・この作品はスパイク・チュンソフト社の作品「ダンガンロンパ」シリーズの、オリジナルキャラクターを使った二次創作です。
モノクマ以外の登場人物は(おそらく)登場しません。
・「ダンガンロンパ」シリーズのネタバレ(ゲーム・アニメ共に)が含まれる場合があります。
・文章、トリック、ストーリー共に素人のものです。大目に見てやってください。
以上のことをご理解できる方のみ、お読みください。
では、どうぞ。
目の前には、命乞いをする背広の男。
腹には、赤い花が咲いたような血が着いている。
「…ユルサナイ」
わたしが持っているのは、かつて暗殺にも使われた小型の銃か。
「…ごめんね………ちゃん………が愚かだってことは…わかってる…」
誰かの名を呼ぶ。誰の名かは知らない。
「でも……どうしても…許せなかったから…」
そうか。あいつはわたしが…
わたしは、男に銃を向け、引き金を引く。
男の額には穴が開き、血が飛び出し、そいつはそのまま倒れる。
そうか。
わたしは…
◆
「…さん…!」
倒れている『彼』を目撃してから、どれほど経ったのだろうか。
「……きて……原さん!」
「…………ん!」
そういえば、『彼』の変わり果てた姿を見てそのまま気絶したんだっけ。
わたしの体を、誰かが揺すっている…みたいだ。
「鈴原さん…!」
「良かったわ、起きたみたいね」
目を開けると、童顔の少年と片目の隠れた少女の姿が見えた。絹川くんと黒木さんだ。近くには彼ら以外の生徒もいる。
どうやらわたしは気絶した後…暖炉のある部屋…応接室の椅子に座って寝ていたみたいだ。
「鈴原さん、廊下でイヴァンさんを見て倒れてたんだよ」
そういえば、イヴァンくんは…この洋館で…血塗れになって、目を見開いて…死んでいたんだ。
どうして彼が殺されなければならないんだ。何の罪もない人間が、どうして。
「おはっくまー!鈴原さん、起きたー?」
「二度寝は体に毒なのだ!」
この場に似合わない能天気な声が聞こえた。モノクマと、奴が押している台車に乗ったカラフラが近くにいるようだ。
「お前が…お前らがイヴァンくんを殺したのか!?」わたしは、細い声で叫ぶ。
「違うのだ鈴原さん。ヒストリヱランドを日々監視しているモノクマとわーが言うなら間違いないのだ」
「オマエラの中の誰かが、イヴァンクンを殺したんだよ?ヒストリヱランドの最初の殺人なんだよ?」
監視。ああ、園内に仕込まれているカメラのことか。
そしてイヴァンくんは、わたしたちの中の誰かに殺されてしまった。
「あ、学級裁判は校則に書いてある通り全員参加なのだ!参加しないとオシオキされちゃうのだ。
ってことでアナタラの電子生徒手帳に『カラフラファイル』を転送しておくのだ」
カラフラは平然とした態度で告げる。
「あのさ、カラフラファイルって…?」
わたしはコートのポケットから電子生徒手帳を取り出し、電源を入れる。
メニューには…『カラフラファイル』の項目が追加されている。
タップしてみると…イヴァンくんの死体写真と、死亡情報が表示された。
『カラフラファイル1
被害者はイヴァン・ユグドラシルソン。
死体発見現場は洋館の廊下。
死亡時刻は夜10時半ごろ。複数の銃創が見られる。』
これが…死の現実なのか。
ふと、メインメニューに戻り、『校則』をタップする。
⑦ヒストリヱランド内で殺人が起こった場合、生存者による全員参加の学級裁判が行われます。
⑧学級裁判で正しいクロを指摘できた場合、殺人を犯したクロだけが処刑されます。
⑨指摘できなかった場合、クロ以外の全員が処刑されます。その場合、クロだけが卒業し、ヒストリヱランドから脱出することができます。
⑩3人以上の生徒がクロに殺害された死体を発見した場合、「死体発見アナウンス」が流れます。
学級裁判。
