ダンガンロンパ・フラワーズ   作:むらさき@ロンフラ

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■作品についてのご注意

・この作品はスパイク・チュンソフト社の作品「ダンガンロンパ」シリーズの、オリジナルキャラクターを使った二次創作です。
モノクマ以外の登場人物は(おそらく)登場しません。
・「ダンガンロンパ」シリーズのネタバレと作者の自己解釈(ゲーム・アニメ共に)が含まれる場合があります。
・17歳以上を対象とした人を選ぶ描写、残虐描写が含まれています。
・文章、トリック、ストーリー共に素人のものです。大目に見てやってください。

以上のことをご理解できる方のみ、お読みください。
では、どうぞ。


Chapter3 「怪奇!悪夢の湯けむりナイトメアは実在していた!」非日常編-学級裁判(前編)

・コトダマ一覧

 

【カラフラファイル3】

被害者となったのは一ノ瀬秋穂。

死因は心臓を刺されたことによる大量出血死。

死体発見現場となったのは旅館一階の混浴風呂。

 

【カラフラファイル4】

被害者となったのは雨崎梨々。

死体発見現場となったのは占いの館。

目立った外傷などは見られない。

 

【ガラスケース】

占いの館にあった、雨崎の死体を入れていたもの。

鈴原たちが発見した時は占いの館のカーテンで覆われていた。

(コトダマアップデート後)

占いの館にあった、雨崎の死体を入れていたもの。

鈴原たちが発見した時は占いの館のカーテンで覆われていた。

本来は博物館にある、展示物を飾るためのもの。何者かが占いの館に持ってきたようだ。

 

【占いの館の棚】

3mほどの高さの棚。

棚にあったはずの蝋燭やお香が消えており、『気絶薬』と書かれた瓶が封が取れた、空の状態で置かれていた。

 

【薙刀】

占いの館の棚の一番高い場所に置いてあったもの。

2mほどの長さを持つ。金属製で結構重い。

 

【雨崎のペンダント】

雨崎の死体に付けられた、青くて丸いガラスのトップが特徴的なペンダント。

動機発表前にお土産屋で、未隅と一緒に選んだもの。事件の前日の夜、付け忘れたことを二階堂に指摘されている。

因みに雨崎は二階堂と事件の前日に温泉に入っており、そこで落としてしまったのかもしれない。

 

【一ノ瀬の蕁麻疹】

一ノ瀬は女性に触ると蕁麻疹が出てしまう。

しかし、死体にはそれらしきものは出ていなかった。

 

【絹川の検死結果】

一ノ瀬は心臓を細長い刃物で一回深く刺されている。

また、両手に縛られた痕跡あり。

 

【一ノ瀬の持っていた手紙】

一ノ瀬が着物の袖の中に入れていた手紙。

濡れているせいで読めない。

(アップデート後)

一ノ瀬が着物の袖の中に入れていた手紙。

「午後十時、博物館の『小』の部屋で待つ 湖林」と書かれている。

 

【脱衣所のロック】

男女に分かれたそれぞれの脱衣所に入るには、その人の性別に合わせた電子生徒手帳を脱衣所のドアの四角い枠にかざす必要がある。

 

【厨房の様子】

作業台の上に冷蔵庫の中身が全て出されており、水浸しになっていた。

また、水で濡れている木製の柄の出刃包丁が作業台の下に落ちていた。

流し台には『消毒済み』の紙が貼られていたので、使われた様子はないようだ。

 

【ゴムボート】

旅館の倉庫に置いてあった大きなゴムボート。

少しだけ水で濡れている。

 

【客室のエアコン】

旅館の客室にそれぞれ設置されたエアコン。冷房・暖房機能と共に除湿除菌消臭機能が付いている。

どの部屋のものも二時間タイマーが設定されており、設定温度は24度だった。

 

【一ノ瀬の電子生徒手帳】

旅館二階、珊瑚の間に落ちていた電子生徒手帳。

壊された訳ではなさそうだ。

 

【マスターキー】

旅館の脱衣所以外の全てのドアが開く鍵。

黄金の間のオートロックも開く。なぜか黄金の間に落ちていた。

 

【脱衣所の入場記録】

旅館二階、事務所のパソコンに記録されていた。

『0:29 F 7:45 M 7:45 M 8:13 F』と書かれている。

 

【消えた西洋人形】

お化け屋敷に置かれた西洋人形がいくつかなくなっている。

 

【黒木の証言】

午前一時頃、ホテルの非常階段にいると誰かの足音が外から聞こえた。

午前二時頃、ホテルのエントランスに行くとソファに倒れている蒲生を発見する。その後、カラフラに運ばせた模様。

 

【『大』の部屋の破れたカーテン】

博物館の『大』の部屋のカーテンが、破られて一部なくなっていた。

 

【ドアストッパー】

博物館のエントランスに落ちていた。

これを使えばドアを固定できる。

 

【二酸化炭素消火器】

博物館の『小』の部屋に転がっていた消火器。

中身が入っていない、使用済みのもの。

(コトダマアップデート後)

博物館の『小』の部屋に転がっていた消火器。

中身が入っていない、使用済みのもの。

カタログの情報によると、噴出された二酸化炭素で酸素濃度を薄くして消火するタイプ。

電気火災の消火に適しており、汚れも出ない優れもの。

 

【燃えた『小』の部屋】

博物館の『小』の部屋の半分がなぜか黒焦げになっていた。

また、『小』の部屋に置いてある全ての油式のランプからオイルが抜き取られている。

 

【黒焦げの壊れたランプ】

博物館の『小』の部屋の窓台にひび割れ、黒焦げになったランプが置かれていた。

電源コードに繋がれている。恐らく、『小』の部屋が燃えた原因と思われる。

 

