ダンガンロンパ・フラワーズ   作:むらさき@ロンフラ

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■作品についてのご注意

・この作品はスパイク・チュンソフト社の作品「ダンガンロンパ」シリーズの、オリジナルキャラクターを使った二次創作です。
モノクマ以外の登場人物は(おそらく)登場しません。
・「ダンガンロンパ」シリーズのネタバレと作者の自己解釈(ゲーム・アニメ共に)が含まれる場合があります。
・17歳以上を対象とした人を選ぶ描写、残虐描写が含まれています。
・文章、トリック、ストーリー共に素人のものです。大目に見てやってください。

以上のことをご理解できる方のみ、お読みください。
では、どうぞ。


Chapter3 「怪奇!悪夢の湯けむりナイトメアは実在していた!」12日目(動機発表)

コロシアイ開始から、12日目。

今日の朝ごはんの支度はやはり一ノ瀬さんの担当。シャケの塩焼きがメインの定食。サラダと味噌汁が付け合わせだ。

カラフラの作ってきたであろう食事も悪くはなかったが、『超高校級の女将』の作る料理は一級品。塩味がシャケの甘味を引き立てていてとても美味しい。

「マジで美味えな!超美味えっ!一生この定食でもいいくらい美味え!」

相席の二階堂さんも一ノ瀬さんの朝ごはんに舌鼓を打っている。そりゃそうだろうな、と思う。よほどの偏食家か一ノ瀬さんに恨みを持つ人でない限り、彼女の料理を嫌いになる人はいないだろう。

 

「いやはや、どうしましょうか…」

レストランのキッチンから出てきたのは蒲生くんだ。いつもの笑顔ではあるが、あたふたとしている。

「蒲生、何かあったのかー?なんか実験でもしてたのかー?」梅田くんが聞いてくる。流石に変な実験とかはしてないと願いたい。

「皆様…大変なことになりました。僕が暖かな飲み物を飲もうと、レンジを使っていたら、その中で…コップが割れてしまったのです…」

コップが割れた?爆発しないよりはマシだろうけど。

「…一応、一通りの使い方を教えたんだけど。一体何がいけなかったのかしらね?」

教えたのはどうやら黒木さんのようだ。様子から見て、怪しい使い方は何も教えてはなさそうだ。

「15分も温めていれば、丁度いい温度になるとは思っていたのですが、なぜか温めている途中で割れる音がして。まさかと思い開けると割れてしまっていたのです…」

じ、15分…?流石に、温めすぎじゃないのか?

「…蒲生くん。もしかして、飲み物を入れたのはガラスコップじゃないの?」

前の席の絹川くんが、少しドン引きした様子で蒲生くんに話しかける。

「温めるなら、耐熱かどうかわからないガラスじゃなくてマグカップがいいよ。キッチンの食器台にもあるし。あと、もっと短い時間で温めるのがいいと思う…」

「そうですか。では、次はマグカップを10分くらい温めるとしましょう」

「いや、二分か三分くらいでいいよ…」

流石に次はちゃんと温めてくれることを願おう。

 