誰か一人を犠牲にしなければ生き残れない、ゼロサムゲーム。
それを乗り越えるしか道はないのか…。
「傍聴席なんてのはないのだ。皆で話し合いクロを決めるのだ!ってことで捜査を頑張るのだ」
「そういやカラフラ、ボクより先に喋ること多いよね?なんか生意気じゃない?」
モノクマはカラフラの乗る台車を押しながら、応接室の外へと去っていった。
「…あのさ、あたしたちはどうしたらいいの?」
「えっと…まずは、カラフラが言ってた『捜査』ってのをするべきじゃないかな?」
「学級裁判がどいういうのかはわかんねーけど、それしかないようだな」
「まずはクロの隠蔽工作や第2の殺人を防ぐためにも、色々部屋に見張りを付けた方がいいわね」
「じゃあ振り分けは僕が決めよう!」
未隅くんの取り決めにより、部屋の見張りの振り分けが決まった。
応接室は紅葉さんと灰寺くん。バニラさんと蒲生くんが死体発見現場の廊下。藍葉さんと梅田くんがバスルーム。未隅くんと雨崎さんが多目的ホール。二階堂さんと湖林くんは檀君と一ノ瀬さんの捜索。
そしてわたしと黒木さんと絹川くんは様々な発見をするための所謂サポーターという役割だ。
ちゃんとわたしたちをまとめようとするなんて、未隅くんはやっぱり『超高校級のラグビー部』なんだなと思ってしまった。
だからわたしも努力しなければならない。
これは、誰かを殺すためじゃない。わたしたちが、戦うための捜査。そう思うことにしたんだ。
ただ、空元気でしか無いけど…。
後、1つ皆に言っておこう。
「…皆、わたしの話を聞いてくれないかな?」
「どうしたんだー鈴原?」
「間違っても洋館の鉄の扉には触れないでほしい。あそこに危害を与えたりすると、トラップが発動して銃で撃たれるんだよね。本当だよ」
「わかった。ここにいない檀や一ノ瀬にも伝えておくぜ」
「これ以上死人が出るほど悲しいことはありませんからね」
「人が死なないほど安心なことはないからね…」
よし、伝わったみたいだ。じゃあ、捜査を始めよう。
わたしは椅子からばっと立ち上がり、応接室を後にした。
◆
【捜査開始】
まず、わたしたちはイヴァンくんの死体の捜査のために廊下へと向かった。
こと切れたイヴァンくんの死体は血に濡れている。見たくはないけれど、今は見るしかない。
…体からは血が抜けたのか、完全に青白くなっている。そして近くには、拳銃が落ちている。
全身血濡れ、というわけではなく、胴体には血がほとんど付いていない。
逆に言えば、手足にしか血は付いていない。
「ねえ、鈴原さん。今…いいかな?」絹川くんがわたしに話しかけてきた。
「どうしたんだ?」
「イヴァンくんを…触ろうと思うんだけど、いいかな?」
絹川くんは、おそらく検死をしようとしているのだろう。『超高校級の人形師』なら、人間の体の構造ぐらいはわかるだろうし。
「いいよ。でも、あまり動かさないようにな」
「わかった」
絹川くんは手を合わせた後、廊下に座りイヴァンくんの身体を触り始める。
「…ごめんね、イヴァンくん」
検死中にふと思い出した。
「黒木さん。バニラさん、蒲生くん。この前洋館でカラフラから聞いたよね?『警報装置は一番近い生体反応を追って6発銃撃する』…って」
「ええ、覚えているわ。それがどうしたのかしら」
「つまりイヴァンくんは…生きているうちに銃殺されたんだよね?カラフラの言った警報装置の説明が本当なら。
イヴァンくんを殺した後に銃撃装置は発動しないだろうし」
「犯人がイヴァン殿を殺害した後に警報装置を発動させて、銃撃してきた時にイヴァン殿を盾にした…なども考えられますね」
「そんな恐ろしいことよく考えられるのです…そんなサイコパスが潜んでいるなんて、まさに悪夢なのですぅ!」
バニラさんはパニックを起こしているようだ。
