化物のヒーローアカデミア 未完   作:濁り丸

12 / 14
 1-Aクラスとの話が出来なかった。次回に回します…
 一話あたりどれ位の文字数が良いのか…難しいですね。


第12話~悪の決意~

 

 ヒーローは遅れてやって来ると言うが今回、完全に間に合わなかったオールマイトは現在、事の顛末を相澤から聞いていた。話を聞くにつれてオールマイトの顔色はどんどん悪くなっていく。

 

 「つまり今回のヴィランの狙いは私だったと言う事か…1-Aの皆を助けた際にはヴィランの目的については分からなかったからね。それと不屈少年!私は君を誤解していたようだ…生徒達からヴィランの仲間である可能性があると聞かされた時に、私も君を疑ってしまった…本当にすまない!!」

 

 オールマイトは腰を90度に曲げて謝罪する。不屈は慣れているから大丈夫ですと自嘲気味に笑って許した。オールマイトは不屈に何かを言ってあげたかったが、それより先に話を振られてしまった。

 

 「…俺のことは良いです。それより他の皆は無事なんですね?」

 

 「幸いにも大きな怪我人は、緑谷少年が個性に耐え切れずに右腕を折ってしまっただけで、他は軽傷が数人出た位だね」

 

 「良かった…」

 

 不屈は表情に安堵を浮かべる。其の実、あの男が生徒達に会って来たと聞いた時には最悪、死人が出ているかもしれないと気が気ではなかったのだ。

 

 (不屈少年…君は人から負の感情を向けられることに慣れすぎてしまったんだね)

 

 クラスメイト達の無事を知って安堵する不屈を見たオールマイトと相澤の二人は、胸を締め付けられる思いだった。しんみりとしてしまった空気を変えようとオールマイトは話題を変えた。

 

 「それにしても相手は本当に手練れだったみたいだね。これ程の惨状になるとは…」

 

 そう言ってオールマイトは辺りを見渡す。USJ内は最早無事な所を探す方が難しいほどに破壊し尽くされていた。

 

 (一体『先生』と呼ばれるヴィランはどれ程の力を持っていたのか…何より圧倒的な力を持っていながら倒れた相澤君を狙う狡猾さ…似ている"奴"に)

 

 オールマイトはある人物を思い浮かべていた。自分がその命を懸けて殺したあの男の事を…

 

 「親玉はあそこだね?」とオールマイトは一際大きなクレーターの中心を指差す。不屈は頷いて肯定を示した。

 

 「私も確認しよう。不屈少年。すまないが相澤君を抱えて一緒に来てもらえないかい?相澤君が見てくれているならヴィランは何も出来ないみたいだからね」

 

 オールマイトの指示に従い、不屈が先生を抱えようとしたが相澤が「肩を貸してくれれば歩ける」と断った。少し残念そうにする不屈だった。

 

 不屈が手を伸ばしたその時だった。クレーターの中心から声が聞こえたのは。

 

 『だから言っただろう…僕は"一人"じゃないと』

 

 「不味いッ!」

 

 オールマイトが声を上げた時にはもう遅かった。相澤の背後から発砲音がしたかと思えば、右脇腹を撃たれていた。後ろを振り返れば黒いヘドロの中で銃口のみがこちらに向けて突き出ていた。相澤は個性を発動させてヘドロを止めるが既に意味はなかった。

 

 不屈が「相澤先生!」と倒れる相澤を支えるが、思った以上に出血が酷かった。オールマイトはすぐさま指示を出した。

 

 「不屈少年!相澤君を急いで学校へ連れて行くんだ。保健室にリカバリーガールがいる!」

 

 不屈は一瞬迷ったが、直ぐに「はい!」と返事をして相澤を抱えて外へと飛び出した。

 

 (オールマイト先生の心配をしてしまうなんて俺は馬鹿だ。今は相澤先生の命が最優先!)

 

 不屈達を見送り、オールマイトがクレーターの方に目を向けると、床から広がる黒い霧に先生が飲まれていく光景だった。先生と呼ばれるヴィランに個性を使用する力は残っていなかった。なら考えられる理由は自ずと一つになった。

 

 「まだヴィランが潜んでいたのか…」

 

 『僕の人望も捨てたものじゃないね』

 

 先生の声を聞いたオールマイトの顔が驚愕に染まる。その直後に余りの怒りからか全身を震わせ、絞り出すようにオールマイトは声を出した。

 

 「その声は!…よもやあの怪我で生きていたとは……"オール・フォー・ワン"!!」

 

 「今回は君の継承者には手酷くやられたよ…でも僕は諦めない。君達の全てを”奪う”!その為ならば僕も持てる全てを懸けよう!……()正義(君達)を殺す」

 

 不屈とオールマイトへの宣戦布告をしてオール・フォー・ワンは霧の中へと消えていった。しかし、それだけでは終わらなかった。霧の中から今回の襲撃の主犯格の一人である死柄木が顔だけを出して叫んだのだ。

 

 「お前らが!!嫌いだ!!!」

 

 「お止め下さい!死柄木 弔!!早く撤退を!!」

 黒霧が目的は達したと直ぐにワープゲートを解除した。消えゆく霧の中で死柄木は、オールマイトに憎悪が籠った目を向けて殺害を宣言した。

 

 「絶対に殺してやる!!」

 

 オールマイトはオール・フォー・ワン達が消え去った場所を見つめる。次に会った時にはお互いがその全てを懸けた、文字通り死闘を演じる事になる確信があった。しかし、オールマイトはどうしてもオール・フォー・ワンに言いたいことがあった。

 

