聖闘士星矢x戦姫絶唱シンフォギア 13番目の黄金聖衣   作:アンドロイドQ14

7 / 18
6話 響の決意

医療機関

 絶唱による反動でボロボロになった翼は紫龍の小宇宙による応急処置が済んだ後、医療機関へ送られ、太陽が昇り始めた時に緊急手術が行われた。

 

医師「応急処置が早く、とても適切でしたね。一命はとりとめました。容態も安定してきてますが意識は戻らず、決して油断できない状態です」

 

 膨大な小宇宙で治癒する応急処置は効いていたが、意識までは戻らなかった。手術室に運ばれた翼は目まで包帯を巻かれて誰が見ても痛々しい姿だった。

 

弦十郎「よろしくお願いします!」

 

紫龍「(俺にできる事は尽くした。後は翼次第だ…!)」

 

 弦十郎が頭を下げているのと同じく、曲がり角では紫龍が手術室を見ていたのであった。

 

弦十郎「俺達は鎧の行方を追跡する。どんな手掛かりも見逃すな!」

 

 そう言って諜報部と共に弦十郎は追跡に向かった。一方の響と慎次と星矢達は待合室にいて響は翼の事で落ち込んでおり、紫龍が戻ってきた。

 

星矢「どうなんだ?紫龍」

 

紫龍「俺の応急処置で一命はとりとめたが、まだ油断はできない状況だ」

 

氷河「よく絶唱という自爆技を発動する予兆を掴めたな」

 

紫龍「俺は友のために何度も命をかけてきたからな。不思議とそういう事は予想できてしまう」

 

 響の落ち込み様に瞬は手を置いた。

 

瞬「君が翼さんの事を自分の責任のように感じる事はないよ。あの技を使ったのは彼女の判断だし、紫龍の制止にさえ耳を貸さずに使ったから」

 

響「瞬さん…、でも…私…」

 

慎次「瞬君の言う通りです。響さんが気に病む事ないですよ」

 

響「…緒川さん…」

 

慎次「ご存知とは思いますが、以前の翼さんはアーティストユニットを組んでおりまして、」

 

響「ツヴァイウイング…、ですよね…」

 

慎次「その時のパートナーが、天羽奏さん。今のあなたの胸に残るガングニールのシンフォギア奏者でした。2年前のあの日、ノイズに襲撃されたライブの被害を最小限に抑えるために奏さんは絶唱を解き放ったんです」

 

響「絶唱……。翼さんも言っていた…」

 

星矢「その絶唱というのは、自爆技みたいなものか?」

 

慎次「厳密には違いますが、あなた達が見た限りではそう思っても不思議ではないでしょう。奏者への負荷を厭わず、シンフォギアの力を限界以上に撃ちだす絶唱はノイズの大群を一気に殲滅せしめましたが、同時に奏さんの命を燃やし尽くしました」

 

響「それは…私を救うためですか…?」

 

慎次「奏さんの殉職、そしてツヴァイウイングの解散。1人になった翼さんは奏さんの抜けた穴を埋めるべく、がむしゃらに戦ってきました。同じ世代の女の子が知って然るべき恋愛や遊びも覚えず、自分を殺し、一振りの剣として生きてきました。そして今日、翼さんは剣としての使命を果たすため死ぬ事すら覚悟して歌を歌いました。不器用ですよね?でも、それが風鳴翼の生き方なんです」

 

 慎次の話に響は涙を流し、星矢達も何とも言えなかった。

 

響「そんなの、酷すぎます…。…そして私は翼さんの事、何にも知らずに一緒に戦いたいだなんて、奏さんの代わりになるなんて……」

 

 泣きじゃくる響の肩に星矢はそっと手を置いた。

 

星矢「……だから言っただろ?誰の代わりにもなれねえって。無論、俺達だって誰かの代わりになんてなれねえさ」

 

氷河「そんな事は誰も望んでいない。お前はお前らしくやるしかないんだ」

 

響「でも、私のせいで星矢さん達と翼さんが…」

 

