2話分書きあがっちまったので投下します。
見てくださる皆様。謝謝。
……どう反応したらいいのだろうか。今、目の前惨状を見て私は考える。
漂ってくるいい匂いを感じるべきか、刀奈さんの心配をするべきなのか、そういえば京也は買い物に行ってたみたいだからまずはおかえりだろうか。
「……起きたか猫娘」
そう言って京也が振り向いた。言われてこの着ぐるみが猫ものだと知った。
「とりあえず座ってろ。簪、気が済んだならそろそろ解いてやれ。飯食うやつがいるところに簀巻はいらねぇ」
あといい加減に浸ってないで着替えろ鈍。そういって京也は鍋に視線を戻した。と、同時に本音さんが食器棚へ駆け寄る。
……刀奈さんと簪さんってそういう関係なのだろうか。今更ながらに気になるが今は言う通りに座ることにする。
時計を見ると午後6時頃。昼から何も食べてないからそろそろお腹が限界だ。
4人かけテーブルに着替えた刀奈さんと簪さんが座る。程なくして、お茶碗によそわれた卵粥が出てきた。……人の暖かいごはんは何時ぶりに目にしただろうか。
「食いたい分だけ食え。残してもそこの飢餓クマが平らげる」
そうぶっきらぼうに言いながら、京也がクマを引きずってきた。これを作ったのは京也なのだろうか。
思わず正面の京也の顔を見てしまう。京也の顔には「はよ食え」と書かれていた。
スプーンを持って、お茶碗を持ち上げ、顔を近づける。中からの湯気が顔に当たりそれが作り立てで熱いことを改めて認識させる。
早速食べようとスプーンを近づけたところではっと動きを止める。どうやら私はこの言葉も、作法も忘れていたらしい。
一旦、お茶碗を置き、その前にスプーンを置く。そして手を合わせて一言。
「……いただきます」
久しぶりに食べた暖かいごはん。それはちょっと濃いめの味だったけれど、そんなことは気にならないくらいにおいしかった。私は今日、何度目かの涙を流した。
「とりあえず一夏、姉貴に連絡入れろ」
食後、一息ついたところで京也が突然そういった。……私、お姉ちゃんのこと話したっけ?
「ごめんなさい。うちの方で調べてもらったの」
そう言って刀奈さんが頭を下げた。
「ちょっと気になって昔のコネ使った。……ったく頼んでおいてあれだがよく受けたなお前ら」
「父は今でも貴方を部下だと思っているようですよ?」
そうでないと私はここに来れませんし。そう刀奈さんが微笑むと京也は苦い顔をした。……何かあったのだろうか。というか刀奈さんの更識家っていったい……?それは気になるがそれよりも、だ。
「どういうこと?」
「まず、お前の現状を知らせる必要がある。何も言ってなけりゃ殴り込んで来そうだし、お前の姉貴は真正面だと正直全力じゃねぇと俺は相手出来そうにねぇ。その面倒を避けたいのと」
そう言って京也は少し間を開けて、
「お前ん家に空き巣が入った」
と衝撃的なことを告げた。
「……え?」
頭が真っ白になる。何も考えられなくなる。何で。どうして。何が目的?
最終防衛線が破られた気分とは、きっと、こんな感じ…なのだ、ろう。怖い、恐い、怖い、こわいこわい白こわいkuroこわい嫌だいやだ嫌だ嫌だ嫌嫌怖い嫌イヤだ嫌だ怖い助けて助けてtasuケtえ…………
「目ぇ覚ませ」
私の心に低い声が通り、意識を戻す。それと同時に本音さんが後ろから優しく包み込んでくれた。
「いきなりで悪かったな」
そういう京也のそらした顔はどこか罰が悪そうだった。
「ボロボロ加減もここまでだとは思わなかった」
私は本当にボロ雑巾だったらしい。自分の脆さを改めて確認できた。本音さんの手を解き、テーブルの下に潜り込んでそこから京也の身体へ下から正面に抱き着く。唐突にこうしたくなってしまった。京也の答えは頭に乗った大きな手だった。
「だから女の子には優しくっていつも言ってるじゃないですか。だから、ほら、私にも優しくですね……」
「てめぇは自重しろ鈍刀」
「ひーどーいー!簪ちゃーん!この人酷いよー!」
「大丈夫。そこも含めてお姉ちゃんの可愛いところだから。あとくっつかないで」
「……お姉ちゃんそろそろ泣いていいわよね」
「じごーじとく~」
「……ふふっ」
すぐに交わされるやり取り、そのやり取りがどこかおかしくて思わず笑ってしまった。私が大分落ち着いたためか、話しはもとに戻る。
「話しを戻すぞ。その空き巣について話し合う必要がある、だから連絡したい」
てことで、連絡したい。そういって京也は今度は私の背中を撫でる。その手つきはとても気持ちいいもので思わずほぅっと声が出そうになる。
「……わかった、連絡しよう」
という訳で、いつもよりはちょっと早めの間隔だけど、いつも通りにビデオ通話をすることにした。
幸い、通話にはすぐ出てくれた。
『こんばんわ、一夏。何だ?今回はいつもより早い間隔じゃないか…お?そのパジャマ買ったのか?可愛いぞ、似合ってる』
ちょっと前に見た大好きなお姉ちゃんの顔。それに安心して、やっぱり家族なんだと感じる。
「お姉ちゃん」
早く言いたい教えたい。今日は私にとって幸せな日なのだと。
『ん?どうした。そういえば表情もいつもより良いし声も元気そうで…』
「今日ね、私、拾ってもらったの!!」
今、自分が出来る満面の笑みでそう教えれた。そしたら画面のお姉ちゃんの表情が何故か凍ったように固まってしまった。
周りのみんなを見てみると、皆一様に頭抑えている。京也に至っては天を仰いでた。
……私、何か間違えたのかな?
