・この作品はスパイク・チュンソフト社の作品「ダンガンロンパ」シリーズの、オリジナルキャラクターを使った二次創作です。
モノクマ以外の登場人物は(おそらく)登場しません。
・「ダンガンロンパ」シリーズのネタバレ(ゲーム・アニメ共に)が含まれる場合があります。
・文章、トリック、ストーリー共に素人のものです。大目に見てやってください。
以上のことをご理解できる方のみ、お読みください。
では、どうぞ。
ヒストリヱランド・4日目。朝食は2日目と同じくバイキングだ。
「なあ知ってるか?またイヴァンが毒味したんだってさ!よく食えるよな!偉い!」
二階堂さんはハイテンションだ。いいことなんだけどさ。流石に元気すぎないか。
朝食を終え、部屋に戻ったけど…正直暇だ。
じっとしてないで、わたしはどこかへと向かうことにした。
◆
雨崎さんは噴水に座っている。どうやら不機嫌なようだ。
「あー…お洋服買いたーい…原宿行きたーい…チーズハットグ食べたーい…
モノクマもカラフラも早くここから出してよー…」
雨崎さんは不機嫌そうだけど、一緒に過ごそうかな?
「あ、鈴原ちゃん!一緒に噴水で水泳でもする?冗談だよ。」
雨崎さんと一緒に過ごした。昨日の花火大会について語ってくれた。
少し仲良くなったようだ。
音楽でも聴くかなと思い、『2.5Dイヤホン』を渡すことにした。
「すごいじゃん。これ、流行りのやつじゃん!持つべきものは友人じゃん!ってことで貰うねー。」
そこそこ喜んでる…のかな?
「あのさ、鈴原ちゃん。少し聞きたいことあるんだけどさ」
「…どうしたの?」
「鈴原ちゃん、そのサロペットとシャツとコートどこ買ったの?」
「え?バイト先近くのショッピングモールだったけど…店名は忘れたな」
「店名忘れるの!?普通アプリにメモっとくよね!?」
そういえば雨崎さんは『超高校級のモデル』だったような。
モデルだし、やっぱりファッションの研究はしとくものなのかな。
「今度脱出したらいいアプリ教えておくねー。女の自分磨きは大切だよ」
ファッション、あんまり拘りはないんだけどな。動きやすければなんでもいいし。
「でもさ、ファッションに一番大切なのは流行とかじゃないと思うんだよね。
流行ってる洋服を無理して着る必要なんてないし。」
もしかして、ファッションに一番必要なのは…服の値段、じゃない…
「その人の個性、だったりする?」
「…ピンポン!正解!あたしが言いたいのはそれなんだよね。
たまに和服やそれをアレンジした服を着た女の人とかいるじゃん。かっこよくて尊敬しちゃうよね。
他にはロリータ系の人もいいよね。あたし男ウケいい服とかより、自分ウケのいい服を着てる女の人が好きだな」
言い得て妙だ。
「ところで鈴原さん、何か似合いそうな気がするんだよね」
「…何が?」
「うーん、ヴィジュアル系とか。十字架とか黒を基調としたやつ」
「ヴィジュアル系か…あれあんまり聞かないんだよね。ロックは好きだけど。一番好きなのは…ギターサウンドがメロディックなやつで…」
あ…しまった!音楽の話題になってしまった!しかも、長々と語ってしまった!
「あたしもあんまり聞かないんだけどね。洋楽やK-POPのが好きだし」
良かった。というか邦楽ファンではないんだね、雨崎さん。
意外な一面が見れたようだ…。
『ファッションにおいて一番大切なのは個性だと信じている。
ちなみに鈴原に一番似合いそうなのはパンク系ファッションらしい。』
◆
藍葉さんは自室で何かを研究していたようだ。
「今さっき、打ち上げ花火ちゃんを作り終えたばかりなんだよね。
昨日の花火大会が楽しかったから…。」
ちょうどいい所だし、藍葉さんと一緒に過ごそうかな?
