僕のヒーローアカデミア~Eの暗号~ Phase2   作:エターナルドーパント

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「出番の無さに泣く男!デッドプール!」
『次回辺り出してやる予定してるから』
「透明な二枚舌じゃねぇだろうな?もしそうならお前の見えてる舌を引っこ抜いてやる」
『分かってるよ・・・』


第46話・Fの吸血姫/滲色血界

「レミリア・・・」

回収したサガークを撫でながら、出久は病室のベッドに寝ているレミリアを見詰める。

ダイヴを撃破した後、フラン達が救出してくれたのだが、それからレミリアの意識は戻っていない。

三奈とフランは、それぞれ警察と紅魔館に報告しに行っている。出久は自分が行くと言ったのだが、フランに止められた。

『Rぇ美lいaぁ~・・・』

「お前も心配か、サガーク」

キュルキュルとディスクを回転させ、暗いトーンの声を発するサガーク。このガジェットには、犬や猫程度の人工知能が搭載されている。簡単な喜怒哀楽はあるのだ。

「ん・・・」

「!」

小さく唸り、身動ぐレミリア。出久は思わず、ベッドの手摺を掴んだ。

「ぃ・・・いや・・・っ!」

「レミリア!」

「ぇ・・・いず、く・・・?」

悪夢でも見たのか、紅い眼を潤ませながら譫言のように呟くレミリア。夢か現か、未だ分かっていないようだ。

「起きたか。もう大丈夫だ。アイツは居ない」

「あ・・・あぁ・・・」

「おっと」

小さく安堵の溜息を漏らして、レミリアは出久に寄りかかり、抱き締める。

しかし、今尚その身体は小さく震えている。出久もまたその肩を抱いて、優しく頭を撫で始めた。

「うっ・・・くっ、うぅっ・・・」

「レミリア!?ナースコール・・・っ!」

苦しげに呻き出すレミリアに驚き、ナースコールを押そうとする。しかし、その手は他ならぬレミリアに止められた。

その頬は茹だったように紅く染まり、瞳には情慾にも似た火が燃えている。

「出久・・・咬んで・・・咬ん、でぇ・・・!」

「・・・はッ!?」

赤熱したレミリアからの予想外の要求に、さしもの出久も驚いた。

「な、何でそんな・・・」

「分かるのよッ!出久が、前と違うこと!」

「ッ!」

見開かれる出久の眼。その異能を司る左の瞳が、真紅の輝きを僅かに増す。

「お願い、出久・・・もう、おかしくなりそうなの・・・アイツの支配が、まだ、気持ち悪いのっ・・・!

