・この作品はスパイク・チュンソフト社の作品「ダンガンロンパ」シリーズの、オリジナルキャラクターを使った二次創作です。
モノクマ以外の登場人物は(おそらく)登場しません。
・「ダンガンロンパ」シリーズのネタバレと作者の自己解釈(ゲーム・アニメ共に)が含まれる場合があります。
・17歳以上を対象とした人を選ぶ描写、残虐描写が含まれています。
・文章、トリック、ストーリー共に素人のものです。大目に見てやってください。
以上のことをご理解できる方のみ、お読みください。
では、どうぞ。
・コトダマ一覧
【カラフラファイル2】
『被害者となったのは藍葉美郷。
死因は感電によるショック死。
死体発見現場となったのは写真館内の現像室。
前頭部に殴打の痕が見られる。』
【死斑】
人間は死ぬと体の下になっている場所の表面に死斑が現れる。
死斑は死後10分から20分に表れ、2、3時間で大きくなる。
藍葉の死体にはポツポツとした死斑が身体中に表れていた。
【電気警棒】
流し台に差し込んであったもの。
死体発見時にはスイッチがONになっていた。
【現像室の窓】
遮光のために黒く塗りつぶされた窓。
死体発見時には大きく開かれていた。
【タオル掛け】
現像室の窓の下に落ちてあったステンレス製のタオル掛け。
血液のようなものは付着していない。
【死体の縛られた痕】
死体の両手首と腹部に、細いもので縛られたような痕があった。
【持ち物リスト】
藍葉の白衣のポケットに入っていた持ち物リスト。
リストに書かれていた持ち物は以下。
・ライター ・ビーカー ・フラスコ ・ガラス棒 ・塩酸
・電気警棒 ・3号テグス ・50号テグス ・メモ帳 ・文房具
・レシピ本 ・折りたたみ傘 ・フリーザーバック ・ライト
【テグス】
テグスは号数が大きいほど太く、重いものを釣り上げられる。
50号のものは90kgもあるクロマグロを釣ることができ、3号のものはバス釣りに使われる。
【消えた藍葉のカバン】
藍葉がいつも身につけているカバンだが、死体は身につけていなかった。
【ケルブレム】
摘まれてしまうと数分ほどで周囲の人間の脳に幻覚作用が引き起こされるバラの一種。
なぜか写真館のゴミ箱に入ってあった。その後、カラフラによって処分される。
温室のケースの中に入っていたのは3本だけだったが、そのうち2本が行方不明に。
【電気柵】
牧場を囲む柵。『感電注意』と書かれた看板が置いてある。
雨で濡れており、触れただけで感電しそうだ。
【二階堂の証言】
二階堂は10時45分まで喫茶店と写真館を掃除していた。なお、その間未隅と雨崎以外の人物は建物に入ってきていない。
11時に納屋で藍葉と出会い、会話している途中で襲撃され、気絶。
1時間後に未隅と雨崎に起こされた。
【未隅と雨崎の証言】
未隅と雨崎は9時半まで温室でハーブを摘み、
9時半から11時半まで喫茶店のキッチンでスコーンとハーブティーを作っていた。
【木製のスコップ】
牧場の納屋の用具入れに入っていた木製のスコップ。
用具入れの中に乱雑に置かれていた。
【壊れたチェーンソー】
温室近くの井戸付近に落ちていたチェーンソー。
雨のせいか濡れており、スイッチが『ON』になっているのに動いていない。
【木製のスキ】
温室近くの井戸に立てかけてあったスキ。
雨のせいか濡れている。
【ぬかるんだ地面】
温室近くの井戸付近の地面はぬかるんでおり、歩くと足跡がつく。
【看板】
温室近くの井戸付近に落ちていた看板。
『楽しいガーデニング』と緑の可愛らしい文字で書かれてある。
【井戸の中】
井戸の中には梯子がついているが、中は真っ暗で何も見えない。
【マンホール】
釣り堀の近くにあったマンホール。
蓋を開けることができる。
第二エリアマップ
【学級裁判・再開!】
「黒木、さっきの話し合いの結果をまとめると、死体は運ばれて流し台の中に入れられたけどさー…
犯行時刻だと思われる11時には凄い雨が降ってたからって、他の生徒に死体を運んでいる所を見られることもあるかもしれないんだなー」
梅田くんは手を顎に当てながら思案している。
これは…わたしも気になっていた所だ。死体はどうやって、どのルートで運ばれたのか?
