異端者が英雄になるのは間違っているだろうか?   作:もち米

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12話 それぞれの戦い

 ティアナ、ティオネ、レフィーヤは迫り来る食人花を相手していた。ティアナとティオネは前方に立って迫り来る巨大な蔓を打撃で攻撃する。

 後方にいるレフィーヤは魔法放つために詠唱を唱えている。

 しかし、このモンスターは魔力に反応して襲い掛かるのだ。そこでティオナとティオネはレフィーヤを守りながら食人花を相手していた。

 

「【――――閉ざされる光、凍てつく大地】

 

 レフィーヤが詠唱を唱える。食人花は魔力に反応し、レフィーヤ目掛け巨大蔓を薙ぎ払う。だが寸前のところでティオナ、ティオネが追いつきモンスターの前に立ちふさがる。

 

「はいよっと!」

 

「大人しくしてろッ!!」

 

 二人は殴りや蹴りで食人花の攻撃を塞ぐ。そして―――――。

 

「【吹雪け、三度の厳冬――――我が名はアールヴ】!」

 

 レフィーヤの中心に魔法円が拡大する。そしてついにその魔法の名を言う。

 

「【ウィン・フィンブルヴェトル】!!」

 

 その凄まじい魔法の衝撃は、大気をも凍てつかせながら、モンスターに直撃し、瞬く間に凍らせた。

 絶対零度の氷結魔法。

 その攻撃は時間すらも凍らせる。

 

「ナイス、レフィーヤ!」

 

「散々手を焼かせてくれたわね!」

 

 ティオナとティオネはそう言って渾身の蹴りを凍りついた食人花に、お見舞いした。

 粉々に砕ける食人花。

 

「よしっ!」

 

「一見落着~!」

 

 そう言ってティオナとティオネはレフィーヤのもとへと駆け寄る。

 

「レフィーヤありがとうー。助かったー!」

 

 ティオナはそう言ってレフィーヤに抱きつく。

 

「テ、ティオナさんッ!?」

 

 そんなティオナの行動にレフィーヤは恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせた。そんな二人を見てティオネは微笑む。

 そんな中、後方から一人に男の叫び声が聞こえる。

 

「?」

 

「なんでしょうか?」

 

 三人は声が聞こえた方面を見つめる。そこには――――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラムザは大きな声で力強く叫んだ。周りを気にすることなく叫んだ。そして、叫び終わったラムザはガフガリオンに向けてキッとした表情で見ると、大きく地面を踏み込み、凄まじい速度でガフガリオンのもとへと駆ける。

 

「…………ッ!?」

 

 流石のガフガリオンもこの速度についていけず、対応が遅れた。

 ラムザは透かさず持っている剣を薙ぎ払う。

 斬撃はガフガリオンの腹部に強烈に当たり、その勢いは凄まじくガフガリオンは勢いを殺すことが出来ずに吹き飛んだ。

 

「クッ……!!」

 

 しかしここで終わらないのがガフガリオン。吹き飛びながらも闇の剣を放つ。

 凄まじい剣気がラムザの真下から解き放たれる。ラムザはその剣気をまともに喰らった。

 勢いを殺しながらガフガリオンは地面に立つ。彼の受けた傷がみるみる癒えていく。

 そしてガフガリオンはラムザを見た。

 ラムザは剣気を放たれた場所から動くことなく、ガフガリオンを鋭くじっと見つめていた。

 まるで何事もなかったかのように。

 そのラムザの様子を見てガフガリオンは苦虫を噛んだ。

 闇の剣を幾度も喰らっていて、なぜヤツは平然としているのか。

 ダメージを与えているのに、なぜヤツは地面に膝を付けないのか。

 そこでガフガリオンはある結論を見出す―――――あの時よりも強くなっている。

 今の自分も強くなっているが、それよりもラムザは遥かに強くなっているということを―――――。

 

「…………」

 

 アイズは息を飲み込んでラムザとガフガリオンの戦闘を見つめる。するとラムザは持っている剣を握り締めながら、黙ってガフガリオンへと歩き出した。

 向かってくるラムザ目掛けてガフガリオンは闇の剣を放つ。

 再び凄まじい剣気がラムザを襲う。しかしラムザを止められなかった。

 

「クソッ…!」

 

 ガフガリオンは悔しそうに言う。

 そしてラムザは一定の距離までくると――――――。

 

 

「…ガフガリオン。あなたはかなしい人だ」

 

 不意にラムザがガフガリオンに向かって言う。

 

「あなたはプロの傭兵としての意地を持っていた! 現実を見据え、腐敗しきったイヴァリースでも大儀を考えていた! 物事の順序や筋道が見えていたあなたが何故、悪魔の手先へと成り下がった!」

 

「今の俺の”現実”を知ったからだ! 郷に入っては郷に従え―――――それが生きるということだろう!」

 

「だからと言って、この地を血で染めようとするのか!」

 

