考察してくださった皆様、申し訳ありません。私自身が知識がなかったりするので変に混乱させてしまうことは多いかもしれません。
毎度読んでくださる皆様、謝謝。
さて、そろそろセシリア・オルコットについての話しをしよう。
と言っても語ることはそんなに多くはない。
原作と同じくかかあ天下の家に産まれ、それを見て女尊男卑思考を持ち、列車事故で両親を亡くした。大体はこのようなものだろう。
彼女の変化は、彼女の両親が遺した会社の人間を観ていたときだった。
とある男性社員を観て、それから女性社員を観てからまたその男性を観る。何を彼女が観察したか。それは仕事の効率の違いである。
その男性はその女性よりも立場は下だし、仕事の内容が違うから比較しづらいのはわかる。しかし、幼い彼女の眼から見ても明らかに仕事を片付ける速度が違うのだ。
少女の思考に変化が生じた瞬間だった。それを面白がった彼女は片っ端から社員を観察し、出来る人と出来ない人を割り出し、彼女が成人まで代理社長を務める使用人に見せ、社内を一掃するように言いつけた。
それを見た使用人はうさん臭く感じながら、主人の言葉で社内を一掃した。結果は唖然とするしかなかった。
無能な社員や企業スパイが吐き出され、業績が右肩上がりにどんどん上昇していったのだ。
そして、吐き出された社員の割合は女性の方が多かった。男性社員の業績を自分のものにしていた無能ばかりだったのだ。
逆に、見つかったスパイは男性だった。今の風潮である男性の立場の弱さを利用して怪しまれないように立ち回っていたのである。
その結果を見たセシリアは女尊男卑の考えを改めることになる。女性が真の意味で上に立つことなど本の中にしか無かったのだと。
そこから彼女は様々な人を観察し始める。
社交会で自分に群がる子息達、商談相手の大人達、学校で自分を取り巻く少女達。次第に彼女は人の黒い内面を探すようになっていった。
それを引き出して自分を有利にするために彼女は何でも学んだ。いずれオルコット家を継いで大きくするために。
IS適正があったのも彼女の才能の一つだろう。ISという兵器を難なく動かし、代表候補生となった。
失敗も多かった。だが、それも全て糧にしてきた。
そして、今は会社を裏で支配する存在として彼女は存在する。
そして時間は現代へと戻る。
「我がイギリスの独自兵装のBT兵器……どこでそのデータを手に入れましたの?」
「……へ?」
人気の無い廊下でセシリアは大川を冷酷に見つめる。まるで逃がすつもりなどないと言うように。
「いや……あの、お、俺も知らないんだ!」
苦しそうに大川はそう絞り出すように告げる。しかし、その言葉はセシリアの眼をより険しくするだけだった。
「ほぉ……貴方でも知らないと。自分の機体なのにですか?おかしくはありません?」
「お、俺はただ渡されただけなんだよ!ポンって!」
「あら、ではその会社を調べましょう。その名前を教えてくださいな」
「な、なんでそこまでするんだ!?」
「あらあら、言われないければわかりませんの?」
見下したように嗤うセシリア。その顔は愉悦だと言わんばかりに歪んでいた。
「我が国の技術が貴方の機体に使われているということ、それは我が国にスパイがいたということでしょう……兵器としては公開してはいますが、技術までは公開していませんもの」
「くっ……」
「ですから、早く教えてくださいな。ただ教えるだけのこと、出来ない相談なんて言わないですよね?」
なにより昼休みも時間が限られていますし。そう呟く彼女の言葉に大川は腕時計を見る。
しかし、これはお願いどころか……
「尋問みたいだ……とでもおっしゃりたいのですか?」
「っ!?何故それを……」
「顔にそう書いていますよ」
その言葉を聞いて大川は思ってしまう。なんてやつだ……こんなのはセシリアではない……と。
「あら……私は私。赤の他人と間違えていません?」
「っ!?……そうか、赤の……他人……!」
また思考を読まれた。だが、その言葉で彼はようやく確信に至る。この世界はもう自分の知る世界ではないのだと。
「さて、そろそろ教えてもらえませんか?時間がもったいありませんし、考える時間は十分与えたと思うのですが?」
「ま、待ってくれ!社名は……社名は……」
彼女の催促に大川は頭を全力で回転させる。恐らくだがわからないといっても通じはしないだろう。かと言って下手な嘘も同様にだ。
「言えませんの?聞かれたことを答えるなど子供でも出来ることだというのに?」
「う、うう……」
セシリアのバカにするような声に、怒りで思考が霧散しかける。しかし、目の前の存在に完全に敗北するわけにもいかない。ここはどうにか……
「社名は……わからない」
こうするしかない、彼は先ほど切り捨てた案を使う。事実、作った会社なんてものは存在しないのだ。思考を読むなら、逆にそれが本当のことだと思わせるしかない。
その答えを聞いてセシリアはあきらめた表情でため息をつく。この場に漂う圧が霧散していくのを感じる。
「そこまで言うなら本当のことなのでしょう……私は悪魔ではないので貴方に聞くのはこの辺りで止めにしましょう」
「お、おう……ごm」
「しかし、願いは叶えてもらいましょうか。内容は、今後私に必要最低限近づかないこと。では、今度機会があれば何故私の全てを知っているような顔をしたのか教えてくださいね?」