紫龍「響、例え親しい奴にでもはっきり、厳しく言わなければならない時もある。あれくらいの事で壊れるような関係は偽りのものと言える」

 

瞬「本当の繋がりというのは、こういった厳しい状況で試されるのだと思うよ」

 

響「紫龍さん、瞬さん…」

 

慎次「ねえ、響さん、星矢君達。僕からのお願いを聞いていただけますか?」

 

星矢「そのお願いって?」

 

慎次「翼さんの事、嫌いにならないでください。翼さんを世界で1人ぼっちにしないでください」

 

響「……はい!」

 

紫龍「俺達も同感です。翼は対ノイズ戦で共に戦う仲間です」

 

 響と星矢達の温かい視線に慎次は安心した。

 

 

 

???

 翼は意識がなく、夢の中で大空を真っ逆さまに落ちていた。そんな翼の傍を奏が飛んでいた。

 

翼「片翼だけでも飛んでみせる!どこまでも飛んでみせる!」

 

 しかし、奏の目は悲しそうだった。

 

翼「だから笑ってよ、奏!」

 

 翼は海の底に沈むかのように落ちていった。

 

 

 

特異災害対策機動部二課

 そして翌日、星矢達が来てこれからの事が話し合われていた。

 

星矢「そういや、俺達は翼の相棒の奏の事について何も知らなかったな」

 

紫龍「司令、天羽奏の事について教えてくれませんか?翼と力を合わせてノイズと戦う上では俺達も奏の事を知る必要があると思います」

 

沙織「無理にとは言いません。話したくなければ、それでもいいのですが…」

 

弦十郎「…いや、お前達にも話した方が良さそうだ。奏君が奏者になった経緯などを。あれは、今から5年前になる…」

 

 

 

回想

 弦十郎は5年前の事を話した。

 

弦十郎『連れてこられたばかりの奏君はまるで手負いの獣そのものだった』

 

 連れてこられた奏は身体を拘束され、椅子に縛り付けられており、その姿はあまりにも痛々しかった。

 

奏「放せよ、クソッ!あたしを自由にしろ!」

 

弦十郎「その少女が報告書にあった」

 

1課のメンバー「『天羽奏』14歳。ノイズに襲撃された長野県宮上山聖遺物発掘チーム唯一の生存者です。襲撃当時は休みだったので家族を発掘現場に連れてきていたのでしょう。そこを襲われたそうです」

 

奏「お前ら、ノイズと戦ってんだろ!だったらあたしの武器をよこせ!奴等をぶっ殺す力をくれ!」

 

 奏の目はノイズへの怒りと憎しみの炎で燃えていた。

 

弦十郎「辛いだろうが、ノイズに襲われた時の事を教えてくれないか?我々が君の家族の仇をとってやる」

 

奏「ねむてぇ事言ってんじゃねえぞ、オッサン!あたしの家族の仇はあたししか取れないんだ!あたしにノイズをぶち殺させろ!」

 

弦十郎「それは、君が地獄に堕ちる事になってもか?」

 

奏「奴等を皆殺せるなら、あたしは望んで地獄に落ちる!」

 

 弦十郎はそんな奏の頭をなでた後、抱き締めたのであった。

 

弦十郎『それから、奏は厳しい訓練と薬物の投与を繰り返す事で聖遺物第3号、ガングニールへの試みた』

 

 戦う力を得るために奏は薬物投与を試みたが、現実は上手くいかないものであった。

 

奏「うわ、うわあああああっ!!ぐあああああっ!!」

 

 奏が苦しむ様子に翼は見てられず、弦十郎は血が出る程拳を握りしめていた。

 

了子「ここまでしても未だ適合ならずか…。やっぱり、簡単にはいかないものね…」

 

 ところが、奏はまだ薬物投与を行おうとしていた。

 

弦十郎「よせ!」

 

奏「ここまでなんてつれねえこと言うなよ。パーティー再会と行こうや、了子さん」

 

 獣のような雰囲気に了子も唖然としていた。そして、異変が起き始める。

 

了子「!?適合係数、飛躍的に上昇。第一段階、第二段階突破、続いて第三段階」

 

