ダンガンロンパ・フラワーズ   作:むらさき@ロンフラ

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■作品についてのご注意

・この作品はスパイク・チュンソフト社の作品「ダンガンロンパ」シリーズの、オリジナルキャラクターを使った二次創作です。
モノクマ以外の登場人物は(おそらく)登場しません。
・「ダンガンロンパ」シリーズのネタバレ(ゲーム・アニメ共に)が含まれる場合があります。
・文章、トリック、ストーリー共に素人のものです。大目に見てやってください。

以上のことをご理解できる方のみ、お読みください。
では、どうぞ。


ダンガンロンパ ・フラワーズ 第1章 非日常編-学級裁判

 

 

 

 

 

コトダマ一覧

 

【モノクマファイル1】

「被害者はイヴァン・ユグドラシルソン。

死体発見現場は洋館の廊下の隅。

死亡時刻は夜10時半ごろ。複数の銃創が見られる。」

【死体の状況】

イヴァンの死体には銃創が右足に1つ、左足に1つ、右腕に2つ、左腕に2つある。

頭部や胴体に傷はなく、血もほとんど付いていない。

【警報装置の仕様】

洋館の2階への扉に付けられた装置。

扉を無理やりこじ開けようとしたり危害を与えると作動し、

アラームが6秒鳴った後にドア上の銃撃装置から銃弾が発砲される。

なお、警報装置は一番近い生体反応を追って6発銃撃する。

【拳銃】

イヴァンの死体の近くに落ちてあった拳銃。

【消えたゴミ】

多目的ホールのテーブル上の吸い殻入れにはゴミが捨ててあった。

それが何者かの手によって捨てられたようだ。

【救急箱】

多目的ホールの棚に置いてある、救急箱。

中身は包帯、消毒液、使い捨ての注射器が2本、絆創膏、軟膏、風邪薬、精製水が入っている。

【救急箱の剥がされたシール】

救急箱の蓋の裏に貼ってあった大きなシール。

なぜか剥がされている。

【飾られていた銃】

多目的ホールのガラスケースに飾られていたアンティーク銃。

使用された形跡は見当たらない。

【ライター】

応接室の机の上にあったライター。

【暖炉】

応接室の暖炉。つい最近燃やされたばかりらしい。

よくみると針のようなものが溶けた何かに付着している。

【使われていない水回り】

バスルーム・トイレ・キッチンに事件発生時に使用された形跡は見られない。

【藍葉の科学捜査1】

暖炉の中の針がルミノール反応を起こし、青白く光った。

【藍葉の科学捜査2】

指紋が現れるクリームをイヴァンの死体近くの拳銃に付けてみたところ、

指紋はイヴァンのものと別の人間のものの二種類現れた。

【一ノ瀬の証言】

昨日の夜、棒状のものを持ってホテルの外を歩く赤いコートの女を目撃したらしい。

【部屋のカーテン】

男子の部屋のカーテンは青、女子の部屋のカーテンは赤。

【檀の証言】

檀はイヴァンに9mm拳銃を渡している。

【事件に使われた銃】

事件に使用されたのは経口が9mm拳銃より小さな銃のようだ。

【ホテルのロッカー】

ホテルのエントランスのロッカー。

古いデザインの箒や明るい茶色のモップ、ちりとりなどがある。

 

 

【学級裁判・開廷!】

 

モノクマとカラフラが説明を始める。

「まずは学級裁判の簡単な説明からです。学級裁判の結果はオマエラの投票により決定されます。」

「学級裁判の結果はアナタラの投票により決定され…。にぎゃあ!」

カラフラがモノクマがどこからから持ってきた鞭でカラフラを縛る。

「もー。カラフラー。ボクのセリフ取らないでよー。

…説明の続きです。正しいクロを指摘できれば、クロだけがオシオキ。

もし間違った人物をクロとして投票した場合は、クロ以外の全員がオシオキされ、クロだけが見事卒業となるのです!

さて、そろそろ始めようか!まずは事件のまとめからだね」

 

議論が始まる。

何かおかしな点があれば、何かを発言していけばいいのかな。

怖いけど、命のかかった裁判だから。失言は許されないんだ…!