「一ノ瀬、別に凝った料理にする必要はない。流石に貴様にも自由な時間が必要じゃろうしな」

「ありがとうございます。でも、女将というのは皆様に尽くすもの。私のことは気になさらなくてもいいですわ」

「一ノ瀬姉ちゃん、シャケのおかわり取ってきてくれへんか?」

「シャケのおかわりは沢山ありますわ。どれくらいがいいですの?」

「うーんと…三つやな!じゃあお願いするで!」

隣のテーブルの湖林くん、一ノ瀬さん、灰寺くんは和気藹々と食事をしている。一ノ瀬さんは灰寺くんの分のお皿を持ち、キッチンへと向かって行った。

それから数十秒経って、一ノ瀬さんが三つシャケの並べられたお皿を灰寺くんの席に載せた。灰寺くんは目を輝かせながらシャケを箸でつまんで口に運んでいく。

「やっぱいい味やん!これからもよろしくな、一ノ瀬姉ちゃん!」

「灰寺様だけでなく殿方様たち、どんどん食べて精力を付けてくださいね?」

「…男好きの一ノ瀬が精力って言うと…なんか、アッチ系の気分になれるなー…」

「梅田…もしかして、セクハラか?」

茶々を入れてきた梅田くんに対し、殺気を放つ湖林くん。

「ひいいいっ!許してくれー!」

「湖林様!これはセクハラではなくただのコミュニケーションですわ!最近は触れたりすったもんだもセクハラになるらしいですわね!」

吸ったり揉んだりしたら普通にセクハラになるのでは…?一ノ瀬さんの性根は変わっていないらしい。

 

そんな会話をしているうちに、灰寺くんが三つのシャケを食べ終えたようだ。流石に早い気がするが。

「あら、灰寺様はシャケはまだ食べられますの?無くなるまでいくらでも食べてかまいませんわ」

「んーと、じゃあ次は五つ食べようかな?」

「灰寺、貴様はよく動くから沢山食べてもいいかも知れんのう」

「よーし、シャケが無くなるか僕が腹一杯になるかの勝負やな!」

…どこか、本当の親子のような三人だ。

 

一方、檀くんは…未隅くん、雨崎さんと同じ席で、何かのライトノベルを読みながら朝食を食べている。

「檀くん!漫画もいいけど、集中して食べることも大事だぞ!」

「昔見た映画でご飯食べながら読書しているシーンあったし、食べ物をこぼしたりしなければいいんじゃないの?と言うかこれ、ライトノベルだよ」

「ライトノベル?光を当てると読める小説かな…?」

「いや、漫画みたいな挿絵のある小説…だったと思う…」

そんな二人の会話を横目に、檀くんは黙々と食事と読書のマルチタスクをこなしている…。

 

 

「…ご馳走様でした」

皆が朝食を終え、何枚もの食器を一ノ瀬さんが器用に片付けていく。

未隅くんと雨崎さんは食後でも会話しているし、梅田くんと湖林くんは一ノ瀬さんを手伝おうとするも梅田くんが皿を割ってしまったせいで湖林くんに怒られている。

そんな日常だが、何か悲惨な出来事が起きるよりはマシだ。そう思いながら席を立ち、レストランの出口へと向かう。

 

 

 

 

…扉を開けると、奇妙な光景が広がっていた。

 

「…何…だよ…!?」

 

千切られた段ボールが、バラバラにされて打ち捨てられていて。

 

「誰が、こんなことをしたのですの!?」

 

奇妙なロゴマークの書かれたあの絶望郷のポスターが、何枚も散らばっていた。

 

「いや、なんでこれがここに!?」

「…おい、これってこの前見た、絶望郷ってやつのポスターじゃねえか!」

「どうしてこんな所に散らばってるんだー?しかし、いつ見てもビビるデザインのポスターだなー…この前のやつと、変わりはないな」

二階堂さんと雨崎さんが戦慄している中、梅田くんがポスターを拾い上げる。

 

…ふと、散らばったポスターに混じって葉書サイズの写真を挟んだクリアファイルが落ちているのを見つける。

正直怖いけど…ポスターをかき分け、クリアファイルを拾い上げる。

「す、鈴原?何か見つけたのか?どうやら写真のようじゃが…」

 

写真はモノクロだった。様々な機械だらけの部屋の中心で、後ろを向いたフードの人物が写っている…という異様なものだ。

見たこともないワンシーンなのに、背筋が凍る。わたしはクリアファイルを裏返し、写真の裏を見る。

裏には黒い文字でこう書かれていた。

 

『超高校級の復讐者』

 

「なるほど復讐者か!そういやなんでモノクロ写真何やろ…ってええええええええっ!?」

横から写真を見ていた灰寺くんが驚きの叫び声を上げる。

「この人物が…もしかして、復讐者?」

思わず声が出る。写真に気づいたのか、周りの皆は写真を見ようとわたしの周りに集まってきた。

「あの段ボール箱の何に入ってた奴なんかな…」

落ち着いた灰寺くんが再び写真を見る。

写真の情報量は少なく、人物が何をしているかも、写された場所がどこなのかもわからない。

この人物は、『超高校級の復讐者』何だろうか…?

