久しぶりにコンセプト回収出来たと思う今回。
難産だった上に酷いっちゃあ酷いですけど。
毎度読んでくださる皆様、謝謝。
でもやっぱり鈴を完全に嫌いにならないであげてください。
「ん……はむ」
「あ、やっ」
鈴音の唇が一夏の唇に力強く、しかし優しく押し付けられる。
続いて何かが入り込む感触。それは舌。
柔らかくてにゅるっとしたそれは、まるで別の生き物の様に口内を動き回る。
その動きは経験の無い稚拙さを隠すかの様に、または一心不乱に感情を伝えるかの様に激しい。
「あむっ…ちゅる…」
「んっんんっ」
抜け出そうともがく一夏に鈴音はその小さな身体を押し付け、股下に膝を入れて一夏の逃げ場を無くす。そして舌の動きは激しい動きから一夏を絡めとるようなものに変化する。突き放したくても腕はいつの間にか組まれており動かすことが出来なくなっていた。
「んっんふっはぁっんんっ」
「んんっ……!んん!んう!……んっ!」
脳が次第にとろけ出す感覚。それに一夏は必死に抵抗しようと顔を離そうとしたり、舌を逃げる様に動かすが、それを感じた鈴音の動きはより激しくなっていく。
いったい何分がたっただろうか。一夏の口内を貪る鈴音は顔を離した。二人の間に液体で構成された橋がかかり、崩落する。
鈴音が離れたことで一夏の身体が崩れ、壁で支えながらペタンとゆっくり座り込む。
「んはぁ……はぁ……あはは、一夏の初めてもらっちゃった」
「り……ん……なんで……なん……で、なの?」
息絶え絶えな一夏の問いかけに鈴音は覆いかぶさり、恍惚と狂気の入り混じる瞳で答える。
「だって、言ったじゃない、ずっとあたしが一緒にいてあげる、って。あんたが好きなんだ、って」
その答えを聞いた一夏は呆然とする。
一体何を間違えてしまったのだろう。
どこでこの幼馴染は狂ってしまったのだろう。
「わたし、なの?わたしが、げんいん、なの?」
「それは違うわ……」
一夏の言葉を鈴音は否定する。
「一夏は悪くない、悪いのは一夏を守れなかったあたしなの。あたしが傍にいれば、一夏はあんなにボロボロにならなくてよかったのよ……今思えばあのときから好きだったのかしらね」
だから
「今度は絶対に離れない。離さない。誰にも渡さない!あたしが、あたしだけが一夏の傍にいるんだ!」
「あ……」
私か
「それに、あたしは一夏を好きだけど、あんたの好きな石上京也は違う。あいつに出来ないものも、こともあたしは一夏にあげられる」
私が弱かったからか
「ね、だからさ。ずっとあたしの傍にいて?」
ワタシガ
「ISなんて危険なものもこれいじょう動かさないで」
ワ タ シ ガ
「あたしが何でもs」
「うるさい口だな」
部屋に響き渡る鈴音の声は唐突に遮られる。
最初、鈴音はそれを理解できなかった。理解が追いつかなかった。
何故なら。
一夏が自分から鈴音の口を塞ぎに口づけをしたのだ。
鈴音の声を止めた触れるだけのキスは鈴音を硬直させるには十分なものだった。
「な……ん……」
「さっきから聞いていれば、あたしだけが守る?離さない?」
ふざけるな
「そこに私の自由意志は無い。それじゃあ鈴はあいつらと変わらない」
「そん、な……そんなことない!あたしは!」
「だからさっきからうるさいっての。少し黙ってて」
「ふぐぅ!?」
再び口づけによって鈴音の口が塞がれる。二人の体制が入れ替わるように今度は一夏が鈴音を押し倒す。
「んんぅ!?むぅむぅ!……んあん!」
その口づけに優しさや愛情といったものは一切ない。呼吸を許さず、舌を吸い取るような、ただ快楽を叩きつけるだけの、行為。
されるがままの少女の見開かれた目に映るのは、先ほどまで責められていた愛しい人ではない。鋭く細められたその眼光は、彼女が知らない少女の感情。
怒りだった。
鈴音の口内を十分に蹂躙した一夏は最後に鈴音の舌を吸い上げながら顔を離す。
「ぷはぁ……へぇ…鈴もそんな顔するんだね」
「いち……か……?いまの……なに?」
「何って、さっき鈴がしたことと同じだよ。感情を一方的に押し付けただけ」
ただ、
「その感情が愛か怒りかの違いだよ」
まるで人が変わったかのような言葉使いに、鈴音は思考がキスでまとまらずに混乱する。その鈴音を見て一夏は何か言いたげなのを理解する。