だから、出久・・・貴方が、助けて・・・貴方で、染めて、塗り潰してっ!お願いだからっ・・・アイツを、私の中から・・・消し去って・・・!」

レミリアの心には、リリスに刻み込まれた呪縛が残っている。それは今尚彼女にリリスへの服従を囁き続け、その精神を磨り減らしていた。

「・・・仕方無いな。お叱りは、後で受けよう」

覚悟を決めてレミリアの肩を掴み、出久は大きく顎門を開く。その意思に呼応して、鋭く尖った犬歯がメリメリと伸びた。

「ハァ・・・ッ!」

「っ~!?❤」

細い首筋に突き立てられた牙は、注射器のようにレミリアから真っ赤な蜜を吸い上げる。口の中に溢れてくるそれを嚥下し、掴んでいたレミリアの肩を抱き締めた。

出久の腕に抱かれ、レミリアは脳髄を快感の雷に打たれる。快楽の電流は脊髄から末端までを駆け巡り、その指に出久のジャケットを掴ませた。

「あっ❤あ゛ぁ~っ!!❤」

だらしなく開け放たれた口から、安堵の混じった悦びが溢れる。この瞬間、レミリアの魂は、出久の枷に縛られた。

「ハァ・・・レミリア、俺の血を吸え。早く」

「あ、あぁ・・・」

吸血を終えた出久は自分の服をはだけ、首筋を差し出す。酩酊にも似た陶酔に浸るレミリアは、その誘惑を受け容れて牙を突き立てた。

「ぐっ・・・ぅああっ・・・!」

「んっ・・・ぅんっ、んくっ・・・!」

先程とは反対に、レミリアは出久の血を啜り、出久は甘い痺れを受ける。レミリアを縛っていた出久の魂は、同じ力でレミリアから縛られる事となる。

「あぁ・・・はぁッ!あぁっ!!」

「レミリア!?」

血を飲み下したレミリアの身体から、ビキビキと異音が発せられた。

その音源は首筋から頬まで上り、そこにはステンドグラスのような極彩色の刺々しい模様が浮かぶ。

「これは、ファンガイアの!・・・そうか!ずっとサガを使ってたから・・・と言う事は、これはハイドープとしての体質か?」

予想と考察を展開する出久を余所に、レミリアの変異は遂に眼にまで及ぶ。その両の瞳は朱と蒼に彩られ、瞳孔から放射状に花弁のような模様が広がった。

「レミリア・・・大丈夫か?」

「・・・えぇ、出久・・・寧ろ、とっても良い気分。貴方のお陰よ、有難う」

錯乱気味だった先程とはうって変わって、おっとりとした口調に微笑みを添えるレミリア。ステンドグラス模様はパリパリと軽い音を起てて消えてゆき、今までと変わらぬ姿に戻る。

しかし出久は、レミリアの何か決定的な部分が変化した事を気配で悟っていた。

「・・・元気になったなら何より。だが今夜は、病院で確り休め。

・・・良い酒、持って来たんだ。家で飲もう」

楽しみにしてろよ、と小さく笑う。そんな出久に、レミリアもクスクスと囀るように笑った。

「そうね。その時は、私の新しい歌を聴いて貰いましょう。貴方を想って、作った歌よ。レコードも更新しなきゃ・・・

それと・・・乙女の心身を、こんなに染め上げちゃったんだもの。私の事も、受け容れて頂戴ね?私、フランの為に、今までずっと我慢してたんだから」

「え・・・」

空気を読んで静かにしていたサガークを呼び寄せて撫でながら、表情だけの笑みを出久に向けるレミリア。しかしその虹色の瞳孔は爛々と妖しく輝いており、纏う空気は獲物を逃がすまいと締め上げるニシキヘビのそれである。

「好きよ、出久。多分、誰よりも昔から・・・」

「・・・分かった。応えよう」

「そう、嬉しいわ。重ね重ね有難う、旦那様?」

「あー・・・えっと、何時もの出久呼びで頼む・・・」

「じゃあ、私の事はレミィって呼んでね?」

完全にペースに飲まれ、タジタジになる出久。この男、自分を愛してくれる女にはかなり弱いようだ。

そんな彼の血が零れた唇に、レミリアはキスをした。

交わされた唇をすり抜けた舌は出久のそれと絡まり、お互いの匂い立つ血の残り香を混ぜ合わせる。

「あぁ・・・早く、こうすれば良かったわ・・・」

 

(出久サイド)

 

