聖闘士星矢x戦姫絶唱シンフォギア 13番目の黄金聖衣   作:アンドロイドQ14

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7話 デュランダル

リディアン 寮

 朝になり、未来は起きた。

 

未来「響…?」

 

 修行を始めてから、響は朝早くにマラソンをするようになったため、未来はそんな響の行動を疑問に持つようになった。

 

 

 

弦十郎の家

 その頃、響は修行のために学校を休み、サンドバッグ打ちをしていた。

 

弦十郎「そうじゃない。稲妻を喰らい、雷を握り潰すように打つべし!」

 

響「言ってる事、全然わかりません!でもやってみます!」

 

 とても常人には理解できないアドバイスをする弦十郎の言葉に響はよく理解していないものの、気合で言われた事を実行した。サンドバッグを見据え、全神経を集中させて心臓の鼓動に合わせて拳を打ち込むと、サンドバッグは吹っ飛んで支えていた枝も折れた。

 

弦十郎「こちらも、スイッチを入れるとするか!」

 

 次はミット打ちを始めた。星矢達は響の修行を見ていた。

 

星矢「もうこんなにできるようになったのか」

 

氷河「そう言えば星矢、魔鈴さんはどうしたんだ?」

 

星矢「響が修行を始めてしばらくしてから、連絡があって聖域へ帰ったんだ。なんか、ジャミールで保管されていた全ての黄金聖衣のうち、双子座の聖衣がなくなったとか…」

 

氷河「しまった!貴鬼はこっちにいるからきっと、敵に奪われてしまったんだ!」

 

紫龍「奪うにしても、聖衣を全部奪う方がメリットが大きいのに、なぜ他の聖衣を盗まなかった?そこが引っかかる…」

 

 双子座の聖衣だけが盗まれた事に敵にどういった意図があるのか悩む星矢達であった。

 

 

 

???

 そこは、森と湖に面した建物だった。そこに以前、一輝を望遠鏡で見ていたプラチナヘアーの女性はその芸術ともいえる豊満な裸体のままで電話に出ていた。

 

???『ソロモンの杖…、我々が譲渡した聖遺物の起動実験はどうなっている?』

 

女「報告の通り、完全聖遺物の起動には相応レベルのフォニックゲインか、膨大な小宇宙が必要になってくるの。簡単にはいかないわ」

 

???『ブラックアート展、失われた先史文明の技術を解明し、ぜひとも我々の占有物としたい』

 

女「ギブ&テイクね。あなたの祖国からの支援には感謝しているわ。今日の鴨撃ちも首尾よく頼むわね」

 

???『あくまでも便利に使うハラか。ならば、見合った働きを見せてもらいたいものだな』

 

女「もちろん理解しているつもりよ。従順な犬ほど長生きするというしね(そして、ヘマをやらかして情報を奴等に掴まれそうになったら…口封じのために死んでもらうわ)」

 

 そして、電話を切った。

 

女「野卑で下劣、生まれた国の品格そのままで辟易する…。そんな男に『ソロモンの杖』が既に起動している事を教える道理はないわよね?クリス」

 

 クリスの方は装置に磔にされていた。

 

女「苦しい?可哀想なクリス。あなたがグズグズ戸惑うからよ。誘い出されたあの子をここまで連れて、城戸邸にある黄金聖衣を奪って来ればいいだけだったのに。手間取ったところか空手で戻ってくるなんて」

 

クリス「これで…いいん…だよな…?」

 

女「何?」

 

クリス「私の…望みをかなえるためには…お前に従っていればいいんだよな…?」

 

女「そうよ。だから、あなたは私の全てを受け入れなさい。でないと嫌いになっちゃうわよ」

 

 そう言って女はレバーを引き、装置に磔になっているクリスに電流を流した。

 

クリス「ぐあああああっ!!」

 

女「かわいいわよクリス。私だけがあなたを愛してあげる」

 

 ある程度電流を流した所で女は装置を停止させ、クリスに体を密着させて囁いた。

 

女「覚えておいてね、クリス。『痛みだけが人の心を繋ぎ、絆と結ぶ』、世界の真実であることを。さ、一緒に食事をしましょうね」

 

クリス「…なんで、あんな黄金の鎧を求めるんだ…?そもそもあんたが持ってるあの鎧だって、置物以外に何の価値が」

 

女「…今、なんって言った?クリス」

 