「また、ゴフェル計画とか絶望郷とかと同じ種類の謎かー?」

「復讐者があたし達と同じ超高校級って…まさか、この中に紛れているの!?」

雨崎さんが顔を青くしながら立ち竦むと、未隅君が彼女を抱えてくれた。

「落ち着こう梨々、みんな!ただのモノクマの嫌がらせかもしれない!」

 

しかし。

わたしには、これだけじゃない、一連の何かがただの嫌がらせや嘘とは思えなかった。

ゴフェル計画、隕石、ウイルス、絶望郷。

黒幕はヒストリヱランドの外の世界の情報を小出しにしている。

それが嘘ならば思い出しドリンクの断片的な記憶…『全ての人々が笑っている』『全ての人々が助けを求めている』不気味な光景はどうなのだろうか。

藍葉さんの遺してくれた思い出しドリンクの記憶が、嘘をついているとは思えない。

 

その瞬間、持っていたクリアファイルが目前から消えた。

「写真が消えた…ようですが…?」

 

「全く。『あの男』の出番はまだって言うのに。なんでやらかすのだ?どうせならわーのグラビアをばら撒くのだ」

 

誰かの声がした…目の前には、なぜかクリアファイルを写真ごと、持っていたゴミ袋に入れていくカラフラの姿があった。

「おい、カラフラ!返せよ!鈴原が見つけたんだから鈴原のもんだぞこれ!」

改造箒をいつの間にか持っていた二階堂さんを振り切り、カラフラは台車に乗りながらポスターを器用にゴミ袋の中に入れていく。

「この泥棒花が!貴様、何をしようとしている!?」

「ポスターも何で散らかしたんか!?最初から散らかさない方がええやん!」

他の皆…湖林くんや灰寺くんたちもカラフラを捕まえようとするが、台車はハイスピードを出しながら彼らを避ける。一体どうやって台車を動かし、あの手代わりであろう葉っぱでポスターを回収しているんだろう。

「ま、待ってくれカラフラ!その写真は、外の世界の謎を明かす為のものじゃないのか!?」

わたしも必死に追いかけながら、カラフラに話しかける。

 

「鈴原さん。こんなこと言ったらモノクマが殺意の波動に目覚めそうだけど、とりあえず一つだけヒントを言っておくのだ」

 

わたしの質問を聞いたのか、カラフラを載せた台車が止まる。

「どうせ手短に済ませるんでしょうけど、それでもいいわ。このコロシアイが盛り上がるならね」

 

「黒木さんの言う通りに手短にすませるのだ。

 

『超高校級の復讐者』は…元々絶望郷の人間ではなかったのだ」

 

…え?

絶望郷が何なのか未だにわからないのに?

『超高校級の復讐者』が絶望郷の人間ではない…?

 

謎が謎を呼ぶ。カラフラは…一体何をしたいんだろうか?

 

そう考えた、その瞬間だった。

 

「ぎゃあああああ!復讐されるうううううう!序盤で倒したスライムやゴブリンにスレイヤーされるううううう!」

 

…どこからか現れた、勇者のようなヘッドギアとマントを付けたモノクマが、実用性のなさそうな大きな剣をカラフラに向けてぶん回していた。

普通は、村を焼かれた勇者が魔王に復讐するものではないのか…?

 

「カラフラくんさぁ…『あの男』に何か言いふらしたの?それとも何か命令したの?『あの男』が自分の意思で何かをやるとは思えないんだけどさぁ…」

 

葉で頭(というより花)を抱え、怯えるカラフラ。

 

「ば、バレたのだ…!?」

 

台車ごと後退りしていくカラフラ。今のうちにゴミ袋の中の写真を奪えそうだが、そんなことをしたらモノクマに何かされそうな予感がする…。

 

「大体ね、オマエはボクの下で黙々もっくりと働いていればいいんだよね。そりゃもう、パン工場の労働者みたいにさ。

と言うわけで塞翁ヶ馬学園の理事長・カラフラにスペシャルなオシオキを用意しました!」

 

…オシオキ?

