聖闘士星矢x戦姫絶唱シンフォギア 13番目の黄金聖衣 作:アンドロイドQ14
城戸邸
翌朝、クリスは今までにないほど気持ちよく起きられた。
クリス「あ~っ、よく寝た…!こんなにぐっすり眠れたのはいつぐらいだろうな…?」
そんな時、ノックしてから美衣が入ってきた。
美衣「クリスさん、朝食の時間です。そして、あなたには必要最低限の礼儀とテーブルマナーを叩き込んで差し上げましょう!」
クリス「テ、テーブルマナー?」
城戸邸に住ませてもらっているために食事と安心して寝る所には困らなかったが、その代償ともいえる地獄が待っていた。
美衣「あなたの礼儀やテーブルマナーは生い立ちの事情を差し引いても悪いと言わざるを得ません。ですので、この私がきっちりとあなたの礼儀とテーブルマナーのご指導いたしますのでよろしくお願いします」
クリス「テーブルマナー?そんなもん教えるより朝飯食わせろ!」
美衣「いけません!レストランなどで食事をするとお店の人や他のお客さんに失礼なのですよ!きちんと指導を受けなさい!」
否応なしにクリスは美衣に引っ張られて指導を受ける羽目になった。黄金聖闘士クラスの星矢達に比べると大幅に劣るものの、美衣も常人に比べると身体能力はかなり高いため、クリスがいくら抵抗しても無駄であった。
クリス「くそ~~っ、あの不死鳥野郎め!何が飯や寝る所に困らないだ!?どう考えても地獄じゃねえか!!」
美衣的には一般人レベルの礼儀とテーブルマナーを教えているのだが、それはクリスにとっては地獄同然の苦痛であった。その様子を星矢達は見ていた。
星矢「クリスの奴、かなり苦戦してるみたいだな」
瞬「司令からクリスの経歴を見せてもらったんだけど、あんな過酷な境遇ではテーブルマナーとかが身に付いてなくても不思議じゃないよ」
紫龍「だが、必要な礼儀とテーブルマナーさえ身に付ければ食べる所と寝る所には困らないのだからな」
氷河「頑張れよ、クリス…」
テーブルマナーの習得に悪戦苦闘するクリスをそっと見守る星矢達であった。
星矢「それじゃあ瞬、クリスの事を頼むぜ」
氷河「俺達は二課で了子の行動を見てくる。あの女がけろっとしてるのなら、フィーネは死んでないって証だからな」
了子の行動に目を光らせるため、クリスの事を瞬に任せて星矢達は二課へ向かった。
特異災害対策機動部二課
響と共に二課に来ていた未来は学校の下にある二課の施設に驚いていた。
未来「うわぁ、学校の真下にこんなシェルターや地下基地が…」
響「あっ、翼さーん!星矢さーん!」
自販機があるエリアで翼と星矢達が待っていた。
翼「立花か。そちらは確か、協力者の…」
未来「こんにちわ、小日向未来です」
響「えっへん!私の一番の親友です!」
星矢「以前から沙織さんは未来にこの事が知られた際の時を想定して協力者にしてもらえないかって検討してたんだ」
氷河「ノイズ関連で二人の関係が壊れる事に心を痛めていた沙織さんの計らいでもあるからな」
翼「確かにな。立花はこういった性格故、色々と迷惑をかけると思うが支えてやってほしい」
未来「いえ、響は残念な娘ですのでご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」
響「えっ?何?どういう事?」
氷河「響を介して2人が意気投合してるんだ。ほんと、未来は響の奥さんかマーマだな」
未来「マーマ?」
星矢「氷河の奴、クールぶってるけど結構マザコンなんだぜ。マザコンだから師匠の師匠であるカミュに」
氷河「星矢、余計な事を言うな!お前だってシスコンじゃないか!」
紫龍「俺からしたらどっちもどっちだ」
星矢「紫龍だって『以前、老師から聞いた事がある』とか、自分の肉体美をアピールするみたいに聖衣はおろか上着まで脱ぐとか」
未来「あははははっ!」