「えー、と言う事で・・・嫁さんが増えました」

「宜しくね?先輩方♪」

「・・・」

「あぁ~・・・」

翌日。昼前に退院したレミィを迎えに行き、其所から三奈とフランに正座で事情を説明した。

三奈は呆れを通り越して真顔になっており、フランは何処か納得したような表情。大方、レミィの感情には気付いていたと言う所だろうか。

「まぁ、数年恋情燻らせてた相手に監禁状態から救出されればこうなるよね」

「・・・今更、とやかく言う積もりは無いけどさぁ」

呆れて笑ってくれるフランはまだ良いが、氷のように冷たい眼をした三奈が怖い。いやまぁ俺が悪いんだけども・・・

「じゃあ問題は無いわね。これからはもう我慢は止めるから」

俺の頸元にスルリと手を回し、胸を頭に押し付けるように抱き締めてくるレミィ。

何だろうなぁ。恋情や愛情と同時に、捕食者が自分の仕留めた獲物に対して向けるようなタイプの執着が伝わってくる。

「ヴァンパイアは魂が重要だからね。愛も重くなりやすいらしいよ?」

「サガの寵愛は超(ヘヴィ)ってか」

「上手い事言っとる場合かい」

ハハハ、ギャグでも言っとらんと冷静になれんわ。

「出久君。お嬢様の事、お願いね。この人、妹様の手前遠慮して、その癖諦めきれずに夜な夜な貴方を想ってベッドの中で・・・」

「咲夜?幾ら貴女でも赦せる事と赦せない事があるわよ?」

何か咲夜が口止めされた。取り敢えず、この冷ややかな殺気の中で、あの涼しい顔を崩さずにいられるのは凄いと思う。

にしても、大分拗らせてたみたいだな。

「まぁ、戯れはこの辺りにしておきましょうか。新曲もある事だし」

雰囲気が一変、楽しげな声色でそう言い、レミィはカーテンを閉めていく。そしてキーボードとヴァイオリンを取り出し、弓を構えた。

「あれ、キーボードは?」

「心配ご無用よ」

 

─バキバキバキッ バリンッ─

 

アームカバーを外したレミリアの腕が、ステンドグラス模様に染まる。そして素早くスナップさせれば、その体組織が破片となって剥がれ堕ち、地面に積み上がった。

その破片は意思を持ったように浮き上がり、レミィそっくりのシルエットとなる。

「これって、ファンガイアの武器生成じゃん!」

「出来るようになったみたい。感覚で分かったわ」

自分のコスチュームに組み込む程キバを観ているフランは、当然に気が付いたようだ。

極彩色のシルエットはキーボードに就き、鍵盤の上に手を添えた。

「では、試演会と行きましょう。

 

《滲色血界、月狂の獄》」

 

───

──

 

その歌は、熱かった。

熱く、甘く、偏執的で、熱狂的だった。それは正しく、狂愛だった。

「「・・・」」

「・・・良い」

三奈とフランが何とも言えない表情で固まる中、俺は静かに拍手した。こう言う狂気的な愛がテーマの曲は、俺は好きだ。

何より、若干残っている理性と言うか感性と狂気の葛藤のような物もあり、正しく心の叫びと言う印象だ。今までメインとして来た原曲、亡き王女のためのセプテットを裏メロディに添えて、分身とのデュエット形式にしたのも斬新だった。

「即興でも、お気に召す出来だったみたいね。有難う」

「あぁ、流石はレミィだな」

レミィの演奏技術には、著しい向上が診られる。恐らく、ファンガイアの音楽センスだろう。

「でも、慣れない事をして疲れたわ。咲夜、夜まで寝るわね。

出久。お土産は、亥の刻にね」

「亥の刻、ね・・・了解。お休み」

「えぇ、お休みなさ・・・ふぁ~、ぁふ・・・」

小さく欠伸をしながら、レミィは去って行った。少し三半規管が不安定になっていたようだし、あの様子は本当に暫く起きなさそうだな。

「この際、出久も確り寝なよ」

「そーそ、結構気張りっぱなしだったんだしさ」

「・・・それもそうか。咲夜、客室使って良いかい?」

「35号室は準備してあるわ。もう3人で寝なさいな。その間にお風呂も沸かしといてあげるから」

「流石は紅魔館メイド長、有り難く使わせて貰おう」

「ありがとね、咲夜」

「お言葉に甘えまーす・・・」

「ジャケットは預かっておくわ」

「何から何までありがとな」

「何言ってるの。お嬢様を助けてくれた報酬としては、まだまだ足りなぐらいだわ。だから、遠慮無く頼って頂戴ね?仮面ライダー」

俺達のジャケットを受け取ると、咲夜は悪戯っぽくウィンクして部屋を出て行った。ハハハ、ズルいねぇ・・・

なら、お言葉に甘えさせて貰おうか。

「35号室はどっちだ?」

「あっちだよ、案内するね」

フランにリードを頼み、俺達も休む事にする。

フカフカのベッドで、かなり深く眠った。

 


 

(NOサイド)

 