 

【ノンストップ議論(気づいたことについて)】

雨崎「…事件のまとめと言っても、何から話せば良いのかな?」

未隅「自分の気づきを話せば良いと思うぞ、梨々!」

絹川「まずイヴァンくんが見つかったのは、洋館…だったよね?」

紅葉「正しい表現だと、洋館の廊下だね」

蒲生「そういえば、死体の近くには拳銃が落ちていましたね」

梅田「凶器は<その拳銃だけ>だな、間違いねー!」

 

あれ、あの発言…おかしくないか?

アレが限定される可能性は低くないはず…。

 

【コトダマ:警報装置の仕様】

 

「…それは違うぞ!」

 

「ちょっと待って、梅田くん…凶器となり得るのは拳銃だけじゃないよ。

あの洋館には、2階への扉に付けられた『警報装置』もあるんだ」

「…警報装置?」

「雨崎さんは知らないみたいね。少し前に私たちが洋館の前を通り過ぎた時…カラフラから教えられたのよ。

『洋館の2階への扉に危害を与えると発動して、銃弾が発砲される』って…」

「あーそっか。それのことすっかり忘れてたわ…ごめんなー」

梅田くんは申し訳なさそうに謝罪する。

「一応電子生徒手帳にも書いてある事じゃ、確認はしっかりしろ」

湖林くんが梅田くんを叱りつける。

「じゃあ、次は何から話せばいいんだ?」

「また、自分の気づきとやらを探していけばいいと思うのです…!」

二階堂さんとバニラさんの提案により、皆は再び自分の気づきを言うことになった。

 

 

【ノンストップ議論(気づいたことについて)】

黒木「提案だけど…警報装置についておさらいしない?」

バニラ「えーと…さっきも言った通り<危害を与えたら発動する>のでしたよね〜?」

蒲生「アラームが<6秒>鳴った後に…6発だったような気がします」

黒木「<一番近い生体反応>…を追うんだったわよね?」

一ノ瀬「生体反応を追うと言うことは…<アレで心臓をやられた>のですわね!」

梅田「いや、決めつけていいのかー?」

 

【コトダマ:死体の状況】

 

「それは違うぞ!」

 

「…一ノ瀬さん、警報装置は心臓は狙っていないよ。

イヴァンくんの死体には頭部や胴体に傷がなかったんだ。代わりに、手足に6発銃創があった。

絹川くんが検死してくれたんだ」

「き、絹川様が?」

「うん。イヴァンくんの死体は…骨は折れていなかったし、銃創以外の傷もなかったよ」

「随分と高性能な銃撃装置だったみたいだね。腕に2発撃ち込んだのは攻撃を封じるためだろうし、

足にも銃撃したのは逃げれなくするため…なのかな」

藍葉さんが考察する。

「洋館の2階が仮に黒幕のアジトだとすれば、侵入者を生け捕りするために生かしておくためだろうね」

そんなこと考えたくもなかったが…こういう推測も一応は必要だろう。

「…なんて残酷な黒幕なのかしらね。その後老朽化したバスルームにでも閉じ込めるつもりだったのかしら」

また別のデスゲームに巻き込むつもりなんだろうか。

 

「ってことは、いっちゃんの死因は出血死ってことになるね」

少年の声が裁判場に響く。発言の主は…檀くんだった。

「…何を言っているの?檀くん」

「電子生徒手帳を見なよ。死因は書かれてないだろ?心臓破裂はもちろん、毒殺とも書かれてない。

手足に6発も食らって動けなくなったら普通は血を流しながら死を待つだけだろ」

犯人の凶器は警報装置だとすれば…

 

【選択:イヴァンを誘導した】

 

「…もしかして、自分を庇うようにイヴァンくんを誘導したんじゃないのか?」

「恐らくそうだろうね。6秒もあれば廊下の隅まで移動して誘導するようにしただろうし。

いっちゃんは他人を盾にするような人間じゃない」

「確かに、脱出について考えてくれたし、SOS信号も作ってくれたしね…」

 

…彼は、全員が生き残る方法を模索してくれた。でも、事件に使われたのは警報装置だけじゃないはずだ…

だとすれば、あの証拠品は何のためにあるんだ…?