まさか、バニラさんや紅葉さんのように、カラフラも…?

 

「おい、モノクマ…まさか処刑しようって言うんじゃないだろうな!?」

…いつの間にか、モノクマを大きな声で糾弾していた。

カラフラの味方をするわけではないが、いくらロボットとは言えあのように残酷に処刑してしまってもいいのだろうか。そう言う、自分勝手な考えだ。

モノクマはこちらを向き、やれやれと言う仕草をしながらため息をつく。

 

「あのさ、学生である鈴原さんが学園長であるボクに逆らっていいと思ってるの?

それにオシオキと言っても、今からやるのは命を取るわけじゃないよ。オシオキ名はなんと…キャロライナ・リーパー食べ放題!」

 

「…キャロライナ・リーパー。素手で触るのすら危険な、世界一辛い唐辛子の一種。有名なハバネロがまだ可愛く見えるほどの恐ろしい植物ね」

黒木さんが解説している。命を奪うより恐ろしいんじゃないだろうか…

 

「お、お許しを!せめてキムチ汁の海に沈めるとかにするのだ!」

「辛いのはどれも一緒でしょ?さあ、地獄を食らうがいい!アーハッハッハッハ!」

 

モノクマはどこからか持ち出したロープでカラフラを台車に縛り、ゴミ袋を持ちながら何処かへと去っていく。

「全く、どこが勇者だよ…」

檀くんに同感だ。モノクマの態度は明らかに小物魔王にしか見えない。

 

「このポスター、モノクマが『あの男』って呼んで人がばら撒いたのかな…?」

絹川くんが一枚だけ残された、絶望郷のポスターを拾い上げる。

謎と共に、黒幕外の世界のヒントがわかった。しかし、どう思考しても真実はわからない。

 

『超高校級の復讐者』。

カラフラにおそらく命令され、ポスターと写真をばら撒いた『あの男』。

 

「外の世界には…絶望郷の他に、何かがあるんですの!?まさか…私たちの居場所なんて外の世界にはどこにもなくて…どれだけ助けを求めても無駄と言うことなのですの!?」

一ノ瀬さんが愕然としながら頭を掻き毟る。

「落ち着くんだなー。きっと平和な世界もあって、心が綺麗な人間たちもいて…なんこともあり得るかもしれないんだなー」

「…そんな人たちが、本当に助けてくれるといいんだけど…」

自分を奮い立たせようとする梅田くんに、絹川くんが答える。

 

 

 

 

その後わたしたちは解散し、それぞれの目的の場所へと向かって行った。

わたしは…いつものように部屋に戻る。部屋にいると、少し落ち着く気がする。

さて…今日は何をしようかな。

 

 

 

 

【自由行動3】

 

一ノ瀬さんは、レストランをモップで掃除していた。

「今日のお昼ご飯、湖林様は喜んでくれるといいですわね…」

湖林くんのこと、そんなに気になるのかな。そんな彼女を手伝おうかな?

 

一ノ瀬さんに避けられながらも掃除した…。

一ノ瀬さんとの仲がちょっとは深まった…らいいな。

 

何か料理の保存に使えそうだと思い、『曲げわっぱ』をプレゼントした。

「まあ女にしては上出来なプレゼントですわね?インテリア程度にはいいかもしれませんわ…」

一応は喜んでくれたようだ。

 

 

わたしと一ノ瀬さんは今、1.5mほど距離を空けている。

蕁麻疹の事を考えたら空けたほうがいいんだろうけど…何かこっちから話したほうがいいのかな。

「…一ノ瀬旅館のレストランとかのメニューで、好きなものとかある?」

典型的な質問だが、ないよりはマシ…かな?

