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――2039年7月23日 11:34
「これはこれは、リード刑事ですね? ようこそおいでくださいました!」
一番大きな駐車場に車を停めて降りた瞬間、向こうから声をかけられた。
相手はどうやらサイバーライフの人間のようだが(というのも胸に社員証をぶら下げていたからだ)、昨日の空港では見かけなかった男である。
50代そこそこといった感じの、雰囲気的に管理職らしきその男は、にこやかにこちらに歩み寄ると、先んじるように右手を突き出した。
「はじめまして、私はフィリップ・シーモアと申します。サイバーライフの未来科学部門の責任者です」
「どうも」
ごく軽く握手すると、ギャビンは顔を顰めた。シーモアはそれに構わずに、なおも上機嫌に語る。
「他の皆さんは、もうお着きですよ。さあ、こちらに。私どもの施設にご案内します」
「そこで俺は何を?」
わざとおどけるように肩を竦めながら問うと、相手は堂々と答えた。
「明日は米露友好を祈念するイベントを開催予定なのですが、その前に、ぜひ刑事さんがたにお見せしたいものがあるのです。特に、海外からの特別ゲストの方々にね」
妙に含みのある言い方が気になるが、今はついて行くしかないだろう。
シーモアについて歩くと、確かに、岸辺にある小さな施設――駅にあるエレベーターをそこだけ抜き出したような妙にシンプルな建物が見えた。ついでにポンコツ備品とドルーク、そしてカレフ刑事や科学者たちも。
こちらに視線を送るポンコツ備品が無表情なのはいつものこととして、カレフもまた、昨晩と同じくぼんやりした顔のままだった。捕まってしまってふてくされているのかとも思ったが、そうではないようだ。
「では、行きましょう」
先頭に立ったシーモアが、エレベーターの脇のパネルに自分の社員証を押し付ける。それはセキュリティパスだったようで、わずかな駆動音と共に、エレベーターはぴたりと到着して扉を開いた。
「さ、どうぞ中へ」
「つまり、施設ってのは地下なのか?」
「いえ、いえ」
シーモアは得意げに笑う。
「地下ではなく、あえて言うならば地上ですよ。ついて来てくださればわかります」
ドルークはシーモアが話すのに合わせて、カレフに通訳していた。カレフはふんふんと頷き、先にエレベーターに乗る。
地上? どういう意味だ――と、訝しく思ったのもつかの間。
エレベーターに乗り込み、それが動き出してしばらくした頃、ギャビンはシーモアの発言の意味も、彼が妙に自慢げな雰囲気を出していた理由も理解できた。
エレベーターの扉にはガラス窓が嵌っている。その窓の向こうは、最初は真っ暗な闇だったが、すぐに光が見えたかと思うと、今度はいっぱいの水に満たされた。
水とは要するに、セントクレア湖の水だ。
このエレベーターは、セントクレアの湖底に直接繋がっていたのだ。
湖底にある、サイバーライフ社の大規模な研究施設に。
***
「ハッ、なるほどね」
妙に白く明るい廊下を進みながら、ギャビンは誰にともなく鼻で嗤った。
塵一つない廊下を、掃除用ロボが這いまわっている。窓の外には、あれは確かブラックバスだったか――それなりに大きな魚が泳ぎまわっている。要は、湖底の景色がそのまま見えるようになっている。
このサイバーライフの施設は、ベル島にあるサイバーライフタワーと直接トンネルで繋がっているようだ。小さな研究施設同士がまたトンネル――例えば今歩いている廊下のような――で繋がることで、敷地を確保しているらしい。
元々セントクレア湖はほんの十数年前まで、水深が平均3メートル程度の比較的浅い湖だった。それがここ最近の気候変動だの地殻変動だのの影響で水深が深くなり――つまり、こうした施設を湖底に密かに建築するだけの余裕ができたとのことだ。
「建築はアンドロイドが行いました。なんといっても、彼らには呼吸が必要ありませんからね」
と、さっきシーモアが得々と語っていた。
もちろんここまでの情報は、ギャビンが持ち合わせていたものではない。シーモアの説明を要約するとそうなる、というだけだ。