その彼女の言葉は、彼自身にセシリアルートをあきらめさせる決断を下させるのだった。
もうこんな重圧は嫌だ。これが今後一切ないなら諦めたほうが全然良い。
そう物語る彼の顔を見てセシリアは満足気に立ち去って行くのだった。
それと同時に昼休みの終わりを告げる鐘が鳴るのだった。彼はその場で膝を崩した。
それから時は過ぎ、クラス対抗戦まで1週間となったある朝のIS学園校門前。
以前は千冬と京也が再開した場所に今度は小柄な少女がスーツケースと共にたたずんでいた。
動きやすいように肩を出すように改造された学園制服、長く茶色い髪はリボンでツインテールにまとめられており、第一印象は活発そうなイメージを与えるだろう。
しかし、その見た目に反して少女の表情は優れなかった。
「はぁ……とうとう来ちゃったなぁIS学園」
少女の名は
「大川光輝と小学同じだったからって理由で送り込んでDNA取ってこいとかうちの政府はどんな神経してるわけ?しかも代表候補生とか私はそんなもん出来るタマじゃないっての……」
そうぼやきながら校門を潜り、校舎を目指す鈴音。その足取りはかなり重たい。
「一夏は元気かしら……元気な訳ないわよね……いや、恨まれてるのかな」
彼女が思い出すは昔別れた時。
一生一夏を守ると彼女に誓ったのに、その誓いを反故にしてしまった罪悪感。あの時の一夏は泣いていなかったけれど、きっとつらい日々を過ごして、いや、今も過ごしているのかもしれない。
「一夏に会いたい……拒絶されてもいい、せめて謝りたい」
ここに一夏がいればいいのに。そう思いながら校舎に入り、廊下の掲示板を何となく見る。
見覚えのある少女がISに乗って戦っている写真がドでかく写っていた。
「……は?」
彼女のどんよりとした気だるげな思考は一瞬で宇宙のかなたへと飛ばされた。思わずスーツケースから手を離し、顔を近づけて写真を見る。学生新聞のようだ。
「この顔、この目、この写真からにじみ出る小動物感……!間違いない、一夏だ!でも何でここに?」
そう思い、記事によく目を通す。どうやら彼女の在籍するクラスの代表を決めるときに少しもめたらしく、それをISで決める、といった内容だった。
「へぇ、イギリスの代表候補生とやりあったんだ……あの子がそこまではっちゃけるって何が……ん?」
一夏の記事を読んでいた彼女は別の写真を見つける。
ジャージ姿の一夏が
「…………え?」
誰だこの男は。何故一夏がこんなにもくっついているのだ。いやそもそも何で一夏はこうも楽しそうな顔をしているのだ。
しかも、さらに探してみれば座ったそいつの膝の上で寝ている姿すらあるじゃないか。そう、それは守られている小動物のような安心した顔で……
あたしだけが一夏を守るって誓ったのに。
そこはあたしそこはだけの場所なのに。
「何で……?何でそんな
「……誰だ」
「あたしの一夏を奪ったお前は、誰だ!」
新たな火種はすぐそばにあった。
そのころ、1組の教室では2組に訪れる転校生の噂で持ち切りだった。
「ねえ、聞いた?2組の転校生の話」
「聞いた聞いた!なんでも中国の代表候補生なんでしょ?」
「ああ、スイーツパスが遠のいて行く……」
「その思考やめぃ!こっちにはセシリアに勝ちかけた一夏ちゃんがいる!」
「そうだそうだ!それに、その人が出てくるとも限らない!」
「いや、あまり期待されるとプレッシャーが……」
転校生が代表候補生という謎ソース情報で一夏への
「いやでも十分いけるって!」
「あれはセシリアの試合を観て対策を考えたから、次また上手くいくかは……」
「それは相手を観察する力を鍛えることにもつながりますわ。それに、代表候補生が相手ならば私を同じように試合記録を探せばよいでしょう」
「そんなぁセシリアまでぇ……」
「それはそうと石上先生早く来ないかなぁ……」
「私、一回屋上でO・HA・NA・SHIってやってみたかったんだよね」
「すんませんでしたあっ!!」
クラスは一夏を中心に騒がしくなってくる。それがここ最近の日常だった。
しかし、今日はその日常に一石が投じられる。
「……久しぶりね、一夏」
教室の入り口から聞きなれぬ声がした。全員がそちらを見ると、ツインテールの小柄な少女が立っていた。
見慣れぬ少女に困惑する生徒達。しかし、一夏と大川はその姿に見覚えがあった。
「え……!?もしかして鈴!?2組の転校生って鈴な……の?」
一夏の言葉は、懐かしい少女がドサッと抱き着きいた衝撃で止められる。
一夏に疑問が生じる。別れる前の少女はこんなにも折れそうな子だっただろうか?
「……ねぇ一夏、一つ聞かせて」
「え?うん、いいけど……?」
鈴音の問いかけに一夏は困惑しながら返した。
その答えを聞いた鈴音は抱き着く力を強め、顔を守るべき少女のお腹に埋める。
「り、鈴?ちょっと痛いよ」
「一夏」
「あの男は誰?一夏の何?」
抱き着いたまま顔を上げてこちらを見上げる少女。
その目はずっと一夏の眼を見ていた。
絶対に作者の文力じゃ伝わっていないであろうセシリアの強化内容。
・心理学95に職業ポイント趣味ポイント大量の探索者。
クトゥルフ神話TRPG的に言えばこんなところです。セシリアの思考をちょっと変えようと思った結果がこれだよ。
そして登場の中華娘。設定は考えていなかったけれど、書いてるうちに作者好みの子になってしまいました。
感想、指摘、「お前鈴になんてことしてくれてんだごらぁ!」という怒りの文があれば是非感想欄まで。