推測であるが…わたしには、もうわかりきっていることだ。
【ノンストップ議論(死体を運ぶには)】
黒木「死体を運ぶには。しっかり捜査していた人たちはわかるわよね?」
二階堂「バカにされた気分だなあ…」
雨崎「<変装>していて<犯人だと気づかなかった>とか?」
二階堂「いいや、アタシの考えだけど…何か不思議な<抜け道>があったに違いねー!」
一ノ瀬「ややっぱり二階堂はバカでスカポンタンですわ!」
雨崎「えーと、とりあえず喧嘩はやめて!」
梅田「ぶっちゃけ<そんなのない>よなー?あったら異世界転生ものよりチートなんだなー」
湖林「犯人ではなく<別人に死体を隠させた>可能性も高いのう」
紅葉「異世界か…正直興味ないね」
【コトダマ:井戸の中】
「二階堂さんに賛成だ!」
「二階堂が適当に言った発言がどうかしましたの!?」
「いや、一ノ瀬さん。井戸の中には梯子があったんだ。その中に入っていって、写真館まで死体を運んだ…と思うんだ」
「やっぱりか。確か秘密の抜け穴は反則って聞かされてたんだけどな…ありがとうな、鈴原」
こちらこそありがとう、二階堂さん。
「井戸の中は暗く歩けそうにない。藍葉のことじゃ。あやつが持ち歩いているであろうライトを使ったに違いない」
湖林くんの発言を聞き、思い出す。
そういえば藍葉さんの白衣のポケットに入っていた持ち物リストには、ライトがあった。
犯人は井戸へと入り写真館へと向かった。つまり井戸の中身は…
【閃きアナグラム:かくしつうろ】
「井戸の中身は…隠し通路だったんだよ。捜査中、黒木さんは井戸の中に入っていったよね、湖林くんと一ノ瀬さん?」
「それはそうですわね…あら、しまったですわ!女如きに賛成してしまうなんて!」
「鈴原の言う通りじゃのう。黒木はあの走りづらそうな靴で、ライトを持って井戸の中へと入っていったんじゃ」
「では…井戸からどこに出ていけばいいのでしょうか?この様子だと、隠し通路はなさそうですし…」
蒲生くんは落ち着いた声で言った。
その答えは…黒木さんが証明していたはずだ。
わたしは、赤いコートのポケットからヒストリヱランドのパンフレットを取り出し…
第二エリアの地図のページを広げ、皆に見せつける。
「鈴原ちゃん!?パンフレットがどうしたの?」
「この第二エリアの地図を見て欲しい…井戸からどこへ向かったか、答えは一つしかないんだ!」
【スポットセレクト・マンホール】
地図に載ってあるマンホールを指差す。
「釣り堀近くのマンホール。捜査中に絹川くんがここを開けようとしたけど、時間切れで開けなかったんだよね」
「うん…だって隠し通路があるってわかったら学級裁判の楽しみがなくなっちゃうじゃん…」
「大変なのだ!モノクマが落ち込んでるのだ!落ち込むオチだけは勘弁なのだ!」
…モノクマとカラフラが、また漫才を始めている。
「その通りよ。井戸は釣り堀のマンホールへと繋がる地下水路だったわ。地面は豪雨のせいか濡れていたけど、水路は魚が住めるほど綺麗だったのよ」
黒木さんは得意げな表情だ。
「ということは足跡も付かなかったということなんだな!」
「…そういや、オレらが井戸の近くに来た当時、足跡は一切なかったのう。周りはあんなにぬかるんでいたというのに」
未隅くんが笑い、湖林くんが考察する。
でも、井戸に近づき、そこに入るには周りのぬかるんだ地面を歩かなければならない。
なぜなら、地面に足跡が付いてしまうから。
足跡を消すのか?それとも元々なかったのか?