「「私はこんなの知らない」って言いたそうだね。当然だよ、だって私は強くなった。まあさっきはされるがままだったけどね」
一夏は言葉を続ける。
「私さ、ずっといじめられていたせいなのか人らしく強い感情が出ないんだ。それこそ、今まで嫉妬しか見えなかったくらいに。でもありがとう、鈴」
「私は強い「怒り」を初めて知った」
それは親友に向けるものではないのかもしれない。だがそれは発露した。ならば全てをぶつけるまで止まらない。
「それに鈴は京也が私を好きじゃないって言ったよね。確かに京也はキスもしてくれないし、裸を見ても何も動じなかったよ」
「なら……なんで」
「そんなの決まってる」
その問いに対する答えは最初から決まっている。一夏はそれをさも当然かのように、怒りと恋する少女の入り混じった
「京也ってさ、結構ぶっきらぼうだけど物はとても大事にする人なんだ。そして私はボロ雑巾、京也に拾われた物。だから私を大事にしてくれているんだよ」
まあ、聞いたことないからそう思っているだけなんだけどね。そういって一夏の
「だからこそ鈴はなんにもわかってない。わかってるような口をしてるけどわかってない。私は京也を信頼しているんだ」
自分がいない間の一夏の変化と信頼。その言葉で鈴音は確信する。己の初恋は終わったのだろうと。自分は一夏を信頼していなかったんだと。
「はは……そっか、そうだったんだ……」
「さっき鈴は私のこと好きって言ったよね。でもごめん、私はそれに答えれられない」
「そうみたいね……一夏、さっきはごめんなさい……」
「うん、まあ許す気はないんだけどね」
そう言って一夏は押し倒した鈴音を抱え上げ、ベッドに連れ込む。
「へ?」
「私さ、鈴にファーストキス奪われてるんだよ?初めては京也が良かったのに」
「あ、いや……その……あの、ちょっと爆発しちゃたといますか」
「「ちょっと」?私の初めてをちょっと?私は物だけど女の子でもあるんだよ?その女の子の初めてをちょっと??」
「ひぐっ!?ちょっと一夏、どこ触って」
「どこってその貧相な胸大きくしてあげようとしてるだけだけど?」
「誰が貧乳かぁあん!?まって、そこはやめてぇ!」
「あーもう動かないで……そのリボン片っぽ借りるね」
非常に描写しづらい光景。とりあえず今の鈴音の状態を言うならば「押し倒された衝撃で部屋着が若干はだけた上にツインテールが片方解かれている」といったものだろう。
「腕上げてー組んでーリボンで縛ってはいかーんせーい」
「まって!これかなり恥ずかしいんだけど!?解いて、お願いだから解いて!?」
「え?ダメだよ?だってそれじゃあ罰にならないじゃん」
「罰……!?」
「そう、罰。人に嫌がることをした悪い子にはおしおきが必要でしょ?それに、私の怒りはまだ収まってないし」
「ごめんなさい私が悪かったです!だからこれ解いてください!」
「謝れば済むことじゃないよねぇ……では罰の内容を言います。鈴は私の初めてを勝手に奪い、私が嫌がってもひたすらに続けました。だから私と同じ気持ちになってもらおうと思います」
「ひんっ!?あんっそれっ!それはっ」
「覚悟してよね……私が感じた恐怖も、快楽も、全部、全部全部その悪い身体に2倍、3倍、4倍にして刻み込んであげるから。ああ、安心して。膜破ろうとまではしないよ?」
怒りと愉悦の混じる一夏の顔。責められながらその顔を見た鈴音を、この先自分がどうなってしまうかがわからない恐怖が襲う。
鈴音は恐怖と快楽で顔を引きつらせながら笑うのだった。
次の日の早朝5:00
「「ほんっとうにごめんなさいやりすぎましたぁ!!!」」
ベッドの上には、目覚めて同時に互いを謝り倒す一夏と鈴音の姿があった。
という訳で一夏ちゃん怒りを習得。同時にS属性も習得したような気もするけど。
本当は対抗戦まで喧嘩させるのもありだったけれど、筆が進まず代わりにこんなものが仕上がってしまいました。いつも言ってるけど本当どうしてこうなった。
感想、指摘、「いやこうはならんだろ」といった怒りの声があればぜひ感想欄まで。
ところでこんなもんじゃ18禁指定くらわないよね……?(gkbr)