「連れてきましたよ、青娥さん」

薄暗い実験室の扉を開き、開口一番に報告するアダム。青娥の唇は小さく弧を描き、クルリと振り返った。

「待っていましたわ、ボス。まぁ、こんなに沢山・・・」

アダムが連れてきたのは、十代半ば程度の少年少女。それも、チラリと見ただけで10人以上いる。

「こんなに居る者なのですわね。闇が深いですわ」

「仕方無い事ですよ、それも。お任せしますよ、施術は。

あぁそれと、翻訳機ですよ、そのチョーカーは。不自由しないと思いますよ、会話にはね」

「あら、何から何まで有難うございます・・・

さて、貴方達の望みは?」

『戦争を、殺しを、死を』

青娥の問いに、少年少女は一斉に異口同音を返す。そもそも、それ以外の選択肢を持ち合わせていないかのように。

「フフフ、では任せなさい。少し待てば、存分に殺したり殺されたり出来ますわ。

さ、そのベッドに横になって。施術を始めましょう♪」

 


 

(出久サイド)

 

「・・・来たわね」

「あぁ、ご要望通りに」

三日月が綺麗な亥の刻。俺はレミィの寝室を訪れた。淡い黄金色の月光を背に、紅い双眸は極彩色に染まる。

「今日の土産は、これだ」

【ボーダー!マキシマムドライブ!】

スキマを開き、土産物を取り出した。それは、少し大振りな徳利だ。

「徳利・・・お酒かしら」

「あぁ。ちっと良いとこの日本酒さ」

「あら、それは素敵ね。日本酒、大好きなのよ♪」

パッと明るく笑うレミィ。と言うか、そもそもレミィは日本の食べ物は節操無く好きなのだ。実際、紅魔館には納豆蔵や醤油蔵、味噌蔵が増設してある。

「だが、それだけじゃあ無い」

【オーシャン!マキシマムドライブ!】

追加でカセットコンロと鍋を取り出し、オーシャンで水を汲む。鍋を火に掛けて熱しながら、その中に徳利を沈めた。

「へぇ、熱燗ね。そう言えば、熱燗は飲んだ事無かったわ」

どうやら興味がおありらしい。これを選んで良かった。

「にしても、こんな事にガイアメモリを使っちゃうのね」

「まぁな。でも、原子力発電所だって、やってる事と言えば核爆弾でデカいヤカンを湧かしてるようなもんだろ?それと一緒さ。

技術の使い方ってのは、これぐらいが丁度良い」

「言えてるわね」

2人揃って、くしゃっと苦笑する。

「・・・ごめんな」

「あら、それは何の謝罪かしら?」

呟くように零れたそれに、レミィが問い掛けた。俺は、心の内に湧いた感情を吐露する。

「思えば、1番荒れていた時期に俺を受け容れてくれたのは、レミィだけだった。そんな大恩人の気持ちに、ずっと気付かないで・・・」

「止めて」

ぴしゃりと話を切られ、レミィの眼を見る。呆れたようなその眼は、子供に優しく説経をするようなそれだ。

「私は、フランの為にわざと隠してたの。それを気付けなかったと謝るのは、只の傲慢よ。何でも出来るなんて、思い上がらないの」

「・・・ハハハ、敵わねぇや」

「貴方がお門違いな事考えて、勝手に気負ってただけよ」

ふん、と溜息を吐くレミィ。しかし、その後直ぐに微笑んだ。

「でも、私の気持ちを受け止めてはくれるんでしょう?最初は恩返し感覚でも良いけど、そんなの抜きに・・・心から私を愛してくれると、嬉しいわ」

「其所は安心してくれ。どうも俺は、割と直ぐに女を好きになっちまうらしい。思い返せば、三奈に惚れた時も大概チョロかったな」

まぁ、そんだけ俺を真っ直ぐ見てくれる相手に餓えてたと言うか・・・その場で礼を言われる事に慣れてなかったんだろうなぁ。

「と、そろそろ良い具合だな」