今から真実を、解き明かしていこう…!
【ノンストップ議論(足跡を付けず井戸に近づく方法)】
雨崎「どうやって井戸に近づいたんだろうね…?」
絹川「足跡なんて<元々なかった>可能性も高いよね」
灰寺「元々<ジャンプ力が高かった>んや!例えば、カーンとかウッズみたいに!」
二階堂「そいつらはサッカー選手とゴルフ選手だぞ?」
蒲生「僕としては…<その場にあったものは使えない>と思いますね」
湖林「どうせ犯人は忍びじゃ。<スキ>を橋がわりにして渡ったんじゃろうな」
黒木「忍び…外国人に受けそうだから、一人くらいいてもいいのだけど…」
【コトダマ:看板】
「それは違うぞ!」
「鈴原嬢。どうかしたのですか?」
「蒲生くん、足跡を付けずに井戸へ近づくには…その場にあったものを使えばいいんだよ」
「まさかあの看板がそうだというのですの?」
一ノ瀬さんは悔しげな表情でこっちを見てくる。
「そうだね。井戸の近くに落ちていたあの『楽しいガーデニング』の看板を井戸への橋代わりにしたんだ。だから足跡はついてない」
「でもさ、もし看板に足跡が付いてしまったらどうするんだろう…?」
「雨が足跡を洗い流してくれると思うぞ」
雨崎さんの疑問に二階堂さんが答える。
「二階堂さんの言う通りだろうね。足跡の付いた面が上になるように、看板をそこらへんに放り込めば足跡は消える…と思うんだ」
「じゃあ、井戸の近くにスキやチェーンソーが置いてあったのはどうしてですの?木の葉を隠すなら森の中…と言うものですの?」
「ことわざの意味は違うよ。それらが噴水で濡れたと解らないようにするため…だと思う」
絹川くんは少し困った顔で一ノ瀬さんに突っ込む。
「…あのさ」
雨崎さんが手を挙げた。
「みんな。ちょっといいかな?あたし思ったんだけど…井戸の梯子を降る時、死体はどうやって背負ったのかな?
死体には死斑や縛られたり、殴られた跡以外は傷がなかったんでしょ?
死体を井戸に落としたのなら、流石に骨折するだろうし…めっちゃ残酷な発想だけど…」
「死斑って傷なのかー?」
「梅田、貴様に案外わからないこともあるんじゃのう」
もじもじしている雨崎さんに皆の視線が向く。
…待てよ?
犯人は…藍葉さんの持ち物リストにあった、あれを使ったんじゃないか…?