【博物館の照明スイッチ】

博物館のエントランスの出入り口付近に付いているスイッチ。

『ON』にすると博物館全ての明かりが付き、『OFF』にすると全ての明かりが消える仕組み。

 

【死体発見アナウンス】

三人以上の生徒が、死体を発見することで流れるアナウンス。

今朝一ノ瀬の死体が見つかった時は恐らく湖林と灰寺が発見した時に流れ、雨崎の時は檀が発見した時に流れた。

 

【『暮らしと火災の危険』】

図書館の本。火災が日常でどのようにして起きるのかということについて書かれている。

この本によると、照明器具に可燃性のあるものを近づけると火災の危険性があるとのこと。

なぜか図書館の返却ポストに入れられていた。

 

【『事故の原因大全』】

梅田がログハウスから持ってきた本。様々な事故の原因や対策について書かれている。

この本によると、二酸化炭素の濃度の高い場所にいると数分で体に様々な異常が起こり、しばらくしたら死亡してしまうとのこと。

 

【古文書】

図書館の隅の小さなショーケースに入れられていたもの。

虫食いと汚れで一部分が読めない。

『■■■■の■■き

ガラスの■■■けに■■■■させるも■■■れる

まんげつ■■かりが■■くはいるへやで■■■■

あ■■■ろうそくにひをつけおこう■■■、だいのうえにおく

い■■■とに■■■うをだいのうえ■■せる

■■じはじゅ■■■■■え、■■■ものは■■に■のし■ぞ■■やり■■■さす

■■■えは■■、いけ■■かべる

■■■■■せるものはか■■け■いれたまま、し■せい■■しょにおく

に■■■■からこ■■した■■■きは■■■■■■』

 

【学級裁判・開廷!】

 

「まずは学級裁判の簡単な説明から始めます。学級裁判の結果はオマエラの投票により決定されます。

学級裁判の結果はオマエラの投票により決定されます。正しいクロを指摘できればクロだけが、もし間違った人物をクロとして投票した場合は、クロ以外の全員がオシオキされ、殺人を犯したクロは見事卒業となるのです!」

 

豪華な椅子でふんぞり返るモノクマの、相変わらず変わってない説明。

 

「という訳で、議論を始めて欲しいのだ。さあ、早くするのだ!クロに勝てたらわーの抱擁が待っているのだ」

 

「別にいらん。虎にでも噛まれた方がマシじゃ」

 

「そっか…濃姫様レベルの美女のわーでも無理なのだ…?」

 

「貴様ごときと帰蝶を一緒にするな」

カラフラと湖林くんが、口論を繰り広げている。帰蝶って濃姫様だっけ…?

 

「ところでさ…被害者って、一ノ瀬と雨崎の二人だよな?どっちから議論すりゃいいんだ?」

「二階堂さん。まず一番最初に見つかった人の事から、話していけばいいんじゃないかな」

「絹川のいう通りであれば…オレと灰寺が先に見つけた一ノ瀬からになる。雨崎の時は、後にアナウンスが流れたからのう」

 

皆がそんな話し合いをしているうちに、一人だけ光のない目をキョロキョロさせている人物。

「うう…梨々、いつまで寝ているんだ…?一ノ瀬さんの裁判が始まったのに…」

未隅くんは、雨崎さんの死を未だに認められないようだ。

そんな未隅くんだけど、彼の為にも真実を暴き、悪夢の裁判を終わらせなければならない…!

 

【ノンストップ議論(一ノ瀬の死体の状況)】

梅田「とりあえず、一ノ瀬の現場の状況からだなー…」

絹川「ボクが一ノ瀬さんの死体について調べたんだけど…<刃物か何か>で<心臓を刺されていたよ>」

黒木「どうして<混浴風呂に浸かっていた>のかしら?」

湖林「血を拭う為、証拠の隠滅の為…ということも考えられるのう」

二階堂「犯人の<性別をあやふやにしたかった>かもな!」

未隅「もしかしたら、一ノ瀬さんに恨みのある<女子が犯人>…かもしれないよね、梨々…」

檀「未だに狂ってんのか、みのるん…」

モノクマ「愛って本当にいいものですなぁ!」

 

【コトダマ:一ノ瀬の蕁麻疹】

 

「未隅くん、それは違うぞ!」

 

「…鈴原さん?僕、何かおかしいこと言った…?」

「一ノ瀬さんは、女性に触れると蕁麻疹が出る体質なんだ。もしも犯人が女子なら、彼女の身体に出ていたかもしれないね。

でも、死体にはそれらしきものは一切なかったんだ。だから、犯人は男子の可能性も高いんじゃないかな」

「そう、か…。ということは…一ノ瀬さんは多分梨々には触れられないよなぁ…」

口を半開きにしながら、未隅くんは下を向く。彼が愛していた雨崎さんの無念は、絶対に晴らしたいものだ。

「じゃが、凶器はどうなる。弓などで触れないように殺すことができるのであれば蕁麻疹が出ることはないじゃろうに」

被害者の命を奪った凶器。確か、候補となるものは二つあったな…

 

【コトダマ選択:薙刀】

【コトダマ選択:厨房の様子】

 

「占いの館の薙刀と、旅館の厨房にあった包丁…その二つが凶器候補だと思う」

「薙刀…これだったらリーチもあるし、女が使っても一ノ瀬に蕁麻疹は出ねえかもな」

「素人が使えるか、バレないように忍ばせられるかなら包丁の方が上だと思うけどなー」

 

薙刀は女性が使うイメージが多いが、あの薙刀はとても重く、女性でも余程力のある人でないと持てないだろう。

包丁は軽いが、至近距離で使う必要がある。どちらも、一ノ瀬さんを殺すには十分な凶器だけど…。

 