シーモアは今も先頭に立ち、異国の科学者たちにあれこれと説明を重ねている。
しかしそれを聞くのは早々に諦めたギャビンは――理解できないのではない、聞いても無駄だと判断したのだ――傍らをすたすたと歩いているポンコツアンドロイドに話しかけた。
「おい。お前、ここには来たことあんのか?」
「いいえ」
短く答えた備品は、足は止めず、視線だけこちらに向けて続けた。
「サイバーライフ社では、部門ごとに極めて秘匿性の高い研究を行っています。私の研究開発を行ったのは人間化部門であり、この建造物は未来学部門ですので」
「仲間内でも内緒話ってか」
チクリ屋は必ず身内から発生するものだと考えると、その秘密主義にもある程度は納得できる。
そう思ってから、ギャビンは(ニヤリと笑って)ポンコツに今度はこう問いかけた。
「んで、あのドルークはどうよ? 最新鋭アンドロイドさんよ」
「……? 申し訳ありませんが、質問の意図が不明確です」
「あいつとてめえを比べてどう考えるかって話だよ」
指さした先には、無音でカレフについて歩くドルークがいる。
ギャビンはいよいよ嫌味な笑みを濃くして続けた。
「あいつはまあまあの頭してたぜ。それに腕からワイヤーガンだ。どうする? お前よりあいつのほうが優れてるってんで、あいつがこっちに買い取られて、お前はお払い箱になったら。そしたら型落ちコナーと一緒に仲良く失業だな、ハハハ!」
「……」
ポンコツ備品は、しばらく何も言わない。ただ灰色の瞳を瞬かせ、それから、LEDリングを一瞬黄色く点滅させた。
――怒ったのか?
一瞬だけそんな言葉が過ぎったが、ややあってから、備品は口を開いた。
「……ドルークが優良な機能を保持する点は同意します。しかし私や兄さんと彼、ドルークとでは、それぞれ機能の適用範囲が異なります。このデトロイト市内の治安維持であれば、私たちの機能のほうが、より適合性が高いと判断します」
「あっそ」
「それから」
と、機械は意味ありげにこちらをじっと見つめた。
「たとえ……私がデトロイト市警から離脱することがあっても。私はきっと、あなたから学習したことは決して忘却しません」
「は?」
「いえ。私には、完全に忘却する機能は……ありません、が。でも、その点は断言可能です」
奴のLEDリングは、すっかり青に戻っている。
何か念を押すようにコクリと頷いてから、RK900は、また黙々と廊下を歩いている。
「……チッ」
舌打ちが出た。――俺が教えたことを忘れない? んなの当たり前だろうが、機械なんだから。
もうちょっとうろたえるとか、腹を立てるとか、そういう面白い反応を期待したほうが馬鹿だった。
昨日は朝から妙にしょげていて(なんでも贈り物に貰ったカードが朝起きたら折れていたとかそういうクソしょうもない理由だ)気合を入れてやろうかと思ったのに、なんのことはない、既に“立ち直って”いるらしい。
それも当たり前か――機械なんだから。
心の内でもう一度呟いてから、ギャビンもまた口を閉ざし、静かに廊下を進んだ。
そのうちに、一行は大きな鉄製の扉の前に辿り着く。いかにも重厚なその扉の奥には、まさにその通り、この施設で最も重要な何かが隠されているようだ。
「ゲストの皆さん」
シーモアが言った。
「私どもが皆さんにお見せしたかったものは、この扉の奥にあります」
語りながら、後ろ手でセキュリティロックを解除している。
ゆっくりと開いた扉の奥にあるのは――大きなガラス窓と、その前に並ぶなんの変哲もないコンソール類。
しかしいち早く部屋に通された科学者たちが、窓の向こう――というより窓から下を覗き込んで、なにやら悲鳴まじりの歓声を発している。
なんのことだと部屋に入り込み、同じく下を覗いたところで、ギャビンもまた思わずぎょっとした。
ここの下、つまり湖底を掘って作られた地下部分を覗き込んだ時、まず目に入ったのは巨大な銀色の筒のようなものだ。筒の根本は天井に繋がっていて、その天井にはさらに太いコード類がいくつも張り巡らされている。
