拾われ少女   作:月蛇神社

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昨日のことを簡単に。
4時間休憩無し遊戯王だおらぁ!うん、そら頭回りませんわ。
しかも、それを引きずって途中が悲惨なことになっております。

毎度読んでくださる皆様、謝謝。


16

 本日最後の試合の時間となった。

 

 一夏の打鉄、大川のストライクフリーダムの両機がアリーナへ入場。大川は一夏達が戦闘している間にAIを修正したのか今度は壁に衝突することはなかった。

 

 両機が定位置へ着いたところでカウントダウンが始まる。

 

 精神を集中させる一夏に大川からの秘匿回線(プライベートチャンネル)での通信が入った。

 

「更識……いや、織斑さん」

「っ!……何、かな?」

 

 今の名前である更識ではなく、態々「織斑」の名前で呼ばれたことで一夏の頭に疑問が浮かぶ。

 

「俺は君に謝罪しなければいけないことがある」

「謝罪……?謝罪ってなにを」

「君がいじめられていたこと……それを見て見ぬふりをしてしまったことを」

「……何で、今、その話しを?」

 

 大川から出されたのは謝罪の言葉に、一夏が反応。その言葉を聞いて大川は内心で安心する。「かかった」と。

 

「二人きりになるタイミングが欲しかったんだ。いつも織斑さんは誰かと一緒にいるか、どこかに行っちゃってるから」

「……そう。でもそれは今じゃなくてもいいよ」

「いいや!今すぐに謝らせてくれ!じゃないと俺の気が済まない!」

 

 一夏の言葉に被せられる強固な決意に満ちた言葉。そこからの大川は止まらない。

 

「小学3年のとき、上山君と細川君が殴っているところを逃げてごめん」

「……」

 

 笑いながら暴力をふるう二人の顔。

 

「小学4年のとき、市原さんが無視することを提案したのを止められなくてごめん」

「……」

 

 誰に話しかけても相手にされなかったこと。

 

「中学1年のとき、クラスのみんなが君を監禁したことを見てるだけで止められなくてごめん」

「……めて」

 

 暗くて寒い、孤独な体育倉庫。

 

「そういえば長谷川先生に」

 

「やめて。もうどうでもいいことだから」

 

 決して大きくは無い声に、大川の言葉が止まる。一夏の拒絶の言葉に恐怖といった感情が感じられなかったのだ。

 

「え……?」

「君の言葉で色々と思い出したよ、本当に色々と」

 

 でもね、と一夏は続ける。

 

「そのおかげであの人に拾ってもらった。人にしてもらったの。むしろ、あの人達には感謝しなきゃ」

「何を言って」

「だってあの人達が京也に会わせてくれたんだもの。だからもうあのことはどうでもいいの」

 

「それとさ」

 

「聞いてるうちに顔が思い出せなくなっちゃった。誰だっけ、その人達」

 

 大川が見る一夏の顔。その表情は本当にどうでもいい、といったものだった。

 

 大川のトラウマを抉って動揺させる作戦は見事に潰えた。

 

 カウントダウンエンド。試合開始だ。

 

 

 

 

 

「やあぁ!」

「うわぁ!?」

 

 開始のブザーと共に打鉄がブースターを起動させ、1回目の加速を使い、刀で切り込む。その切り込みをストフリは寸でのところで回避する。

 

 回避と同時にビームサーベルを抜刀したストフリは打鉄へ反撃をするもシールドに防がれ攻撃は弾かれた。

 

「ちっ!だったらこうだ!」

 

 近接では分が悪いと考え、ストフリは下がって距離をとり、2丁のライフルと両腰のレールガンを展開し4門の砲撃。

 

 先の戦闘と違い、今度はAIを修正したこともあって射線がロックオンされ、弾は全て打鉄へ吸い込まれる。しかし、この攻撃も大型シールドに弾かれる。

 

 弾かれたとわかっても砲撃は続く。シールドを貫通出来ないなら貫通出来るまで攻撃を与えればいいのだ。無論、それは一夏もわかっているがセシリアのBTと違い、砲撃の威力が高い。一撃でももらえばどうなるかわからず、回避が取りづらいためにシールドで防ぐしかない。一夏の視界の端でシールドの耐久値を示すバーがガリガリと削られていく。

 