【発掘イマジネーション(死体を運ぶ際に使ったもの)】
◇◇◇◇
◇◇◇
◇◇◇◇◇
ライ◇◇
◇◇ス
◇り◇◇傘
ライ◇ー
テ◇ス
◇り◇み傘
ライター
テグス
折り畳み傘
【選択:テグス】
「そうか、わかったぞ!」
「藍葉さんの持っていた…テグスを使ったんだよ!」
「えーと、テグスって…ビーズアクセを作る時に使うやつだっけ?」
雨崎さんは相変わらず疑問を出している。でも、それで真実がわかるんだ。
犯人を見つける、大きなヒントが…
「確かリストには、二種類のテグスが載っていたんだ。3号テグスと50号テグス。どっちを使ったというと…」
【選択:50号テグス】
「50号テグスを使ったんだよ。テグスは号数が大きく、つまり太くなるほど重いものを吊り上げられる。
50号テグスもあるなら、藍葉さんの死体も縛ることができるかもしれない。灰寺くんが教えてくれた知識だけどね」
「そうやな。50号テグスなら90kgのカジキマグロを釣れるのはみんなの常識やな。藍葉姉ちゃんなら簡単に吊り下げれられるんちゃう?」
「常識…か?」
灰寺くんに二階堂さんがツッコミをいれる。
「こうして藍葉嬢の死体を、井戸の中へと下ろした、と言うことですね…」
「だから縛った痕が残ったんだなー」
「ここまで来ると、例の建物の二階にあるはずの現像室に…どうやって死体を運んだのかもわかるはずね。隠し通路を通ったのはわかったでしょう?」
黒木さんの得意げな台詞を聞くと、一つの疑問が浮かび上がる。
そういえば、建物の一階…喫茶店は未隅くんと雨崎さんがいたから、そう簡単には入れないはずだ…
どうやって二階へと入っていったんだ?どうやって二階に死体を運んだんだ…?
「みんな、ちょっと言いたいことがあるんだ」
絹川くんが、少し大きな声で言った。
「レンきゅん、一体何なんだ?」
「ボクの意見だけど、『二階に入るやり方』じゃなくて…『二階に入ることができるやり方』って考えればいいんじゃないかな?」
「『入る』と『入ることができる』の違い?人が死んでるのに議論を長引かせて何がしたいの?」
「意見や証拠を出すだけじゃなくて、考え方とかも出していく必要はあると思う。発想を変えれば、見えてくるものもあると思うんだ…」
「…なんだ、ライフハックってやつ?怪しげな…」
檀くんのシビアな意見に、絹川くんが返す。
でも。
絹川くんの言葉で、一つ閃いたような気がする…
もしかしたら犯人は…
自分ができるやり方で、地上から二階の窓に侵入したのかもしれない…
まずは、あの人に…できるかどうか尋ねてみよう!
【怪しい人物を指定しろ!】
【人物指名:紅葉留架】
「紅葉さん。一つ、質問があるんだ…」
わたしは、ゆっくりと『彼女』を指差す。
しかし、紅葉さんは…表情一つ変えなかった。
「…どうしたの?」
たった一言、発しただけだ。
「変な質問かもしれないけど、地上から二階の窓に入ることはできるのか?例えば…」
【選択:ジャンプして侵入した】
「バスケには、あまり詳しくないんだ。でも、バスケットゴールって十分高いよね。
ジャンプして開いていた窓の下枠を掴んで、それから二階へ入ることとか…」
「…私を、犯人だと思っているのね?」
紅葉さんはため息をつき、こちらを睨み付けてきた。
「鈴原。あのさ、いまだにわかっていないことがあるじゃない。
一つ。どうやって藍葉の死体を窓へ入れたのか。
二つ。身体能力の高い灰寺や未隅も、犯人候補に挙げることができる。
三つ。脱出方法。どうやって二階から脱出したか。
他にもいろいろある。けれど、答えられなければあんたの負けだ…
諦めろ!ここで試合は終わりだ!」
(やはり…反論してきたみたいだ…!)
「…疲れが見えてきたようだけど、どうやら一対一でやるしかないみたいだね」
(紅葉さんは全く焦っていない…仕方ない、彼女の発言をなんとか切り抜けるんだ!)