筒の真下にも幾人もの研究者たちがいて、タブレット端末を片手にうろつきまわっていた。その光景は、さながら鉄製の神像を崇め奉る神官たちのようだった。
「あれこそが、我々の研究の成果。サイバーライフが誇る、世界最新鋭の量子コンピュータ・サミュエルです」
それを聞いて、ギャビンはこれまでのことになんとなく合点がいくように感じた。
空港にいるサイバーライフの技術屋の中に、ポンコツ備品の知り合いがいなかったのも――シーモアの態度も、こんなところまでわざわざ自分や海外の連中を連れてきたのも、すべてはきっとこのサミュエルとやらを見せて自慢するためだったのだろう。
それが証拠に、シーモアは上機嫌で説明を重ねている。
「このサミュエルは従来の同種のコンピュータと比較して100倍近い性能を誇る、まさに新時代を代表するスーパーコンピューターです。様々な情報を分析・統合して、未来を予測するために開発設計されています」
「未来を予測?」
つい口に出して問いかけてしまうと、シーモアはおもむろに首肯してみせた。
「最終的には、私たち人類の未来――つまり、絶滅回避のための方策を立てるのが目的です。例えば将来大規模な災害が起こるとして、サミュエルはそれを予言できます。隕石の落下であれ、または攻撃的な宇宙人の襲撃であれ、適切なデータさえあればサミュエルに予測できないものはありません」
「宇宙人ね。そりゃスゴイ」
皮肉ってやったのに、シーモアは大真面目なようだ。こちらが感心しているのだと勘違いしているのか、はたまたデトロイト市警の刑事など端からナメられているのか、シーモアはさらになにがしか専門的な事柄について、科学者たちに解説しはじめていた。
それにしても――予測といえばよく捜査の時に、コナーやポンコツがソフトウェアで計算だの物理演算だのをしているようだが。
あの鉄の筒の中には、それと同じようなことを、もっとすさまじい精度でやってのけるスーパーコンピューター様が鎮座ましましているというのだろうか。
評価する気にはならないが、まあ、それなりにすごいことをやってのけようとしているのは汲んでやってもいい。
そう考えていると、シーモアはこちらに向き直り、こう言った。
「そして明日のイベントでは、サミュエルの力の一端をお見せする予定です。つまり」
と、窓の下を指さす。
「バルーンを飛ばします。デトロイト市内にある、すべての小中学校に向けてね」
どういう意味だ――?
と、ギャビンのみならずその場のほぼ全員が眉を顰めた。シーモアはさらに続ける。
「つまりですね。サミュエルの機能を使えば、明日のデトロイト市内の天候・風量・気流の動きを100%予測可能です。そこでさらにサミュエルに、任意の地点にバルーンを飛ばすための計算を行わせます。我々人間が、彼の予言の通りに働けば――この色とりどりのバルーンが、小中学校で待つ子どもたちみんなのもとに届くというわけです。イベントの一環としてね。素敵でしょう?」
米露双方の国旗の柄をした風船をコンソールの下から取り出して、シーモアはにこりと笑う。
それに合わせて、科学者たちは拍手を行っていた。よく見ると、ドルークも拍手している。
「おい、てめえ」
今一つ納得がいかず、ギャビンは備品の脇腹を肘で小突いて問う。
「気流がどうとか風船がどうとか、自慢になるモンなのか?」
「はい、リード刑事」
ポンコツは静かに頷いた。
「私や兄さんであっても、市内の天候・風量・気流の完全なる予測計算は不可能です。60%程度の予測なら可能と認識しますが、少なくとも、バルーンを任意の場所に飛翔・到着せしめるのは不可能かと」
「ほお」
――なるほど、そういうことなら確かにあれだけ自慢するのも当然なのだろうか。
そこまで考えて、なんとなく、背筋にぞっと寒気が走るような気がした。
未来の完全なる予測、絶滅の回避。
確かに誰だって絶滅はしたくないだろう。少なくとも自分の代では。
だがもし、本当に未来のすべてが完璧に予言されてしまったとしたら――自分の未来に起こる出来事の全部があの鉄の筒に掌握されている世界になったとしたらどうする?