「…はぁ…やっぱりそうですのね。女は常にスイーツとか食べ物とか原始的なことしか脳味噌にない…スマートで現代的な殿方様のように最新のニュースの話でもしたらどうですの?」

最新のニュースといっても、閉じ込められてしまっているから話ができないんだよな…

一ノ瀬さんは、わたしを何か嫌そうな目で睨みつけている。えーと、とりあえずここは一ノ瀬さんの好きそうな…。

「…一ノ瀬さんの好みの男性のタイプって、一体誰なんだ?」

「い、いきなり恋愛話!?どうしていきなりこんな質問をしてくるのですの!?やはり女という生き物は生殖で考える生命体なのですわね!これだから、下等生物は…!」

質問を質問で返してて、怒られないのかな…?

「大体、世の中の殿方様である方に嫌いなお方などおりませんわ。私の周りの殿方様は素晴らしい人たちばかりでしてよ。

優秀な一ノ瀬旅館のオーナーであるお兄様、新鮮な食材を見極め絶品グルメを調理する板前の皆様、顧客のニーズに合わせたサービスを考案する経営陣…

それに比べて中居はバカばかりなのか、接客、掃除やベッドメイクなどの低級な仕事しかできない…やっぱり、女は無能しかいませんわね」

「でも…お客様と接したりするのって、案外難しいよね。皆が満足するように、声掛けやメニューの準備とかするのって、以外と頭使うし…」

「そんなの当たり前ですわ。アッパッパー女同士の会話のように何も考えずに話したり、低能専業主婦のように手抜き料理を作るだけの事とは訳が違いますの。

だから私は…仕事の時は常に頭をフル回転させていますの。例えば、お辞儀のタイミングやお客様ごとに出すメニュー、どうしたら客室が完璧に綺麗になるかなど。

…これを、男女問わずやらなければならないのが一苦労ですの」

…一ノ瀬さん、仕事の時は男女差別はしない性格なのかな?プライベートの時はともかく。

日本一の旅館と呼ばれる為に、お客様の居心地のいい空間を作り上げる。だからこそ、『超高校級の女将』と呼ばれてるのかな。

そんな一ノ瀬さんだけど、せっかくの着物に埃が付いている。どこかを掃除した時に付いたのだろう。

「あの、一ノ瀬さん。着物にゴミが…」

「す、鈴原!?ち、近寄って何を…やめて下さる!?ひぃぃぃぃ!こ…来ないでえええええええっ!」

鈴原が取ろうとした瞬間、一ノ瀬は叫びながらどこかへと逃げていった。

 

彼女、よほど女性が嫌いなんだな…。

 

 

『重度の女性嫌いで、頭の中には女性に対する偏見がいっぱい。そんな一ノ瀬とコミュニケーションを取るのに鈴原は悪戦苦闘。しかし、自分の仕事には真面目。』

 

 

 

 

昼食のミートソースパスタはトマトとひき肉の食感がマッチしているだけでなく、茹で上げたパスタと程よい感じに絡んでいてとても素晴らしい味だった。

「一ノ瀬さん、イタリアンも作れたんだ…って、絹川くん?」

…絹川くんがなぜか、備え付けの粉チーズを大量にパスタにかけている。

「おい絹川、粉チーズなんてかけすぎるとカロリー高くなるし机の上が散らかるしでいい事ねーぞ?」

「マヨネーズがないし、粉チーズがなんとか代わりになるかなと思ってね」

心配しているであろう二階堂さんに絹川君が答える。マヨネーズの代わりになるのかな、粉チーズ…。

 

レストランにいる皆が、そうやっているうちに昼食を食べ終えた。

一ノ瀬さんがキッチンで12人分のお皿を洗っているのを見て、頑張って欲しいと考えながらレストランを出ようとした瞬間。

 

今の現状に似つかわしくないようで、ある意味お似合いなチャイムが、鳴り響いた。

「…!?もしかして、また…?」

 

「園内のオマエラへのお知らせです!このモノクマが丹精込めて作り上げた、出来立てホヤホヤ、国産の…三つ目の動機が完成致しました!第一エリアのステージにて振舞うから、今すぐ来てゆっくりしていってね!」

 

第三の動機。

悪夢の始まりを告げるであろうパンドラの箱。また、始まってしまうのか?

