拾われ少女   作:月蛇神社

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昨日の午後6時頃に何となく日刊ランキングを見てみればまさかの60位に拾われがあって噴きました。コーヒーが空でよかった。
ちなみに昨日の返信した時間辺りでは消えていたので載ってた時は運営さまが間違えて載せてしまったのでしょう。うん、きっとそうなんだ。
あと誤字報告ありがとうございます。

いつも読んでくださる皆様、謝謝。


今回いつもより読みにくいかと思います。すんません。


10(原作開始)

 障子の隙間から差し込む日光とさえずる雀の鳴き声で少女は目を覚ました。

 

 起きたときには、一緒に寝た……というよりいつも通り少女が押しかけ、寝てもらった部屋の主の存在が布団の中に感じられなかったので、朝の鍛錬を行っている頃だろう。

 

 いつもならすぐにジャージに着替え、途中でもいいからそれに混ざるのだが、昨日は明日のことで緊張していたためかあまり寝付けなかったのでまだ眠い。

 

 布団の中から腕を伸ばし、目覚まし時計を手探りで探す。

 

 時計の針は05:30と指していた。

 

「……大丈夫、まだ30分は寝れ…る…」

 

 そう言って少女の意識はすぐに落とされる。

 

 

 この後30分どころではなく1時間寝過ごし、頭を部屋の主にはたかれて起こされ、大慌てするのは言うまでもない。

 

 

 なんで起こさなかったのかと真新しい制服に着替えながら聞いてみれば答えは単純。

 

「自分で起きろや高校生」

 

 ああ、無情。しかし寝過ごしたのは自分である。

 

 急いで最低限の準備をし、先に行った友人に追いつく為に走るための屈伸運動。

 

 そして、玄関まで見送ってくれた大切な人へ一言。

 

「京也の薄情者ー!いってきまーす!」

 

 そうして更識一夏の朝は始まった。

 

 4月10日。IS学園入学式当日のことである。

 

 

 

 

 

 

 IS学園1年1組の教室は異質な雰囲気に包まれていた。

 

 入学式の長い話も終わり、あとは担任が来るのを待つだけなのだが教室内は時が止まったような空間となっていた。

 

 一緒に来た友人と談笑する声、外国人のクラスメートにアプローチしようと試みるチャレンジャーの姿。

 

 それらが一切無く、ほぼ全員が教卓の目の前の席に座る男子生徒(・・・・)をただ黙ってじっと凝視しているのだ。

 

 見慣れぬ男子にどうしたらいいのかわからず困惑する視線。「何故ここに男が…」と敵視する視線。興味深くじっくりと観察するある意味一番迷惑な視線。

 

 そしてその渦中にいる当人。世界初ISを動かした男性こと大川光輝といえば。

 

(原作の織斑一夏ってこんな視線浴びて過ごしていたのかよこえーよ何人かが捕食対象を観察する目じゃねーか!)

 

 完全におびえていた。

 

 まあ無理もないことだろう。むしろ原作の彼はよくこの状況で幼馴染の方へ顔を向けたものだ。

 

 その視線の中には自分が蹴落とすべき少女の存在も混じっていたのだが、

 

(……だめだ、やっぱり思い出せないや。それより眠い……)

 

 その少女はすぐに視線を外し、机に突っ伏し寝ようと腕を組んだ。

 

 

 そのときだ。

 

「すいませーん、遅くなりましたー」

 

 ガラガラと音を立てて引き戸が開かれた音に反応して少女はそちらに視線を向け、直後に眠気が飛んだ。入ってきたのは、眼鏡をかけ、幼さの残る顔立ちのおっとりとした印象の女性。

 

 そしてなにより凶悪な胸部装甲に視線がくぎ付けになる。

 

(お姉ちゃんと同等…いや、それ以上!?)

