摩天楼にて鍵と檻は   作:愚者_揮毫

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まずは冒頭……本当は短編で書くつもりだったんですが、ちまちまと続けたいなと
二次創作ですので、何かあったらすぐに削除する心持ちでございます。


摩天楼にて彼女は降り立つ

 混沌意思カオス。

 それは、全能存在ギャラクセウスでさえ、存在を予期することのできなかった存在。

 

 カオスはあらゆる世界のヒーローを、ヴィランを取り込み己の世界「ケイオースシティ」へと閉じ込めた。

 

ヒーローとヴィラン

正義と邪悪。

裏と表のようでありながらも、お互いがその存在を認めあう清濁の関係。

 

 異質とも言えるケイオースシティにまた一人のヒーローが閉じ込められた。

 

彼女の名前はロックピッカー。

 

鍵を開ける力を持つ金髪のヒーローだ。

 

 

「ここ……は?私は確か……」

 

 彼女は本来ここに存在するはずのない存在だ。

それどころかこの世界のどこを探しても彼女を──ロックピッカー──見つけることはできないだろう。

何故なら彼女はここよりも遥か未来に誕生するはずのヒーローだからだ。

 

 全能存在ギャラクセウスの残り香とも言える些細な力を手にし、鍵を開ける力を望んだヒーローである。

 

「そうよ、確か過去を改変しようとしている爆弾魔がいるって聞いてハイドロハンズ先輩に手伝うように言われて……?」

 

 相棒である“防火斧”を腰に下げ呟くように記憶を辿りながらも街を歩く。

建ち並ぶビル群は彼女の知るものと多少の差異があるようだ。

 

「そう……だ、あの爆弾魔……燕尾服なんて着た快楽魔!」

 

 ロックピッカーは直前までの行動を思い出した。

それは、同業であるヒーローに頼まれ快楽爆弾魔を倒すためにとある街を調べていた時だ。爆弾を使うと聞いていたが、まさかクマのぬいぐるみをそのまま爆発するとは思ってもいなかった。

 

「あいつのせいで……そうだ、黒い渦に飲み込まれたんだった。」

 

 爆発による爆風。それによってヒーローの割に華奢な彼女の体は吹き飛ばされ、吹き飛ばされた先が異質な黒い渦。咄嗟に身を捻ったがそのまま吸い込まれたようだ。

 

「思い出したのはいいけれど……ここはどこなのよ。」

 

 あてもなく歩く彼女だったが、突如に響いた爆発音に足を止め振り返る。

 爆発元は先程歩いてきたビルの一つ、その一つが倒壊しまるでドミノ倒しのように倒れてくる。

 

「なにこれ?!」

 

 逃げ惑う人々、誘導する警官なども一様に驚愕に足を止めている。

誰も彼もが我先にとこちらへ駆け込んでくる。まるで肉の波だ。ここには誘導する人も先導する人もいない。尊敬する先輩や一緒に闘ってくれる友もいないのだ。

 

(だったら……私が守る。)

 

 本来の彼女の戦い方は、相手の裏をかき情報を探り、電子機器などを用いて罠を解除する。最終的に物理行使することもあるが些細なことだ。防火斧があれば大抵はなんとかなる。それゆえに表だっての行動はあまり経験がない。しかし、やるしかない。何故ならそれは彼女がヒーローだから。

 

 

「みなさん!こちらです!こちらに来てください、ほら慌てないで!子供もいるんですから慌てないで!」

 

 

 とにかく声を張る。腕を振る。一人でも多くの人を救うためになるべく大きなドーム状のコロシアムに避難させる。徐々に倒れ迫るビルなんか気にしない。

原因を突き止める前に人々を安全なところに誘導しないといけない。

 

「おい、女。てめえはなんだ?」

 

 そう考え行動していたら不意に背後のトラックの上から声をかけられた。

彼女の中のギャラクセウスの力が警鐘を鳴らす。とても低くそして殺気の込められたホンモノ存在感。上を見上げると最初に目に付くのはその拘束具のような重厚な黒の鎧、腕から肩にかけて異様な梯子のようなものが付けられている。

 

 彼女はその人に会ったことがない。否、会ったことはある。

 彼女はその人のことを何も知らない。否、何年もかけて調べている。

 彼女はその人を危険だと思っている。否、救いたいとさえ願っている。

 彼女は思わずその人の名前を呟いた。

 

 

「カースド……プリズン?」

 

それが彼女と星さえも悲鳴をあげる暴君との邂逅であった。

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