「ところで、凶器に付いた血はどうやって拭き取ったのかな。どっちも血は付いていなかったよね」

絹川くんの発言で、ふと思い出す。

「包丁が見つかった旅館の厨房の作業台の上には、冷蔵庫から出された氷や食材が置いてあったよ。お陰で台は水浸しになって、下に置かれた包丁まで濡れてたな」

「そうやって、血を洗い流した…という事なのね」

「厨房ということは、流し台で洗うこともできたのでは?」

蒲生くんの考察は、はっきり言って違う。

「厨房の流し台には濡れていない『消毒済み』の紙が貼ってたんだ。だから、流し台が使われたってことはないんじゃないかな」

「だったら、凶器は温泉の水で洗えばいいんじゃねーの?」

 

温泉で血を洗い流す。

それだと、凶器は限られてしまうだろう。

片方の凶器候補には、殺人におけるある致命的な欠点がある。それは…

 

 

 

 

 

【閃きアナグラム】

 

   の   い   

  え  も    せ

    く

 

 

 

   も   く

  せ  い    の

     え

 

 

【もくせいのえ】

 

 

「梅田くん、包丁はこの犯行には使えないよ」

「…え?包丁は錆びるからダメってかー?」

「包丁は柄が木製で出来ているんだ。温泉で洗ったとしても、柄に付いた血は染み付いて流しにくいと思うよ。

金属で出来た薙刀なら、血は洗えば落ちる。だから、凶器は薙刀じゃないかな。

厨房に落ちていた包丁と、厨房の冷蔵庫の中身を全部出したのは…犯人が用意したフェイクだよ」

「そうなんだなー。しかし犯人、回りくどいことするんだなー」

梅田くんのいう通り回りくどいフェイクだけど、一ノ瀬さんの事件の謎を一つ解くことができた。

 

「じゃあ…次は雨崎の死体の状況についての話だなー。少しずつわかっていけばいいんだけどなー…」

少しずつ、か。一気に片付けるのもいいが、二回も事件が起こった今回は、ゆっくり紐解いて行くやり方がいいかもね。

「雨崎さん…なんで殺されたのか、どうやって殺されたのかもわかってないけど…」

その瞬間…どこかからか反論の声が聞こえた。

 

「その推理、天に返しなさい」

 

 

 

 

 

蒲生くんが、反論してきた?

 

「鈴原嬢。反論というよりも…僕の考えを、少しだけ聞いて欲しいのです」

「いいけど、何か気付きとかあるのか…?」

「僕が捜査した結果わかった、雨崎嬢の殺され方についてです。どうぞ、ご静聴あれ…」

いつもの神聖な雰囲気を醸し出してはいるが、蒲生くんは一体何を言うつもりなんだろう?

 

【反論ショーダウン(雨崎の殺人について)】

「捜査の時間、占いの館を少しだけ調べさせてもらいました。<気絶薬>があり、<使用済み>だったようです。<他に薬品は使われていなかった>ようですね?」

 

【発展!】

 

「確かに他の薬品は使われてなかったよ。犯人にとっては使うのは気絶薬だけで良かったんだろうけど…」

 

「気絶薬の瓶のラベルには全量使い切れば誰でも気絶させられると書いてました。つまり…雨崎嬢は<何者かに誘拐>されて<第三エリアで殺された>…と思われます。僕の、些細な考察ですが…」

 

【コトダマ:雨崎のペンダント】

 

「その言葉…ぶった斬る!」

 

「雨崎さんは誘拐されたんじゃなく…自分で第三エリアへと向かったんだよ」

「梨々が、第三エリアに…お化け屋敷が、好きなんだろうな…うふ、えへへ…」

未隅くんが少しずつ壊れてきている。

「理由は、事件の前に無くしたペンダントを探すためだよ。ペンダントは動機発表の前、未隅くんと一緒に選んだものなんだ。

二階堂さんに指摘されて、それを探す為に第三エリアへ行ったんだよ」

「ということは…雨崎さんは、夕食から深夜までの間に殺されたってことになるね。昨日の夕食の時は付けてなかったみたいだし。二階堂さんが証明できると思う」

「絹川の言う通りだな。あれ、隠すように付けてたけど照れ隠し、ってやつなのかな…」

「モデルなら熱狂的なファンもアンチ多そうだし、彼氏疑惑が出たら炎上しそうよね」

「そんなアンチなんて、ぶっとばしてやりたかったぜ!」

…わたしも、雨崎さんを傷つけた人間は許すことはできない。

 

「…次は雨崎の死因についてでいいんだよなー?カラフラファイルには何も書かれてねーし…」

「そうしましょう。そこから見えてくることも、あるはずです…」

 

雨崎さんの死因。明らかにはなってないけど、証拠ならあるはずだ…!

 

【ノンストップ議論(雨崎の死因)】

灰寺「何か紐みたいなの使って…<首を締めた>んやないかな?」

黒木「首を絞めたら痕が残るはずよ。何か<薬品を飲ませた>とかじゃないかしら?」

湖林「薬品なら占いの館に沢山あったのう…。毒薬もあったはずじゃ」

檀「ぶっちゃけ、りりりんは<何かのガス>を吸って、死んでしまった…んじゃないの」

灰寺「檀兄ちゃん珍しいなぁ!のど飴ちゃん持ってるけど…一粒舐める?」

檀「喉は、大丈夫だよ…」

 

【コトダマ:『事故の原因大全』】

「檀くんに賛成だ!」

 

「梅田くんがあのログハウスから持ってきた本…『事故の原因大全』に、雨崎さんの死因に関係するかもしれない記述があったんだ。

『二酸化炭素の濃度の高い場所にいると、数分で体に異常が起こりしばらくしたら死んでしまう』…そんな文章だった」

本は持っていないけど、わたしはなんとか覚えてられていた。

 

「要するに…二酸化炭素中毒でしょ?酸欠になるやつ」

檀くんは頭の後ろで手を組み、こちら側に語りかける。

「ほら、ドライアイスみたいな二酸化炭素の塊は換気した場所で使えとかよく言われてるし、ガスの仕業だと思ったんだよね。

それに、りりりんの死体には目立った傷も痕もない」

「二酸化炭素中毒の話、オレが言いたかったんだけどなー…」

梅田くんは残念そうにしている。

 

雨崎さんを死に追いやったであろう二酸化炭素中毒の原因。もしかして、あれを使ったんじゃないか…?