 「オール・フォー・ワン…君は大きな勘違いをしている。どうしよう……不屈少年を巻き込んでしまった」

 

 オールマイトは不屈を巻き込んでしまった事を愁い、物理的にも精神的にも萎んでしまった。こうしてUSJ事件は主犯格の逃走を許した、完全勝利とは言えない結果に終わった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 数十分後、USJには応援に来た教師陣が到着した。根津校長以外の教師は倒れているヴィラン達の捕縛に向かい、オールマイトが根津校長に今回の事件の説明を行っていた。主犯格を相澤と不屈が倒したが、仲間はもういないと油断したせいで逃走を許したことや相澤がその際に怪我を負ったため、不屈が相澤を連れて学校に向かった事。そして何よりも…

 

 「今回のヴィランの親玉は本当にあの"オール・フォー・ワン"だったんだね?君がその体になってまで殺したはずのあの男が生きていたとは…信じたくない事実だね」

 

 「私もです。ですが奴の声を聴き間違えるはずがありません。そして何よりも悪のカリスマとも言うべきあのプレッシャーは以前のままでした。奴は不屈少年を私の継承者と勘違いしている。絶対に私達二人を今後狙って来ます!」

 

 根津校長は下顎に手を当てて思案する。

 

 (オールマイトと不屈君の二人が死ねば、僕達に勝機は無くなる。今回の件でオール・フォー・ワンを取り逃がしたのは失態だけど、不屈君が此方の味方であることが分かったのならお釣りがくる。このUSJ内の惨状を見ただけでも常人が立ち入れる領域で無い事は分かる。…それなら)

 

 「オールマイト。君には不屈君を守る意味も込めて教師を続けてもらうよ。絶対これから来るであろう決戦に彼は必要になるさ!」

 

 オールマイトは渋い顔を作り、「不屈少年を戦わせるのですか?彼はまだ子供です」と反対したが、根津校長は既にそんなことを言っていられる事態ではないと意見を突っ撥ねた。

 

 「君だって嘗ては学生の頃にオール・フォー・ワンと対峙しているだろう?不屈君は既に命を懸けた戦いに身を投じてしまっている。戦いを遠ざけることが危険から遠ざける事には繋がらないよ。彼は一度オール・フォー・ワンに勝利した。君以外に誰も成し遂げたことない偉業だ!僕らが勝つためにも不屈君は絶対に必要なのは分かるね!」

 

 その後、オールマイトは「しかし!」と食い下がったが、根津校長が取り合うことはなかった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 極力揺らさないように注意を払いつつも不屈は現在、相澤を背負って猛スピードで学校に向けて移動していた。途中クラスメイトの皆とすれ違ったが、説明をしている暇は無かったので制止を振り切って学校に向かっていた。

 

 「…すまなかった……不屈」

 

 相澤は霞む意識の中、力ない声で不屈に謝り始めた。

 

 「……俺はお前を危険な存在だと思っていた…お前のことを何も知らなかったのに…だ…」

 

 まるで最後の言葉の様に話す相澤の謝罪を遮って、不屈は話を始めた。

 

 「…俺の目を見て話をしてくれた先生は、相澤先生…貴方が初めてでした。今まで誰も俺と目を合わせてくれなかった。だから…嬉しかったんです。今回の戦いも相澤先生がいなければ勝てませんでした。勝て!って、一人じゃない!って応援してくれたから俺…」

 

 不屈の目から涙が流れた。

 

 「だから最後みたいなこと言わないで下さい。まだ、今日の駄目出しだって貰ってないんですから!」

 

 「あぁ…勝手に飛び出したことに説教もしてなかったな」

 

 「そうですよ…」

 

 相澤は一人愚痴るように呟いた。

 

 「…全く教師も楽じゃない」

 

 相澤は気力を振り絞って意識を保つのだった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 保健室でリカバリーガールはため息を吐いた。ヴィランの襲撃を先程知ったからだ。教師たちが助けに向かったが、もしかすると生徒達の中に死人が出ているのかもしれないのだ。憂鬱な気分にもなる。

 

 「はぁ…全く嫌になるね」

 

 怪我の手当ても必要になるかもと、準備をしようと立ち上がった時だった。

 

 突然窓側の壁が吹き飛んだのは。まさかヴィランの襲撃がここにも来たのかと警戒をした時だった、煙の中から相澤を背負った不屈が現れたのは。不屈は「急患です」と相澤先生をベッドに寝かせた。

 

 「…壁まで壊しといて急患じゃなかったら、私が怒ってたよ!」

 

 多少の動揺を見せたリカバリーガールだったが、直ぐに相澤の状態の確認を始めた。リカバリーガールがプロで無ければこうはいかなかっただろう。

 

 「全身の打撲と右脇腹からの大量出血…銃で撃たれたみたいだね。全く無茶をしたねイレイザーヘッド!」

 

 不屈は「相澤先生は大丈夫ですか?」と不安げに聞いた。リカバリーガールは傷の確認をしながら答えた。

 

 「大丈夫だよ。あんたが連れて来るのがもう少し遅かったら危なかっただろうけどね。酷いのは出血だけど、ここには輸血パックもあるから心配するんじゃないよ!」

 

 不屈はリカバリーガールに「宜しくお願いします」と頭を下げた。

 

 (全く良い生徒を持ったじゃないかい。イレイザーヘッド)

 

 リカバリーガールは急いで治療を開始した。その後、腹に残った銃弾の摘出とリカバリーガールの個性による治療、大量の輸血を行った相澤は何とか一命を取り留めた。

 




 お気に入り登録ありがとうございます。
 感想いつもありがとうございます。とても励みになっています。
 誤字報告本当にありがとうございます。
 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。