拾われ少女   作:月蛇神社

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すまん、決定戦終わらんかったわ。
戦闘2本立てのはずが気づけば丸々1本使ってました。
あとセシリアは改造しすぎた気がする。
てことで一夏ちゃん対セシリア戦開始。

毎度読んでくださる皆様、謝謝。


15

「ふへぇ~…すごいなぁ…」

 

 控室で観戦していたISスーツ姿の一夏は感嘆の声を上げる。視線の先は大川の機体……ストライクフリーダムを難なく撃墜したブルーティアーズへと向けられている。

 

 そして、今の時間は10分間の補給&メンテナンスタイムだ。

 

「あとちょっとしたらあれと戦うんだよね……緊張してきたなぁ」

 

 手の震えが収まらない、呼吸がどうしても荒くなる。勝てる要素が何もない負け試合に等しい戦いだが、全力を出せばほんの数%は勝ち目があるだろう。

 

「入るよー…やっぱり固まってた」

「あ、瑠璃ちゃん、箒ちゃんも……」

 

 控室のスライド式のドアが開き、瑠璃が入る。後ろには、瑠璃の迷子防止のためか箒もついてきていた。

 

「緊張してるんじゃないかって心配で見に来たよ。あれ、石上先生は?」

「京也は管制室でおね……織斑先生たちと観てるってさ。その方が全体的に見れるからって」

「一夏、あれに勝てるのか?実質1対5を強いられているようなものだぞ」

 

 箒の指摘に一夏は苦笑いを向ける。

 

「多分無理かも……無理かもだけど」

 

「もしかしたら勝てるかもよ?」

 

 それを聞いた箒はそうか、と安心したようにうなずいた。

 

 

 

 

 

 

 招集がかかったので、ピットへ入り打鉄を展開。

 

 アリーナの使用予約が昨日まで埋まっていてISの起動すら出来ていないが、理論上は大丈夫。書類スペックは本音達と最後まで確認したし、公式記録のブルーティアーズの戦闘動画は何度も見返して食らいつく策は練ってきた(・・・・・・・)

 

 カタパルトへと歩き、動作を確認。問題はなさそうだ。

 

 あとは、自分がどれだけ早く機体に適応出来るかだ。

 

「更識一夏。打鉄改、行きます!」

 

 一夏はアリーナへと飛び出していった。

 

 

 

 

 アリーナにはすでにブルーティアーズが静止して待機していた。

 

「おまたせ、オルコットさん」

「いえ、構いませんわ」

 

 一夏も上昇し、静止する。両者が定位置へ着いたところでカウントダウンが開始される。

 

「オルコットさん。これが終わったら話しがあるんだけどいいかな?」

「貴女もですか……もう終わったことを話すなんて少々余裕ぶりすぎですね」

「そんなことないよ、私に余裕なんてない。ただね」

 

「友達になってほしいんだ」

 

 その言葉を聞いたセシリアはなにを考えたのだろうか。彼女はすぐに笑みを浮かべた。

 

 それと同時に試合開始のブザーが鳴り響く。

 

「私を楽しませることが出来たら考えてあげますわよ!」

 

 

 

 

 開幕の号砲は狙撃銃からの発射音だった。打鉄にせまるビーム弾。

 

 それを一夏はスラスターを吹かして斜め前へ進みながら回避した。

 

 攻撃を回避した打鉄は回避した動きで勢いをつけたのかブルーティアーズへ迫る。

 

「ほぅ……これを避けますの」

 

 その光景を見たセシリアはちょっと意外そうに目を見開く。今の一射は両者の距離、弾速、打鉄の平均的な反応速度と機動力を計算すると普通の打鉄では(・・・・・・・)間違いなく当たる(・・・・・・・・)ルートだったのだ。

 

 一夏は打鉄を改造すると言った。その言葉通り、基本的な打鉄よりもスピードが出ている。彼女は一夏がどこまで自分(格上)へ食らいついてくれるかをもっと見るために最初から本気を出すことにした。

 

「では、お行きなさい!ブルーティアーズ!」

「うぇ!?もう!?」

 

 一夏は想定よりも早いBT兵器の登場で焦る。が、しかしすぐに冷静さをある程度取り戻す。

 

 4機のBT兵器の攻撃にさらされる一夏。だが、その攻撃による打鉄本体への直撃(・・・・・・・・)は1つもない(・・・・・・)

 

 その全てを打鉄の特徴である両肩の大型シールド2枚をせわしなく動かし、的確に防いでいるのだ。

 

 一夏による打鉄の改造内容は2点。

 

 一つは脚部スラスターに追加で加速用ブースターの後付け。これは2回でエネルギーが切れ、即座に外れるようになっている。最初の射撃を回避したのもこのブースターの使用によるものだ。

 

 そして、もう一つはシールドを動かす際の反応速度の強化である。

 

 打鉄のシールドで5方向からの攻撃を受けることは出来なくないだろう。しかし、いくらなんでも手数はあちらが上。いずれは受けきることが出来なくなってしまうだろう。

 

 そこで考えたのが、シールドの動く速度を上げて防ぎきろう。ということだった。

 

 その策は上手くいっているようで、一夏は5方向からの攻撃を防ぎ、流し、ときには攻撃の勢いを加速に利用しながら徐々にブルーティアーズへ近づいていく。セシリアも後退しながら反撃をしているがビットを動かしている間は動けないのか次第に追いつかれる。

 

 更識家での鍛錬の効果もあるが、今回の京也との特訓では反射神経を鍛えることを重点的にやっていたのだ。その結果がこの成果へ表れている。悔しいことに、先に機体をいじったほうがいいのではという京也の言葉通りだったのだが。

