拾われ少女   作:月蛇神社

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 そういえば拾われを投稿してもうすぐ1年経つみたいです(休止していた期間ウンヵ月)

 というわけで上げます。

 投稿して気づく。途中だったらしき跡に。


25

 京也と千冬のコンビネーションはすさまじいものであった。

 

 打ち合わせや作戦などを練る時間は無かったし、話し合いすら行っていない。しかし、二人は互いの隙間を埋め、隙を無くしゴーレムを攻撃する。

 

 京也と千冬が出会ってからというもの、二人はよく組手をしあい、お互いに出せる手を理解しあっていた。それ故に初のコンビネーションでも最適な動きが可能だった。

 

 強者同士が分かり合う境地というものだろうか。

 

 そして、ゴーレムは当然の如く劣勢を強いられる。千冬一人に作戦とはいえ防御に徹して被弾しなかったわけではなかったのだ。いくらSEが全く減少しないから(というか減らさせるほどの攻撃をする二人がおかしい)といっても武装が壊れてしまえばただの鉄の塊。急所を狙われてSEがゼロになるのを待つだけとなってしまう。

 

 それだけは避けなくてはならない。束からしてみればゴーレムはどうせ無人機なのだ。破壊、鹵獲されたところで(束からして)痛いような技術や情報は全く積んでいないのでそこは問題ないのだが、あの子が来る前に(・・・・・・・・)壊されることだけは避けなくてはならない。

 

 しかし、京也と千冬のコンビの前にそれは厳しく、戦闘が再開して数分後には両腕の砲門は潰され、残る攻撃手段は両肩のレーザー砲と両手足を使った物理攻撃だけとなってしまった。

 

 そして二人は気づく。

 

「なぁ千冬よぉ。俺はISにそんな詳しくねぇけどこれは言えるぞ。あいつはどう考えても人間の出来る動きの範囲を超えているぞ?もしかして中身はロボットとかAIか何かか?」

「そんなわけあるか……と、言いたいところだが人体の可動領域を超えているのは事実だ。AI制御のISなど私は聞いたこともないが……あのバカが無人機のISを作ったと考えれば納得はいくな」

「なるほど、無人機、ね。おいおいとうとうISは人要らずの兵器になったのかよ」

「技術レベルで言えば現在発表されているものをはるかに凌駕する代物だ。それこそ独占できれば国家間のパワーバランスが崩壊するほどにな」

 

 千冬の言葉はまさにその通りだろう。

 

 本来の使用用途としては宇宙開発とされているISだが、現在の世界でのISの認識と言えば「世界最強の兵器」と大多数の人が答えるだろう。ミサイル兵器等を用いられてもすぐに倒れず、高速で移動が可能であり、そう遠くない国ならば単機、もしくは少数の機体で制圧・壊滅が可能などの点がそう示す要因だ。

 

 欠点があるならば動力となるISコアが少なく、どの国も多くの数を所有出来ないこと。

 

 そして、女性にしか動かせないことである。

 

 女性にしか動かせないということは単純に考えて世界人口の半数しか使えない兵器である。しかし、無人機ということは女性だけが動かせるという制約を完全に無視することが可能であり、搭乗者を危険に晒すことなく使える兵器となる。

 

 さらには、ゴーレムが示してるように人外の領域の動きが可能となる。

 

 そして、無感情に人を殺せる(・・・・・・・・・)

 

 感情に支配されず、情に流されず、人間以上に自由に動ける兵器の完成だ。

 

 何故、篠ノ之束はこんなものを作ってしまったのだろうか。その真意まで織斑千冬にはわからない。

 

 しかし、これだけはわかる。

 

「あの存在は危険だ。あれは世界を混乱に落としかねん」

「あれが無人機だとばれたら何としてでも技術を盗もうとするバカが現れそうだな」

「ああ、あれは世界には早すぎる。そのためにもここで鹵獲、最悪は破壊するぞ」

 