 

 

【ノンストップ議論(警報装置以外の凶器について)】

鈴原「あのさ、凶器は警報装置以外にもあるんじゃないかな?」

檀「ん?死因も書かれていないのに?」

絹川「今は鈴原さんの話を聞いてみようよ。きっとわかることがあるはずだよ」

雨崎「<救急箱>でガッとやったとか?」

灰寺「僕が暖炉で見つけた<針>じゃないよね…」

未隅「<応接室に飾られていた銃>で撃ったんだ!間違いない!」

藍葉「応接室のことはよくわからないけど…飾られている銃に弾は入ってないと思う…」

 

【コトダマ:藍葉の科学捜査1】

 

「灰寺くんに賛成だ!」

 

「暖炉の中に放り込まれていた針…アレが凶器の1つであることは、藍葉さんが証明してくれた筈だよ」

「確かに…ルミノール反応は起きたけど…」

「あ、あのさ。ルミノール反応って何なんだよ?」二階堂さんが尋ねると…カラフラが口を開いた。

 

「うーん…ルミノール反応ってのは、簡単にいえばルミノールってのに過酸化水素水ってのを加えてーの、

血痕に振り掛けーの…で起きる反応なのだ。よく刑事ドラマとかで使われている奴なのだ。

一瞬だけ暗いところで反応するーの」

「あのさ、オマエは校長より下の理事長なんだよ?っていうか古いネタ使うなよ!

宴会で一昔前のネタ使う課長かよ!」

「うぐう…」

 

モノクマがそう言うとカラフラは2枚の葉で口を塞いでしまった。

この2匹?の関係はどういうものなんだ…?

「さて、くだらない漫才はいい加減にやめて…あの針が何だったのか…わかる人はいるかしら?」

「…あのさ、あんたならわかるだろ?ツバ吉」

檀くんがわたしに解答を投げてきた。まだ、わたしを疑っているんだろうか?

もしかして、針に付着していたアレの正体って…

 

【選択:プラスチック】

 

「…プラスチック、だったりしないよね?」

「プラスチックを溶かしたの!?溶かしたら有毒ガスが発生して、大気汚染が起こって、環境保護団体も怒って…!」

「いや、そこまで怖がる必要はないと思うよ?」

紅葉さんが、藍葉さんをなだめている…。

「犯人はライターを使って火を起こして、証拠品を燃やすために応接室の暖炉に針とプラスチックを投げたんだ」

「証拠を隠すために燃やしたのはわかったけど、一体、何のために使ったのかな?」絹川くんが思考する。

…針とプラスチック…何かが出てきそうだ。

もしかして、あの針の正体は…

 

【閃きアナグラム:ちゅうしゃき】

 

「…溶けた注射器なんじゃないかな」

「注射器!?まさかイヴァン殿は…毒殺だったのですか!?」

バニラさんは驚いているようだ。

「まだわからないけど…注射器は救急箱から持ち出されたものじゃないかな。それを示す証拠は…」

 

【コトダマ選択:救急箱の剥がされたシール】

 

「救急箱の蓋の裏にはシールが貼ってあったんだけど、なぜか剥がされた跡があったんだ。」

「え?なんで剥がしたんだろ?」

わたしは、雨崎さんに対して答える。

「あのシールは…救急箱の備品リストだったんだよ」

「そういえば救急箱の中の注射器は2本だったよね。2本は流石に歯切れが悪い数だと思うんだ。

だったら注射器は…最初は3本あったと考えるのがいいよね?」

「確かにそうでしょうね。備品リストは暖炉で燃やせばいいことですし。私的意見ですが、もっとあったほうがいいとは思います…」

絹川くんの考察に、いつもの笑顔で蒲生くんが返す。

「わたしの考えだと、犯人は恐らく洋館にあった毒か何かを使って…」

 

「おもてなしが必要ですわね!」

 

 

…え?一ノ瀬さん?何でこんな時に反論なんか?

 

「そこの容疑者から外れるために適当なことを抜かす雌豚!あなたが一番よく知っているでしょう?」

「し、知ってるって…何を?」

「注射器の中に入れた薬品に決まっていますわ!洋館の中に本当にあったのかしら?」

一ノ瀬さんの反論…彼女を説得しないと、どうやら疑われてしまうみたいだ…!

 

【反論ショーダウン(注射器と共に使われた薬品について)】

「あの洋館に入らなかった私が言う事ではないでしょうけど…殺人に使われそうな薬品があったのかしら?