「このままじゃシールドが……賭けるしかないか」

 

 やがてシールドの耐久値が2割を切ったところで一夏は賭けに出る。2枚のシールドで身体を隠し、完全に見えなくなったところでシールドとの接続を遮断。スラスターを吹かせ上昇してから2回目のブースターを使用し、最初よりも速い速度で襲い掛かる。

 

 砲撃を連射する体制だったストフリはこの奇襲に反応が遅れ、やむなく腕に備わっているビームシールドを展開し斬撃を防ぐ。

 

「っ!これも防がれた!?」

「あぶねぇ……だけど」

 

 奇襲を何とかしのいだ大川は安堵するが、ここで一つ問題が生じた。

 

(なんだこれ!?攻撃を防いでいるはずなのにSEの減りが激しい!?)

 

 シールドで防いでいるはずなのにSEがかなりの勢いで減少しているのだ。予想外のことに大川に焦りが走る。

 

 このままでは負ける、計画も半分は台無しなのだ。ここで負けて全て潰されるわけにはいかない。

 

 大川は奥の手の使用に踏み切る。そのために再び後退して距離を取り、その背中の蒼翼を広げる。

 

「翼……なんだか嫌な予感がする」

「いけぇ!ドラグーン!」

 

 そして射出される8機のスーパードラグーン。その光景に一夏は驚愕するしか出来ない。

 

「BT兵器!?しかも8機も!?」

 

 8枚の蒼翼が一夏を囲み、ビーム射撃が開始。8方向からの弾幕はすさまじいの一言で、大型シールドを失った一夏を蜂の巣にした。

 

 

 

 

 

 はずだった(・・・・・)

 

 

 

 

 

「ぐ……があ……!?」

「……あれ?これだけ?」

 

 確かに8方向からの攻撃は一夏が回避に専念しても6、7発は被弾した。しかし、ドラグーンはそれぞれが1発づつ撃っただけで動きを止めてストフリへと戻っていったのだ。

 

 そして、当のストフリは動くことなくゆっくりと高度を下げていくのだった。

 

 何が起きたのか。それはドラグーンを射出した大川を襲った激しい頭痛である。

 

 ドラグーン兵器もBT兵器と同じくかなりの制御力を要求される。ましてやそれが8機分(・・・)。2機くらいならともかく8機など凡人が扱える物ではないだろう。

 

 それは大川も例に漏れなかった。8機のドラグーンを動かした彼の脳は8機分の流れ込んでくるデータに耐えられなかったのだ。

 

 運が悪ければ廃人化する可能性もある。そうならなかっただけまだましだろう。

 

 そして、そんなことを知らない一夏は困惑していた。

 

「……とりあえず、京也はこの状況なら型のサンドバッグ(こう)するよね」

 

 困ったら、京也の思考で、Let,GO。

 

 そんなある意味残酷な考えで、一夏は更識流の刀剣術の型を繰り出す。その衝撃が大川を襲うも、反応出来ずにただ喰らうだけだった。

 

 やがて、ストフリのSEが0になり試合終了のブザーが鳴る。

 

 更識一夏の勝利に観客一同は何も言えないのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 試合が終わり、機体を整備班に預けた一夏は身支度を終えてから管制室へと向かう。その足はとても速く、ちょっとでも気を抜いたら走り出してしまいそうだ。

 

 やがて、目的地にたどり着く。深呼吸を一つ。息を整えたところで前に出て自動ドアを開き、

 

「京也あぁ!私頑張ったあだだだだ!?」

「いい加減に飛びつくの止めろっつってんだろうが」

 

 京也目がけて飛びつこうとし、アイアンクローに阻止されるのだった。

 

「一夏……はぁ……早すぎるよ……はぁ……」

「……どういう状況だこれは?」

 

 そして、あとから追いついた瑠璃は息を整え、箒はその光景に呆れるのだった。

 

「おう、お前ら。このアホ娘連れてけ。後ろで何かしたそうなお前らでもいいわ」

 

 アホの子のうめき声をBGMに京也が言う。その言葉に箒が振り向くと、静寐を始めとする1組の生徒達が管制室へ押しかけていた。

 

 一夏が管制室へ早歩きしているのを見かけ、ついていったのだ。京也との絡みを見に行くためだが。

 