 

「ちょっと待ってくださる!?お皿まだ洗い終えてないのに!?」

一ノ瀬さんがキッチンから飛び出してきた。手は濡れているが、今は拭いた方がいいと思う。

…もう行きたくはないし嫌だけど、行かなければ処刑が待っている。

 

わたしたちは覚悟を決め、第一エリアへと向かった。

 

 

 

「人参と言ったらウサギとハムスターだけど、実はクマも食べるんだよね。オマエラー、食べるー?」

 

ステージには、なぜか人参を頬張るモノクマと、いつもの巨大な液晶テレビ、そして小さな箱が置いてあった。

今まで黒幕が用意してきた料理を食べてきたわたしが言うことではないと思うが、モノクマの食べている人参はなぜか食べたいとは思えない。

 

「どうせ動機と言っても大したものじゃなかろう?だったら早くオレらをここから解放せんかい!」

湖林くんがモノクマ相手に怒号を浴びせる。

 

「頭信長になっちゃうと短気になるの?と言うわけで、カルシウム代わりになんかテレビでも見てってよ!」

 

モノクマは残りの人参を口の中に放り投げると、傍に置いてあったリモコンを押す。

 

「核の炎の渦中でも、お花畑のお花摘みの最中でも。超絶大絶賛放送中の感動チャンネル!カラ☆フラTVが始まるのだ〜♪」

 

液晶テレビにロゴマークが映されたと思うと…前回とは違う病室風のセットと、ピンクのミニスカナース…美少女姿のカラフラが映された。

 

「アナタラ、今回もおはろんぱ〜!エログロナンセンスな健全アイドル!カラフラ・ナースコスなのだ!」

 

テレビの画面はくねくねと体を動かすカラフラの胸部や股間をローアングルで映している。何処か見えそうで見えない、なんとも危なっかしいカメラワークだ。

 

「テレビといえば視聴率が命なのだ。その限りではない番組もあるみたいだけど。ネット至上主義の今になっても視聴率にしがみ付く上層部もいる今だからこそ、センシティブさとレモン1000個分並みに刺激たっぷりの脚本が必要なのだ!」

 

レモン1000個分って…さっき、トウガラシの刑にされられてなかったか?

「こんなの、Aliceに載っても人気でないようなコーナー、誰が得するんだろう…?」

流石の雨崎さんも呆れ顔だ。モデル雑誌にお色気、相性悪そうだもんな…。

「おい…流石に放送禁止レベルまで過激になったら打ち切りになるぞ!父ちゃんの好きな『紙装甲水着ビーチバレー・ぶっかけもあるよ!』も苦情来て終わったんだぞ!」

二階堂さんの父親の見てた番組、もしかして…いや、なんでもない。

 

「じゃあ、早速動機を発表するのだ。今回は思春期の男子女子の心を潤わせるワクワクなものなのだ…くひひ、まずはこれを見るのだ♡」

 

カラフラはアップになった胸の谷間からゆっくりと…赤い三角形の紙を取り出した。

 

「合法コンパ、略して合コンを行うのだ♪」

 

…合コン?

あの男女が仲良くなるために行う、飲み会みたいなもの…?

 

「でも、男子七人、女子五人だと男子が二人余って惨め…だと思ったアナタ!こんなことがあろうかとモノクマがクジを用意し…」

「花粉撒き散らしそうでウザいカラフラの代わりに説明しておくね!まずこの箱から一人一枚、クジを取り出します。開くとAからDのアルファベットが書いてあるので、オマエラはアルファベットごとの四グループに分かれてください!」

 

モノクマがカラフラに変わって解説する。どうやら小さな箱はクジが入れられているようだ。

これ、本当に合コンなのか…?