「換気が終わったら一緒に話そう。火薬ちゃんを間違って吸い込まないように…」
換気を終えるのを待ってから藍葉さんと会話した。
藍葉さんのことがわかった気がした…。
科学っぽいプレゼントとして『フィギュア入り培養槽』を渡した。
「こ、これを私に!?いいの?爆薬ちゃんとか入ってないよね!?
…ありがとう!」
笑っている。とても喜んでくれたみたいだ。
「うう…どうしよう…私の研究室…大丈夫かな…」
藍葉さんが何かを心配しているようだ。
「そんなに心配しなくていいよ。一緒に脱出する方法を見つけよう?」
「…あの、言っていいかな…?」
「?」
「もし脱出口が見つかったとして、そこにトラップがあったら…鈴原さんはどうするの?
脱出口が偽物だとしたら?マフィアが待ち構えていたとしたら?
私たち、脱出できずに捕まるか死んじゃうよね…?」
「その時は、最善の方法を考えた方がいいと思う。あと、準備かな。」
「準備?護身用にゴルフクラブちゃんとか装備した方がいいかな?武器も作った方がいいかも。
女性でも扱える銃みたいな飛び道具ちゃんとか、対マフィア用には必要だよね…?
あと、脱出口までの道とかが迷宮みたいな道だとしたら目印をつける用のペンキちゃんやテープちゃんもいるよね?
うう…またカバンに物が増える…」
何かに『ちゃん』を付けるのはともかく、彼女自身は石橋を叩くタイプ…みたいだ。
「もし物が多くなった時はみんなで持った方がいいんじゃないかな」
「それもあるよね…でも雨崎さんや絹川君に重いものを持たせるのも…」
「そこまでは考えてなかったな…」
「やっぱり未隅君や湖林君が先頭がいいかな?いや、力が弱い人が先頭の方がいいのかな?
…ああ、また考えすぎちゃったよ…!イライラさせちゃう、よね…?」
…彼女は、考えすぎてしまうタイプみたいだ。というか、『石橋を鉄橋に改造してランマーで叩いてから渡るタイプ』だ…。
「やっぱりまた作るしかないのかな、アレ…」
「アレって?」
「体にかけると10分間だけ動けなくなる薬品ちゃんなの。水鉄砲がお土産屋にあったからその中に入れればいいし。
昔暴漢に襲われたとき、カバンの中からそれを取り出してかけて警察に通報したんだ。」
随分とすごい薬品を作るんだな…その用心深さは、彼女の科学への関心にも繋がっているのかな。
「もし脱出できたとして…出所した暴漢が復讐しにまた来たら…その時はスタンガンちゃんか小型火炎放射器ちゃん持っていった方がいいかな…」
「火炎放射器は威嚇にはいいんだろうけどやりすぎなんじゃ…」
それからわたしは、藍葉さんをしっかり慰めた…。
『用心深く、石橋を鉄橋に改造してランマーで叩いてから渡るタイプの藍葉。
しかしその性格が彼女の科学への関心へと繋がった。』
◆
夜の7時になった。夕食は朝のバイキングと同じのようだ。
モノクマとカラフラは料理のレパートリーがないのかな。
当然、生徒の皆も淀んだ顔をしている。
「壁は登れんしウォータースライダーは動かんし…アスレチックも飽きたし…お土産屋には難しそうなゲームしかないし…
何よりバイキングは朝と同じやし…」
灰寺くんに至ってはローストチキンにマヨネーズをかけたものをご飯に乗せて食べている。
気持ちはわかる。助けも来ない、移動できるのは第一エリアのみ、そんな環境なら気分も落ち込むし、殺人だって…
いや、そんな身勝手な理由で殺人なんてしてはいけないんだ…。
でもわたしは何の行動も起こしていない。
イヴァンくんが独り言で言っていたが、今日はウォータースライダーの水の中をじっくり調べていたらしい。けれど、脱出口は見つからなかった。
外へ繋がっていそうな排水口は人が入れる大きさではなかったようだ。
モノクマとカラフラの目的がわたしたちを閉じ込めコロシアイを強制することなら、そりゃあそうだろうけど。
それなのにどうしてヒストリヱランドについて調べるのが自由、ということにしているんだろう…?