クリス「え…?あんなの、置物にしか」

 

 女の『黄金聖衣を奪ってこい』というのに疑問を抱いていたクリスは思わずそれを口に出した途端、女の表情は歪んだ笑みから憤慨に染まり、乱暴にクリスの顔を掴んで怒りの表情を見せた。

 

女「あの黄金聖衣が置物だと!?ふざけるな!逆上せ上がるな!!あの忌々しい奴等に追われた挙句、何もかも失った私を守ってくれたあの聖衣を、私が唯一、心から信じられる相棒をお前如きの価値観で置物呼ばわりするな!!」

 

クリス「ぐあ、ぐああああああっ!!!!」

 

 傍にある黄金聖衣に異様な愛着を示す女はクリスが黄金聖衣を『置物』と言った事で声も態度も荒々しくなり、電圧を更に上げてクリスへの電流でのお仕置きを厳しくしたのであった。

 

 

 

リディアン

 修行中の響は学校を休んでいた。

 

教師「立花さん!立花響さんはいつもの『お節介』でまた遅刻ですか!?」

 

未来「先生!響、いえ、立花さんは今日は風邪でお休みするそうです!」

 

教師「ほんとにしょうがないですね…」

 

未来「…嘘つき」

 

 響の行動に以前から教師は頭を悩ませており、未来はつぶやいたのであった。

 

 

 

特異災害対策機動部二課

 その頃、その日の響の修行が終わり、ソファーの上でぶっ倒れていた。

 

響「はぁー…、朝からハードすぎますよ…」

 

星矢「お疲れさん」

 

弦十郎「頼んだぞ、明日のチャンピオン」 

 

 そして、響はスポーツドリンクをもらった。

 

響「あの…、自分でやると決めた癖に申し訳ないんですけど、何も聖闘士やうら若き女子高生に頼まなくてもノイズと戦える武器って他にないんですか?外国とか」

 

氷河「そんなものがあるなら、とっくの昔に導入しているはずだ」

 

弦十郎「公式にはないな。日本だってシンフォギアは『最重要機密』として完全非公開だ。聖闘士に関しても、大きな事件の解決の依頼はしても、聖闘士の行動に一切の干渉はしないというのが各国の暗黙の了解だ。もし、そんな事をすれば聖闘士から悪と断じられ、途方もない報復を受ける事になるからな」

 

響「ええ~~!私、あんまり気にしないで結構派手にやらかしてるかも…」

 

あおい「情報封鎖も二課の仕事だから」

 

朔也「だけど、時々無理を通すから今や我々の事をよく思っていない官僚や省庁だらけだ。特異災害対策機動部二課を縮め『突起物』って揶揄されてる」

 

あおい「情報の秘匿は政府上層部の指示だってのにね。やりきれない…」

 

星矢「あんなバカ揃いの官僚共に何を言ったって無駄だぜ。自分の事しか考えてねえ奴等だからな」

 

紫龍「俺も星矢に同感だ。馬の耳に念仏というのは、まさにこの事だ。奴等もノイズに命の危険に晒されなければ、考えを変えはしないだろう」

 

 二課をまともに理解しようとしない官僚を星矢達ははっきりと『自分達の事しか考えていないバカ』と逆に揶揄したのであった。

 

朔也「いずれシンフォギアを有利な外交カードにしようと目論んでいるんだろう」

 

あおい「EUや米国はいつだって改定の機会をうかがっているはず。シンフォギアの開発は基地の系統とは全く異なる所から発動した理論と技術で成り立っているわ。日本以外の国では到底真似できないから、尚更ほしいのでしょうね」

 

朔也「その点、聖闘士の方はどこの国だって敵に回したくないから、事件解決を依頼する以外は基本的に放置という形で落ち着いている」

 

瞬「各国の政府がそうしてくれる方が僕達も動きやすいので、助かります」

 

響「結局、色々とややこしいという事ですよね…?」

 

沙織「その通りです…」

 

響「あれ?師匠、そう言えば了子さんは?」

 

弦十郎「永田町さ」

 

響「永田町?」

 

弦十郎「政府のお偉いさんに呼び出されてね。本部の安全性、及び防衛システムについて関係閣僚に対し、説明義務を果たしに行っている。仕方のない事さ」

 

星矢「ほんと、色々とややこしいぜ」

 

弦十郎「ルールをややこしくするのはいつも責任を取らずに立ち回りたい連中なんだが、その点、広木防衛大臣は…了子君の戻りが遅れているようだが…?」

 