奏「うぐっ、ぐえっ!!」

 

 適合率は上昇したが、それと同じくして奏は苦しみだした。

 

弦十郎「何をしている!中和剤だ!」

 

 慌てている医者達だが、解放された力の波動で吹き飛ばされた。そして、翼の目の前に血塗れの手が現れた。

 

奏「手に入れた…!」

 

 それに反応するかのようにガングニールの結晶が反応し、奏は戦いの歌を歌った。

 

奏「♪~♪~♪~♪」

 

 様々な無茶を通し、遂に奏は力を手に入れたのであった。

 

奏「これが奴等と戦える力!あたしのシンフォギアだ!」

 

弦十郎『それは翼のように偶然手に入れた力ではなく、奏が自らの手で勝ち取った力だった』

 

 そして、奏は翼と共にノイズとの戦いに身を投じたのであった。

 

 

 

弦十郎「ざっとこんなものだ…」

 

瞬「奏さんはよほど家族の仇を討ちたかったから、あんな地獄のような出来事にも…」

 

美衣「恐ろしい執念ですわ…」

 

氷河「力というのは手に入れようと思っても簡単に手に入るものではない。瞬、聖闘士になるために修行を積んだお前にもわかるだろう…?」

 

 数年間もの厳しい修行を経て聖闘士の力を身に着けた星矢達だが、それは本人の努力や素質にそれぞれの師である魔鈴、童虎、水晶聖闘士、アルビオレの指導の優秀さもあった。しかし、弦十郎から聞かされた奏が訓練以外にも薬物投与という危険な橋を渡って奏者になった経緯を知って驚いたのであった。

 

紫龍「翼の響に対する態度は理不尽だと思ったが、あんなのを目撃してはそうならざるを得ないな…」

 

弦十郎「予想以上に暗い話で済まなかったな…」

 

星矢「いや、今更どうという事はないぜ」

 

沙織「司令、麻森博士からお届け物です」

 

 美衣に持たせている鞄を弦十郎に渡した。

 

朔也「それ、何ですか?」

 

弦十郎「以前から注文していた護身用の代物さ。使う機会がなければいいんだがな…」

 

あおい「そう言えば、麻森博士は鋼鉄聖衣の開発者よ」

 

慎次「それだけではありません。シンフォギアシステム開発のお手伝いをしてくれた事もありますし、何より了子さんの恩師でもあります」

 

氷河「麻森博士も櫻井理論を?」

 

了子「完全ってわけじゃないけど、およそ7割以上は理解しているわ。流石は私の恩師といった所ね」

 

星矢「響は俺達が鍛えるか?」

 

沙織「いえ、あの人に鍛えてもらいましょう」

 

星矢「あの人?そうか、魔鈴さんか!」

 

紫龍「響が修行を始めてからは、俺達が交代でノイズ退治をやろう」

 

氷河「そうした方がいい」

 

 当面の間、ノイズ退治は星矢達が担当する事となった。

 

 

 

リディアン

 同じ頃、響はリディアンの屋上のベンチに座っていた。

 

響「翼さんの代わりだなんて…」

 

 

 

回想

 それは、昨日の会議の事だった。

 

弦十郎「気になるのは、ネフシュタンの鎧を纏った少女の狙いが響君だということ」

 

了子「それが何を意味してるのかは全くの不明」

 

星矢「ほんと、何考えてんだ?あいつ」

 

弦十郎「いいや、個人の特定しているのなら、我々二課と聖闘士の存在も知ってるだろうな」

 

朔也「内通者ですか?」

 

沙織「そう考えた方が自然です。誰なのかは特定できませんが…」

 

あおい「なぜこんな事に…」

 

響「私のせいです…。私が悪いんです…。2年前も、今度の事も…。私が…いつまでも未熟だったから翼さんが…。シンフォギアなんて強い力を持っていても…私自身が至らなかったから…」

 

紫龍「それ以上は言うな。お前が未熟なのは俺達も承知している。だからこそ、お前には近いうちに俺達が正しい力の使い方や戦い方を教え、お前を徹底的に鍛え上げる」

 