 

【コトダマ選択:二酸化炭素消火器】

 

「雨崎さんを殺した凶器…それは消火器だよ」

「え?消火器で雨崎殴ったってことか?カラフラファイルに異常ありって奴か?」

「二階堂さん、話はちゃんと聞こう…」

絹川くんが少し心配するような声で注意する。

「図書館にあった消火器のカタログに載ってたんだ。赤と緑の、博物館の『小』の部屋に落ちていたもの…つまり二酸化炭素消火器だ。

ガスを噴出することよって消火するタイプのもので、汚れも出ないんだ」

「汚れが出ないということは、雨崎の死体に何も付いていないのも、それを使ったから…ということか」

「と言うことは…第三エリアに来た雨崎嬢を気絶させ、ガラスケースの中に入れ、消火器のガスで殺す…という方法も可能なのでしょうか?」

「また気絶押してるのが気になるのは置いといて…やっぱり占いの館で殺されたかもしれないんだなー?」

 

雨崎さんは、占いの館で殺された。

しかし、これでは『あの場所の異常』の意味がなくなってしまう。

 

【コトダマ選択:燃えた『小』の部屋】

 

「占いの館で雨崎さんが殺された可能性は低いよ。博物館の『小』の部屋が、半分黒焦げになっていたんだ。だから、消火器はここで使ったものだと思う。

誰かが消火器を使っていなければ、『小』の部屋は完全に燃えていたんだと思うよ」

「要するに…雨崎が死んだのは『小』の部屋ってことなのか?」

「…そうだと思う。雨崎さんの死体には、焼け焦げた跡はなかったけど、二酸化炭素消火器を使ったのならそういうのが無かったのも当然だと思う」

 

「…火種になったものは、何だと思う?」絹川くんが皆に話しかける。

昨日起きたある出来事と、二酸化炭素消火器が消すのに向いている火災から考えると…

 

【発掘イマジネーション(火災の火種について)】

 

 

 

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

◇房の◇◇

◇◇り◇薬◇

壊◇◇ラ◇◇

 

 

 

◇房の◇丁

瓶◇り◇薬品

壊れ◇ラン◇

 

 

 

厨房の包丁

瓶入りの薬品

壊れたランプ

 

【選択:壊れたランプ】

 

 

 

「そうか、わかったぞ!」

 

 

 

「火事の火種になったものは…壊れたランプだよ」

「…まさか、灰寺が割ってしまった、あのゴミ箱に入ったランプ連中かのう?」

「その通りだよ、湖林くん。犯人はそれらのランプのコードをコンセントに繋いで、火事が起きる仕組みを作ったんだ」

 

「折角なんでオレが言っておくんだなー。図書館にあったある本には、照明器具に布や紙とかの…」

学生たちに語りかける教授のように説明する梅田くん。しかし…

「燃えやすいものを近づけると、火事が起きるんだろ?」

…檀くんが、話に水を差した。

「説明は最後まで聞いておくんだなー…」

梅田くんは残念そうな顔をしている。全く、人の話は邪魔するものじゃないな。

 

「多分、僕も悪いんやろうな」

…そんな話の途中。暗い顔になった灰寺くんが、ぽつりと呟いた。

「ランプをゴミ箱に入れるだけじゃなくて、ちゃんと処分しとけばよかったんや。いや、最初から割らなきゃ、こんな火事は起こらなかった…うう…」

「…灰寺」

湖林くんが、腕を組みながら語りかける。

「ただの持論じゃが、刀鍛冶と刀を使った辻斬り。どちらが悪いと言われれば…辻斬りの方じゃ。だから自分ではなく、事件を起こした犯人だけを恨めばいい。貴様は今、何ができるかを探すべきじゃ」

「湖林兄ちゃん…ありがとう。少し、気分が良くなった」

灰寺くんに、少しだけ明るさが戻った。

「それにしても、壊れてしまったランプか。それだけでは火災は起きるとは思えんのう。比叡山焼き討ちも、堕落という火種があったからと思うのじゃが。まあアレは、奴らもオレも正直やりすぎたとは思う」

この国の歴史に残る有名な事件、湖林くんはどっちもどっちだって思ってるみたいだ。

 

…『小』の部屋の火事を起こす際に使われた火種。もしかして、別の部屋のものを使ったんじゃないか…?