「大丈夫だよバニラさん。この裁判を乗り越えれば、きっと死なずに済むよ。そしたらまたみんなの集まりでも開こう」
「…そうなのです」
泣きそうな声で言う。それほど、死がショックだったんだろう…。
絹川くんが立ち上がる。どうやら検死が終わったようだ。顔は前ほどではないとは言え青ざめているが。
「…任せちゃってごめん、死体はどうだった?」
「小さな穴みたいな傷が手と足にあったんだ。足にはそれぞれ1発ずつ、腕にもそれぞれ2発ずつ。
それ以外には何の傷も骨折もなかったよ」
「合わせて6つの銃創ね」
「じゅうそうって…?」
「わたしも前は知らなかったよ。銃弾を受けてできた傷のことだよ」
「そうか、なら痛そうだね…何で両手足を撃ったんだろうね…。」
絹川くんは悲しそうな顔をしている…。
「警報装置と言えば。カラフラが他にも言っていましたよね。無理矢理こじ開けようとしたり、危害を与えたら発動すると」
「後は…アラームが6秒鳴った後に銃撃が始まる…って言ってたのです」
蒲生くんとバニラさんが警報装置の仕様についてまとめている。
そういやわたしと黒木さんとこの二人は、カラフラに警報装置について教えられたんだっけな…。
あと、警報装置の仕様を知っているのは…
◆
多目的ホールに入ると、未隅くんと雨崎さんが棚を捜査していた。雨崎さんが振り向く。
「あ、鈴原ちゃん?洋館に入ったって黒木ちゃんから聞いたけど…棚は漁らなかったの?」
…黒木さん、わたしに隠れてなんてことを言ってくれたんだ。
「棚は見てないよ。警報装置から逃げるのに精一杯だったからね」
「警報装置…?」
「いや、後で話す」
雨崎さんは警報装置について知らないのか。
机の上を見る。吸い殻入れと…棚から取り出したであろう救急箱が置いてある。
吸い殻入れにはカス以外は何も残っていない。
「確か、黒木さんが花火大会で使ったタバコのゴミを入れたんだっけ」
「そうだけど。何の目的で捨てたのかしらね?」
「あ、そういや救急箱の鍵が最初から鍵がかかってなかったんだよね。イヴァンくんが治療用に使ったのかな」
雨崎さんが救急箱の蓋を開ける。中身は包帯に消毒液の瓶、使い捨ての注射器が2本、絆創膏、軟膏の瓶、風邪薬、精製水の瓶…などがある。
「鈴原さん!みたまえ、世紀の大発見だ!」
「えーと…未隅くんどうしたの?」
「救急箱の蓋の裏をよく見たまえ!四角く大きなシールを剥がした痕があるようだ!」
本当だ。シールは少しだけ残っているが、何のために貼られていたのかはわからない。
多目的ホールを見回す。アンティークの銃が飾られているらしいが、ガラスケースには鍵がかけられており使用された形跡はない。
鍵を壊したわけでもなさそうだし…。
わたしたちは多目的ホールを後にし、応接室へと入った。
見張り役の紅葉さんは…現代風のライターを持って、それを見つめているようだ。
「何の変哲もないライターだよ。これで暖炉に火をつけたんだろうね。
あるいは犯人に成人がいて、ここでタバコをふかしていたとかな」
…実際タバコがあるんだったらそうだろうけど。
一方灰寺くんは火かき棒で暖炉の中の何かを突いているようだ。
絹川くんが彼に尋ねる。
「ねえ、暖炉で何を探しているの?」
「…うーん…針が溶けたモノに付いてるんやけど、この部屋には火バサミが無いんやな。持って帰れたらいいんやけど」
「じゃあボクが持つよ。針はそのまま持つと危険って聞くし」
「ありがとう絹川。でも、熱く無いんか?」
「大丈夫だよ。手袋も付けてるし」
溶けたモノがある…ってことは暖炉は使われているんだな。
絹川くんは小さな手で、暖炉の前らへんに置いてある針と溶けたモノを取り出す。
「藍葉さんに渡して何か実験してもらったら?科学捜査ならできるだろうし」黒木さんが提案した。
でも、藍葉さんは科学捜査用の薬品とか持ってるのかな…?