部屋に戻り、シャワーを浴び、浴衣に着替える。
気が付いたら夜の10時になっていた。思わず、星が見たくなったので窓を開ける。
相変わらず知っている星空だ。でも、エピソードの記憶はない。
学校の友達。天文部の部員。他にも、いろんな人と星を見たのかな。
…動機として渡された、あの美少女カラフラそっくりの写真の少女。
彼女とも、この星空を見たんだろうか。
もう会えないのかな。ここに一生閉じ込められて、殺しあえって言われて。
…気がつけば、付けていたペンダントのロケットを開けていた。
オルゴール『きらきら星』の柔らかな音色が響く。聞いていると、落ち着く気がする…。
これも写真と同じく、黒幕から渡されたプレゼントなんだろうか。
何分か経った後、ロケットと窓を閉め、歯を磨き、わたしは眠りについた。
◆
朝が来る。洋服に着替え、レストランへと向かう。
朝食はバイキング…なのだが和風のバイキングだ。
「そこらのロケ弁よりは味はいいわね。ところでこの唐揚げ、ササミを使っているのかしら?」
皆が鬱屈としている様を横目に黒木さんは平然とした表情で唐揚げを食べている。
8時になっても食事会に来ない人がいた。イヴァンくんと檀くん、一ノ瀬さんだ。
「あの三人が遅刻とはね。おかしいと思わない?」
「イヴァン兄ちゃんなら毒味してくれるのにさ」
「毒味とやらのしすぎでお腹壊してんじゃねーのー?外科医師なのになー…」
「檀殿、まさか夜のセルフジョイのしすぎで朝起きれなくなったとかじゃないでしょうな?」
皆の言葉が、わたしを恐怖へと導いていく。
まさか…あの三人が…
『ヒストリヱランド内で殺人が起こった場合、生存者による全員参加の学級裁判が行われます。』
校則に書いてあった文章が脳裏に浮かぶ。わたしは席を立ち、レストランの外へと飛び出して行った。
違う。違う。違う。誰も死んでない。
そう頭の中で思っていても、体は動き出す。
アスレチックへと向かい、3人を探す。
クビヲナワデツッテシマッタカモシレナイ。
…何を考えているんだ?違う違う違う違うチガウ…!
なのに、わたしは必死に誰かを探している。
…アスレチックを探しても誰もいない。
どこかへ向かおうとした瞬間、もう聞きたくもなかった声がした。
「死体が発見されました!一定の自由時間のあと学級裁判を開きます!」
ということは。
…まさか。
わたしたちの中の、16人が。洋館で。
…死体?学級裁判?なんで?
どうして?どうして?ドウシテ?ドウシテ?ドウシテ?ドウシテ?
どうして罪もない人が殺されなけらばならないんだ?
茫然自失としていると、黒木さんと絹川くんが走ってやって来た。
「探したわよ。今すぐ洋館に行きましょう」
黒木さんは無表情。絹川くんは青ざめている。
込み上げてくる何かを抑えながら、黒木さんと絹川くんとで洋館へ向かった。
洋館の庭にはいない3人を除く生徒の皆が集まっていた。誰も、笑っていない。
誰も笑っていない。ダレモワラッテイナイ。
「…鈴原、来たんじゃな。洋館の扉を開けるときは覚悟するんじゃな」
わたしはゆっくりと、洋館の扉を開ける。
ゆっくり、ゆっくり。ユックリ。
そして、玄関に入り、廊下を覗く。
廊下を………
◆
昨日まで生きていた『彼』は、仰向けで倒れていた。
床を共に血に染められたままで。無表情で。じっと。動かずに…。
その死体は。
『超高校級の外科医師』イヴァン・ユグドラシルソンのモノだった。
「うわあああああああああああっ!!!」
わたしは、その場に膝をつき…。
絶望と恐怖、無力感が同時に襲いかかってくるのを感じていた。