 その噂に了子はくしゃみをしたのであった。

 

 

 

病院

 翼は未だに生死の境を彷徨っていた。

 

翼『(私、生きているの?違う、死に損なっただけ。奏はなんのために生きて、なんのために死んだのだ?)』

 

 そんな翼を奏が抱き締めた。

 

奏『真面目が過ぎるぞ、翼。あんまりガチガチだとその内、ポッキリいっちまいそうだ』

 

翼『1人になって私は一層の研鑽を重ねてきた。数えきれない程のノイズを倒し、死線を超えそこに意味など求めずただひたすら戦い続けてきた。そして気付いたんだ。私の生命には意味や価値がないって事を。でも、紫龍にそれをバカって否定されてしまった…』

 

奏『戦いの裏側とか、その向こう側にまた違ったものがあるんじゃないかな?あたしはそう考えてきたし、そいつを見てきた』

 

翼『それはなに?』

 

奏『自分で見つけるもんじゃないかな?』

 

翼『奏は私に意地悪だだけど、私に意地悪な奏はもういないんだよね?』

 

奏『そいつは結構な事じゃないか?』

 

翼『私はいやだ!奏は傍にいてほしいんだよ』

 

奏『あたしがそばにいるか、遠くにいるかは翼が決める事さ』

 

翼『私が?だったら私は…』

 

 そんな時、翼の意識が戻った。そして、翼にはリディアンの校歌が聞こえていた。

 

翼「(不思議な感覚…。まるで世界から切り抜かれて私だけ時間がゆっくり流れているような…。あぁそうか私、仕事でも任務でもないのに学校休むのは初めてなんだ。聖金賞は絶望的か…。心配しないで、奏。私、あなたが言うほど真面目じゃないから、ポッキリ折れたりしない。だからこうして今日も無様に生き恥を晒している…。いや、紫龍に言わせれば生き恥とは言えないかも知れまいが…)」

 

 

 

日本

 フィーネに関する手掛かりを探しに一輝は日本に来た。

 

一輝「(フィーネ、俺はお前の手掛かりを見つけてお前を追い詰めるまでは地獄の果てまでも追い続けてやるぞ…!)」

 

 そう思って櫻井了子のいる場所を目指す一輝であったが、突如として銃撃音がした。

 

一輝「何が起こったんだ!?」

 

 何かが起こったと判断した一輝はその現場に向かった。そこでは、広木防衛大臣がアメリカ政府の工作員達に暗殺された光景を目の当たりにしてしまった。

 

工作員A「リーダー、この現場を他人に見られたようです!」

 

工作員B「あ、あの男…!」

 

 工作員の1人は一輝の聖衣箱を見て、一輝が聖闘士だとわかった。

 

工作員B「リーダー、あの男には絶対に他言無用と言いましょう!彼は大統領から直々に…」

 

リーダー「構うな!女子供であっても、この現場を見た奴を1人たりとも生かして帰すな!」

 

一輝「ほう、都合の悪い所を見られたら、地上の愛と平和を守るこのアテナの聖闘士にも容赦しないのか?」

 

リーダー「貴様が聖闘士だと?はっはっはっ、こんな場所に聖闘士がいるはずがない。こいつは聖闘士を語るガキだ!こんなガキなんざ、ぶっ殺してしまえ!!」

 

 工作員のリーダーは一輝が米国政府から手出し無用と言われているアテナの聖闘士である事を認めずに現実逃避し、ただのガキとして一輝を殺そうと部下に命令した。

 

一輝「ふっ、数と武器を頼りに俺に挑むとは、惰弱な…」

 

リーダー「何だと!?その身一つで我らに」

 

 言い終わる前に一輝は一瞬で工作員リーダーの前に来た。そして、それと同時に部下達は豪快に高々と吹っ飛ばされた。

 

工作員達「うわあああっ!!」

 

 吹っ飛ばされた工作員達は大の字の状態や顔面から地面に激突したのであった。

 

リーダー「な、一瞬で…!いや、これは幻だ!俺はきっと幻を見ているんだ!」

 

一輝「これは幻ではない、現実だ。さぁ、フィーネに関して教えてもらおうか」

 

リーダー「そ、それは知らん!」

 

 完全に現実逃避し、しらばっくれる工作員のリーダーに一輝は鳳凰幻魔拳を叩き込んだ。

 