犯罪が予言されてしまうから警察が要らなくなる、なんて話では収まらない。
未来が全部わかっているのだとしたら、
そこまで考えて、ギャビンはケッと自ら吐き捨てた。
何が予言だ、バカバカしい。だいたいこの世の予言者だのなんだのは、インチキ野郎か詐欺師か、でなければイカレ野郎と相場が決まっている。
あの鉄の筒だって、なんだかんだいってただの機械だ。人間のほうが格上だ。
そんなことを考えている間に、シーモアはコンソールの前に移動していた。
「では、今日のところはサミュエルに簡単な質問をしてみましょう。彼には――そう、アンドロイドのような人格は存在しません。こちらの質問に対し、計算結果を文章で示す。我々の間柄はそういうシンプルなものなんです」
笑いを取ろうと思ったのか、シーモアは一人でハハハと笑った。
それから、コンソールに設置されたマイクに向かって話しかける。
「サミュエル、明日のイベントの成功確率は?」
携帯端末に搭載されているバーチャルアシスタントに問いかける時のように、気楽な調子だ。
すると数秒あってから、コンソールのディスプレイに文章がゆっくりと表示される。
そして――
「は……?」
シーモアの笑顔が、初めて消えた。
画面にはこう示されていたからだ。
『成功確率:0%』
「ゼロ……?」
80でも60でもなく、ゼロ。
それはイベントが確実に失敗に終わるということを表した数字。
凍り付いたように固まっているシーモアと科学者の連中の背に、そっと尋ねる。
「おい、壊れたんじゃないのか?」
「そ、そんなはずは!」
慌てた様子で両手を宙にさまよわせながら、シーモアは頭を振った。
「すぐに条件を特定して……原因の調査を。予測不可能な事態に襲われる可能性さえ消してしまえば……」
ぶつぶつ言いながらキーボードを叩くシーモアの周りに、サイバーライフの連中がわらわら集まってくる。
一方でドルークと科学者たちは、隅に追いやられるようにしてぽつんとしていた。カレフはマイペースに、どこかから取り出した嗅ぎたばこを鼻に押し付けている。
そりゃ確かに、イベントが潰れようが風船が飛ばなかろうが、こちらは痛くも痒くもない。せいぜいサイバーライフが恥をかくくらいなもんだろう。
だがくだらないと吐き捨てて、この場を去る気にもならなかった。さっきから、鼻筋の古傷がまたぼんやりと痛みはじめたからだ。
「おい」
「はい、リード刑事」
傍らのアンドロイドに呼びかけると、どうやらポンコツはポンコツなりに、状況を理解できていたようだ。
「私に実行可能な範囲に限定されますが、原因の予測調査を行っています。仮にイベント失敗が犯罪行為に起因するものだった場合、未然の防止が可能かと判断します……」
と語っていた備品のこめかみのLEDリングが、にわかに黄色く点滅する。
どうやら外部と通信したようだ。
「リード刑事。哨戒中のバターカップから連絡が」
その言葉に、シーモアたちが振り返る。
それに合わせてアンドロイド刑事はさらに言った。
「爆発物を搭載した正体不明のドローンが、サイバーライフタワーに接近中とのことです。宅配用ドローンを悪用した犯行と推測します」
「爆発物だあ……?」
ドローンに積み込める程度の大きさのものが、果たしてイベント不成功の原因になんてなるんだろうか? 疑問は尽きないが、しかし、実際に飛んできているというのなら対処は簡単だ。
「なら、空中で撃ち落とすか」
「同意します。狙撃により空中で破壊すれば、人的被害は皆無と判断します」