もし洋館の外に毒を取りに行ったのなら、イヴァン様はその間に出血死してしまいますわ!

それなら暖炉の中の<注射器は説明がつかなくなる>でしょう?」

 

【発展!】

 

「注射器が犯行に使われたのは、藍葉さんの調査でわかった筈だよ!」

 

「洋館の中では流石に<毒を作れなかった>ですわよね?

電子生徒手帳にも<毒殺>とは書いていなかったですし。

あと、<水回りの洗剤も使われていない>みたいでしてよ?

注射器を使って毒殺したと言うあなたの推理は完全に的外れですわ!」

 

【コトダマ:消えたゴミ】

 

「その言葉…ぶった斬る!」

 

これで、一ノ瀬さんは説得できるはず…!

 

「いいや、毒は作れた筈だよ。応接室にあったあるものを使えばね」

「は?まさか洗剤と洗剤を混ぜて毒を作ったとか言うわけじゃないでしょうね?なら藍葉が犯人になりますわよ!」

「大天使の藍葉殿が犯人なわけないでしょう?犯人は毒を作れる『超高校級の錬金術師』だったのですか!?

なら人体錬成でイヴァン殿を生き返らせるべきなのです!」

一ノ瀬さんとバニラさんのツッコミをよそに、わたしは話を続ける。

「吸い殻入れのゴミだよ。あの中に入っていたものは…」

 

【選択:タバコの中身】

 

「タバコの中身だったんだ」

「タバコなんか?もしかしてイヴァン兄ちゃんは高校生じゃないとか?」

「ランきゅん、いっちゃんはちゃんとした高校生だけど?」

「ほら、花火大会の時に黒木さんが披露したタバコ花火のドッキリ、あったよね?

タバコの本来の中身、有害物質の入ったゴミは…多目的ホールの吸い殻入れに入れられたんだよ。

タバコの葉には有害物質のニコチンが入っているって言うだろ?それを注射したんだよ」

 

「…お待ちなさい」

蒲生くんが口を開く。

「…どうやって毒を作ったのでしょうか?タバコの葉をイヴァン殿の体内に入れた訳ではなさそうですし。

タバコを水に浸せば有害な毒になる事は知っていますが…

そのための水は、どこから調達したのか。鈴原嬢はお分かりですか?」

…毒を作るための水。それはあそこにあった筈だ…!

 

 

【ノンストップ議論(毒を作る用の水の調達方法)】

藍葉「そういえば、洋館のバスルームとかの水回りは全然使われていなかったね…」

黒木「<洋館の外から調達した>訳でもなさそうね」

二階堂「きっと<イヴァンの血を水代わりに使った>んだ!」

雨崎「<多目的ホール>には何もなかったよね?」

未隅「口の中にタバコの葉を入れた…とかじゃないな」

湖林「ここで明らかになる新事実じゃと?救急箱の<包帯で絞め殺した>…訳でもなさそうじゃ」

灰寺「<ライターのオイル>やないか?」

蒲生「それなら火をつけて燃やした方が効率的かと」

 

【コトダマ:救急箱】

 

「雨崎さんに賛成だ!」

 

「あたしの意見がどうかしたの?」

「多目的ホールの救急箱、その中に水はあった筈だよ」

救急箱の中にあった、ニコチン毒を作れるもの…

 

【スポットセレクト:精製水】

 

「精製水だよ!」

「え?聖水!?藍葉殿n」

「いや、そうじゃなくて。コンタクトレンズの洗浄に使う奴だよ」

 

「はい!精製水というのは様々な手段で濃度を上げた比較的純粋な水なのです。科学実験の溶媒に使用されますね。

女性の間ではアロマスプレーを作る用途でも使われているようです」

 

モノクマがまた蘊蓄を言っている。

「つまり、精製水を使って毒を作り、イヴァン殿に注射した。それが殺害方法になるのでしょうね」

「でも、何故それを行う必要があったのかしら?出血死を待つだけなら、放置しても構わなかったでしょうに」

「犯人は…自分が確実に殺したってことにしたかったんじゃないの?」

「檀?まだイライラしてるなー?」

「…仕方ないよ。イヴァンくんと檀くん、いつも一緒で仲良しだったし…」

「あの警報装置が黒幕が用意したものだとして、警報装置に撃たれて出血死…ってなったら事故死扱いになるだろうし、いっちゃんを殺したのは黒幕になっちゃうよね。

犯人はそう考えて、わざわざ毒でいっちゃんを殺すような真似をしたんだよね?」

檀くんは、弔うように言った。

 

「…でも、これだけじゃクロはわからないわよね?」

「…黒木さん?」

「タバコの葉を多目的ホールに捨てたのは私、なのはみんな分かっているでしょう?