◆
バスルームへと向かう。絹川くんが藍葉さんに針を渡す。
「えっと…これが凶器だったりする?」
「わからないわ。大量出血死やショック死かもしれないし」
「藍葉さんは、何か操作に役立つ薬品とか持ってるかな?」
「い、一応…ルミノール反応キットちゃんなら持ってるけど…」
ルミノールちゃんと過酸化水素水ちゃんと無水炭酸ソーダちゃんと蒸留水を混ぜて、それを検査物に吹きかけるると…青白く光って…血が付いているかどうかがわかるの。検査の前に、部屋を暗くしてほしいな…」
よくわからないけど、すごい薬を持ってるんだな…。
「わかったよー。藍葉ー、他にも薬持ってるかー?」梅田くんは明かりを消す前に藍葉さんに告げた。
「後は…塗ると指紋が現れるクリームちゃんならあるよ…小さいし、一回しか使えないけど、いいかな?」
「じゃあ、イヴァンの近くに置いてあった拳銃に塗ってくるわね」
「…うん。大切に使ってね。」
藍葉さんはカバンの中身を探ると、それぞれの名前が書いてある3つの薬の瓶と蒸留水と書かれたプラスチック容器を取り出し、バスルームの隅に置く。
そして、クリームが入っていそうな『指紋が出る薬』と書かれた小さなケース、朱肉とメモ1枚を黒木さんに渡す。
朱肉とメモは恐らくイヴァンくんの指紋を摂取するためのものだろう。
藍葉さんが薬品を混ぜている間に拳銃にクリームを塗ってこよう。
「黒木殿が…藍葉殿からプレゼントを貰ったですと!?なんて羨ましいのですかアテクシは藍葉殿からキスすら貰ったことがないというのにやはりセクスィーな黒木殿の色仕掛けなのですか絶許の極みなのd」
「落ち着くように。クリームの蓋には『指紋が出る薬』と書いてあるでしょう?捜査のためのものだと思うのですが」
「藍葉さんはバニラさんのことは嫌いじゃないと思うんだよね…」
蒲生くんと絹川くんがバニラさんをなだめているうちに、黒木さんが拳銃の持ち手部分にクリームを塗る。
すると…赤い模様が浮き出てきた。誰かしらの指紋のようだ。
黒木さんはイヴァンくんの死体の指の部分に朱肉を付け、その後にメモに指を押し当てる。
拳銃に出てきた指紋とメモ帳の指紋を比較してみる。正直、どれも同じに見える。
「…よく見たら、二種類あるね。指紋」絹川くんが言う。
と言うことは、拳銃はイヴァンくんの他に使った人がいるんだろうか?
バスルームに戻る。どうやら検査が終わったようだ。
「検査結果かー?針の先が一瞬だけ青白く光った。それだけだよー。」
梅田くんが告げる。と言うことは…あの針をイヴァンさんに刺したのか?
急所を突くため…じゃないよな…?
そういえばバスルームの水回りのあちらこちらには『消毒済』のシールが貼られてある。
これ、使われてないってことだよな…?