 

【コトダマ選択:『大』の部屋の破れたカーテン】

 

「『大』の部屋のカーテンが、少しだけ破かれて無くなってたんだ。それが、火種じゃないかな」

「それを壊れたランプに被せれば、恐らくは燃えるだろうね。犯人は多分、『小』の部屋のあるものを使って炎が燃え広がるようにしたんだと思うよ」

絹川くんが言う、『小』の部屋にあるものって…

 

【スポットセレクト:カーテン】

 

「…カーテン、じゃないかな」

「またカーテン?正直ゲシュタルト崩壊を起こしそうだわ…」

「そう言う意味もあるんだろうけど、それに燃え移るように仕組んだんじゃないかな。油式のランプから出したオイルを撒けば、十分な火災源になる」

油式のランプの中からオイルが抜き取られていたと知った時は驚いたけど、今となっては火事を起こす為だったんだな、と思う。

「もし火種に『小』の部屋のカーテンを使えば、破れているのを見た被害者が仕掛けに気づいてしまうかもしれない。

それに、ランプを窓台に置けばカーテンで隠せる。『大』の部屋のカーテンをランプに被せる用に使ったのはその為なんじゃないかな」

絹川くんが、わたしの説明に付け加える。

「仕掛けを作った後は、博物館の照明スイッチを『ON』にして壊れたランプに電気が流れるようにすれば…そのうち火災が起きる、と言うことか。

あの火事は、やはり仕組まれたことだったんじゃな」

それを照明する証拠ならある。議論して、言葉をぶつけ合って、正解を見つけていこう。

 

【ノンストップ議論(仕組まれた火災について)】

絹川「あの火災が<仕組まれたこと>なら…被害者が逃げ出さないように仕向ける必要があるかもね」

黒木「絹川も恐ろしいこと考えるのね…」

灰寺「『小』の部屋には<鍵はかかってた>んやっけ?」

湖林「そんなものはなかったのう。全く、刀も何もない博物館じゃった」

梅田「鍵がかかってなきゃ<被害者が逃げてしまう>んじゃねーの?」

湖林「<縄で縛る>必要がある。しかし、一ノ瀬はともかく雨崎にそんな痕はなかったぞ」

未隅「梨々に酷いこと…あははははは!許せないなぁ!残酷だなぁ!」

 

 

【コトダマ:ドアストッパー】

「梅田くん、それは違うぞ!」

 

「鈴原…被害者が逃げ出さないようにする方法があるのかー?」

「それならあるよ。ドアストッパーを使ったんだよ。まず被害者を『小』の部屋に入れた上で、ドアが開かないようにすれば…閉じ込めて焼き殺すこともできるだろうね」

「だとしたら、被害者を誘い出す方法が必要じゃ…」

 

…待てよ?

今の湖林くんの言葉で、何かを思い出した。

 

もしかして、『小』の部屋で殺される予定だった人は…あの証拠品が証明しているのでは?

 

【コトダマ選択:一ノ瀬の持っていた手紙】

 

コートの中に入れておいた紙を取り出し、皆に見せつける。

「これを見て欲しい。一ノ瀬さんが袖の中に入れていた、濡れて読めなかったけどカラフラが乾かしたおかげで読めるようになった手紙だよ」

 

『午後十時、博物館の『小』の部屋で待つ 湖林』

 

「…なんじゃこれは。オレはそんな手紙、書いておらんぞ。大体、文字が禍々しい」

湖林くんは首を傾げる。もしかして、この手紙のことを知らないのか?

「湖林くんは手紙について知らないんだね。これで誘い出されて、『小』の部屋に閉じ込められて、火事で殺されそうになってたのは…一ノ瀬さんだったんだよ」

「成程。ということは、手紙は火事を起こした人物が書いたことになるのかのう。あいつは男じゃったら誰でも信用しそうじゃし…」

 

皆がどれだけ後悔を重ねても、一ノ瀬さんは帰ってこない。

だからこそ、裁判を生き抜かないといけないんだ。

 

「…話が飛んでしまいましたね。次は雨崎嬢がなぜ、消火器による二酸化炭素中毒で死んでしまったのかを話したいのですが…よろしいでしょうか?」

蒲生くんが冷静に述べる。彼は裁判に消極的な人間ではないのだが、今回はやけに話を進めたがる。

「失くしたペンダントを取りに行った時、博物館の火事を見てしまったのかな?」

「それを消す為に、消火器を使ったんだろうな」

疑問を投げかける絹川くんに、二階堂さんが答える。

「と言うことは雨崎は閉じ込められた一ノ瀬の命の恩人ってことになるなー。でも、女を平気で差別するような一ノ瀬をタダで助けるとは思うかー?」

意見を出す梅田くん。しかし…。

 

 

「雨崎梨々は生まれつき、味方のいない人やものの味方になる性質である」

 

声の主は、檀くんだ。一体何を言ってるんだ…?

 

「…ログハウスのメモ帳にはそれだけ書いてあったよ。本当だと思う。あのりりりんが嘘を書くとは思えない」

 

秘密を書くためのメモ帳に書いてあった…雨崎さんの秘密?

 

「雨崎の秘密を、こっそり見ていたのじゃな。流石に久永でもやらんと思うぞ…」

「おい檀!勝手に女の書いたメモ帳覗くとか最低じゃねーか!あのな、女の秘密ってやつは大手銀行の金庫の中身よりも重要なもんなんだよ!プライバシーの侵害だぞ!」

ドン引きする湖林くんと二階堂さん。檀くんの行為は確かに最低だ。けど、雨崎さんの死の謎も恐らくわかるだろう。

捜査時に、あの人が言っていたことが鍵になる!

 

 

【人物指定:湖林右京】

 

 

「捜査していた時、湖林くんが言ってたんだ。『事件の前日、レストランで湖林くんが一人で夕飯の支度をしていた一ノ瀬さんを手伝おうとしたら、突っぱねられた』って。そしてその場には梅田くんと未隅くん…雨崎さんがいたんだ。

憶測だけど…雨崎さんはそれを見て、一ノ瀬さんのことを『味方のいない人間』と感じたんじゃないかな?」

 

「ツバ吉の言う通りだろうね。だから、りりりんはアッキーを助けた。

アッキーを火事の現場から逃した後、二酸化炭素消化器を使って『小』の部屋の火事を消した。

でも、消化器を使いすぎたせいで二酸化炭素中毒で死んだ…そんな感じじゃないの?」

 

一ノ瀬さんは、雨崎さんにいい印象は抱いていないであろう。

それでも『味方のいない人間の味方』である雨崎さんが、殺されそうになっていた一ノ瀬さんを助けようとする。それは当然のことだ。

 

「人の命を奪おうとした炎を消す為に、雨崎さんは…事故死した。誰かが起こした、火事のために…」

絹川くんが悲しげに呟く。

「しかし。雨崎が誰かが意図的に起こした火事を消そうとして死んでしまったのなら。火事を起こした奴が犯人になる…ということなのかのう」

 

「湖林クン、そこら辺はボクもカラフラも決めてないんだよね。でも、雨崎さんはある意味自分で死にに行ったようなものです。死に急ぎ野郎って奴ですね!