でも、タバコの葉を利用したのは誰か分かっていないでしょ?

アリバイの証拠も、少ししか集まらなかったし。

 

ね、一ノ瀬さん?」

 

 

「…は?私は…殿方様と違って何もしていないのですよ?私がどうかしましたの?」

何もしていない自覚はあるんだね。

でも、黒木さんが一ノ瀬さんを名指しした理由って、まさか…?

あの証拠品が関係しているのか?

 

【コトダマ選択:一ノ瀬の証言】

 

「一ノ瀬さんが証言したよね?赤いコートの女が、棒状のものを持って外を出歩いているって…」

「赤いコートの女といえば『学園の階段』シリーズの定番やな!僕は知ってるで!高校の図書館には置いてへんかったけど!

でも、それがどうしたんか?犯人は幽霊ってことなんか?」

「灰寺…犯人は幽霊でも悪魔でもなく、ここにいる人間なのよ。パニック映画の定番でしょ?一番怖いのは人間ってのは」

「つまり、犯人は鈴原…私の証言がここで生かされますのね!」

 

「…違う。わたしは…窓を開けてもあの夜、一歩も部屋から出ていない」

「嘘のアリバイを言っても、私という証言者がいる以上無駄ですわ?」

「ってことは、犯人はツバ吉ってことなの?アッキー?」

「他人が証明するアリバイはその人自身の言うアリバイよりも信用できる…こともあるしね」

 

わたしは、警報装置のこともタバコの中身の行方も知っている。

でも…嘘をついていない。わたしはイヴァンくんを殺していない。これは本当だ。

もし、このままわたしが犯人だと言われたら…犯人以外の全員が処刑されてしまう。

 

 

「待って。アリバイというのは、犯人を暴くのにそんなに必要な物なのかな?」

誰かの声がした。…絹川くんの声だった。

「ボク、思うんだ。他の人の視点だけじゃなくて、犯人の考えも重要だって」

…犯人の考え。

普通なら誰かを殺さなきゃいけないとか、武器の調達のために何かをしなきゃいけないとか…そう言うことじゃないかな。

もし赤いコートの女が犯人なら、何を考えただろうか。

どうして赤いコートを…

 

 

赤い…コート…

 

 

…え?

 

 

赤い…といえば…?

 

 

これって…まさかね…

 

 

わたしは、あることを思い出し…

 

 

…ある仮説へとたどり着いた。

 

 

 

 

 

 

赤い証拠品と言えば…

 

 

【コトダマ選択:部屋のカーテン】

 

 

「…犯人は…部屋のカーテンを赤いコートがわりにしたんじゃないかな」

「…は?そんなトンチキなトリック認めてもいいんか?千利休よろしく腹斬られたいんか?」

「でも、男子部屋のカーテンの色は青だったよなー?」

「そして女子の部屋のカーテンは赤い色だったから…犯人は女子に限定されるってことになるね」

「…女の子なら、背の高いイヴァンくんが重症を負っても、毒殺することは可能だよね」

「女子が犯人?本当に…それだけの証拠で犯人と言えるのかな?」

 

「ねえ鈴原さん。犯人が変装したと言う可能性について…もうちょっと議論してみないかしら?」

黒木さんは、楽しそうに囁いている…。

 

【ノンストップ議論(犯人の変装について)】

黒木「鈴原さんの変装をしてカーテンを羽織れる人物…どんな人間なのかしらね?」

一ノ瀬「<犯人は女>に決まっていますわ!」

蒲生「<身長の問題>もありますしね」

バニラ「鈴原殿の身長は160cm。紅葉殿のような王子様系<高身長女子は除外>されるのです!」

檀「そう言えば…<髪の問題>もあるよね?」

絹川「鈴原さんに近い髪の色の人、あまりいないからね…」

 

