化物のヒーローアカデミア 未完   作:濁り丸

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第2話〜合格〜

 結果から言えば、俺は雄英高校ヒーロー科に合格していた。

 

 ただ説明会場で座っていただけなので何の達成感も無かった訳だが、よくよく考えた結果。雄英高校レベルになれば、態々個性を使用した戦闘をしなくても実力が分かるのだと逆に感心してしまった。多分戦闘力や適性が分かる個性を持った先生がいるのだろう。流石雄英恐るべし。

 

 雄英のレベルの高さに加えてもう一つ驚くことがあったのだが、なんと今年からNo1ヒーローのオールマイトが雄英の教師を勤めるらしい。なぜ俺がそんなニュースのトップを飾るような情報を知っているかというと、雄英の合格を伝えてくれたのが他でもないオールマイトだったからだ。

 

 実技試験の数日後に、自宅に届いていた良く分からない機械からオールマイトが立体映像で投影され、『突然私が出てきてびっくりしている事だろう、何を隠そう私も今年から雄英に勤めることになったからなんだ。合格おめでとう!不屈少年ここが君のヒーローアカデミアだ!』とお祝いの言葉をくれたのだ。

 

 俺は特段オールマイトが好きではなかったし、寧ろ嫌いだった。理由は簡単に言うと嫉妬だ。超パワーという点でみれば俺とオールマイトには共通点がある筈なのに、ヒーローとヴィラン、神と悪魔、勇者と魔王位の違いがあるのだ。同じ力でなぜこうも違うのかと俺を陰鬱とした気分にさせる存在だった。

 

 しかし、今回の『合格おめでとう』の言葉で俺はオールマイトのファンになってしまった。難関と言われる雄英に合格したのに、お祝いの言葉をくれたのがオールマイト以外にいなかったのが理由だ。チョロいと言いたければ言えばいい!

 

俺に『ありがとう』、『おめでとう』等の好意的な言葉をくれる人間など殆どどころか全くいないんだぞ!逆に『ごめんなさい』、『許してください』、『命ばかりはどうか』と言った謝罪や命乞いをする人間は腐るほどいるけどな。

 

 こういった経緯を経てオールマイトのファンになった俺は動画サイトで彼の活躍を調べていたわけだが、結構参考になる技というか動きが沢山あった。高校が始まるまでの3週間に練習して、習得した時にはオールマイトに見てもらおう。

 

 

 強くて立派なヒーローになるために頑張るゾ!

 

 

 

 

 

 

*** 

 

 

 

 

 

 波乱に満ちた一般入試を乗り越え狂喜乱舞していた教師達だったが、ぼさぼさの黒髪と無精ひげが特徴的な『イレイザーヘッド』”相澤(あいざわ) 消太(しょうた)”の『…ところで誰が今回の原因の担任なんですか?俺じゃ奴は抑えられない』の発言で完全に停止してしまった。

 

 明らかに異形系の個性である奴に相澤の個性は意味がない。それに加えて奴は見た目からも分かるように、間違いなく身体能力によるゴリ押しが得意なタイプであるため、相性は最悪だろう。

 

 こうなると今年クラスを受け持つ予定だった、下顎から突き出た牙と左頬にある十字傷が特徴的な『ブラドキング』本名”(かん) 赤慈郎(せきじろう)”に視線が集まるが、彼も難しい顔をして『俺の操血でも拘束は難しいだろう。ミッドナイトであれば或いは…』と役目をパスしていた。話を振られた『ミッドナイト』と呼ばれた眼鏡と左目にある泣き黒子がセクシーな"香山(かやま) (ねむり)"は不安げな表情で『私の個性じゃ眠らせる前に多分ヤラれちゃうわ』と告げたことで会議室は完全に沈黙した。

 

 沈黙に支配された会議室の空気を破ったのは、右目に傷のあるネズミ?だった。

 

 ネズミ?の根津(ねづ)校長が『皆そんな不安そうな表情をしないでくれたまえ。既に解決策は考えてあるのさ!』と発言した瞬間に、会議室は陰鬱とした空気から一転して「流石校長先生だ!」と歓声が上がった。校長は続けざまに『今年からオールマイトが我々と同じ教師になることは知っているね。彼が入ったクラスの副担任をオールマイトにお願いして彼が暴れた際に抑えてもらうのさ!流石に彼もオールマイトには勝てないだろうからね』と自信満々に話を締め括った。

 

 この時の校長の判断は最善のはずだった。唯一の誤算は奴の力を甘く見たことだろう。この時の判断が原因で自慢の白い体毛に十円禿が出来ることは『個性:ハイスペック』を持つ彼にもまだ分からなかった。

 

 クラス分けも何とかなりそうだと安堵に包まれる会議室は、相澤の『結局担任は誰になるんですか?』と言う言葉を切っ掛けに押し付け合いが始まり、話の収集がつかなくなった頃に根津校長の『じゃんけんで決めれば良いのさ!』という提案によって、大の大人達による世界一必死なじゃんけん大会が開催され、数十分にも及ぶ死闘の末、相澤に決定した。

 

 この時のことを相澤は後に後悔を滲ませてこう語っている。

 

 『あの時なぜ俺はパーを出したのか…合理的に考えればグーを出すべきだった。もし過去に行くことが可能ならば俺は自分の指を折ってでもグーを出させるだろう』

 

 

 このような経緯を経て不屈 化物君の担任が相澤 消太に決まった。そして、相澤が胃の治療の為にリカバリーガールの元に通い詰めるようになる未来が確定してしまった瞬間でもあった。

 

 




 感想、お気に入りありがとうございました。細々と続けていければと思います。
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