【反論ショーダウン(死体を入れる方法)】
紅葉「喫茶店から<階段で二階に登る>のは論外だね。雨崎と未隅がいるのはもう何度も言われてきた。
あの二人が見張りだったとしたら発見される危険性があるんだよ?」
【発展!】
鈴原「それは認めるよ。でも、二人は何も見ていなかったよね?」
「窓へそのまま死体を放り投げたら…落ちた音のせいで一階の人物に<バレる可能性がある>。
さっき言った通りに犯人が外からジャンプして窓に侵入したとして、<死体を運搬できる方法なんてない>。
まさか死体を背負ってジャンプしたとか言わないよね?」
【コトダマ:死体の縛られた痕】
「その言葉…ぶった斬る!」
紅葉さんの反論を乗り切り、わたしは続ける。
「紅葉さん…死体を入れる方法ならあるよ。まず藍葉さんの手首を50号テグスで縛って、自分はテグスの端を持ってジャンプすればいい。
次に窓の下枠を掴んで、自分から現像室へ入る。そして、50号テグスを引っ張って死体を現像室へと引き上げる。どうかな、紅葉さん?」
「ふ…ふざけてるの?」紅葉さんは…少しだけ悔しそうな顔をする。
「どうやら図星みたいね。その調子よ、鈴原さん!頑張って!諦めなければ願いは叶うのよ!」
スポーツの試合を見るかのように、黒木さんが応援してくる。
わたしは何とも言えなかった。人の命が関わっているのに…。
「そういえば、テグスの知識は灰寺が知っていたんだよね?灰寺が犯人かもしれない線はあるの?」
「灰寺にアリバイはある。10時半から11時半まではオレと一ノ瀬とでお土産屋でルアーを見ていたんじゃよ」
「ですから…灰寺様が犯行を犯した可能性は薄いですわ。紅葉だか枯れ葉だか知らないけど、釣りという神聖な殿方様の領域を汚さないでくださる?」
湖林くんと一ノ瀬さんの二人が、灰寺くんの潔白を証明する。
「お土産屋はなんでも揃ってるね!まさに無料殺人道具の殿堂!激安は無料には勝てないのです!」
「いや、今回の事件はカバンから起きた事件なのだ。お土産屋は1mmも関係ないのだ」
「あと紅葉さん。仮に二階の窓から飛び降りたとして、やはり落ちた音でバレる…って話だけど、それはないと思うよ。
現像室のある証拠が、あることを証明しているからね」
絹川くんの言葉。現像室に落ちていた、証拠。もしかして…
【コトダマ:タオル掛け】
「タオル掛け…じゃないかな?」
「ふーん…凶器でもなんでもないタオル掛け。それが一体どうなるの?」
「ボクの考えだろうけど…恐らく犯人は、藍葉さんの持っていたあるものと組み合わせることで脱出できたんじゃないかな…」
脱出の際に使った…藍葉さんのもの…
【選択:50号テグス】
「テグスを…正確には50号テグスを使ったんだ!」
「またテグス…それしか頭がないなんて、全く呆れるよ」
吐き捨てる紅葉さんに、わたしは続ける。
「その通りだよ。頭がないって言われると落ち込むけど…
テグスを当初壁についていたタオル掛けに巻きつけて、ロープがわりにして地上へ降りていったんだ」
「で、降りる際にタオル掛けが壁から外れてしまった…とかか?」
「恐らくそうなんだなー。んで、タオル掛けは現像室の窓の中にポイっとー…」
二階堂さんと、梅田くんの推測に肯く。
『超高校級のバスケ選手』である紅葉さんなら、外れたタオル掛けを二階の窓に投げ入れることも可能だろうな…。
「これで、紅葉さんが出した三つの謎は解けたけど…どう?もう言うことはない?」
黒木さんの発言に、紅葉さんは眉をひそめるだけだ。
「…そういえば、まだ明かされてないことがあったよね?」
「しつこい女じゃのう。小田原評定にも程がある」湖林くんがうんざりしたような顔で腕を組む。
全ての謎は解き明かされたように見えるが、実はまだ残っている。
頼む、証明してくれ。
無実でもいい。残酷な真実でもいい。
みんなが生き残れる、希望溢れる未来なんてのは、嘘なのはわかっている。
それでも…終わらせたいんだ!
【ノンストップ議論(まだ明かされていない犯行について)】
紅葉「一人の人間を追い詰めてお前が犯人だと罵るなんて、なんて馬鹿な連中なんだろうね…
で、犯人のやったことはこれ以上は何もないんじゃないの?