 

 姉以上の武器を目の前にし、戦慄。どう考えても「お前それでいいのか」と言われそうな反応だが、あれに反応するなと言われる方が少女にとっては無理な話である。

 

 しかし、その人物に反応したのは極少数。やはり、教員よりも男子生徒の方が珍しいのだ。

 

 もっとも、当の男子は目の前の揺れる胸部装甲にくぎ付けでそれどころではないのだが。

 

 目の前の先生は反応が無かったことに不満なのかちょっとだけ「むぅ」と頬を膨らませるとすぐに顔を戻し。

 

「副担任の山田真耶です。まずは入学式お疲れ様でした。今後の日程の説明の前に自己紹介を終わらせておきたいので、出席番号1番の方からお願いします……聞こえていますか?」

 

 その言葉に何人かは返事をする素振りをする。しかし、この異質な雰囲気の中で返事をする、というのはなかなかに厳しい。

 

 顔全体を包帯で巻いたミイラのような少女は例外だったらしく。だぼっとした袖を揺らしながら右腕全体を挙げていたが。

 

 それでもその女性は満足しなかったらしく、腕を後ろに回し、

 

 直後「ズドンッ」という大きな音が教卓側から聞こえ、全員の意識がそちらへと向いた。

 

 そして生徒達はようやく気付く。(彼女たちにとって)いつの間にか入っていた笑顔の女性。

 

 その女性が窓へと伸ばす腕の先にある硝煙を上げる黒光りする一丁の拳銃に。

 

「教師の言葉に返答も無し……先生は悲しいです。まず挨拶をすることは世界共通だと思っていたのですが。ですので、先生は考えました。挨拶がないなら挨拶せざるを得ない状況を作ればいいのだと!という訳で、まだ返事がないようなのであと2、3回ずどんっと行きますね。ああ、死人が出てもご安心を。必要な犠牲(コラテラルダメージ)、というものですっ」

「「「申し訳ございませんでしたぁ!!!おはようございます!!!」」」

 

 先生の冗談なのか本気なのかわからない口調、いや、あれは多分本気だ。そう嫌でも認識した彼女たちは各々の国の言葉で返事を返す。ISの登場以来、開発者が日本人ということもあり公用語として日本語が追加されており、当然ここにいる者は全員話せるのだがそんなことを気にする余裕など微塵もない。

 

「はい、よくできました。あと、このクラスは日本の方が多めに在籍していますけれど、話しづらかったら無理に日本語じゃなくてもいいですからね?大丈夫です、みんな毎日聞いているうちにだんだんと覚えていきますよ」

 

 それではさっき言ったように自己紹介をお願いしますね~。巻いていくので質問タイムあとで各自でやってくださいね~。そうふんわりとした声で告げられると1番の生徒から男子を飛ばして自己紹介が始まる。しかし、先ほどのことがあったためか誰もかれもが完全に強張ってしまっていた。

 

 これはあとでもう一回し直さなきゃダメかな。そう一夏は思った。

 

 

 そして満を持して、男子生徒の番が回ってくる。

 

「大川君?大川く~ん。自己紹介をお願いしま~す。」

 

 しかし、反応は無い。そのころ彼の思考は混乱していた。

 

(なんで山田先生が拳銃なんかもってるんだよ!?あのおどおどとした雰囲気はどこへ?)

 

「うーんやはり聞こえていませんか……仕方ありません、ちょっと頬っぺたをかすめてみましょう」

「そこまでにしろ、山田先生」

 

 その声と共に真耶の頭に出席簿がパシンと落とされる。その音で大川の意識が戻ると、IS界のブリュンヒルデ(世界最強)こと織斑千冬が立っていた。

 

「痛っひどいじゃないですか織斑先生!」

「いや貴女が言うことじゃないだろう、雰囲気が完全に自己紹介どころじゃなかったぞ……」

 

 呆れ顔でつっこみを入れる千冬。女子生徒も目の前の存在に気づいたのか、だんだんと声が上がっていった。

 

「うそ、千冬さま?」

「え、本物!?」

「本物の千冬さまよ!私、あなたに会いに九州からやってきました!」

 

 騒がしくなる教室。そこにいる一夏は実の姉を誇らしく思うが、同時に崇拝されているようで嫌になる気分だった。

 

「……毎回思うのだがなんでこんな生徒ばかり集まるんだ?私はそんな大それた人間じゃないんだ。さま付けもやめてくれ」

 

 その言葉で場はさらに盛り上がる。千冬が頭を押さえて注意しようとした瞬間。

 

「静かにしないか。先生が困っている」

 

 決して大きくはなく、しかし凛としていてよく透る声が教室中に響いた。その声で皆一斉に黙り込み、声の主へと向く。

 

「すまないな、篠ノ之。お前達、まだ自己紹介は終わっていないだろう?」

 

 そこで少女たちは今まで頭の隅に追いやっていた男子生徒の存在を思い出す。

 

 その男子はどうにかポーカーフェイスでようやく自己紹介が始めるのだった。

 