氷河「言っておくが、俺達の修行はかなり厳しく、お前では想像もつかないほどの地獄がまっているぞ。それでもいいか?」

 

 紫龍と氷河の言葉に響は頷いた。

 

響「翼さん、泣いてました…。翼さんが強いから戦い続けたんじゃありません…。ずっと泣きながらもそれを押し隠して戦ってきました…。くやしい涙も…、覚悟の涙も…、誰よりも多くの涙を流しながら…強い剣であり続けるために…、ずっとずっと、1人で…。私にだって守りたいものがあるんです!だから…!」

 

 

 

 それと同時に響の目が覚めた。

 

???「響」

 

 後ろから声をかけたのは未来であった。

 

響「未来」

 

未来「最近、1人になることが多くなったんじゃない?」

 

響「そうかな?そうでもないよ。私1人じゃ何もできないし。あ、ほらこの学校にだって未来が進学するから私も一緒にって決めたわけだし。あ、いや、なんていうかここって学費がびっくりするくらい安いんじゃない?だったらお母さんやおばあちゃんに負担かけずにすむかな~って、あははははっ」

 

 しかし、未来には響の空元気ぶりはバレバレであり、手を握った。

 

響「やっぱり、未来には隠し事できないな」

 

未来「だって響、無理してるんだもの」

 

響「うん、でもごめん。もう少し1人で考えさせて。これは私が考えなきゃいけない事なんだ」

 

未来「わかった」

 

響「ありがとう、未来」

 

 2人はお互いの手を握り合った。

 

未来「あのね、響。どんなに悩んで考えて出した答えで一歩前進したとしても、響は響のままでいてね」

 

響「私のまま……(それ、星矢さんや沙織さんからも言われた…)」

 

未来「そう。変わってしまうんじゃなく、響のまま成長するなら私も応援する。だって、響の代わりはどこにもいないんだもの。いなくなってほしくない」

 

響「私、私のままでいいのかな…?」

 

未来「響は響じゃなきゃ嫌だよ」

 

 未来の言葉だけでなく、星矢と沙織の言葉が、そして紫龍と氷河と瞬の言葉が響の心に響いた。そして、響から迷いが消え、立ち上がって翼が入院する病院に目を向けた。

 

響「ありがとう、未来。私、私のまま歩いていけそうな気がする」

 

未来「そうだ。琴座流星群見る?動画で録っておいた」

 

響「え~~!」

 

 見てみたが、何も映らなかった。

 

響「ん?何にも見えないんだけど?」

 

未来「うん…、光量不足だって…」

 

響「ダメじゃん!」

 

 お互いに笑いあった。だが、響の頬に涙が流れていた。

 

響「おっかしいなぁ?涙が止まらないよ。今度こそは一緒に見よう」

 

未来「約束。次こそは約束だからね」

 

 ようやく響から迷いが消えたのであった。

 

響「(私だって守りたいものがある!私に守れるものなんて、小さな約束だったり、何でもない日常かも知れないけど、それでも守りたいものを守れるように、私は私のまま強くなりたい!)」

 

 

 

弦十郎の家

 そして、響は弦十郎の家を訪ねた。

 

響「たのもーー!!」

 

弦十郎「うわっ、何だいきなり」

 

響「私の戦い方を教えてください!」

 

弦十郎「この俺が?星矢君達ではダメなのか?」

 

響「それが…小宇宙とかよくわかんなくって、弦十郎さんならきっとすごい武術とか知ってるんじゃないかと思ってましたし!」

 

弦十郎「…俺のやり方は厳しいぞ」

 

響「はい!」

 

???「私も指導をやらせてくれないかい?」

 

 声がしたためにその方を向くと、そこには魔鈴や星矢達がいた。

 

響「うわっ、仮面を被った女の人がいる~~!!」

 

星矢「驚くなよ。この人は魔鈴さんで、俺の師匠さ。言っとくけど、魔鈴さんの指導はメチャクチャ厳しいぜ」

 