こともなげに備品は語る。まあ、こいつの腕ならそれくらいできるだろうとは思っている。でなければ困るのは自分だ。
「おら、シーモアさんよ」
ギャビンは親指で自分の後方を指して言った。
「調査だの計算だのは後だ。俺たちをとっととここから出せ」
「えっ……」
「『えっ』じゃねえよ」
腰につけているバッジを手に取り、見せつけるように突き出してやる。
「デトロイト市警の刑事が
――そこから後は、話が早かった。
ギャビンは常に、自分の車のトランクに非常用のライフルを載せるようにしている。いつなんどき拳銃では対抗できないヤツに出くわしても実力の差を見せつけられるように、だ。そして今回、それは正しかったのだと証明された。
こちらが移動して準備している間に、ポンコツ備品は狙撃ポイントを策定していた。後はライフルを持たせてそのポイント、つまりはWGMホテルの屋上まで行くだけのことだ。
「……で、なんであいつまでついて来る?」
数分の道のりを車で急ぐ中、ちらりと横の歩道を見やる。
そこでは漆黒の機体が、周囲の人間のぎょっとした視線などものともせずにこちらを追走してきていた。
「これは俺の
「私にも、ドルークの思考は不明です。しかし、推測は可能です」
備品は静かに言った。
「私たちの活動の監視が、彼の目的かと判断します」
「監視だ? ンなことして、なんの意味が……」
言ってるさなかに、はたと気づいた。
「あぁ、なるほど。向こうのお偉方も、サイバーライフの最新鋭の技術に興味津々てワケね」
「しかし、私の任務実行に支障は皆無です。また、仮に私に予測不能のトラブルが発生した場合、ドルークに狙撃を委任することも可能でしょう」
「必要になりそうなのかよ?」
そろそろ目的地の前に着く。
横目で備品を見やると、相手は首をゆっくりと横に振った。
「……大丈夫。狙撃は容易と認識します」
「じゃ、てめえのニンシキがポンコツじゃねえように祈ってるぜ」
この件を片付ければ、サイバーライフに貸しが作れる。そうすれば、あの湖底の施設をもっと調べられるかもしれない――
そのためには、アンドロイド刑事にはぜひとも狙撃を成功させてもらわなければならない。
それだけのシンプルな話だ。画いた絵図の通りに事が運ぶのであれば、こちらとしても文句はない。
そして結局のところ、狙撃は簡単に成功した。
どうやら――携帯端末を切ったり、施設に移動したりしていたので知らなかったのだが――市内の工場で爆弾騒ぎがあり、その容疑でハンクとコナーが追っていた犯人が、苦し紛れに飛ばしたのがあの爆弾だったようだ。
狙撃の直前、犯人を取り押さえていたコナーに、ポンコツ備品が連絡を入れていた。
そして今から、ハンクどももこっちに合流するつもりらしい。
――今日は連中の顔を拝まずに済むと思ったんだがな、面倒くせえ。
ひっそりと佇む(結局何をしに来たんだって感じの)ドルークをちらりと睨んでから、ぶへえと息を吐いた。
うんざりしながらもとりあえず、端末からシーモアたちに連絡を入れる。
「成功した。で、そっちは?」
「……それが」
――せっかく見事に撃ち落としてやったというのに、相手の声の調子は暗く沈んだままだった。
それもそのはず。
サミュエルが吐き出したのは、またも不吉な予言だったからだ。
イベントの成功率はなおも0%。
しかもその原因は――
変異体の大規模な反乱にある、という。
(友達/The Newest Two おわり)