<実は犯人は二人いる>とか?凶器は<チェーンソーじゃない>とか?
お大事なお仲間に<変なもの>でも見せつけた?それとも<藍葉のカバン>には一切手をつけていないとか?
アリバイも何もない、発言の少ない<檀も犯人の可能性>とか?
さあ、何か言ってよ。愚問でも愚答でもいい。早く証明してみせなよ!」
【コトダマ:ケルブレム】
「その言葉…わたしが撃ち抜く!」
「確か、12時過ぎ…わたしと絹川くんと梅田くんがね…写真館で藍葉さんの死体が発見される前に、あるものを見たんだ…」
「な、何を見ましたの?お前のような淫売…やはりお二人方と卑猥なパーティーでもしていましたの!?」
「一ノ瀬、少し黙ってろ」
「…」
「湖林の命令だと一生黙ったままだな…」二階堂さんは呆れている。
「幻覚だよ。お茶会が始まってからしばらくして、二階堂さんと藍葉さんが来ないから不安になって…それぞれで二人を探している際に見たんだ。
最初に幻覚を見たのは…梅田くんだった。確か『更衣室に向かう棒を持った男』のものだったね。
わたしももちろん見たよ。ナイフを持った男が襲いかかってくる』幻覚をね…」
写真館で幻覚を見てしまった、梅田くんと絹川くんが証人だろう。
「いやー、あれは見たときとうとう人生が終わるかと思ったなー…でも、幻覚じゃなければ更衣室の窓は開かれてなかっただろうなー」
「ボクは…あまり言いたくないんだけど…『複数の人間に囲まれる』ものだったなぁ…」
絹川くんは、何かを恐れるような声で言った。
「怖かったのなら、そこまで言わなくていいよ。証明してくれるだけでも大丈夫だ」
紅葉さんは、悔しそうに拳を握っている。
「じゃあ…一体どうやって幻覚を見せたっていうの?」
「温室にあった、幻覚作用を持つ危険なバラ…ケルブレムだよ。捜査中、カラフラに燃やされてしまったから今は現物はないけれど…」
「確かケルブレムは数分ほどで周囲の人間に幻覚作用を引き起こすとか言われてたわよね?
もしクロがケルブレムを温室で摘んでから運んだのなら、幻覚を見てしまって大変なことになるわ。鈴原さん…なぜクロは平気でいられたと思う?」
黒木さんの疑問の答え。それは藍葉さんのカバンのものを使えばいいだけだ…。
【選択:フリーザーパック】
「温室で摘む際に、藍葉さんのカバンの中に入っていたフリーザーパックに入れたんだよ。そうすれば運ぶときに幻覚は見ずに済む。
恐らく犯人がケルブレムを使ったのは…わたしたちを混乱させて、捜査を滞らせる為だったんだろうね」
「…紅葉嬢はどうやら自分がケルブレムを使った、ということをうっかり言ってしまったようですね」
蒲生くんは相変わらずの笑顔で言う。
「…あのさ!一つ質問なんやけど…」
灰寺くんが高く手を挙げる。
「なんで犯人は、流し台の水を出しっぱなしにしといたんか?」
「アタシの考えだけどさ…雨で濡れた足跡を隠すためとか、脱出する時間がなかった…とかじゃねえのか?」
二階堂さんの、普段とは違う真面目な声だった。紅葉さんは、相変わらず悔しそうな表情をしている。
これで、殆どの謎は明らかになった筈だ。
後は前の学級裁判のように…わたしたちが分かることを、まとめてみるだけなんだ。
一人の無残な死か、それとも多数の絶望的な死か。
いわゆるわたしの中に残っていた数少ない記憶…『トロッコ問題』そのものだ。
それはたった一人が生き残るために続けられるのか。最後の二人になるまで、終わらないのか。誰にもわからない。
…これが現実でも。この命は捨ててはならない。前に進む為には…!