魔鈴「星矢じゃ師匠は務まらないだろうから、頼まれて来たよ。さっき星矢が言った通り、私の指導は厳しいから、覚悟しときな。星矢、お前はノイズが現れてから出撃する時以外は手本やサポーターを頼むよ」

 

星矢「わかったぜ」

 

弦十郎「時に響君、君はアクション映画とかを嗜むのか?」

 

響「はい?」

 

 それから、弦十郎と星矢達との特訓が始まった。まずはアクション映画鑑賞から始まり、映画のアクションのポーズをマネし、次に魔鈴による指導が始まった。それは、適度に大きな木の枝に足を引っかけ、その体勢で逆さ腹筋二百回する事だった。

 

弦十郎「星矢君、これに似た修行を6年間の間にやったのか?」

 

星矢「ああ。正直言って、メチャクチャきつかったぜ。でも、魔鈴さんの指導のお陰で今の俺があるんだ!」

 

響「ぎょええ~~っ!!厳しすぎる~~!」

 

魔鈴「喚いても仕方ないわよ。そこで腹筋二百回やるまでは誰も助けちゃくれない!さぁ、あとたったの99回!」

 

響「せ、星矢さんはどれぐらいやったんですか~~!!」

 

魔鈴「修行していた頃の星矢は千回やってたよ。二百回でも軽い方にしかならないさ。さぁ、きっちり二百回やらないと天馬の王子様の星矢も助けてくれないよ!」

 

星矢「力は楽して身に付くもんじゃないぜ、響。さぁ、俺が見てるからきっちり二百回やって降りるぞ!」

 

響「はい!」

 

 どんなに厳しい修行でも恩人の星矢がいてくれるお陰で響は続けられた。そして、マラソン、腕立て伏せ、ミット打ち、サンドバッグ打ちなど、中には効果的とはいいがたいものもあったが、響はそれらをこなしていった。

 

 

城戸邸

 響の訓練が終わり、星矢と魔鈴は屋上から夜空を眺めていた。

 

魔鈴「あの子、なかなかのものだね。星矢達と同じく数年ぐらい修行に専念すれば、小宇宙の扱い方を身に付ける事も可能だろうよ」

 

星矢「確かに。あんまり物覚えがいいとは言えない俺なんかよりも早く身に付くかも知れない…。それに、響の守護星座があるのなら、何になるんだ?」

 

 夜空を眺め、魔鈴はピンときた星座を見つけた。

 

魔鈴「あの子は聖闘士を目指しているわけじゃないから確証は持てないけど、あの子の守護星座は恐らく…、乙女座だよ」

 

 魔鈴は夜空に浮かぶ乙女座を指差した。

 

星矢「乙女座?あのシャカと同じ乙女座なのか!?」

 

 同じ頃、城戸邸で響は夕食を食べていた。

 

響「う~ん、おいしい!!」

 

美衣「褒められて光栄です」

 

沙織「響さん、たくさん食べて訓練に備えてくださいね」

 

 満腹になり、寮に帰るために城戸邸を出ようとした響だったが、偶然貴鬼が聖衣を修復する所を目撃した。

 

響「何をやってるの?」

 

貴鬼「おいら、貴鬼。何をやってるって、黄金聖衣を修復してる所なんだよ」

 

響「黄金聖衣?」

 

 部屋に入ると、修復中の射手座、天秤座、水瓶座の黄金聖衣を見つけた。

 

響「かっこいいし、金ぴかでとっても綺麗…!」

 

貴鬼「この聖衣はメチャクチャ強くて正しい心を持った12人の聖闘士にしか授けられない黄金聖衣さ!かっこいいだろ?」

 

響「うんうん!ところで、聖衣の修復はいつ終わるの?」

 

貴鬼「今のペースでいけば…この3つは数週間が目安ってとこかな?あの二つはまだ修復にすら入ってないけど」

 

 目線の先にタナトスとの戦いで砕けた獅子座と乙女座の黄金聖衣があった。そんな乙女座の黄金聖衣に響は見とれていた。

 

貴鬼「どうしたんだ?乙女座の黄金聖衣に見とれたりなんかして」

 

響「あ、何でもないよ!それじゃ、帰るね!」

 