と言うことで、哀れな雨崎さんは事故死…と言うことにしておきましょう」

 

口を開いたのはモノクマだ。あまりにも命の扱いが軽いが、思わず怒りそうになるのを抑える。

ここで感情をぶつけたとしても、裁判は進まないだろう。

「…モノクマ。殺されようが事故死だろうが、人の死というのは平等じゃ。覚えておけ…」

湖林くんも、拳を握っている。

 

「人の死は平等…命は平等、じゃないんだね。さすがは第六天魔王ですなぁ〜!そういう割り切った思考は嫌いじゃないよ、ボク」

 

モノクマは謎のセクシーポーズを取る。あいつは、花が舞いそうなほどのほほんとしている。人の命が関わる裁判中なのに…。

 

「…では、オレの考えを言わせてもらおう。

オレに成りすまして一ノ瀬に手紙を出した奴も、火事を起こした奴も、同一人物かもしれん」

その可能性は高い。『小』の部屋の火事で一ノ瀬さんを殺したいのなら、手紙を出して誘い出すのが手っ取り早い。

共犯者がいて、その人に手紙を書かせたりすることも可能なんだろうけど…。

「つまり、二人を殺した犯人も…そいつになるんか?」

 

「それはわーにも分からないのだ。クロというものは、決定的な証拠がなければ証明できないのだ」

 

灰寺くんに、カラフラが答える。相変わらず揺れてばかりだ。

 

「ねえ、鈴原さん。一つ、疑問があるのだけど」

 

黒木さんが、こちらを見る。まるで何かを知っているかのような表情だ。

「二回もクロを暴き、裁判を勝ち抜いてきたあなたが、どうして決定的な証拠を放っているのかしら?」

 

…決定的な、証拠?

なんで黒木さんが、このタイミングで?

 

もしかして、彼女と関係のあるあの事を言っているのかな…?

 

 

【コトダマ選択:黒木の証言】

 

 

「…黒木さんが、言ってたんだ。確か昨夜の午前一時くらいに、非常階段にいたら登る足音を外から聞いたって」

 

『彼』のことは疑いたくはないが、黒木さんの証言が決定的な証拠になるなら…。

 

 

「そして午前二時、黒木さんがホテルのエントランスに行ったら…ソファに倒れてる蒲生くんを、見つけたんだ」

 

 

蒲生くんが、事件に関わった可能性も高まるだろう。

 

 

「…僕が、怪しいというのですね」

 

笑顔を崩すことなく、こちらに語りかける蒲生くん。

「黒木嬢が言うに、僕は午前二時にエントランスのソファに倒れていたのですね。それだけで、僕を疑うのですか?

僕は午後十一時に寝ます。その前は牛乳を飲み、二十分ほどストレッチで体をほぐせば熟睡…そんな夜を毎日過ごしているのですよ」

「なんだか蒲生がますます怪しくなってきたな…この調子だとモナリザにも興奮するんじゃねーの…?」

二階堂さんは、蒲生くんについては何か思うことがあるようだ。

 

「蒲生くんは夜のアリバイだけじゃなくて、他の時間にも証拠はあると思う。蒲生くん、知っていることを教えて欲しいな」

絹川くんが言う、他の時間の…証拠?

なら、あの証拠についても知っているんじゃないか?

 

…蒲生くんに、聞いてみるしかない!

 

【ノンストップ議論(蒲生は事件に関与したか?)】

蒲生「僕が事件に関わっている。しかし、証明できなければ…ただの虚言になります」

  「僕に<ランプを扱えたという証拠はない>し、アリバイはあるでしょうけど…」

  「その<アリバイが偽物>である可能性も高いです。」

黒木「…」

蒲生「僕は天の導きにて人を救う。そういった役割を与えられたもの」

  「天と共に生き、共に死ぬ。<二人を手にかける>ことは、恐らくできないでしょう」

  「それでも、僕を疑うのですね。僕の希望も否定して、それでいいのですか?」

 

蒲生くんは余裕を見せているけど…

たった一つ、証拠ならある!

 

【コトダマ:『暮らしと火災の危険』】

 

「その言葉…わたしが撃ち抜く!」

 

「少しいいかな。図書館の返却ポストには、ある本が入れられていたんだ。さっき梅田くんも言ってた『暮らしと火災の危険』って言うんだけど…

そこには火災の原因についてわかりやすく書かれてたんだ。例えば、使用中の照明器具は高い熱を出すとか。

電球とかを燃えやすいもので覆ったり、近づけたりして使用すると、火災が起きやすいとか…」

「これなら、機械が苦手な蒲生くんにも…わかるはずだよね?」

「…!」

 

わたしと絹川くんの言葉に、蒲生くんが少しだけ動揺する。

これまでを生き残ってきた生徒たちの視線が、彼に向けられる。

 

「レンジすら扱えん貴様の事じゃ。本の力でも借りんとランプを付けることができないようじゃのう?」

特に湖林くんは、嫌そうなものを見る目で蒲生くんを見ている。

「僕は何もしていません。それだけで僕を犯人だと決めつけるのは…」

「そういや昨日、僕が蒲生兄ちゃんに『壊れたランプは火災の原因になる』って言っちゃったやん。それをヒントに、一ノ瀬姉ちゃんを焼き殺そうとしたんか?