「それは仕方のないことなンだよ! 立場が変われば考えも変えなければならない! 現状を受け入れなければ今の俺が生きる資格などない! そうしなければならない理由があるンだよ!」

 

「生きる資格だと…? ガフガリオン、貴様はいいように使われているだけだ! いいのかそれで! 人間としての尊重を失ってまでして…犬になりさがるとでもいうのか!」

 

「…………!」

 

 暫く沈黙が続く。

 互いが黙りあい見つめる。

 静寂が訪れたとき。

 ガフガリオンはこんなことを言った。 

 

「だったら……この悪党の俺を倒すンだな…! そうすれば……無駄な血を流すことは済むはずだぜ!」

 

「…………」

 

 互いが剣を構え、対峙する。そして―――――――。

 二人同時に動いた。

 ガフガリオンは渾身の力を込めて闇の剣を放つ。

 その剣気は凄まじく、辺りに衝撃を撒き散らし、壁や地面を抉りながらラムザに直撃した。

 

「…………!」

 

 衝撃により、アイズは思わず顔を腕で隠す。しかし、この戦いの行く末を見届けなければ。アイズはそう思った。

 衝撃が収まり、辺りに土煙が舞う。そして静寂が訪れようとした瞬間―――――。

 

「…………!?」

 

 凄絶な速度でラムザは駆け出し、勢いそのままに渾身の力を込めガフガリオン目掛けて剣を振るった。

 重い斬撃がガフガリオンを襲う。

 ラムザは勢いを止め地面に立つ。そして後方のガフガリオンは膝を地面につけた。

 

「…………」

 

「グッ……! 見事だぜ…」

 

 膝をつけたガフガリオンはそう呟いた。

 

「…ガフガリオン」

 

 ラムザはガフガリオンを見る。

 

「悪魔に魂を売った男の最後は…これが相応しい…てことか…上出来だぜ…そして強くなったな、ラムザ…」

 

 ガフガリオンは胸からあふれ出てくる血を抑えながら言った。

 

「おまえは知りたがっていたな…俺が蘇ったことを…。知りたければ……ダンジョンの深層へと向かうことだな……」

 

「深層だと…? そこに何があると言うんだ!」

 

「それは…自分の目で確かめるンだな…! しかし…こうまで…力を付けているとな……。これが……羊飼いに従った……羊の…限界……だっ…たか……」

 

 最後にそう言いながら、ガフガリオンの灰のように消えていった。

 

「…さようなら、ガフガリオン」

 

 ラムザは消えていく灰を見つめながらそう言った。

 

「ラムザ…!」

 

 アイズがラムザに近づく。しかしラムザはあることを考えていた。

 

(…深層にいったい何があるというんだ…?)

 

 答えは誰にもわからない。そこに行かなければ、真相を確かめなければ…とラムザはそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シルバーバックから逃げていたベル達はダイダロス通りに来ていた。

 オラリオに存在するもう一つの迷宮。

 度重なる区画整理で秩序が狂った広域住宅街。

 そこに三人は逃げ込んでいた。しかし、それも終わりを告げる。

 

「…行き止まり!?」

 

 曲がりくねった迷路のような道を駆けていた三人だったが、正面には大きな壁があった。

 

「ベル……こうなったらやるしかないわ!」

 

 アルマは後ろを振り返り、魔法を撃つために魔力を込める。

 

「神様は下がっていてください!」

 

 ベルは(ヘスティア)のナイフを持ち身構える。

 

「ベル君! アルマ君! 無茶だけはしないでくれよ!」

 

 そう言ってヘスティアは二人の後ろへと下がった。

 

「…ベル。私が魔法を放つから、その隙にヤツの魔石を狙って…! 勝つにはそれしかないわ!」

 

 アルマがベルに言う。  

 

「わかりました…!」

 

 互いが対峙する――――――。

 瞬間。

 

「虚栄の闇を払い、真実なる姿現せ あるがままに! アルテマ!」

 

 アルマがアルテマを放った。シルバーバック中心に大爆発が起こる。

 シルバーバックはその魔法の威力に耐えられず、その場に仰向けに倒れこむ。

 

「今だ!!」

 

 ベルは駆け出しジャンプする。目指すは場所は相手の胸部。モンスターを倒す上での絶対の有効打となる魔石。

 そこに狙いを定める。

 

「はあぁあああああ!!」

 

 燐光を灯した(ヘスティア)のナイフでベルはシルバーバックの胸部を突き刺す。

 するとシルバーバックは絶叫を上げながら灰になって消えていった。

 

「やった…! やりましたよ! アルマさん!!」

 

「やったね! ベル!!」

 

 二人はモンスターを倒したことによってはしゃぐ。

 そんな二人を見つめながらヘスティアも微笑むのであった。

  

 

 

 

   




少しシリアスに疲れましたので、数話にかけてラブコメに走ろうと思います。
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