「……大川光輝です。世界初、ISを動かしてしまった男ですがどうかみなさんよろしくお願いします」

 

 自己紹介は簡潔に終え、大川は席へ戻る。しかし、彼女たちに不満はない。それ以上に気になる存在がいるからだ。

 

「終わった。では最後は私だな」

 

 そうして千冬は教卓へ向かい、口を開く。

 

「私がこのクラス担任を務める織斑千冬だ。仕事としてはお前達高校1年生を2年生まで育て上げること。私のいうことには基本的にハイかYesで答えろ。ただしそれが正解とは限らない。違うと思ったらすぐにNoと答えろ」

 

 その言葉と共にチャイムが鳴る。

 

「時間も丁度いいな。次の時間からは通知通りに授業を始める。くれぐれも遅れないように」

 

 そう言って千冬と真耶は教室から出て行った。

 

 

 

 

 一夏side

 

 

「少し、いいだろうか」

 

 教科書を準備し、少し予習をしようと教科書を開いた私は声をかけられ顔を上げる。そこには、さっきの騒動を一声で納めた少女の姿があった。

 

 長いポニーテールに大きな胸。そしてピンと伸びた背筋は大和撫子を思わせる。確か名前は……

 

「篠ノ之箒さん、だっけ?」

「ああ、そうだ。……いいだろうか?」

「うん、いいよ。どうしたの?」

「廊下でいいだろうか?少し話しづらくてな……」

 

 あと、箒でいいぞ。そういう箒ちゃんの背中についていき廊下に出る。背筋を伸ばして歩く彼女は格好良く、思わずかっこいいと思ってしまう。

 

「まず確認したい。更識一夏ではなく、本名は織斑一夏で間違いないか?」

「……何でそう思うの?」

「千冬さんから話しには聞いていたんだ、私の家の道場にいたころにな。私にはもったいない妹だと言っていたよ」

 

 その言葉で納得し、思い出す。確かお姉ちゃんはどこかの道場に通っていた。それが箒ちゃんの道場だったのか。

 

「それで、久しぶりにこの前会ったとき同じクラスに妹がいると言っていて気になってな。何となく顔が似ている人は更識しかいなかったからすぐにわかった」

「そういうことだったんだね。あ、私は一夏でいいよ。同じ更識がもう一人いてややこしくなるから。

「そうか。すまない」

「でもどこが話しづらいの?」

「謝りたいんだ」

 

 そう言って箒ちゃんは頭を下げた。私は訳がわからず困惑する。

 

「ちょっと待って、どうしたの急に……!?」

「ISを作ったのは姉さんだ。間接的に貴女を追い詰めたのは私の身内なんだ」

 

 頭を下げたまま、箒ちゃんは答える。

 

「これも千冬さんから聞いたんだ。一夏が苦しんでいたことや自殺寸前まで酷かったことを。本人じゃなくても、その妹として謝らせてくれ」

「……箒ちゃん、顔を上げて」

 

 その言葉で顔を上げた箒ちゃんに手刀を入れる。ぽすっと気の抜けた音がした。そして教室へと身をひるがえす。

 

「……え?」

「罰が欲しいならこれで終わり。さ、教室に戻ろ?」

「ち、ちょっと待ってくれ!こんなものでいいのか!?二度と近づくなとか、それくらいのことは覚悟していたんだぞ!?」

「いいんだよ。こんなもので」

 

 私は箒ちゃんの方へ振り向く。私の顔を見た箒ちゃんの顔はとてもあっけにとられていた。

 

「確かに私はISとお姉ちゃんで苦しんだ、それこそボロ雑巾になるくらい。でも、そんな雑巾を拾ってくれた人と会わせてくれたから今の私は幸せ。ISを憎みもしない」

 

 それよりも、

 

「私は箒ちゃんと友達になりたいよ。これでこの話は終わりにしよ?」

 

 私はそう笑顔で言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、軽く泣き出してしまった箒ちゃんをなだめるのは大変だった。なんでも、私の答えが予想外すぎて混乱しているのと、初めて友達が出来たこととで頭がパンクしてしまったらしい。




最近よく見るブラックやまや先生をやってみた。そういえば中の人って某後輩キャラと声同じでしたね。

感想、評価、「いつにも増してグダグダじゃねーかおめー」と殴り込みたいかたがいれば是非感想欄まで。



やっぱ視点って安定させた方がいいですかね?
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