一輝「鳳凰(フェニックス)幻魔拳。さぁ、フィーネに関する事を洗いざらい話してもらうぞ」

 

リーダー「わ、わかった。フィーネは…」

 

 幻魔拳を受け、フィーネに関する情報を話そうとしたリーダーだったが、突如としてノイズが襲ってきた。

 

リーダー「うわああああっ!!」

 

 そのままリーダーはノイズによって炭素分解され、死亡した。そして、部下達もノイズに炭素分解されて殺された。

 

一輝「口封じか…!」

 

 口封じされて情報を掴み損ねた一輝はその場を後にした。そして、その光景を例のプラチナヘアーの女が見ていたのであった。

 

 

 

特異災害対策機動部二課

 そして、了子は帰ってきた。

 

了子「大変長らくお待たせしました♪」

 

美衣「了子さん、無事だったのですね?」

 

了子「何よ。そんなに寂しくさせちゃった?」

 

弦十郎「広木防衛大臣が殺害された」

 

了子「え!?ほんと!?」

 

 そして、沙織は端末を見せた。

 

沙織「しかも、グラード財団情報網によれば実行犯は直後に現れたノイズによって殺されてしまったようです」

 

弦十郎「だが、生き残りがいると判断して目下全力で捜索中だ」

 

響「了子さんにも連絡もとれないからみんな心配してたんです!」

 

瞬「それで、何かありましたか?」

 

了子「え?」

 

 念のため、了子は自分の端末を見た。

 

了子「壊れてるみたいね♪でも、心配してくれてありがとう。そして、政府から受領した機密資料も無事よ。任務遂行こそ、広木防衛大臣の弔いだわ」

 

 ケースからメモリー端末を見せた了子であったが、そのケースの死角には血痕がついていた。それには聖闘士だけが気付いたのであった。

 

紫龍「了子さん、この血痕は何ですか?」

 

了子「え?やだ、血痕がついちゃってたの!?」

 

紫龍「(この女、広木防衛大臣暗殺に何か関わっているのではないのか…?)」

 

 黒幕とまでは突き止められなくても、了子が広木防衛大臣暗殺に関わっていると推測した紫龍であった。

 

 

 

 それから、作戦会議となった。

 

了子「私立リディアン音楽院高等科。つまり、特異災害対策機動部二課を中心に頻発しているノイズ発生の事例から、その狙いから本部最奥区画アビスに厳重保管されている『サクリストDデュランダル』の強奪目的であると政府は結論付けました」

 

響「デュランダル…」

 

星矢「沙織さん、デュランダルってそんなに凄い代物なのか?」

 

沙織「私は聖遺物に詳しくないので、凄い代物としか言えません…」

 

了子「EU連合が経済破綻した際、不良債権の一部肩代わりを条件に日本政府が管理・保管する事になった完全聖遺物の一つ」

 

朔也「移送するったって、どこにですか?ここ以上の防衛システムなんて…」

 

弦十郎「永田町最深部の特別電算室、通称”記憶の遺跡”そこならばという事だ。どのみち俺達が木っ端役人である以上、お上の威光には敵わないのさ。」

 

沙織「司令、防衛大臣殺害の犯人がアメリカ政府の息のかかった者達であれば、私が証拠等をアメリカ政府に提示し、余計な行動をしないように警告を行います」

 

弦十郎「そんな事をして大丈夫なのか?」

 

沙織「私が現代に降臨した女神アテナだとお忘れなのですか?それに、彼等も聖闘士と事を構えたくないはずです」

 

 地上の愛と平和を守るためならば、大国政府にも文句を言う沙織に弦十郎は笑った。そして、デュランダルの移送作業が始まった。

 

了子「『デュランダル』の予定移送日時は明朝15:00、詳細はメモリーチップに記載されています」

 

響「あそこがアビスですか」

 

氷河「どれだけ深いんだ?」

 

了子「東京スカイタワー三本分。地下1800mにあるのよ♪」

 

 その途方もない深さに響はおろか、星矢達も驚いていた。

 

了子「予定時間まで休んでなさい。あなた達のお仕事はそれからよ♪」

 

 

 

リディアン 寮

 星矢達は二課で待機し、響は寮に戻っていたが、未来にお説教されていた。

 

未来「朝からどこ行ってたの!?いきなり修行とか言われても」

 

響「あぁー、えっと…つまりですね…」

 