鍋から熱くなった徳利を取り出し、猪口に注ぐ。湯気が舞うと共に、酒精の混じった甘い米の香りがふわりと踊った。

「まぁ、こんなに香りが立つモノなのね。それじゃあ・・・私の恋情の成就に」

「何より、レミィの種族としての進化に・・・」

「「乾杯」」

カチンと軽く猪口を打ち合わせ、クッと呷る。口に飛び込んで来たのは、熱と風味。アルコールに乗ったそれが鼻に抜け、ほろ苦さを孕んだ淡い甘味が追い掛ける。

「はぁ・・・美味い」

「えぇ、ホントにね。アルコールが適度に飛んで、ちょっとマイルドになってるし」

「それに、猪口だから少しずつ味わえる。熱燗の良い所だな」

そう言って、猪口に半分ほど残った熱燗を喉に流し込んだ。

「くっはぁ~っ・・・堪んねぇなァ」

「フフ、味が分かる程飲んでるのねぇ?」

「まぁな。ほぼほぼ酔う事も無かったが、気晴らしにはなったから・・・ちょくちょく、こっそりとな。

さて、このままでも充分美味い熱燗だが・・・まだまだお楽しみがある」

【ボーダー!マキシマムドライブ!】

スキマからタッパーを取り出して、テーブルに置く。

「開けてみろ」

「あら、何かしら?」

レミィがカパッと蓋を開くと、中身が露わになった。それは、掌サイズの黒っぽい焦げ茶色をしたチップス状の物体。乾燥剤と共に詰められた数枚のそれは、嗅いでみれば芳ばしい旨味の香りを放っている事が分かる。

そして、レミィはその正体に心当たりがあるようだった。

「これって、もしかして・・・河豚の鰭?」

「その通り。レミィにご馳走しようと、チョイと仕入れてな」

【ヒート!マキシマムドライブ!】

エターナルエッジを赤熱化させ、遠赤外線で鰭を炙る。熱伝導効率も少し操作してやれば、見る見る内に鰭は飴色に変色。透き通った鰭は益々薫り高く、溜息が出そうな程に脳を擽る。

「ほら、良い具合だ。猪口を」

「はい、お願い」

差し出されたレミィの猪口に鰭を落とし、熱燗のお替わりを上から注いだ。ジワリと黄金色の出汁が滲み出るのを見て、猪口蓋を被せる。

「これで少し待てば、エキスが出て風味が良くなる」

「とっても楽しみだわ」

ウキウキと文字通り眼を輝かすレミィを見ながら、俺も猪口の鰭に熱燗を浴びせるように注いだ。

「にしても・・・遂にこっちまで、ドーパントが進出して来たんだよなぁ」

「そうね。そもそも、その件で英国(こっち)に来たんだものね」

そう。今回の訪問はそもそも、レミィがドーパントと交戦したと言う報告を受けたからだ。

「明日の10時半から、こっちのヒーロー機関と会議の予定だよ」

「責任者だから?」

「あぁ。正直、ドーパントの鎮圧には普通のヒーローじゃ役に立たない。ま、こっちのヒーローは日本と違って、敵を鎮圧する過程で殺しちまっても酌量の余地ありってシステムだからな。理想史上主義な日本よりゃ楽かも」

疑似ライダーを1個中隊規模程度量産して、専門の部隊を編成出来れば最高なんだがなぁ・・・メモリでやるなら、候補はコックローチかトリロバイトかな?コックローチは連携戦術と相性が良いし、トリロバイトは外骨格が魅力的だ。あ、ワスプやアントも適性がありそうだ。

「取り敢えず、ロストドライバーや変身用メモリの量産と緊急自壊装置、個体識別GPSの搭載が目下の目標だな。配備もヒーローじゃなく、軍の特殊部隊を下地にした方が良い」

やっぱり、ガイアメモリプラントは必須だな。まず雄英の地下敷地を借りて、軍隊用のメモリのオリジナルを作成。それをベースに各国で量産専用の簡易プラントを建造する・・・遠いな、道程は。