トイレやキッチンも覗いてみたけど、使われた形跡はなく、『消毒済』のシールが貼られてあるだけだった。
これ以上洋館を捜査しても何も無い…と思うので、ホテルに行こう。
◆
ホテルのエントランスに3人で行く。そこのソファには4人の人物がいた。
「い…嫌ですわ…あんな女と裁判だなんて…!」
「でも仕方ねえんだよ。校則にも全員参加って書いてあっただろ?」
二階堂さんがうずくまる一ノ瀬さんの肩に触れようとして…避けられた。
「やめてくださらない!?私女に触れると蕁麻疹が出てしまいますのよ!
死ぬ危険性のあるものにわざわざ突っ込むなんて…あぁ…助けて湖林様…!」
湖林くんに泣きつく一ノ瀬さんと、その側で放心状態で座る檀くん。
「貴様は疲れてるみたいじゃな。捜査が終わるまで黙って寝てろ」
湖林くんは冷や汗をかいている。突き放してるのか慰めているのかわからないな…。
「あのさ、二階堂さん…一ノ瀬さん、どうしたの?」
「一ノ瀬か?あいつさ、殺人犯と一緒に居たくないって言うんだよ」
「殺人犯って?」
「昨日の夜、外に棒のようなものを持った赤いコートの女を見たらしいんだよな」
…え?
赤いコートの女…?もしかして、私が犯人だと言いたいのか…?
窓を開けただけで、外には一歩も出ていないのに…?
その時。檀くんがさっと立ち上がり、エレベーターへ向かい、ボタンを押した。重く冷たい鉄の扉が開かれる。
「どうしたんだ、檀くん!?」
エレベーターのドアはすぐに閉じていく。
「檀くんを追おう。待ってるよりも、非常階段から上に行こうと思うんだけどいいかな」
「じゃあ私は残ってるわ。あそこのロッカーを調べたいからね」
「ボクは付いていくよ」
わたしと絹川くんは、非常階段へ2階へと向かう。
2階には誰もいない…のでまた階段で3階へ登ることに。
そこにはわたしの部屋の前に立つ檀くんと…カラフラがいた。
「いいよん。わーは性格がモノクマよりもマシな花だから…け、けあるぅ!」
カラフラが叫ぶと、部屋の鍵が開けられる音がどこかからして…檀くんは、素早くわたしの部屋のドアを開けて、中に入っていった。
「待ってくれ!」
わたしは絹川くんを置いて、部屋へと走っていく。閉ざされたドアの指紋認証をクリアすると、ドアが再び開かれる。
◆
部屋に入ると…檀くんがわたしの机の引き出しを開けていた。
わたしは必死に引き止める。
「やめてくれ、檀くん!」
「うるせぇな!容疑者の部屋を調べるのは捜査の基本だろうが!それに…お前らもあの洋館に勝手に入っただろ…?」
一瞬、檀くんを殴りたくなったけど…耐えなければならない。
「…わたしの部屋を漁っても無駄だ。そこの封筒の中の写真はわたしの記憶にないものばかりだったし、わたしは昨日の夜外には出ていない」
「口でなら嘘だって言えるよね?」
檀くんは引き続き部屋の机から封筒を取り出し、中身を抜き出そうとする。
わたしは必死に檀くんを止めようとするが、振り払われる。そして…ついに封筒の中身を見られてしまった。
「…この写真が動機?」
謎の少女と、血のついた望遠鏡の写真…
「なんだ、これだけか」
「二枚ともわたしの知らない写真だ。見て満足したのなら…1つ取引しろ。わたしの動機を見たのなら、あなたの動機を見せてくれ。これでフェアだろう?」
檀くんは溜め息をついた後、こう言った。
「しょうがねえな。今は動機を持ってないけど言っておくよ。いっちゃんに9mm拳銃を渡したのは俺だ」
9mm拳銃…?銃の種類、だよな…?それが動機…?