未来「ちゃんと説明して!」

 

響「あぁ、ごめん!もう行かなくっちゃ!」

 

 慌てて響は部屋から出ていき、未来は寂しそうに見ていた。

 

未来「何も心配させてくれないの…?」

 

 

 

特異災害対策機動部二課

 響は二課本部のソファーで待機していた。

 

響「絶対未来怒らせちゃったよね…」

 

沙織「そうでしょうね。近いうちに、彼女にも事情を話さなければならないでしょう…」

 

響「こんな気持ちじゃ眠れないよ…」

 

 そう言った後、沙織や美衣と一緒にテーブルに置かれた新聞を読んだが、その開いたページにはセクシーな下着姿の美女の写真があった。それに響はかなり驚いた。

 

美衣「まぁ、随分とセクシーな写真ですわね」

 

響「2人共驚かないのですか!?」

 

沙織「実は私、事故で星矢に裸を見られてしまいましたから」

 

響「じ、事故で星矢さんに裸を見られた~~!!?」

 

美衣「あと、沙織様は気を失っている星矢さんにキスしようとした事もあるそうです」

 

響「キスしようとした~~!!?大胆すぎる~~!」

 

 星矢に裸を見られたり、キスしようとした沙織に響は驚いた。流石にこの二つを話す際は沙織自身も少し恥ずかしそうにしていた。だが、次のページには『風鳴翼、過労で入院』と書かれていた。

 

慎次「情報操作も僕の役目でして…」

 

響「緒川さん」

 

慎次「翼さんですが、危険な状態を脱しました。ですが、しばらくは二課の医療施設にて安静が必要です。月末のライブも中止ですね。さて、ファンの皆さんにどう謝るか、響さんも一緒に考えてくれませんか?」

 

 その言葉に思わず響は自分のせいだと受け取った。

 

慎次「あ、いや、そんなつもりは…」

 

美衣「緒川さん、もう少し話す言葉を考えてください」

 

響「ふふふっ…」

 

慎次「ごめんなさい、責めるつもりはありませんでした。伝えたかったのは、何事もたくさんの人間が少しずついろんなところでバックアップしているという事です。だから響さんももう少し肩の力を抜いても大丈夫じゃないでしょうか?」

 

響「優しいんですね、緒川さんは」

 

慎次「怖がりなだけなんです。本当にやさしい人は他にいますよ」

 

響「少し楽になりました。ありがとうございます」

 

沙織「時間までゆっくり休んでください」

 

 響はゆっくりしに行った。

 

慎次「翼さんも響さんぐらい素直になってくれたらな」

 

 そして、未明…。整列する黒スーツの面々と響と聖衣を纏った星矢達に弦十郎から指示が出た。

 

弦十郎「防衛大臣殺害犯の生き残りを検挙する名目で検問を配備!記憶の遺跡まで一気に駆け抜ける!」

 

了子「名付けて、『天下の往復独り占め作戦』♪」

 

 作戦開始しようとした途端、緊急連絡が入った。

 

弦十郎「ノイズか…!」

 

紫龍「司令、ここは俺と星矢と氷河が向かいます!」

 

星矢「瞬は響と一緒にデュランダルの移送を頼むぜ」

 

瞬「うん、わかったよ」

 

氷河「では、行くぞ!」

 

 星矢達3人はノイズ退治に出撃し、残る瞬は響と共に了子の車に乗って移動した。

 

 

 

道路

 上空を弦十郎が乗ったヘリコプターが飛び、黒い車4台と了子の車でデュランダルの移送任務が開始された。瞬は何が起こっても大丈夫なようにネビュラチェーンで気配を探っていた。

 

瞬「了子さんは蛇遣座の黄金聖衣を持ってるそうですけど…、その呪われた聖衣を持ってて大丈夫なんですか?」

 

了子「平気よ、平気。むしろ、あの聖衣は私と巡り会う運命にあった聖衣だと思っているわよ」

 

響「運命…ですか…?」

 

了子「実をいうと、蛇遣座の黄金聖衣はもう何千年も前の黄金聖闘士であった私のご先祖様が纏っていた聖衣よ。ご先祖様には大好きな神様がいたんだけど、人と神は交われないという理由で振られちゃったの。でも、それを諦めきれないご先祖様は自分も神になるために修行を積んで聖闘士になり、人々を救って更に精進して神様になろうとしたの。だけど、それを色々な神様は許してくれなくてご先祖様は聖衣と共に聖域から追われ、元仲間に討たれて死んでしまったの。仲間から追われて誰も信じる事ができず、死ぬまでずっと守ってくれた聖衣だけが唯一の相棒だった。…っていう悲しい話なの…」