【コトダマ:ホテルのロッカー】

 

「その言葉…わたしが撃ち抜く!」

 

「檀くん、髪の問題はクリアできるよ。ホテルのロッカーにあったあるものを使えばね…」

「私が調べたわ。ホテルのロッカーには箒にモップにちりとりがあったわよね?」

「大切なのは、掃除道具の種類じゃない…色だよ」

「そう言えば、モップは明るい茶色…鈴原さんの髪の色に近いわね。棒状のものを持っていたと言う証言は、モップの柄を護身用に持っていたと言う事で話がつくしね」

「モップで変装!?そんなこと女にできる訳がありませんわ!?」

「いや、コスプレイヤーとか女が圧倒的に多いじゃん?」

 

…それが…出来る人がいるんだ。

一ノ瀬さんが見間違えるほどの変装の達人…

あの夜、あることを語っていた…あの人ならできるかもしれない。

 

 

【人物指名:バニラ・キャンディ】

 

「あなたしかいないんだ…バニラさん!」

「…え?ええ???????あ…アテクシが?????」

青ざめたバニラさんの周りに、大量のハテナマークが見える。でも…わたしは知っている。

花火大会のとき、彼女が語っていたことを。

 

 

『アテクシはコスプレとお化粧の動画第二弾を作成してたのです!第一弾が50万PVを突破したので』

 

 

「確か、コスプレと化粧の動画が好評で、50万PVを達成したって聞いたよ。

バニラさんなら、カーテンをわたしのコートに、モップを髪に見立てて変装することもできるんじゃないかな」

「…そう言えば、バニラさんの才能は『超高校級のネットアイドル』だったわよね。メイクの人にしてもらう普通のアイドルならともかく、自分でやった化粧動画をアップしているネットアイドルなら変装もお手の物なんじゃないかしら?」

「そういえば。カラフラから洋館の警報装置について教えられ、凶器であるタバコの花火を見た…彼女こそ、条件に当てはまりますね」

 

「少し無茶な推理かもしれないけれど…バニラさん、本当のところどうなんだ?」

 

「ぽ、ぽぽぽぽぽぽぽぽぱぱぱぱぱぱぱ…」

その時。

バニラさんの青ざめた顔が、みるみる赤くなり…

 

「はああああああ!?イキってんじゃねえよ頭お花畑でお星様がよォ!アリバイもねーっつーのにどうしてこんな事言えんだよカス!」

目を見開き、思い切り机を叩くバニラさん。それはいつもの彼女とは思えないほどの変わり様だった。

「ば、バニラちゃん!?大丈夫…だよね!?」

「だいたい凶器がタバコっておかしいじゃねえか!あの銃の可能性もあんじゃねえかよ!」

「いや…それはさっき議論されたはずだ。あの6つの銃創以外に外傷は無かった。だからあの銃で脅すなんて事…」

「藍葉殿ォ!あいつらアテクシを犯人扱いしてんだよォ!確か近くに落ちてた拳銃イヴァンと別の奴だったよなァ!鈴原がイヴァンの持っていた銃で脅したとかそんなんじゃねえよなァ!?」

「いや…でも、あの銃は…」

敬語が崩れるほどの豹変…でも、藍葉さんは呼び捨てしないのか…。

と考えている暇はない。

「テメーこそ知ってんだろうがァ!嘘なんか言わず行って見やがれゲロカス赤づくめェェェェ!!」

彼女の主張は、真実の弾丸で撃たなければならない。

わたしたちの、希望のために…。

 

 

「あの銃に触れたのはイヴァンと鈴原だ!そうに決まってるゥ!!!!」

 

 

【コトダマ:檀の証言】

 

「これで、終わりだ!」

 

「ひぎぎゃああああああああああああっ!」

 

 

「あの銃は誰が触ったか…それを証明するのはわたしでも藍葉さんでもない。檀くんだよ」

「は???檀なんかに…証明できんのォ??」

「俺…か」

檀くんは続ける。

「俺はあの時ツバ吉に言ったよ。いっちゃんに9mm拳銃を渡したってね」

「つまり…あの拳銃は檀くんがイヴァンくんに渡したもので、イヴァンくんが元々持ってたものって事だね」

「ち、違う…ふざけるなァ…アテクシをクロ扱いとか…アテクシのゴールドフィンガーでチビらされたいんかァ!?」

バニラさんはわたしを指差し、大声を出す。

「鈴原さん、今からこの事件をまとめてみない?そうしたらバニラさんも納得するんじゃないかしら?」

黒木さんが楽しむ様に言う。なんだか怖いけれど…やるしかないんだ。

わたしたちが、生き残るためには…!