 ISが登場して10年近くは経つが、ISは未だどの国も研究の真っ最中の代物である。

 

 そのような火薬庫に起爆剤を放り込むのは危険だ。そう判断した二人はゴーレムを止めることを決意する。

 

 

 

 そのときだった。

 

 

 

「うあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

「「っ!?」」

 

 叫び声と共にゴーレムの後ろから放たれる10本の光。

 

 それらの軌道は狙ったようなものではなく、やけくそに、無差別に撃った、と言えるようなものであった。

 

 何者かによるレーザー攻撃。京也達は何かが飛んでくる気配をとっさに感じ、回避が出来た。しかし、ゴーレムには想定外だったらしく、その人体を大きく超える巨体に直撃し、機体を大きく揺らす。

 

 攻撃が落ち着き、一同が攻撃が放たれた方向へと顔を、メインカメラを向ける。

 

 そこにはドラグーンを8機全て展開し、腰部のレールガンを展開したストライクフリーダムと、目や口から血を流す大川の姿があった。

 

「もうわけがわからねぇよぉ……俺はこんな世界なんて知らないし俺の思い通りにいかないし俺が知らない世界なんていらない全部いらないすべてこわせばいいこわせきえろいなくなれこわれろおおおおぉぉぉぉ!!!!」

 

 大川は最初、小声で何かを呟いていたが、それは次第に叫びへと変わっていく。

 

 癇癪のように、泣き叫ぶように。

 

 そして攻撃は再開される。

 

 めちゃくちゃな軌道を描く砲撃の中、それまで争っていた者たちは回避に専念せざるを得なかった。しかし、ゴーレムは先ほどの攻撃の影響か動きが鈍く、次第に被弾していった。

 

 砲撃を躱しながら千冬は疑問の声を上げる。

 

「おかしいぞ……大川の機体には制限をかけていた、一般生徒でロックの解除が出来るはずがない!」

「あいつがハッキングとかのコンピューターに強かったってのはねぇのか」

「そんな話しは聞いたことが無かったが……それでもかなり厳重にロックはかけていたぞ」

「とにかくかなり面倒なことになったな……先にあれをどうにかする必要があるが、なんとか出来そうか?」

「ISが欲しいところだ。流石にあれを生身でどうにか出来るとは言い難い。さらにこの数の砲撃で軌道が読めないとなるとなおさら厳しい。お前とならば出来なくはなさそうだが……」

「多分無傷じゃ無理だな。しかも被弾すりゃあ確実に消し飛ぶとなれば尚更だ」

 

 今この場に千冬が動かせるISは無い。さらに一撃でも当たれば文字通り塵一つ残さず消し飛んで死ぬ可能性がある。ということが二人が反撃しづらい原因となっている。

 

 一方、ゴーレムはその大きさゆえに先ほどから被弾し続けており反撃する暇もなく、ついには動くことすら出来ず、地に膝をついていた。

 

「この際、あの黒いのをメイン盾にして鎮圧する戦法もあの様じゃ取れんか……」

「攻撃が集中してくれればやれるのだがそうもいかないか」

「そうだな……なにか気を引けることがあればいいが」

 

 二人は依然、回避しながらどうやって大川に近づくかを考える。

 

 隙があればいける。そして、その隙はすぐにやって来た。

 

 その攻撃は確信があって放たれたのか、はたまたやぶれかぶれの反撃だったのか。突如、ゴーレムが生き残っていた右肩のレーザー砲を放つ。そのレーザーはストライクフリーダムに被弾こそしなかったが、脇を掠めたらしく機体が少しのけぞり、SEが微量だが減少する。

 

 ストライクフリーダムは動けなくともこちらを攻撃する黒いIS(ゴーレム)を脅威と判定したのか、今まで乱雑に放っていた攻撃を止め、ドラグーンとレールガンを全てゴーレムに向けエネルギーを溜めに入る。

 

 二人が望んだ好機が来た。

 

「「ッ!」」

 