 

 とうとう打鉄がブルーティアーズへ接近戦を仕掛けられる距離へ迫る。一夏は格納領域から基本武装の刀を取り出すと通常のスラスターをさらに吹かし、急接近する。

 

「いっけえええぇ!」

「ここまで接近を許すとは……少々侮りすぎましたわ。ですが!」

 

 気合の声と共に一夏は刀を振り下ろす。それに対してブルーティアーズは隠していたミサイル型BT兵器を射出した。

 

「ティアーズはあと2機ありましてよ!」

 

 ミサイルが一夏に迫る。これには反応出来ずに打鉄へ命中。ここまで一切ダメージの無い試合に始めてモニターにSEの減少が示される。

 

 目の前の煙幕の中をセシリアは警戒するようにビットで囲む。ここで落ちる程の者ではないと直感しているからだ。

 

「おりゃああああぁ!」

「っ!速い!」

 

 彼女の予想通り、一夏は叫びながら飛び出してきた。しかし、その速度はセシリアの予想よりもかなり速い。

 

 一夏が2回目のブースターを使用したのだ。エネルギー残量が無くなり、打鉄から外れ、機体が身軽になったことも速度に拍車をかけている。

 

 予想外の速度にセシリアの思考が止まる。その隙を逃さず一夏は切り込む。

 

 今度はブルーティアーズへ斬撃が直撃し、SEが減少する。

 

(予定外のところでブースター使っちゃったけど……近づいた!あとはあれを切らせる(・・・・・・・)だけっ!)

 

 それはすぐに彼女の望む行動はすぐにとられた。

 

 背後からのBT兵器による反撃とセシリアの後退。機体を動かしながらBT兵器を動かしたのだ。

 

(映像でオルコットさんがBTを動かしながら移動していたのは3秒。そしてそのあとは硬直していた!いける!)

 

 一夏の作戦は、セシリアにミサイルを使わせ、BTを動かしながら移動する択を取らせ、ドッグファイトに持ち込むことだった。

 

 そして作戦は成功し、打鉄はブルーティアーズの懐へと潜り込む。一夏がSEの減少が激しい首筋を狙い刀を振りかぶり、

 

 

 斬撃は一振りのレイピアに遮(・・・・・・・・・・)られた(・・・)

 

 

「え……!?」

「貴女は大川さんよりも情報を得て対策をしてきたのでしょう……ですが私、貴族の令嬢として恥じぬよう様々なものを学んできましたの」

 

 そして刀は弾かれる。映像では見なかった武装の出現に一夏が本気で焦り、硬直する。

 

「来ないのですか?ではこちらから行きますわよ!」

 

 セシリアからの接近。この行動も過去にとった行動の中には無く、一夏はレイピアの刺突を必死に刀で受け、カウンターが狙えれば反撃する。

 

 刺突と斬撃。攻撃面は点と線。どちらが見やすいと言われれば明白であり、次第に一夏の集中力が削がれていく。

 

 互いにSEを削り合うドッグファイト。最後は接近戦に集中しすぎて狙撃銃を忘れていた一夏が蹴り飛ばされ、狙撃銃に切り替えたセシリアからの乱射を防ぎきれず、一夏のSEが0になった。

 

 

 

 

 

 その試合の様子を京也は管制室で観ていた。

 

「あのバカはあとで説教だ」

 

 そう京也は額に青筋を浮かべて静かに呟く。

 

「え?いや、更識さんは十分頑張ったと思いますが……」

「いや、そこじゃねぇ」

 

 その呟きを聞いた真耶がそういうが、京也は違うと答える。

 

「色々とあるがまずは攻撃するときに大声出すなっていつも言ってるだろうがあの雑巾娘ぇ……相手に攻撃タイミング伝えてどーすんだ」

「え、えぇ……」

 

 京也が指摘したところはそこだった。その返答に真耶はどう返したらいいのかわからなかった。

 

 

 

 

 

 

 ピットへ戻った一夏の気分はややしょんぼりとしていた。勝てるのではと思ったところで相手のメインウェポンである狙撃銃の存在を忘れて負けたのだ。これは流石にまぬけすぎて笑うことも出来ない。

 

「お疲れ、一夏。代表候補生相手によく頑張ったんじゃないか?」

「そうだよ!半分くらいはSE削ってたし!次は勝てるよ!」

「箒ちゃん……瑠璃ちゃあん……」

 

 ISを解除し、武装の補給を自動修復機能に任せたところで、一夏はピットに来ていた箒と瑠璃へ泣き付く。

 

 やはり負けたことは悔しい。だが泣いてもいられない。次の試合はすぐそこまで迫っているのだ。

 

 その為に涙は流しきる。次は勝つと誓いながら。

 

 

 

 

 

 

 その頃、控室で試合を観ていた大川は自分の知識との違いに混乱していた。

 

「なんでBTを動かしながら動けるんだよ……それにあの打鉄はなんだ!?打鉄ってそこまで速度は出ない機体のはずじゃないのか!?」

 

 彼の知識ではセシリアはBT兵器を動かしながら動くことは出来なかった。ましてや、接近武装も音声認識で出さないといけないくらいに接近戦も出来ないはずなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やはり、怪しいですわね……」

 

 その声をセシリアは控室の扉越しに聞いているのだった。




戦闘描写難しいよぉ!これがまだ何回も待ってるよぉ!
という訳で終わりませんでした。次回で試合は終わると思います。試合は。

感想、指摘、「セシリア改造しすぎじゃアホぉ!」という文句の声があればぜひ感想欄まで。
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