氷河にとって恥ずかしい事を星矢が言おうとしたために慌てて氷河が口を塞ぎ、紫龍も加わって更にカオスになった会話に未来は思わず笑った。
氷河「コラ、星矢が余計な事を言うから」
未来「違うの。星矢さん達ってノイズを素手で倒せる凄い人達って思ってたけど、意外と親しみやすくて」
響「だよね!星矢さん達は強くて優しくて、親しみやすいと未来も思うのは当然だよ」
星矢「いやぁ、照れるなぁ」
紫龍「そうか、それはよかった」
未来「はい。ところで、瞬さんと一輝さんは?」
紫龍「瞬は俺達の中ではクリスと接した時間が長いから護衛も兼ねて城戸邸にいる。一輝の方はいつもの別行動さ」
未来「そうですか…」
星矢「気にするなよ。一輝は大事な時は必ず来るし、瞬もきちんとクリスの護衛をやってくれるさ。だから、前向きに行こうぜ」
未来「そうですね」
楽しく会話する一同だった。そして、慎次は微笑む翼を見ていた。
響「でも、未来と一緒にここにいるのはなんかこそばゆいですよ」
翼「小日向を外部協力者として二課に移植登録したのは司令と沙織お嬢様が手を回してくれた結果だ。それでも不都合を強いるかも知れないが」
未来「説明は聞きました。自分でも理解しているつもりです。不都合なんてそんな」
響「あっ、そういえば師匠は?」
翼「あっ、私達も探しているのだが…」
紫龍「(司令はクリスと面会したいと沙織さんと通信をしていたな)」
弦十郎が城戸邸に向かった事を星矢達は察していた。そこへ、了子がやってきた。
了子「あーら、いいわねぇ。ガールズトーク♪」
慎次「どこから突っ込むべきか悩みますが、とりあえず僕達を無視しないでください」
響「了子さんもそういうの、興味ありますか?」
了子「モチのロン!私の恋バナ百物語聞いたら、夜眠れなくなるわよ…」
未来「まるで怪談みたいですね…」
響「了子さんの恋バナ!?きっとおっとりメロメロ、銀座の恋の物語~!」
その様子に翼は呆れていた。
了子「そうね、遠い昔の話になるわね…。こう見えて呆れちゃうぐらい一途なんだから…」
響&未来「「おおおっ!!」」
翼「意外でした。櫻井女史は恋より研究一筋であると」
了子「命短し恋せよ乙女というじゃない。それに、女の子の恋するパワーって凄いんだから!」
慎次「女の子ですか…」
余計な事を言う慎次に了子は裏拳をかました。
了子「私が聖遺物の研究をするようになったのも」
響&未来「「うんうん、それで!」」
了子「……ま、まぁ私も忙しいからここで油を売ってられないわ」
慎次「自分から割り込んで来たくせに」
今度は了子の蹴りを入れられた。
星矢「大丈夫か?」
了子「とにもかくにも、できる女な条件はどれだけいい恋してるかに尽きるわけなのよ。ガールズたちもいい恋、なさいね。んじゃ、ばはは~い」
そう言って了子は通り過ぎたが、通り過ぎる際に星矢に鋭く冷たい視線を向けた。その様子は紫龍も察していた。
未来「紫龍さん、どうしたのですか?」
紫龍「あ、いや、何でもない(あの女の冷たい視線、時々沙織さんに向けるのと同じものだ。それをなぜ星矢に…?)」
そんな中、了子は通路を歩いていた。
了子「(らしくない事言っちゃったかもね…。変わったのか、それとも…変えられたのか…?)」
そして、星矢と沙織の事を思い出して立ち止まった。
了子「(あの2人…、本当に……)」
普段からは考えられないほど了子の表情は怒りに満ちており、握り締めた手から血が出るほどだった。
城戸邸
その頃、城戸邸では美衣の指導にクリスはヘトヘトだった。
クリス「ちっくしょう…、どう転んでも地獄じゃねえか…」
クリスとしてはテーブルマナー等の指導は地獄同然であったが、戻る場所のない生活も地獄であった。そんなクリスは医者の勉強をしている瞬の方へ視線がいった。
クリス「なぁ、瞬は」
???「邪魔するぞ」
そんな時、ノックする音がして美衣が弦十郎を部屋に入れた。その様子にクリスは警戒した。