 その瞬間を二人は逃さない。即座にストライクフリーダムに接近するために疾走する。ストフリもハイパーセンサーで感知はしていたのだが、チャージ中であったことと搭乗者が反応しきれなかったため動けなかった。

 

 京也は飛び上がって、左サイドのレールガンに拳を振り下ろし、反動を利用しさらに飛び上がる。そして、落下の勢いを利用したかかと落としを叩き込む。その衝撃で砲塔がひしゃげ、スパークを起こしたことを瞬時に確認した京也は次のターゲットを定め飛び上がる。

 

 直後、レールガンが爆発し、爆風が巻き起こる。爆風を利用してスピードをつけた京也はターゲット……展開してあるドラグーンの内、下から2番目に位置するものに向けて再びかかと落としを叩き込み、さらに下にあるドラグーンにぶつける。

 

 エネルギーチャージ中であったドラグーンは衝撃で内部のエネルギーが暴発し互いに爆発を起こす。空中でそれを確認した京也は一旦距離を取るべく、衝撃を最小限に分散させながら地を転がる。

 

 千冬はどうかと見渡せば彼女も少し離れた位置に着地しており、彼女もドラグーン2機とレールガンを破壊し、さらにはストフリ本体の翼も1枚破壊された跡が見えた。

 

 この攻撃で武装のおよそ半分が無くなり、推進力も一部失った。さらに、爆発の衝撃で絶対防御が作動し、ストフリのSEもかなり削れただろう。

 

 

 

 

 しかし、二人の攻撃はここまでだった。

 

 

 

 

「GugaaaaaAAaAaaaaAa!!!!!」

 

 大川が人とは思えないような叫び声を上げる。それは明らかに自身の声帯をつぶすものであり、その声には怒りの感情が現れていた。

 

 直後、ストライクフリーダムを一瞬光が包み、機体が血のような赤に染められる。

 

 さらに信じがたいことに破壊された翼・レールガンが光の粒子で再構成される(・・・・・・)

 

「……は?」

 

 その光景に京也は己の眼を疑う。ISには自己修復機能が備わっていると聞いたことはあったが、果たしてそれはこんな瞬時に修復が可能なものなのか?

 

 京也が千冬に答えを聞くべくそちらを見やると千冬も驚愕の表情を浮かべていた。

 

 千冬ですら知らない現象に京也は身構る。

 

「aaaAaaaaaaAaa!!」

 

 ストライクフリーダムは再び狂ったかのように砲撃を放つ。

 

「ちぃっ!またか!」

 

 京也達が躱す中、砲撃の一つがアリーナピットへ着弾し衝撃で瓦礫が消し飛ぶ。

 

 

 

 

 

 

「げほっ!ぅえほっ!なにこれ!?なにこの塵埃!?」

 

 

 

 

 

 

 

 機体には少し傷がついており、特徴的な大型シールドユニットは半分ほど融解していたが、それでも搭乗者には一切傷の無いであろう元気な声。

 

 改造打鉄を纏った一夏が瓦礫の飛んだピットから飛び出してきた。

 

 

 

 

 

 

「あのバカなんでここにいやがる!?」

「一夏!?」

 

 突然の一夏の登場に驚愕する二人。

 

「一夏!何故ここにいるんだ!?」

「ほぇ?」

 

 最愛の妹に思わず声をかける千冬。

 

 そこへレーザーが1つ迫る。

 

 世界最強の意識は妹へ向いており、危険には気づいていなかった。

 

「!?しまっ……」

 

 そして襲い掛かる衝撃。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぼさっとしてんじゃねぇぞボケが……」

 

 

 

 

 

 

 見開かれる千冬の眼。

 

 そこには最後の力で前に出て千冬をかばう黒いISと、

 

 千冬を突き飛ばし、ゴーレムが受けきれなかったレーザーをその身に受け、衝撃で飛ばされる京也の姿があった。




 どこかでこうしたいとは思っていました。

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