳がぶつかり合う。対極の熱エネルギー同士の衝突により、周囲は蒸気で真っ白に染められた。
【プライム!クラックアップフィニッシュッ!】
「BURNING MY SEOULッ!」
そしてその白い霧を、黄金の
再びライトが落ち、ステージが暗転する。輝く粒子は小さく砕け行き、観客席から喝采が起こった。
それは体育館に限らず、生放送を行っている各動画サイトでもコメントの嵐である。
「す、スゲェなぁ・・・」
シンフォギア世界。S.O.N.Gの司令室モニターにて、雄英1-Aのライヴを視聴していた。
まず感嘆の声を漏らしたのはクリス。他のシンフォギア装者や風鳴弦十郎、オペレーターやエルフナインも同様だ。
「言わば、仮面ライダーの力の完全平和利用と言った所か」
「と言うか、シレッと俺の自動人形も参加していたな。全く仁の奴め、何処に遣ったかと聞いてものらりくらりと躱していたのはそういう事か・・・」
新たなホムンクルスの躯体を得たキャロルが、憎らしげにボヤく。
神と勝負を着けた後、何も言わずに何処かへと消えた仁。今や何処にいるかは作者も知らない。
「それはそれとして、前に出久が言ってた事ってマジだったんだな。世界人口の8割が超能力者って・・・」
「確かに、これはヒーローって言うお仕事も必要だよね」
奏の呟きに、未来も出久から聞いた話に納得を示した。
『えー、諸君。俺が緑谷出久。このライヴのリーダーだ』
殆ど真っ暗な画面の中で、出久の声が響く。観客席は当然ざわつき、装者達も出久を探す。
『姿を隠して上から喋る無礼を許して欲しい。今からとある歌を歌わせて頂くのだが・・・何とその歌を最初に歌った偉大なアーティストと、テレビ電話が繋がっている』
「は?」
「え?」
「何?」
出久の言葉に、装者達は鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をした。当然だろう、何も聞かされてないのだから。
―ピロロロロロ!ピロロロロロ!―
そして突如鳴り出すアラーム。通信待機中を示すそれは、本部のコンピューターから鳴っていた。
「ど、どうします指令!?」
「・・・許可する」
「良いんだ・・・」
「では、繋ぎますね・・・」
エルフナインが通信を開始し、映像内のステージのバックスクリーンに装者達が映る。
『よう。俺達のライヴ、楽しんでくれてるか?』
「あ、まぁ楽しんでるぜ?こんな予想外も含めてな」
返事をしたのは奏。流石に急過ぎて驚いたのか、少し皮肉っぽく返した。
『楽しんでくれてるなら結構。苦労してそっちに繋いだ甲斐があった』
出久に皮肉は効かなかったらしい。
「ほら翼も、此方来い」
「え?わ、私も?」
「こん中でアーティストっつったらあたしらしかいねぇじゃん」
そう言って、奏は翼を引っ張り寄せて中央に寄せる。
『えー、彼女達が言う通り、このやたら顔面偏差値が高い美少女集団の中にいる赤い人と青い人がアーティストだ。天羽奏と風鳴翼。2人揃ってツヴァイウィング。
まぁ知ってる人いないと思うけど』
「身も蓋も無い事言ってないで本題に入れー!」
『あぁすまん。単刀直入に言おう。
響が非日常に片足突っ込むとかすっ飛ばしてスキューバダイビングし始める切っ掛けになった、あの曲を歌わせて頂こうと思うのだが・・・良いかなー?』
「どんな語彙だよ」
そう言いつつ、奏にとってそんな曲は1つしか思い当たらない。それは翼も同じだったようで、奏に対して目配せしてきた。
「・・・答えは、決まってるよな?翼」
「えぇ、勿論」
2人同時に息を吸い込み、問いに答える。
「良かろうッ!」「良いともーッ!」
「・・・ぷっ」
「そこ合わねぇのかよ・・・っ」
相棒ながら、何とも息の合っていない答え。装者達だけでなく、ステージにも笑いが起こった。
『じゃあ、遠慮無く歌うぜ。所々アレンジしてるから、楽しんでくれよな。
それではお聞きください。ツヴァイウィングより―――――
―――――逆光のフリューゲル』
to be continued・・・
キャラクター紹介
フランドール・スカーレット
出久の第二夫人の吸血姫。
お使い帰りで早速ステージに上がり、原作で出久が担当した青山の打ち上げを行った。吸血姫のスタミナ故に為せる技。
緑谷出久
我らが化物主人公。
前半ではステージに全く上がらず、まさかのタイミングで異世界とテレビ通話開始。やる事がブッ飛んでる。
今回は殆ど書くこと無いので、次回をお楽しみに。
ビルド組
かっちゃんグリスを筆頭に、3人でBURNING MY SEOULを熱唱。ライダーシステムを飾りに全振りした結果、空飛び回るわドラゴン出てくるわ、最後のオオトリが鰐だわの混沌を極めたチームコーナーとなった。
ギリギリクリスマス。間に合わせようとした結果、めっちゃ引っ張る切り方になりました。
では、メリークリスマス。