瞬「司令じゃないですか」
弦十郎「マナー習得の休憩中で失礼したな。応援は連れてきていない。訪問したのは俺一人だ。君の保護を命じられたのはもう俺一人になってしまったからな」
クリスは星矢達には同じ10代同士という事もあり、多少は心を開いていたが、大人には未だに心を許していなかった。
クリス「そう言えば、あの女神様とあんたらは協力体制にあったな」
弦十郎「それもあるが、元公安の御用機関でね、慣れた仕事さ。差し入れだ」
弦十郎はアンパンをクリスに渡した。なかなか食べようとしないクリスだったが、瞬がつまんで食べ、毒がないのを証明した。
瞬「大丈夫だよ」
瞬のお人好しぶりに頭があまり上がらないクリスは受け取って食べた。
弦十郎「バイオリン奏者の雪音正典とその妻吹奏楽家のソレッド・M・雪音が難民救済のNGO活動中に戦火に巻き込まれて死亡したのが8年前。残った一人娘も行方不明になった。その後、国連軍のバルベルデ介入によって事態は急転する。現地の組織に囚われていた娘は発見されて保護、日本に移送される事になった」
クリス「よく調べているじゃねえか。そういう詮索はヘドが出る!」
瞬「(クリスのあのような態度は戦火に巻き込まれて両親を亡くしたのが原因だったのか…。麻森博士はシンフォギアシステムは奏者の心の状態に左右されると言ってたけど、クリスの戦い方から考えたら戦火によるトラウマがギアに影響されているのかも知れない…)」
瞬は本来は弓の聖遺物のイチイバルがなぜガトリングやミサイルを放つギアになったのかを疑問に思っていたが、クリスの過去を聞いて疑問がようやくわかったのであった。
弦十郎「当時の俺達は適合者を探すために音楽界のサラブレッドに注目していてね、天涯孤独となった少女の身元引き受け先として手を上げたのさ。ところが少女は帰国直後に消息不明、俺達も慌てたよ。二課からも相当数の捜査員が駆り出されたが、この件に関わった多くの者が死亡、あるいは行方不明という最悪の結末で幕を引く事になった」
瞬「(その犯人はフィーネに違いない。フィーネは最初から意のままに動く駒としてクリスを欲していたんだ)」
クリス「何がしたい、オッサン!」
弦十郎「俺がやりたいのは君を救い出す事だ。引き受けた仕事をやる遂げるのは、大人の務めだからな」
クリス「ふん!大人の務めと来たか!余計な事以外はいつも安易もしてくれない大人が偉そうに!」
怒りを露わにしたクリスだが、瞬に制止された。
瞬「司令、クリスは機嫌がよくありません。次の機会にお願いします」
弦十郎「それもそうだな…」
瞬「そして、了子さんに気を付けてください。あの人には裏の顔があるようなんです」
瞬からの言葉を聞いた弦十郎は部屋を後にした。
クリス「なぁ、瞬はなんでいつも一緒にいてくれない兄貴を信じられるんだ…?」
瞬「クリスも見たはずだよ、僕の兄さんは僕がどうしようもないピンチになった時はいつも助けに来てくれる事を」
クリス「…瞬ってあたしとは逆でお人好しだな」
瞬「そうだね…。司令が君の過去を言ってたけど、僕と兄さんは両親がいなくて小さい時からずっと2人きりの兄弟として育ったんだ。僕が挫けそうになった時はいつも兄さんが助けてくれた。そして、聖闘士になるために6年間兄さんと離れ離れになって、再会した時に兄さんが生き地獄を経験して憎しみに囚われ、僕達を攻撃した時も僕はずっと兄さんが昔の兄さんに戻ってくれるのを信じ続けていたんだ。そして、兄さんは昔の優しい兄さんに戻っていざという時に僕達を助けてくれるんだ」
クリス「……ほんと、兄貴に拳を向けられても信じ続けた瞬はあたしよりもずっと強いんだな…」
例え憎しみに囚われた兄に拳を向けられてもずっと兄を信じ続けていた瞬にクリスは自分との心の清らかさと優しさ、強さの違いを悟り、涙を流していた。
