追記:久々の更新でがっつりがっつり誤字報告いただきました。報告ありがとうございました。
……こんなにあったとはなぁ
とある海上。
「……うがあぁダメだぁ~!どう考えてもわかんない!」
IS学園の生徒達がクラス対抗戦に日に日に沸き上がる中、デスクのホロウィンドウにかじりつきうんうん唸っている女性の姿があった。
「あのストライクフリーダムとかいう機体作った覚えないしそもそもコアネットワークに接続されてないから情報入ってこないしどういうことなのさぁ~!」
「束様、一旦休憩いたしませんか?朝からモニターに向かってそろそろ5時間は経っています。というかお昼ご飯の時間です」
「あ、ごめんクーちゃん。もうそんな時間だったの」
同居人である目を閉じたメイド服の少女からの声かけで彼女はウィンドウを閉じ、椅子から立ち上がりぐぐっと伸びをする。そのとき彼女の巨大兵器が前面に強調され、メイド少女から嫉妬交じりの視線が飛んでくるのだが、本人は気にしてないしいつものことなので流している。
メイド少女の名前はクロエ・クロニクル。かつてドイツのとある計画の被験者であり、現在はここの主人に助けられた少女。
そして、その主人である彼女の名前は篠ノ之束。
絶賛世界中が血眼になり探している、天災と呼ばれるISを作った
「それで、何かわかりましたか?解析を始めてもう
昼食を終え、食後のティータイムに主人へ紅茶を淹れながらクロエは束へと3日前から恒例となっている質問をする。
その質問に対する束の返答は決まってこうだ。
「ダメ、全然わかんない。むしろわかんないがわかったようなもの」
そう机に突っ伏して天才いや、天災はそう答える。
天災の頭脳を持ってしてもわからない物。それこそ解析を始めて3、4日辺りはいくら調べても不明という事象にボルテージは高まっていったのだが、10日経っても
「何度調べても、やり方変えても何も出てこないと解析する意味無いんじゃないかと思ってきたよぉ……ていうかあれ私が作ったコア使ってないよね」
「ということは……まさか」
「そのまさか。
「そんな……もしそれが本当だとしたら大変なことになります」
・どこの企業が作ったものか一切不明。
・コアは篠ノ之束が制作したものを使用していない。
彼女らが大川の機体を解析して確実にわかったことといえばこの2つだけである。特にコアが篠ノ之束制ではないことは非常に不味いこととなる。
「もし、これを作った者たちが制作技術を公表してしまえば私達は」
「まあいらなくなるよね」
篠ノ之束が国際的に指名手配されている理由にISコアが増産不可能だという点が含まれている。コアの中はブラックボックスと化しており、各国の研究者技術者が総力を挙げて日夜解析に取り組んでいるのだが、そこに
恐らく、世界は束達を真の意味で排除しようとするだろう。
いつ開けるかもわからず、解析に延々時間を取られる《束コア》と安定して最強の兵器を作ることが出来る《新型コア》。世間がどちらを取るかは火を見るより明らかだろう。
さらに言ってしまえば、それに対抗すべくさらに束がコアとISを作り、排除しようとするのではと考える輩も出てくるだろう。
ならば殺してしまえばいい。新型コアがあれば篠ノ之束など不要な女なのだ。
「……私はそんなの嫌です、死にたくありません!」
かつて人としての尊厳も無かった生活を過ごした少女は最悪の未来を想像してしまった。過去のことがその想像をより凄惨にしてしまったことだろう。
「大丈夫だよ、クーちゃん」
そんな少女を天災は深い慈愛を持って抱きしめる。姉のように、母のように。
「コアを作れるってことも、その未来もあくまで可能性の1つ。だから絶対に死んじゃうわけじゃないし、もしそうだとしても、そんな未来を私は認めない」
それに、と彼女は言葉を続ける。
「もしかしたらどうにか出来るかもしれないよ。……まあ、他人任せになっちゃうけど」
え、と少女は自分の主人を見上げた。
「あの機体壊しちゃおうよ。そのための機構も作ったし」
「……出来るんですか、そんなこと?」
「出来る出来る!本当はちーちゃんにやってもらいたいけど、これ以上戦わせたくない。だからあの子に頼むことになるかもしれないけど……」
最後を不安気に束はそう言う。だが、クロエに不安はもうなかった。主人が出来ると言ったのだ。だったら、それは絶対に出来ることだ。
「なら、大丈夫ですね。その頼まれる方が上手くやってくれるかは心配ですが」
「信じるしかないよ。でもちーちゃんの妹なんだから……って言うとあいつらと一緒だ。それにあの子はもう弱くない。ちゃんと強くなったんだ」
彼女はクロエをぎゅっと一瞬強く抱きしめると抱擁を離す。あっ……という名残惜し気な声がクロエから漏れたのを聞き逃してはいないがやることはあるのだ。
「それじゃあ明日の対抗戦、ちょっとお邪魔しちゃおっか。それとあの子にコンタクトも取らないとね」
そう言って束は紅茶を飲み干し、デスクのホロウィンドウへと向き合う。すぐにキーボードを叩く音が聞こえ、主人が集中していることを感じたクロエはそっとティーカップを片付け、家事作業に入ることにした。
また夜に抱きしめてもらおう、今は主人の手伝いをするのだとそう言い聞かせながら。
そして、時が巡り、月は沈み日は昇る。
波乱のクラス対抗戦がIS学園で始まろうとしていた。
束sideって書いたこと無かったなぁと思ってこうなりました。正直、コア増やしまくれたらこの人本格的に排除対象じゃないかと思ったり。
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