 

「四グループに分かれた後は…第三エリアのログハウスに一晩泊まってください!12人だからすぐ決まると思うので…」

「はい、三人組作ってー!なのだ!」

 

カラフラがモノクマを邪魔するように大声を出した。しかも、画面は谷間の見える胸部のアップ。流石にあざとすぎる。

叶千華も、自分に似たAIがこんなことされるとは思っていなかったんだろうな…とうんざりしてしまう。

それよりもログハウスに泊まるってことは、普通のお泊まり会でいいんじゃないの…?

 

「グッズの売り上げはボクの方がはるかに上なんだよね。ったく、生意気な口聞きやがって…じゃ、オゲレツ番組はガン無視してオマエラは早めにクジをひいてくださいね!」

 

モノクマは全てを諦めたのか、クジをわたしたちの前に置く。

この一匹と一輪、本当に仲が悪いんだな。そう思いつつ、クジを引こうと前に進む。

「二人組作るのにいい思い出がないんじゃが…」

「私だっていつも先生と組んでいましたわ…やはり女のいじめ文化は陰湿ですわ…」

わたしだけじゃなくて、他の皆もクジを引いていく。

 

赤い三角形のクジを開く。『D』と言う緑の手書き文字が書かれていた。

「僕と梨々は別々みたいだな…」

「本当は一緒が良かったけど、仕方ないよ。無事に終わるといいね」

未隅くんと雨崎さんがそれぞれを心配しあっている。

 

皆がクジを引き終わった後、モノクマが懐から赤い鍵を3本取り出した。

 

「次はコテージの鍵を渡しちゃうよ。まず、Aグループの人からね。愛くるしいボクのマスコット付きだから無くさないように!」

 

Aグループの三人が、モノクマから鍵を受け取る。

「合コンってよくわからんけど楽しそうやな!ゲームでもしたりするんやろうか?」

「ゲームなんてもの置いてなさそうだけどな…」

「うん、大丈夫だよね…」

楽しそうな灰寺くん、いつも通り気だるげな檀くん。そして、何処かぎこちなく歩く雨崎さん。

 

次に、Bグループ。

「このストラップ、本当によくできてるよね…」

「男二人に女一人!?夢がカムするバンドみてえだな!」

「まあ、よくある構図じゃな」

絹川くんと二階堂さん、湖林くん。さっきと同じくストラップのついた、青い鍵を頂戴する。

 

Cグループ。

「二人とも!何かあったら僕を頼りたまえ!」

「…ホラーものだとジョックはすぐ死ぬけどね」

「殿方様が未隅様以外誰もいませんわ…私が保護しないと…」

未隅くん、一ノ瀬さん。そして黒木さん。三人が黄色い鍵を入手する。

 

最後にDグループ。

「これこそ、天の導き。そう思って受け入れましょう」

「なんだか嫌な予感がするんだなー…」

蒲生くんは冷静に、梅田くんはやや戸惑いながら緑の鍵を手に取る。

 

「どうやらアナタラはちゃんと鍵を受け取ったようなのだ。今からログハウスを全て解放するから全員それぞれのグループの場所に入ってね!明日の正午になるまではログハウスから出られないのだ!」

 

カラフラがぴょんぴょん、と飛び跳ねながら笑う。

「で、出られねえのか!?お前ら、一体何が目的なんだよ!異性不純交遊か?」

二階堂さんがカラフラたちに話しかける。

 

「目的だって?そんなの決まってるじゃん。ボクはオマエラに仲良くなって欲しいんだよ!例えば、ハブとマングース、シマウマとライオンみたいにね…」

 

それ、仲が悪いってことじゃないかな?

…そんな中でも、モノクマの真の思惑は一切わからない。

それでも、生きるためにはこのふざけた合法コンパとやらを乗り越えるしかないようだ。

 

わたしたちは重い足取りで、第三エリアのログハウスへの長い道のりを進んでいった…。

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