 

【クライマックス推理】

まず犯人はホテルのエントランスのロッカーの中の茶色いモップをウィッグ代わりに、自室の赤いカーテンをコート代わりにしてわたしに変装し…洋館へと向かった。

おそらく護身用のモップの柄も持ってね。

それを目撃したのは一ノ瀬さんだったけど、変装のせいで犯人ではなくわたしだと勘違いしたんだ。

犯人はこの事件の被害者…イヴァンくんのいる洋館に入り、まず二階への扉に攻撃を加えたんだ。

そして警報装置が発動し…犯人はイヴァンくんが自分を庇うように誘導した。

こうして、警報装置から放たれた弾丸で、イヴァンくんは腕を4発、足を2発撃たれた。

イヴァンくんが動けなくなったのをいいことに、犯人は多目的ホールにあった救急箱から精製水とプラスチックの注射器を取って…

吸い殻入れに入っていたタバコの葉と精製水で、毒を作ったんだ。

そしてその毒を注射器に入れて、イヴァンくんに注射して…殺害した。

自分が犯人になるために。

注射器と救急箱の蓋に貼られていたチェックリストは応接室の暖炉に捨てて、テーブルに置いていたライターで火をつけて燃やした。

しかし、注射器の針と溶けたプラスチックは残ってしまった…

犯人はホテルに戻り、ロッカーの中に組み立て直したモップを戻した。カーテンは部屋に再び取り付けてね。

 

「これが事件のすべてだと思う。『超高校級のネットアイドル』、バニラ・キャンディさん…!」

 

 

「どうかな?間違っているところがあったら、何でも言ってくれ」

「あ…あああああ…!アテクシは…うう…!!!!」

大量の涙を流すバニラさんの顔はどこまでも白く。その表情には、一寸の希望も無かった。

「…カーテンを再び取り付けたとしても、取り付けが間違っていたりしたら間違いなく変装に使ったってことになるな。そこんところどうなんだよ?」

「モップに桃色の髪の毛が付着していたら、梅田くんかバニラさんのモノになるってことだけど、一ノ瀬さんの証言がある以上、女子のバニラさんであることは確定でしょうね」

檀くんと黒木さんは、バニラさんを見つめる。

バニラさんは、うつむいたままだ。

 

「もう…いいよぉ…そうだよ…。『私』が…殺したんだよぉ…」

バニラさんは、力のない声で言った。

 

「あー、そろそろ議論の結論が出たみたいなんで…カラフラー?もう黙らなくていいよ。」

「はーい。じゃあアナタラは液晶画面のクロだと思う人のボタンをタッチして投票するのだ!!

あ、全員投票しなかったらなんちゃらゲイトよろしく人生がここで終わっちゃうから気をつけてね!

では、アナタラお待ちかねの…投票ターイム!グッドラックなのだ!」

 

陳述台の液晶画面に、16の顔と名前が表示される。当然、イヴァンくんの顔の部分は赤くなっている。

わたしは…無表情で、戸惑いながらバニラさんの顔のボタンを押した。

 

「投票の結果、クロとなるのは誰か?その答えは正解なのか不正解なのかー!?」

 

裁判場の天井から、巨大なスクリーンが降りてくる。

スクリーンには…得票数が映されていた。

 

『バニラ・キャンディ 15票』

 

『全員正解』

 

スクリーンは、大型のルーレットを映し出した。

16の似顔絵が映されたルーレットは周り…白黒のツートンカラーのボールがバニラさんの顔の場所に落ちた。

そして、似つかわしくないほど愉快なファンファーレが流れた。

 

「こんじゅらっちゅれーしょーん!だいせーかーい!最初のコロシアイでイヴァンクンを殺したクロは…バニラ・キャンディさんでしたー!」

 

…わたしは、その場に立ち尽くすしかなかった。

 

 

 

【学級裁判・閉廷】

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