「いや……連れていくっちゃあ連れて行くんですけれど、あの、その前に手、離しませんか?」

 

 京也によって宙ぶらりんになっている一夏を見た静寐は困惑しながら京也にそう進言するのだった。

 

 

 

 

 

 

「では、クラス代表は更識さんに決まりました~皆さん拍手~」

「が、頑張ります」

 

 翌日、朝のHR。そこで一夏のクラス代表就任が発表された。

 

「先週も言いましたがそんなに身構えなくても大丈夫ですよ。あ、でもクラス代表戦の優勝賞品はスイーツパスなのでやっぱり責任重大かもしれませんね」

「ぐはっ……」

 

 真耶のその言葉を聞いたとたん、クラスの面々の眼が光る。砂糖菓子で構成されている女子にとって、懐が痛まないで甘味摂取が出来るのは重要なのだ。

 

 成り行きでなってしまったクラス代表。それの重みを違う意味で感じる一夏だった。

 

「……オルコットさんの方がよかったのでは?」

 

 一夏が重圧でつぶされそうになる中、大川がその疑問を口にする。

 

「ああ、それはですね」

「私が辞退しました。これでもなにかと多忙な身ですので、クラスのことに構う時間がありませんの」

 

 真耶の言葉を遮り、セシリアが簡単に訳を話す。

 

「多忙……?」

「ええ、かなり」

「それってどんな……」

「それは言えませんわ。機密事項ですから」

 

 セシリアの言葉は大川を見下したようにも聞こえるものだった。

 

 これ以上話す気はないと言わんばかりにセシリアは大川から顔をそらす。

 

「ああ、それと大川。お前の機体、少し借りたぞ」

「え?」

「お前が保健室で治療している間にな。それで、お前の身体保護のために制限をかけさせてもらった」

「は!?ど、どういうことですか織斑先生!?」

 

 さらっと機体の制限を告げる千冬とそれに動揺する視線を向ける生徒達。

 

 千冬はそんな視線など気にしていないようで、その質問に返す。

 

「お前の機体に制限をかけた理由だが、さっきも言った通り身体保護のためだ。昨日のデータを解析したがどうなっているんだ?理論上は既存のISのレベルを軽くこえているぞ。その技術を狙う輩がお前を狙うリスクを減らすためなのと、あれをフルスペックで使うと人の身では耐えられずに死亡する危険性があった。それ故の制限だ」

 

 それを聞いた大川は後悔する。それならデスティニーにしとけばよかったと。

 

 まあデスティニーもデスティニーでパルマ・フィオキーナビーム掌底で腕が吹っ飛ぶ危険性があるので変わらないのだが。

 

「そんな……」

 

 セシリアルートが昨日の敗北で潰える可能性が大になった上に機体制限。彼の気分はどん底に落ちた気分だった。

 

「さて、連絡事項は終わった。これでHRを終了とする」

 

 千冬のその声でその日の日直が号令をかけた。

 

 

 

 

 

「さて、何の用だい?オルコットさん」

 

 昼休み。人気の無い廊下で大川とセシリアは顔を合わせていた。

 

「決まってますわ、私の勝利の報酬ですわよ。忘れていましたの?」

「いや、そんなことないよ……ははは」

 

 その言葉に頭をかいて大川はごまかす。事実、自分の要求が通らないものに興味は無く、思い出さないようにしていたのだが。

 

 女尊男卑の彼女のことだ、下僕になれとでも言ってくるのだろうか。もし、そうなら下剋上でルート復帰をすればいい。

 

 そう考えていた彼の思考は次の言葉で真っ白になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まあいいでしょう。では、色々と聞きたいことはありますがまずはこれですわね」

 

「我がイギリスの独自兵装のBT兵器……どこでそのデータを手に入れましたの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……へ?」

 

 その言葉で大川はセシリアルートが潰れるを通り越し、完全に崩壊した音が聞こえた気がした。




ガード中にSE大減少の理由。
ビームシールドってことはこれ核使わなかったら防御版零落白夜じゃね?という想像。
そして書いていて思うストフリのIS世界の適合率の悪さ。
あ、独自兵装とかその辺は一応調べたのですが、特に記述無かったしオリジナルということで。原作手元に無いし。

感想、指摘、「やっぱ薄すぎじゃない?」といった文句があればぜひ感想欄まで。

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