side change
『よし、詳しく聞かせてもらおうじゃないか』
電話の向こうで一夏の姉貴…織斑千冬が聞いたこともない声で発狂しかけ、それを一夏がなだめようとしたら余計に発狂するという事故から数分。
大分落ち着いたのか、今はかなりドスの効いた声で問いかけがようやく来た。
俺らもこれ以上面倒にしたくないため簡単に自分たちのことと目的を告げる。早々に更識の名前を出したのが効果があったのかすぐに穏便な話し合いの場は整った。
『……そうか。そうだったのか』
そう言って織斑千冬は深く、とても深く頭を下げた。
「千冬お姉ちゃん……!?」
『これは家族として一夏の変化や心境に気づいてやれなかったこと、危ないところを助けてもらったことへの感謝、そして今どうすることも出来ない申し訳なさからだ。』
「軍属なら仕方ねぇ。男だろうが女だろうが命令にゃ逆らえねぇからな」
『……貴方も軍に?』
「昔のことだ」
軍務ってのはなんにせよ命令順守が基本だ、それはどこの国でも、どの性別でも変わることはない。
『……情けないとわかっています、ですがお願いさせてください。一夏を私が帰るまで、軍をやめるまで預かっていただけませんか』
「それは更識が保証しましょう」
隣にいる刀奈がそう宣言する。
「家も今のところ危険ですし、こちらとしても守るならそれがが一番安全でしょう。なんなら色々な手続きもこちらでしますが?」
『なにもかも任せきりですみません。……本当にごめんな、一夏』
「いいよ、お姉ちゃん」
再びの謝罪に、膝の上の一夏が言う。
「……京也は私を拾ってくれた。助けてくれた。お姉ちゃんも心配してくれてる。私はそれで大丈夫だよ」
『しかし一夏!』
「本人が大丈夫だって言ってんだ。だったら信じてやれよ、姉貴だろ?」
たとえ、それが確証のない大丈夫でも、な。
『……ありがとうございます。どうか、よろしくおねがいします』
その言葉で観念したのか、織斑千冬は改めて頭を下げるのだった。
side change
『ところで、だ』
話し合いに決着がつき、穏やかに解散……といったところでお姉ちゃんの顔が突然険しくなる。
『一夏……何故、京也さんの身体が後ろに見える、というか言うが何故京也さんの膝の上にいるんだ?』
何故、と言われても。
「一番落ち着くから」
それしか答えようがないから、私は笑ってそう答える。
「京也の背中はあったかいし、手つきは乱暴だけどなでてくれると気持ちいいし、何より」
京也の身体に背中を預けて目を細め。
「こんな
その言葉を聞いてお姉ちゃんは唖然とした顔をする。その表情が面白くて、もっと驚いてほしくて、そしてちょっと困っている京也にもっと困ってほしくて、身体をくるりと回して京也に抱き着いて胸に顔をうずめる。やっぱりこの身体のどこかにうずまっていると落ち着く、安心する。
『……これは帰ったら真っ先に話し合う必要がありそうですね』
「……奇遇だな、俺も思っていたところだ。あと敬語なんざ必要ねぇぞ」
『そうか……ならば私が帰るまで首を洗って待っていることだな、京也……』
おやすみ、一夏。最後にそう言って通話は切れた。辺りを盗み見てみると刀奈さん達はご愁傷様といった表情で京也を見ている。そして京也の顔は完全に引きつった笑みを浮かべていた。
「お前なんてことしてくれてんだ……」
そういって京也はがくっとうなだれた。
どうしよう。私、京也を困らせるのが楽しくなってきちゃったみたい。
会議とか話し合いとか考えるのが苦手故にこの低クオリティー
最初のコンセプトとずれないか心配になってきたけど完走目指して頑張る。
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