クリス「バカ正直に人を信じて守る事ができる瞬と違って信じきる事ができないし、壊す事しかできないあたしは…あたしは……」
涙を流すクリスの肩に瞬はそっと手を置いた。
瞬「クリス、君は僕達と違って歌があるじゃないか?」
クリス「歌…?」
瞬「僕達は身寄りも財産もなくて、生きていくためには体を鍛えぬき、聖闘士になるしか道はなかったんだ。でも、君には歌がある。そして、新しくできた友達もいるんだ」
クリス「でも、あたしの歌は壊す事しか」
瞬「僕達聖闘士の力も君の歌と同じで使い方を間違えれば守るべきものさえも壊しかねない強大なものだ。でも、僕達は守りたいものを守るためにそれを振るっている。君のいう壊す事しかできない歌も自分の大切なものを壊そうとする敵を倒し、守るために使う事ができるはずだよ」
クリス「守りたいものを守る…」
瞬「これからどうしたいのかはクリス自身が迷いながら答えを出せばいいよ」
クリス「なぁ、さっきから聞きたかったんだが、あんたは何の勉強をしてるんだ?」
瞬「医者になるための勉強だよ。僕は聖闘士として守るためだったとはいえ、多くの人の命を奪ってきたからその償いとして助けられる人の命を助けたいんだ」
クリス「ほんと、あんたは途方もなく優しすぎる上にお人好しだよ…」
公園
そして次の日、翼は響達を待っていた。一方の星矢達はクリスの護衛等をやっている瞬以外は翼の視線の届かない場所で様子を見ていた。
翼「あの子達は何をやってるのよ…」
そう言ってると響と未来が来た。
響「すみません!」
翼「遅いわよ!」
未来「申し訳ありません。お察しの事とは思いますが、響のいつもの寝坊が原因でして」
2人は翼のいかにもおしゃれをした服装に見とれていた。
翼「時間がもったいないわ、急ぎましょう」
響「すっごい楽しみにしていた人みたいだ…」
翼「誰かが遅刻した分を取り戻したいだけだ!!」
ショッピングモール
それから、3人はショッピングモールに着き、ショッピングを始めた。可愛いマグカップなどが売られている店を見てみたり、映画を視聴して3人とも涙を流し、次に3人ともアイスクリームを食べたり、女性用洋服店でおしゃれをしたり、途中で翼の正体がバレそうになって隠れたりしてショッピングを楽しんでいた。
また、響はクレーンゲームで翼が所望のぬいぐるみをとろうとしたが上手くいかなかった。一方、星矢達はDDRやモグラ叩きなどを楽しみながら響達を見ていた。
その後、響達はカラオケに来た。
響「おおおおっ!凄い、私達っては凄い!トップアーティストと一緒にカラオケに来るなんて!」
そして、翼は演歌を歌い出した。
未来「渋い…」
翼「♪~~♪♪~~♪~♪」
響「翼さん、かっこいい!」
カッコよく歌う翼に響は見とれていた。
公園
夕暮れになり、一同は丘へ向かったが翼はへばっていた。
翼「2人共どうしてそんなに元気なんだ…?」
響「翼さんがへばりすぎなんですよ」
未来「今日は慣れない事ばかりだったから」
翼「防人であるこの身は常に戦場にあったからな。本当に今日は知らない世界ばかりを見てきた気分だ」
響「そんな事ありません」
響は街を一望できる所へ翼を連れて行った。それは、翼は見た事もない光景だった。
響「あそこが待ち合わせした公園です。みんなで一緒に遊んだ所も遊んでない所もぜ~んぶ翼さんの知ってる世界です。昨日に翼さんが戦ってくれたから今日にみんなが暮らせている世界です。だから、知らないなんて言わないでください」
そんな響の言葉に翼は奏が言った事を思い出した。
奏『戦いの裏側とか、その向こう側にはまた違ったものがあるんじゃないかな?あたしはそう考えてきたし、そいつを見てきた』
翼「そうか、これが奏の見てきた世界なんだな…」
夕焼けの景色を見る翼の笑顔はとても澄み切ったものだった。
リディアン
お出かけから数日経ち、響と未来はチケットをもらった。
響「えっ、復帰ステージ!?」