 慌てて響はその場を去り、車で送迎してもらって帰った。

 

響「(何だったんだろう…?あの鎧を見てたらなんか…)」

 

 その感覚は響自身にもわからなかった。そして、沙織は麻森博士を呼び出していた。

 

麻森博士「どうされましたか?沙織お嬢様」

 

沙織「麻森博士、了子さんはあなたの教え子だそうですけど、学生時代はどうでしたか?」

 

麻森博士「了子は私がこれまでみてきた教え子の中でも破格の才能を持った科学者でした。それは私さえも超え、聖遺物に関しては私でさえ彼女には及ばないほどの知識を持った天才科学者です。現に私が鋼鉄聖衣の開発で悩んでいた際、無断で忍び込んで来た彼女に助けられた事も多くあり、何とか鋼鉄聖衣の開発に成功したほどです。そして、彼女のシンフォギアシステムに関しても、開発を手伝いました」

 

沙織「そうでしたか…」

 

美衣「という事は、麻森博士が開発した鋼鉄聖衣と櫻井女史のシンフォギアシステムはどちらも双方の手が入っているので、開発時期的に兄妹ともいえる存在ですね」

 

麻森博士「了子は自分が倒れた際の保険として、私にシンフォギアシステムのメンテナンスのやり方などを公表してくれました。仮に了子に万一の事があった場合は私がシンフォギアシステムの改良やメンテナンスを行います」

 

沙織「ありがとうございます」

 

美衣「それで、彼女は近頃、何か変わった事とかはございませんでしたか?」

 

麻森博士「変わった事ですか…。彼女は学生時代からお茶目な性格でしたが、12年ぐらい前から表面的には昔のままではあるんですが…、時折怪しげな顔や態度を見せる事があるんです」

 

美衣「沙織様、これは何かの前触れではないのでしょうか?」

 

沙織「恐らく…」

 

麻森博士「生前の光政翁は私にこうおっしゃっていました。『櫻井了子に気を付けろ』と。何を伝えたかったのかは今でもわかりません。ですが、彼女には我々の知らない裏の顔があるのは間違いないでしょう」

 

沙織「(お爺様、お爺様は直感で了子さんの何を見抜いたのですか…?)」

 

 了子の怪しげな様子は沙織も不穏に思っていた。

 

 

 

リディアン

 そして翌日…。

 

響「ねえ、未来。また流れ星の動画を見せてよ」

 

未来「何にも映ってないのに?響は変わった子」

 

響「変わった子とつるんでる未来はもっと変わった子♪」

 

 リディアンに登校中、未来は立ち止まった。

 

未来「あのね響、流れ星の動画を録っていた事、響に黙ってるのは少しだけ苦しかったんだ。響にだけは二度と隠し事したくないな」

 

響「わ、私だって、未来に隠し事なんて……しないよ……」

 

 しかし、それは2人の絆に亀裂を入れてしまう引き金になる事であった。その様子を星矢と沙織は車の中から目撃していた。

 

星矢「響の奴、友達に隠し事をしてるのが辛そうだったな…」

 

沙織「そうですね。彼女の性格は隠し事をするのに向いていません。友達との絆を捨ててでも隠し事を隠し通すなんてできはしないでしょう。場合によっては、未来さんにも事情を話す必要もありそうです…」

 

星矢「そうだな…」

 

 星矢と沙織は響がシンフォギアを纏ってノイズと戦っているのをいずれは未来に話さなければならないと思ったのであった。




これで今回の話は終わりです。
今回は奏が奏者になった経緯が語られたり、響が修行を始めるという話になっています。
今小説の聖闘士星矢はアニメ版寄りなため、氷河の師は水晶聖闘士、瞬の師はアルビオレになっています。また、せっかくの科学者キャラなので、麻森博士も了子の恩師という形で出しました。
響の守護星座を乙女座にしたのは、ぶっちゃけプロフィールの誕生日が9月生まれだから乙女座に決めました。残り二人はまだ決めてません。
次はデュランダル移送の話になりますが、大まかな所は本編と同じものの、色々と違う展開も加えています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。