「あと、事件に使われた銃は銃口が9mm拳銃より少し小さいんだよね」
…犯行に使われた銃の銃口が、9mm拳銃より小さい?それってもしかして…死体の第一発見者は…。
そう思考した時。悪夢を告げるチャイムが鳴った。
『ピーンポーンパーンポーン…』
「グッドモーニングエブリワーン?捜査は捗ってるかい?今から学級裁判始めちゃうYO!ってことで、第一エリアの時計塔前に集合しちゃってくださーい!」
「来ないと股間のなんちゃらソードを殺してでも奪い取るのだ!」
…持ってない女子はどうするんだろう。
檀くんは無言で部屋から去っていく。
部屋の外に出ると絹川くんが待っていた。
「…置いていってごめん
「鈴原さん、大丈夫だった?檀くんに何かひどいことされなかった?」
「…動機を見られたけど、代わりに動機を教えられた。それだけだよ」
「…そういえば女子の部屋、ドレッサーと赤いカーテンがあるんだね。男子の部屋はドレッサーはただのテーブルだし、カーテンも青いんだよね」
絹川くんはどうやら部屋をちょろっと見ていたようだ。正直恥ずかしい。
それよりも、学級裁判が始まるのだ。黒木さんの調査結果は時計塔で聞こう。
◆
時計塔前には生徒の皆が集まっていた。…今回の被害者であるイヴァンくん以外はだが。
「ねえ、黒木さん…ロッカーはどうだったの?」
「ロッカーのこと?古いデザインの箒、無駄に明るい茶色のモップ、ちりとりしかなかったわよ」
ホテルなのにそのロッカーの中身はどうなんだ。
でも…これも重要な証拠になりそうだ。
やがて時計塔の扉が開かれる。中身は巨大なエレベーターとなっていた。
エレベーターの中には…台車に乗ったカラフラがいた。
「モノクマが待ちくたびれているから、みんな早く乗り込むのだ。3分くらいで裁判場に辿り着くのだ」
「…乗るしか、ないんだよね?」
「そうだね。自分の潔白や犯行に自信があるなら乗り込むしかないね」
怯える藍葉さんに、紅葉さんが声をかける。
わたしを含めた15人が、エレベーターに乗り込む。
全員が乗り込んだ後、重く冷たい扉が閉められる。
もう後戻りはできない、と告げているかのように。
エレベーターの乗り心地はあまり良いものではなかった。
無機質な箱はわたしたちを断頭台へと運んでいるかのようだ。
「ミー君…あたしたち、これが終わった後でも生きてられるよね…?」
「梨々。学級裁判とやらが終わったら、何か美味しいものを食べよう。一ノ瀬さんに頼めば作ってくれるよ」
抱き合っている未隅くんと雨崎さん以外は、誰もが無言だった。
終わった後には、この中の1人が死んでいるということを皆理解しているのだから。
そして、チーンという音がした後、エレベーターの扉が開かれる。
裁判場にはよく見る陳述台が16つ、円状に並べられていた。
モノクマは陳述台の外の豪華な椅子に座っている。
「では、自分の名前が書かれた席に立ってくださいなのだ」
カラフラに言われた通りにわたしたちは、自分の席に立つ。
陳述台の液晶画面にはわたしの名前…『鈴原椿』と、ツバキの花のイラストが描かれてある。
裁判場を見回す。イヴァンくんの席だけは遺影が飾られており、遺影にはメスで作られた×印、そして…リボンの部分にはヤドリギと思わしき木の枝が飾られている。
◆
『超高校級の外科医師』イヴァン・ユグドラシルソン…
皆を導き、誰よりも皆が助かることや脱出のことを考えていた男。
そんな彼を殺害した人間は…この中にいるのだ。
そう…わたしたちの中に。
1人、犯人が紛れ込んでいる。
犯人を暴き、処刑しなければ、私たちは生き残ることができない。
絶望を、希望の弾丸で、撃ち抜かなければならない…。
だから、わたしたちは信じ、疑うのだ。
…これは生き抜くか死ぬか、命がけの裁判なのだから。