「未来に想いを馳せるのは良いけど、そろそろ頃合いなんじゃない?」

「・・・あ、そうだったな」

レミィが指差したのは、それぞれの猪口。すっかり忘れてたが、確かに頃合いだ。

「よし、憂鬱になる話は此所で切って、美味い酒を楽しむとしよう」

「そうよ。何たって、今夜は回復祝いなんだから」

カハハと笑い、猪口蓋を開ける。途端に立ち上る、濃厚な出汁の香り。旨味の気配を濃密に感じ取り、唾液がジワリと滲み出す。

猪口蓋をひっくり返して、その上に鰭を取り出した。

「じゃあ、改めて・・・乾杯」

「乾杯」

再び猪口をカチンと打って、鼻腔を擽る芳ばしい香りを楽しみながら口を着ける。

先程と同様の米の甘味に、干され炙られて濃縮された全く別の旨味が加わる。しれはとても主張が強く、伴う風味も半端じゃあ無く強い。しかし不思議と味が喧嘩する事は無く、上手い具合に調和していた。

そもそも、日本酒自体の味が強いのだ。故に、こうやってバランスが取れているのだろう。

「くぅ~・・・美味い!」

「もう、言葉も出ないわねぇ・・・」

この酒の美味さに、2人してうっとりと息を溢す。喉をチリチリと僅かに焼く酒精が鼻に抜けるのを感じて、口角がスルリと引き上げられた。ふと向かいを見ると、クッと猪口を呷るレミィの姿が眼に入る。

酒が入って朱の差した熱い頬を、窓から差し込む冷たい月光が照らしていた。元から色白なレミィは一層朱がハッキリと映え、やはり熱の通った存在なのだと妙な感想が浮かぶ。

そして唇から猪口を離して、左手で頬杖を突き、その紅い眼をスッと流して月を見た。その様は一種幻想的で、妖艶な微笑みには、俺の眼を釘付けにする魔力があった。

取り敢えず、スタッグフォンで1枚撮影する。こんな良い絵は、撮らねば損だ。

「あら・・・まったくもう、仕方の無い人・・・♪」

そうは言うが、声色は弾んでいる。満更でも無さそうだな。

「良いのが撮れた。これがあれば、明日もミスせずに済みそうだ」

「あら、紅魔(スカーレットデビル)を御守りにするなんて物好きね?貴方ぐらいのモノよ?」

「ハハハ、まぁな。可愛らしい鬼瓦だ」

飲み終えた猪口を置き、身を乗り出してレミィの頬を撫でる。気持ちが良いのか、スリスリと頬を擦り付けてきた。

「・・・ねぇ、出久。今夜は、離れたくないわ」

「そうか。じゃあ、一緒に寝るとしよう」

猪口を逆さにして蓋に被せ、俺はレミィと席を立つ。そしてスルスルと手を引かれ、ベッドの上に倒れ込んだ。布団は手入れが行き届いており、柔らかく、微かにラベンダーの香りがする。

これは俺を待っていた、レミィの心情の香りだろうか。

 

to be continued・・・




~キャラクター紹介~

緑谷出久
嫁が増えた化物主人公。
レミリアと相互吸血を行い、彼女を覚醒させた。
自分を愛してくれる女性の対し、愛情を返すのがとんでもなく早い。他者を受け容れる、吸血鬼としての素質だろうか。
ガイアメモリプラント建造計画及び量産型ライダー計画を決心した。

レミリア・スカーレット
新たな出久の嫁。
最初に出久と会った時から、人知れず惹かれてはいた。だが、フランが出久に強く好意を抱いている事に気付き、持ち前のプライド相まってその気持ちに蓋をしてしまっていた。
リリス・ナクルァーヴィの呪縛を振り払う為に出久と相互吸血し、お互いの魂で染め合う事で覚醒。
フランが純粋なヴァンパイアとして覚醒したのに対し、レミリアはサガと言う明確な種族代表ライダーのメモリで変身していた為、ファンガイアとしての形質が発現。体細胞を剥がして武器にする能力と、それを操り分身を作る能力を得た。
音楽センスも格段に跳ね上がっており、新曲を作り続けるだろう。

芦戸三奈&フランドール・スカーレット
呆れ正妻&納得第2夫人。
まぁ、文句は無い。仲も良いし。

霍青娥
アダム陣営の腹黒邪仙。子供達を集めてまたなんか碌でも無い事してる。



ラベンダー
シソ科の芳香植物。ハーブや薬草としても利用され、その香りにはリラックス効果がある。
花言葉は、「あなたを待っています」「期待」「沈黙」「清潔」。
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