【クライマックス推理】
☆Act.1
午前11時。犯人は納屋の中からある二人の人物の会話を聞いたんだ。
その人物は…二階堂さんと、今回の被害者である藍葉さんだった。
犯人は、用具入れに入っていた木製のスコップで二人に襲いかかって気絶させた。
スコップはその後、納屋の用具入れの中に乱雑に入れられた。犯人は藍葉さんを抱えて温室へと向かったんだ。
☆Act.2
温室に入った犯人は藍葉さんをまず噴水の中に入れて、チェーンソーを温室にあった木製のスキで動かして電源を入れた。
次に、電源を入れたチェーンソーも噴水に入れると、そのせいで…藍葉さんは感電死してしまった。
犯人は藍葉さんの死体とチェーンソーをスキで回収。その後、幻覚を見せることのできるバラ…ケルブレムを摘んで、フリーザーパックに入れた。
温室から出た犯人は先程のチェーンソーとスキを温室の外に放り込んだんだ。
豪雨の中だったから、この二つが濡れていてもおかしくないからね。
☆Act.3
温室から井戸までの道はぬかるんだ道だった。そこで看板を橋の代わりに敷いて渡って…井戸の中に入る前に足跡の付いた面を上にして、そこら辺に放り込んだんだ。
橋代わりに使ったことを隠すのと、自分が渡った足跡を雨で消す為にね。
藍葉さんのカバンの中にあった50号テグスで藍葉さんの体をしばりつけて、井戸の中に下ろす。
そして犯人も井戸のハシゴで降りていったんだ。
地下水路の中は当然暗い。ライトで照らして、死体を抱えながら進んでいったんだろうね。
☆Act.4
マンホールから釣り堀に出た犯人は、二階建ての建物へと向かっていった。
二階の窓が開いていることを確認して、死体の両手をまた50号テグスで縛り直して…テグスの端を持ってジャンプした。
地上から二階の窓までは戸手もたかかったけど、犯人にはできたんだ。…ゴールにシュートするようにね。
窓の下枠を掴み、現像室へと入っていった犯人は、50号テグスで縛られた藍葉さんの死体を引き上げて、藍葉さんの持っていた電気警棒と一緒に流し台の中へと入れたんだ。
現像室の流し台の排水口に蓋をして、水を貯めていく。その結果水が溢れる、現像室が水浸しになったんだ。
☆Act.5
現像室から写真館へと出た犯人は、ケルブレムをフリーザーパックから取り出して、ゴミ箱へと放り込んだ。
入ると幻覚を見る写真館の出来上がりだ。このせいでわたしたちは危険な幻覚を見てしまったんだ…。
現像室の窓から外へ出る時には、流し台近くのタオル掛けにテグスを巻き付け、ロープ代わりにして降りる。
しかし、そこでタオル掛けが重さに耐えきれず壁から外れてしまった…。
犯人はそれを好機と思ったのか、地面に降りた際にテグスを外し、現像室の窓に投げ入れたんだ。
これがこの事件の全貌。この犯行が出来たのは、彼女だけ…
高い身体能力を生かし、様々なトリックでわたしたちを混乱させた犯人…
「悲しい戦いはこれで終わりだ。『超高校級のバスケ選手』紅葉留架さん!」
「…」
紅葉さんは、目角を立てつつも何も言わない。
「…ない…」
「…紅葉さん?もしかして…推理に何かあったのかな?」
「鈴原。私を犯人にするには足りないものがある」
足りないもの?一体、何だろうか。
「決定的な証拠。バスケやってるからジャンプできるとかそうじゃなくて。指紋とかダイイングメッセージとか。被害者である藍葉の科学捜査でわかるやつとかね。
出せないのなら…私は犯人にはならない。投票しても無駄だろうね」
…待って。
決定的な証拠なら…今は持っていないけど、『あれ』が証拠となるはずだ。
今からそれをぶつけなければ、この裁判は終わらないだろう。
最後の証拠で、彼女の反論を乗り切るんだ…!