 

響「あの…聖衣を相棒だなんて…」

 

瞬「聖衣には意志があるんだ。だから、聖域から追われた自分をずっと守ってくれた聖衣を了子さんのご先祖様は相棒と言ったんじゃないかな?」

 

響「そうなんですか?」

 

了子「そうなるわね…。でも、何千年もの時を経て、私のご先祖様の遺した聖衣と巡り会うなんて、運命を感じるわ」

 

 そう言ってると、突如として道路の片側車線が崩れた。

 

瞬「了子さん!」

 

 すぐに一列に並んだが、1台並びきれずに落ちた。

 

了子「しっかり掴まっててね。私のドラテクは凶暴よ」

 

響「えっ?」

 

瞬「望むところです!」

 

 

 

市街地

 市街地に入った所で、通信が入った。

 

弦十郎『敵襲だ!まだ目視で確認していないが、ノイズだろう!』

 

瞬「僕のチェーンに反応がありました!間違いなく、ノイズです!」

 

了子「この展開、想定していたより早いかも!」

 

 今度は一番後ろの車がマンホールの蓋が吹っ飛ぶのと同時に吹っ飛んだ。

 

弦十郎『下水道だ!ノイズは下水道を通ってきている!』

 

瞬「やはり…!」

 

 次は前の車が吹っ飛ばされて了子の車に落ちてきた。

 

響「わわわっ!」

 

 しかし、瞬はすぐにネビュラチェーンで車を弾き了子のドラテクで完全回避したが、路上のゴミを撥ね飛ばしていた。

 

了子「ナイスよ、瞬君!おかげで助かるわ!」

 

瞬「まだ油断は禁物です!」

 

了子「弦十郎君、ちょっとやばいんじゃない!?この先の薬品工場で爆発でも起きたらデュランダルは」

 

弦十郎『わかっている!さっきから護衛車を的確に狙い撃ちしてくるのは、ノイズがデュランダルを損壊させないよう制御されているとみえる!』

 

了子「ちっ!」

 

弦十郎『狙いがデュランダルの確保なら、あえて危険な地域に滑り込み、攻め手を封じるって算段だ!』

 

了子「勝算は!?」

 

弦十郎『思いつきを数字で語れるものかよ!』

 

 今度はナメクジ型のノイズが護衛車を襲い、ドライバー達は脱出したが車は工場のタンクに激突して爆発した。

 

響「狙い通りです!」

 

 しかし、突如として車はひっくり返った。

 

弦十郎『南無三!』

 

 慌てて3人は車から出たが、その場には大量のノイズが出現した。そして、瞬はケースに入ったデュランダルを車から出した。

 

瞬「デュランダルは回収しました!」

 

了子「うーん…。いっそ、ここに置いて私達は逃げましょ」

 

響「そんなのダメです!」

 

瞬「敵に奪われたら大変な事になりますよ!」

 

了子「そりゃそうね~」

 

 そうしているうちにノイズの攻撃で車が爆発し、3人は吹っ飛ばされた。瞬はすぐに受け身をとったが、響はとれずにケースが近くに落ちた。爆発の際の煙で弦十郎は現場が見えなくなった。その後もノイズ達が襲い掛かってきた。

 

瞬「ネビュラチェーン!」

 

 すぐに瞬はネビュラチェーンでノイズを迎撃し、了子の方もバリアでノイズの攻撃を防いでした。

 

瞬&響「「了子さん?」」

 

了子「しょうがないわね!あなたのやりたい事をやりたいようにやりなさい!」

 

 その言葉に響は立ち上がった。

 

響「私、歌います!」

 

 響は戦いの歌を歌い、戦姫となった。そして、戦いの邪魔になるため、ヒールを破壊した。

 

瞬「後ろは僕に任せて、響は前の敵を頼む!」

 

響「わかりました、瞬さん!」

 

 後ろからノイズが向かってきたが、次々とネビュラチェーンの防衛範囲に入っては餌食になっていった。そして、響の方は掌底や正拳、ひじ打ち、回し蹴りといったこれまでの修行で学んだ格闘技でノイズを次々と葬っていった。その様子にクリスは驚いていた。