僕も不用心やったけど…火事を仕組んで、一ノ瀬姉ちゃんを殺そうとするなんて…人の命を微塵とも思わねえ殺人犯らしいやり方やな!」

「違いますよ…火事を起こした証拠はどこにあるのですか…?」

汗だくの蒲生くんの顔が強張っていく。

「藍葉がやったみたいに、証拠品から指紋を取ればわかることだろ?おい!モノクマでもカラフラでもいいから指紋わかんねえのか?」

灰寺くんも、二階堂さんも…蒲生くんを犯人だと思っている。

 

「しょうがないなあ。捜査時間は過ぎちゃってるけど…いつも頑張ってるアナタラには特別ボーナスをプレゼントするのだ!」

 

モノクマとカラフラが、どこかからか落ちてきた何かをキャッチする。

それは博物館に落ちていたあのドアストッパーと、ホテルの個室にあるようなペン、そして…『指紋採取キット』と書かれた袋だった。

 

「モノカラ三分DIY!証拠のドアストッパーと、蒲生くんの部屋にあったペンから…指紋を取りたいと思います!」

「ちょっとだけ時間かかるけど、指紋を取り終えるまで明日のご飯について考えておくのだ!」

 

「や、やめて下さい…!」

 

道具を袋からさっと取り出すと、ドアストッパーとペンをパウダーの付いたブラシで擦り、それぞれに四角いテープを貼る。

蒲生くんがモノクマとカラフラの方面に向かおうとするが、どこからか現れた緑のロープ状のものに拘束されてしまった。

一匹と一輪は嘆願する彼を無視し、指紋の付いたテープをシートに挟んでいく。

 

「…ふう、あっという間だね!これならカラフラだけにやらせれば良かったよ!」

 

モノクマは、二枚のシートをわたしたちに見せつける。

どちらのシートにも、同じような指紋が付いていた。

 

「嘘…だ…」

蒲生くんは拘束を解かれるが、その表情からは…笑みが消えていた。

 

「これはひどい!ドアストッパーとペンの指紋が一致してしまったのだ!」

「このシートが表す真実は一つ…一ノ瀬さんを『小』の部屋に閉じ込め、焼き殺そうとしたのは…蒲生くんだったのです!ぶひゃひゃひゃひゃ!」

 

モノクマは満面の笑顔を浮かべ、シートをカラフラの方面と放り投げた。カラフラはシートをキャッチする。

 

「指紋は体の脂みたいなものなので、燃えれば消えるものなのだ。正直あの壊れたランプから指紋が取れなかったのは残念だったのだ。

でもドアストッパーに蒲生くんの指紋があったと言うことは、それを使って人を閉じ込めた証拠にもなり得るのだ」

 

カラフラは虚無を感じさせる声を出しながら、ゆらゆらと揺れる。

「う…ああああああぁぁぁぁっ!?」

蒲生くんは大声をあげたと思うと、その場に崩れ落ちた。いつもの余裕はどこにも見られない。

 

「これで、決まったのか…?」

「まあなー、ある意味雨崎は蒲生が殺したようなもんだしなー」

二階堂さんと梅田くんが、錯乱状態の蒲生くんに視線を向ける。困惑と、無慈悲の目だ。

「あ…あぁ…天よ、どこに行かれるのですか…?僕は…昨夜の…事は…本当に知らない…わからないのです…!」

蒲生くんは頭を押さえながら、声を震わせている。

 

「ある意味因果応報じゃ。さあ、話を聞かせてもらおうか。一ノ瀬を殺したのは…貴様なんじゃな?」

湖林くんが怒りの表情で問う。

蒲生くんは一ノ瀬さんを殺そうとし、彼女を助けた雨崎さんの命を奪ったようなものだ。

「知らない…しらない…!違い…ます…」

後は、一ノ瀬さんを殺したことについて追求するだけなんだ…

 

 

 

「でも、本当にそれだけでいいの?」

 

 

 

誰かの凛とした声がした。絹川くんだ。

 

「モノクマ連中は指紋の主が蒲生だって証明してるし、あいつは散々否定しているけどそれが真実とは限らないんだなー…」

「みんな、蒲生くんをあまり責め過ぎないで。あの人は…『昨夜の事は本当に知らない』って言っているよ。

それにモノクマとカラフラは、蒲生くんが犯人だと一言も言ってない。だから蒲生くんを…少しだけ信じてあげた方がいいんじゃないかな」

「…し、信じる…?」わたしは、ちょっとびっくりしてしまった。

「ボクの考えだけど。許さない事と信じる事は本当に違う。でも、この二つの考えを持つのはおかしくないと思うんだ。

嫌いでも、悪い事をしたとしても、とりあえず許すんじゃなくて、まずは自分にできる事をやればいい…それでいいんじゃないかな」

絹川くんの言葉には、優しさと強い意志があった。

 

「絹川くん…」

そんな言葉を聞いたわたしは赤いコートのフードを被り、冷静に思考する。

 

許さないけど、信じる。

とりあえずは、自分に出来る事をやってみる…。

 

難しい、理想かもしれないけど…

 

「鈴原、フードなんか被ってどうしたんじゃ…?」

「何も言わずに黙ってるけどな…」

「梨々、鈴原さんが瞑想してるみたいだよ…ひひひ…」

 

 

 

 