【理論武装スタート】
☆Phase.1
「どうして私ばかりを疑っているの?」
「証拠なんてない…だから犯行の証明は不可能だ」
「あんたの忖度での推理なんて…そこらの落書きと何が違うの?」
「そんな犯行、絶対に認めない」
☆Phase.2
「あんたは賢そうだと思っていたけど…間違いだったみたいだね」
「超高校級が聞いて呆れるよ」
「だからしつこい奴は大嫌いなんだよ」
「檀も灰寺も犯人の可能性があるのに?」
☆Phase.3
「馬鹿の一つ覚えじゃないの?ふざけるな」
「動機もまだわかっていないのに?」
「身体能力が高ければ誰でもできるでしょ?」
「藍葉を殺したのは…絶対に私じゃない!」
「決定的な証拠なんてどこにもない。出せる?なら出してみなよ」
【れ】
【た服】 【ンと濡】
【カバ】
「これで、終わりだ!」
【カバンと濡れた服】
「しまった…そんな…!」
「…決定的な証拠ならあるよ…もし、紅葉さんの自室には、濡れた自分自身の服と…藍葉さんのなくなったはずのカバンがあるだろうね。
今の紅葉さんの服は乾いている…けれど、あの豪雨の時に濡れているのなら…バレないようにホテルへ帰った後、自室で着替えていると思うんだ…
それに、わたしたちが見つけた時の藍葉さんの死体はカバンを付けていなかった。それも自室にあるだろうね」
「…」
「…うーん」
モノクマが、何かを考えたかのように声を出す。
「裁判も長引いたら流石に飽きるんだよねー。ボクって飽きっぽいことに定評のあるマスコットだからさー。
では、紅葉さんのお部屋に突撃取材!してみましょう!」
「ま、待ってくれ!紅葉さんが認めてくれるだけでいいんだ!お願い…」
無視されたのか、モノクマの背後にスクリーンが降りてくる。
そこに筋トレ用具と本棚が印象的な部屋が映し出された。紅葉さんの部屋だろう。
部屋の隅には、いつの間にかカラフラが入っていた。手代わりの葉っぱでクローゼットを素早く開く。
クローゼットには…藍葉さんのカバンがかけられていた。
「檀クンが鈴原さんの部屋に突入した件があったってのに、部屋に証拠を置いていれば自分は疑われないと思ったんだろうねー!
まあぼっちキャラに定評のある紅葉さんが、藍葉さんを殺したって疑われる線なんてなかったからね!ぶひゃひゃひゃ!」
モノクマは腹を抱えて笑う。紅葉さんの顔は…青ざめていた。彼女は、しばらくして口を開いた。
「私の…負けだよ…」
「とうとう議論の結論が出たようですね!早く投票タイムと行こうじゃないですか!」
「さて、アナタラお待ちかねの!わっくわっくなお楽しみの…投票ターイム!なのだ!」
投票。
この事件の犯人を決めるための、取捨選択。
一体いつになったら、この地獄は終わるのだろうか。
液晶画面の紅葉さんの顔のボタンを、震えながら押す。
…やがて、スクリーンに得票数が映る。
『紅葉留架 13票』
『全員正解』
また、ルーレットが映し出される。白と黒の色のボールは、紅葉さんの場所へと落ちていった。
二度と聞きたくない、愉快なファンファーレが聞こえる…。
「まさか二回連続大正解とは思わなんだ、なのだ!」
「二回目のコロシアイで藍葉美郷さんを殺したのは、なんと紅葉留架さんでした!苗字が似てるから殺したんでしょうかねー?」
二人の笑い声以外に、声は聞こえなかった。
今回の犯人である紅葉さんは…いつもの無表情だ。
【学級裁判・閉廷】