 

クリス「こいつ、戦えるようになっているのか…?」

 

 戦闘の最中、ケースが開いた。それと同時に、チェーンがわずかな反応を見せた。

 

了子「この反応、まさか…!」

 

 ノイズを蹴散らしている響の方へクリスが襲い掛かった。

 

クリス「今日こそはものにしてやる!」

 

 響の顔面に蹴りを入れた。

 

響「(まだシンフォギアを使いこなせていない!どうすればアームドギアを…)」

 

 響が地面に叩きつけられるのと同時にケースがブチ破られ、デュランダルが現れ、金色のオーラを纏って空に浮かんだ。

 

了子「覚醒?起動?」

 

 それにチェーンが反応してかなり警戒した。

 

瞬「(これは、ギャラクシアンウォーズの時と同じだ!チェーンが警告している!)」

 

クリス「こいつがデュランダル…」

 

 デュランダルを奪おうとしたクリスだったが、響に妨害された。

 

響「渡すものか~!」

 

瞬「響、それを持っては」

 

 瞬の警告も遅く、響はデュランダルを手にした。すると、金色のオーラはさらに強くなり、それと同時に響に異変が起き、空に金色の光が昇った。その場にいる全員が見る中、デュランダルは新品同然になったが、響は誰が見ても暴走している状態になっていた。

 

響「ううぅっ、あああああああ!!!!」

 

クリス「こいつ、何しやがった!?」

 

 クリスは了子の方へ視線を向けたが、了子の表情は歪んだ笑みになっていた。

 

クリス「そんな力を見せびらかすな!」

 

 クリスは杖からノイズを出して響にけしかけたが、暴走響はそれを本能で察知し、デュランダルを振り下ろそうとした。しかし、すぐにネビュラチェーンで拘束された。

 

瞬「やめるんだ、響!薬品工場を破壊したら、とんでもない事になるんだよ!」

 

響「ぐううううぅっ!!」

 

瞬「君、すぐにこの場から逃げるんだ!」

 

クリス「この状況で何言ってやがるんだよ!鎖女!」

 

瞬「僕は男だ!それに、君は何となく根っからの悪人には見えないんだ」

 

クリス「勝手に悪人じゃないとか決めつけんな!だったら、この前のネビュラ何とかでそいつをぶっ飛ばせよ!」

 

瞬「それはできない!響は暴走してるだけなんだ!そんな人にネビュラストームを使う事なんて」

 

 優しすぎて争いを好まない瞬はノイズには容赦なくネビュラストームを撃てても、暴走している響には撃てなかった。暴走響はデュランダルのエネルギーを開放して瞬とクリスを吹っ飛ばし、チェーンの拘束を解いたのであった。

 

瞬「うわああああっ!!」

 

クリス「この野郎…!」

 

 そのままクリスは攻撃しようとしたため、暴走響は大ジャンプしてそのままデュランダルを振り下ろそうとしたが、即座に瞬が突き飛ばした。

 

クリス「な、何を」

 

 クリスを庇って瞬はデュランダルの光に呑まれ、爆発に巻き込まれた。

 

瞬「うわああああっ!!」

 

クリス「この……バカヤロー!!!」

 

 敵なのにも関わらず、自分を庇って暴走響の攻撃に呑まれた瞬にクリスは叫ぶほかなかった。

 

クリス「鎖野郎はおかしな奴だけど、そいつを殺しやがって、この」

 

 さっきまで敵だったのに自分を庇った瞬の仇をとろうとしたクリスだったが、以前にも感じた気配に驚いた。

 

クリス「何だ…、この気配…?」

 

 それは、爆発の起こった所からだった。炎が火の鳥のような姿になった後、そこから瞬の兄、一輝が聖衣を纏った状態で間一髪で助け出した瞬を抱え、現れた。

 

クリス「てめえ、あの時の…」

 

瞬「兄さん、やっぱり来てくれたんだね!」

 

一輝「ああ、勿論だ」

 

クリス「てめえら…兄弟なのかよ!!」

 

 以前、自分を打ち負かした一輝が瞬の兄である事にクリスは驚愕した。そして、暴走響は一輝と対峙した。

 

響「うわあああっ!!」

 

一輝「ふん…」

 

 暴走響の攻撃を一輝は軽くあしらい、一瞬で追い込んだ。

 