翼「アーティストふぇすが10日後に開催されるのだが、そこに急遽ねじ込んでもらったんだ」
未来「なるほど」
翼「倒れて中止になったライブの代わりというわけだな」
チケットの裏側に載ったフェスの会場は二年前にノイズに襲撃され、奏が死亡して響の運命が大きく変わった場所でもあった。
響「翼さん…、ここって…」
翼「立花にとっても、辛い思い出のある場所だな」
響「ありがとうございます、翼さん!いくら辛くても過去は絶対に乗り越えていけます!そうですよね、翼さん!」
翼「そうありたいと私も思っている」
辛い思い出を乗り越えようとした2人であった。その様子を星矢達は見つめていた。
聖域
その頃、魔鈴とシャイナは奪われた黄金聖衣の行方を追っていたが、一向に手掛かりが掴めなかった。
シャイナ「まいったねぇ、こんなにも見つからないなんて」
魔鈴「敵が一体、何の目的で黄金聖衣を盗み出したのかがわかればね。そういうシャイナもやけに気合が入っているじゃない」
シャイナ「気合が入ってるも何も、蛇遣座の聖闘士として黄金聖衣が盗まれたり、蛇遣座の黄金聖衣が見つかるなりして一連の事件が何だか気になるんだよ」
魔鈴「それにしても蛇遣座の黄金聖衣は不思議な黄金聖衣だよ。サガでさえ完璧に本物だと信じずに放置していた程だし、盗もうとした人間はみんな呪われて死ぬっていう噂まである程だよ」
シャイナ「黄金聖衣は代々の装着者の思念が宿ってるから星矢達と縁のある黄金聖闘士の黄金聖衣は度々星矢達を助けてたけど、盗もうとした奴がみんな死ぬなんて話しは一度も聞いた事がないよ」
魔鈴「もし、それが聖衣の仕業なら、過去の蛇遣座の黄金聖闘士はよっぽど自分の聖衣を誰かに盗まれるのが嫌だったんじゃないのかい?」
そんな中、雑兵の1人が知らせに来た。
雑兵「アテナより伝言です。10日ほどした後に青銅聖闘士5人を連れて日本へ向かってほしいそうです」
魔鈴「日本へ?」
シャイナ「もしかすると、盗まれた黄金聖衣が見つかるかも知れないよ」
魔鈴「10日後に邪武達を連れて行くしかないようだね」
ライブ会場
そして、翼の復帰ライブ当日、翼は海外進出を持ち掛けてきたメトロミュージックのプロデューサーに『もう少し時間がほしい』と頼み、ステージに臨んだ。そして、開演に送れていた響は星矢達に送迎してもらっていた。
響「すみません、星矢さん!」
星矢「何、気にすんなよ」
紫龍「俺達は翼のライブにノイズが襲撃した時に備えて待機しておけという指令が下されてな」
氷河「だから、偶然響と通り道が一緒になった」
そんな折、ノイズ出現の連絡が入った。
特異災害対策機動部二課
ノイズ出現が検知されたのであった。
響『はい、響です』
弦十郎「ノイズの出現パターンが検知された。翼にもこれから」
紫龍『司令、この場は俺達に任せていただけませんか?』
弦十郎「何?」
響『今日の翼さんは自分の戦いに臨んでほしいんです。あの会場で最後まで歌いきってほしいんです。お願いします!』
その言葉に弦十郎は驚きつつも、ふっと笑った。
城戸邸
ノイズ出現は城戸邸にいるクリスにも知らされた。
瞬「行くのかい?」
クリス「決まってんだろ!?」
瞬「なら、行こうか!」
クリスは瞬と共に出撃した。
ライブ会場
フィーネの追っ手のノイズは無関係の人間を襲撃してクリスをおびき出そうとしたが、そこに現れたのは星矢達であった。
星矢「ノイズ、お前達の好きにはさせないぜ!」
響「今日は翼さんの大事なライブです!」
氷河「そして、この先のライブ会場は歌姫が歌う神聖な舞台だ!」
紫龍「そこを汚し、人々を炭に変えてしまう化け物は一歩たりとも先へ進ません!ここで俺達が倒す!」
そう言って星矢達はノイズの群れに突っ込んでいった。翼のライブも始まったが、離れているのに翼のライブに合わせるかのように星矢達はノイズと戦っていた。