しばらくして、フードを脱ぎわたしは皆に伝える。

「少し聞いてくれないか。あいつの事は何も信じられない。何をやっても無駄…って言うのは過度の現実主義だし、ある種の現実逃避だと思う。

皆を信じたいとか、そんな理想を持ってもいいんだ。

今は蒲生くんを一ノ瀬さん殺しの犯人だと決めつけるより、仲間として信じてあげた方がいい。

まだ見つかった証拠は残ってる。これらの真実を解明していこう」

少し恥ずかしいが、皆を奮い立たせる為には必要な言葉だと思う。

 

「…間違えた犯人を指名したら、雨崎と一ノ瀬の命を蔑ろにするかもしれねえからな。少し落ち着けたぜ、ありがとうな」

二階堂さんが両手で頬を叩く。どうやら奮い立ってくれたようだ。

 

「二人の言う通りかもしれん。真実を探って犯人を探すことが、すっかり抜け落ちていたのう…」

「死んでしまったみんなの為でもあるかもな!僕頭悪いけど…やれることならなんでもやるねん!」

「…オレ、何回か深呼吸して考えるべきだなー。頭でっかちになったこと、少し反省するぜー」

「指紋の流れの時から疑問に思ってたのよね。こんなに簡単に犯人が見つかっていいのかって」

「信じるってさ!梨々!いい言葉だよね!あはははは!」

「許さないけど信じる…そういう思考もあるんだね。ま、感情論で責めるよりはいいかもね」

 

わたしの想いは、皆に伝わったようだ。ショックを受けている未隅くんにも、いつもは単独行動な檀くんにも。

 

「じゃあ、蒲生くん。本当のこと、もっと話して欲しいな」

絹川くんが、黙り込む蒲生くんに話す。

「…天…ああ…お助けください…僕は…わからないのです…」

蒲生くんは、ひたすら独り言を言うだけだ。何だか申し訳ない気分になった、その時…。

 

「時すでに遅し、責められ過ぎて否定厨になったみたいね」

 

蒲生くんの隣の、黒木さんだった。手にはなぜかハンカチと薬品が入っているであろう瓶を持っている。

「黒木さん?それは…?」

「そういや、蒲生がソファに寝そべってた時に少し違和感あったのよね。いつもの清廉で盲信的な雰囲気がなくて。裁判に参加してて、もしかしてと思ったけど…蒲生が本当に『覚えてない』のなら…これを使う手もあるかもね」

瓶を開け、中の薬品をハンカチに染み込ませる。蒲生くんの顔に被せると…彼はその場に崩れ落ちた。被っている帽子が外れる。

「ひ、ひどいよ黒木さん…!」

「おい、一体何の目的で蒲生くんを…」

「安心して。殺してないわ。少し、本性を暴きたかっただけ」

 

モノクマとカラフラは何も言わない。ただ、薬品を嗅がせただけなのか?何の目的で?

 

 

そう、思っているうちに。

 

 

「ヒヒ、ヒヒヒヒヒヒ…」

 

誰かの笑い声が聞こえた。一瞬誰かと思ったが、蒲生くんの声に似ている。

倒れていた蒲生くんは、ゆっくりと立ちあがる。

 

「……偉観。偉観でありますなぁ。驚嘆するほどに偉観ですなぁ」

 

どこか恐ろしく、どこか神々しい雰囲気の男は、手を広げ語りかける。

それは…わたしの知る蒲生くんではなかった。

 

「目もあやな、周章狼狽の面様の各々方」

 

解かれた緑髪は長く、瞳は悍ましいほどに赤く、口角は裂けるように上がっている。

 

「チッポケな民草諸君。お目目にかかるのは初であります」

 

蒲生くん…いや、蒲生くんの姿をした『彼』は、狂気的な笑みを浮かべ、わたしたちに見ただけで固まってしまうような視線を向けてきた…。

 

 

「蒲生…何が、あったんじゃ…?」

 

 

 

【学級裁判・中断】

 

 

 

 

 

【モノカラ劇場】

美少女姿のカラフラは、タンバリンを鳴らすモノクマと共にカラオケで歌っていた。

歌い終えた後、一人と一匹はテーブル上のピザを食べる。

「曲を分厚い本で選ぶタイプのカラオケ店、最近無くなったのだ」

「そうやってカラオケのスタイルも世代交代していくんだろうね。世代交代といえば、ボクが出てくる作品もすっかり減ってきたけど、正直寂しいなぁ」

「原作キャラよりオリキャラのが動かしやすい人もいるのだ」

 

そんな雑談をしているうちに、ピザはあっという間に無くなった。

「そういや今回の裁判のことだけどさ、二人を殺したクロは犬派と猫派、どっちだと思う?」

「裁判に関係あるようでない王道の質問なのだ…とりあえずわーはモルモットと答えておくのだ」

「因みにこれは心理テストだよ。そこらのサイコパス診断よりも正確なやつなんだ。

犬派と答えたオマエラは、バンドマンとか美容師とは付き合う事は勧めません」

「…これにバーテンダーと舞台役者を加えれば、付き合ってはいけない4Bになるのだ」

「では、回答です。猫派のオマエラは…ギャンブルに気をつけましょう。子供の通う学校の前で生徒の親の悪評を流すようなクズと化します」

「借金取りがマトモに見える様になるのだ…」

モノクマは曲を入力し、マイクを持ってポーズを決める。

「あと、モルモット派のオマエラは吉日大安サービス…モノクマファンクラブの入会をオススメします!

今流行りのサブスクで月額一万円!入会者にはモノクマのタピオカミルクティー飲み放題!

ボクはナウでヤングな言葉を使える、新しいマスコットなんだよ!

という訳で一曲歌います!『有名なネズミに喧嘩を売る方法』!」

 

「ナウでヤング以前に、月額が高すぎるのだ…」

 

なお、モノクマのカラオケの点数は29点だったとさ。

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