一輝「これで止めだ…!鳳翼」

 

瞬「待って、兄さん!響はデュランダルを手にして暴走しているだけなんだ!」

 

一輝「暴走だって?」

 

 そうしている間にも暴走響は襲い掛かってきた。

 

一輝「心配するな。その響という奴は殺さん。俺には肉体を傷つけずに無力化できる技があるからな」

 

 瞬を安心させ、改めて一輝は暴走響と対峙した。

 

一輝「今からお前を正気に戻してやる!鳳凰(フェニックス)幻魔拳!!」

 

 暴走響に幻魔拳が打ち込まれた。

 

 

 

幻覚

 その幻覚は、リディアンの授業中から始まった。

 

教師「立花さん、また遅」

 

 しかし、突如として暴徒化した人間達が押し寄せてきた。

 

暴徒A「てめえ、何で金を受け取ってやがるんだよ!」

 

暴徒B「人を殺しておいて、よく生きていられるわね!」

 

 誹謗中傷をぶつけてくる暴徒達は次第にノイズへと姿を変え、誹謗中傷をぶつけるのを続けながら次々と響のクラスの生徒を炭素分解して殺していった。

 

未来「こ、怖いよ…!」

 

響「嫌…、こっちに来ないで!」

 

 逃げ場がなく、未来と二人で追い詰められていく響であった。そして、ノイズの1体が襲い掛かり、未来が捕まってしまった。

 

未来「響~~~~っ、死にたくない、死にたくない~~!!」

 

 未来が悲鳴をあげながら炭素分解されて死んでいく姿に響はもう限界だった。

 

響「嫌~~~っ!!!!」

 

 

 

響「あああああああっ!!!!」

 

 幻魔拳を受け、未来や同じクラスの生徒が響に誹謗中傷をぶつけるノイズに殺されるという恐ろしい幻覚を見てパニックになった響は激しく動き、力を暴発させてノイズを全滅させた後、力なく倒れた。

 

クリス「あの野郎…、何をしたんだ…?」

 

 もう用はないと判断したクリスはその場を去った。弦十郎も現場が気になった。

 

弦十郎「一体、何が起こったんだ…?だが、薬品工場の被害は小さくて済んだな…」

 

 それからしばらくしてから、響は起きようとした。

 

響「(何?今の力…。私、体が勝手に動いてから、未来がノイズに殺されるのを…)」

 

瞬「響、大丈夫?」

 

響「瞬さん、未来は!?」

 

瞬「それは大丈夫、君が見たのは一輝兄さんが響を正気に戻すために見せた怖い幻なんだ」

 

響「幻…」

 

 未来が殺された光景が幻であった事に響は安心した。

 

響「あの…これって…」

 

了子「これがデュランダル。あなたの歌声で起動した完全聖遺物よ」

 

響「あの、私、それに了子さんのあれ…」

 

了子「ん?いいんじゃないの?そんな事♪助かったんだし、ね♪」

 

 そんな了子を一輝は警戒していた。

 

一輝「(あの女が櫻井了子か…)」

 

響「あの…、助けてくれてありがとうございます、瞬さんのお兄さん!」

 

一輝「響、さっきの暴走はお前の心が半端だからこそ、強大な力を制御できずに引き起こした事だ。このままだとお前は大切なものを自分の手で失う事になるだろう。そうなりたくないのなら、何が何でも己を見失わずに力に呑まれるな」

 

 一輝からの言葉は厳しいものだった。

 

瞬「兄さん、これからどうするの?」

 

一輝「まず、星矢達に伝えたい事がある。それを伝えるために、俺は帰ってきた」

 

 自分がこれまで集めた情報を伝えるため、一輝は瞬と共に星矢達の所へ向かった。




これで今回の話は終わりです。
今回はデュランダル移送の話を描きました。
工作員のリーダーは暴れん坊将軍に悪人達のように一輝が聖闘士だと知ってもすっとぼけて襲い掛かってくるという役回りにしました。また、瞬がデュランダルを持った暴走響にやられたのは、暴走状態の響を傷つけたくなくて本気を出せない事と考えてください。
今回の暴走響を正気に戻すために放った幻魔拳によるトラウマロードショーは響に対する誹謗中傷を言うノイズが響のクラスの生徒を次々と殺していき、響の目の前で未来が殺されるというショッキングなものにしました。怖かったらごめんなさい…。
次の話は再びクリスとの激突となります。
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