星矢「何だ?曲のノリと共に俺達の小宇宙が燃え上がってきたぞ!」
紫龍「それだけ、翼の歌は観客に元気を与える歌なのだろう!」
氷河「俺達も負けてられないぞ!」
星矢「そうだな!ペガサス、流星拳!」
曲のリズムと共に放たれた流星拳でノイズの群れを掃討した。
響「でりゃあああっ!!」
紫龍「廬山、龍飛翔!」
氷河「ダイヤモンドダストォ!」
紫龍と氷河もリズムに乗り、それぞれの技でノイズを一掃していた。そんな中、鎖と銃弾が飛んできた。
響「この攻撃って…」
その攻撃の主はクリスと瞬であった。
星矢「瞬にクリスじゃねえか!」
瞬「どうしてもクリスが行きたいって言ったから、一緒に来たよ!早く片付けよう!」
クリスの銃火器攻撃と瞬のチェーンさばきも加わり、あっという間にノイズは全滅した。
氷河「終わったな」
瞬「それじゃあ、僕とクリスは先に帰るね」
瞬はクリスと共に先に帰る事となった。
瞬「クリスはまだ響と一緒に戦う決心がつかないのかい?」
クリス「……ああ。まだ、どうしたいのかわかんねえ…」
瞬「焦らずにじっくり悩んで考えようか」
そんな瞬と共にクリスは先に帰った。
そして、戦いの終了と共に翼の歌も終わった。
翼「ありがとうみんな!今日は思いっきり歌を歌えて気持ち良かった!」
観客の喜びを戦いが終わった星矢達は天井から見ていた。
氷河「紫龍、ようやく翼は迷いを吹っ切れたようだな」
紫龍「ああ。今まで以上にいい歌だ」
そんな翼の様子に星矢達も笑みを浮かべていた。
翼「こんな想いは久しぶり、忘れていた。でも思い出した!私はこんなにも歌が好きだったんだ。聴いてくれるみんなの前で歌うのが大好きなんだ!……もう知ってるかも知れないけど、海の向こうで歌ってみないかとオファーが来ている。自分が何のために歌うのかずっと迷っていたんだけど、今の私はもっとたくさんの人に歌を聴いてもらいたいと思っている。言葉は通じなくても、歌で伝えられる事があるのあんらば、世界中の人達に私の歌を聴いてもらいたい!」
翼の言葉に観客の興奮は大いに高まった。
翼「私の歌が誰かの助けになると信じて、みんなに向けて歌い続けてきた。だけど、これからはみんなの中に自分を加えていきたい!だって、私はこんなにも歌が好きなのだから!たった一つのワガママだから聴いてほしい、許してほしい!」
???『許すさ、当たり前だろう?』
そんな中、翼の耳に奏の声が聞こえた。しかし、奏の姿はなかった。
翼「(奏…)」
一方、グレイザーはステージを離れていた。
慎次「Mrグレイザー!」
グレイザー「君か…。少し早いが、今夜は引き上げさせてもらうよ。これから忙しくなりそうだからね」
そのグレイザーの出した答えに慎次はお辞儀した。
慎次「風鳴翼の夢をよろしくお願いします」
グレイザー「ははははっ!」
グレイザーは笑いながら去って行った。
城戸邸
翼のライブの様子は星矢達を通して沙織も知る事となった。
沙織「翼さんの復帰ライブは成功したようですね」
氷河「ああ、大成功だ」
紫龍「俺達も元気をもらったよ」
星矢「沙織さんも一緒に行ってライブを聴きたかった?」
沙織「うふふ、どうでしょうね?」
貴鬼「おいらはライブなんて知らないから、興味あるなぁ…」
しばらく笑ったが、すぐに表情を引き締めた。
瞬「兄さんの言ってた『カ・ディンギル』って、何なのかな?」
沙織「わかりません。ですが、放っておくわけにはいきません」
星矢「見つけ出してぶっ壊さないとな…」
疑っている了子がけろっとしてるためにまだフィーネは死んでいないと星矢達は判断し、いずれは訪れるフィーネとの戦いに闘志を燃やしていた。
これで今回の話は終わりです。
今回は翼の復帰ライブでだいたい本編通りですが、途中であった了子の怒りは最終戦になればその理由が明らかとなります。
次はクリスが正式に響達の仲間となる話になります。