化物のヒーローアカデミア 未完   作:濁り丸

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 本格的な戦闘は第7話~戦闘訓練・裏~で予定しています。


第6話~戦闘訓練・表~

 物間は現在、クラスメイトの塩崎(しおざき) (いばら)に全身を個性である頭から生える茨を用いて拘束され、教室へと連行されていた。理由は食堂にて物間が、不屈を見つけた瞬間に暴走したためであった。周囲には物間を囲むように、先ほど食堂で不屈に謝罪していた拳藤(けんどう) 一佳(いつか)、強面の鉄哲(てつてつ) 徹鐵(てつてつ)と紫色の逆立った髪と濃い隈が特徴的な"心操(しんそう) 人使(ひとし)" のクラスメイト三人が、物間が万が一にも脱出した時の為に控えている。道行く生徒達から何事かと奇異の目を向けられるが、物間を止められるのなら安いものだ。

 

 「放してくれ塩崎。僕はまだ怪物男にっ!」

 

 拳藤は未だに抵抗を試みる物間に対し、呆れを通り越して怒りを覚えていた。

 

 「それを止めろって言ってんのが分かんないの物間!茨!もっと締め上げて!」

 

 「ああ、怒れる破壊の神を呼び起こさぬ為にも、これは必要な事なのですね。お許し下さい」

 

 拘束に使用する茨が更に増え、物間は首から上以外に見えている所が完全に無くなった。

 

 「痛い!痛いよ塩崎!僕はあの怪物男に調子に乗ってるなら容赦しないと宣戦布告をしに行こうとしただけだ!僕等B組は君の引き立て役になるつもりは無いとね!」

 

 あの不屈に宣戦布告をしに行こうとする胆力には尊敬の念すら抱くが、まだクラスメイトになって間もない人間が壁のシミになりに行こうとするのを止めないかと言えば話は別である。入学式に参加しなかったりと特別扱いされているA組が気に食わないと言う、物間の気持ちが全く分からない訳ではなかった。しかし、相手は選ぶべきだろうと思う鉄哲だった。

 

 「物間ぁ気持ちは分かるがよ!お前ぇも入試で知ってんだろ?アイツはヤベーぞ!!」

 

 必死に物間を止めようとする鉄哲の言葉に、心操は既視感を覚えた。中学の頃に自分の個性を知ったクラスメイト達が、よく似たような言葉で自分に近付くことを止めていた事を思い出した。ヴィラン向きの個性と呼ばれた自分とヴィランの様な見た目をした不屈に一体どれほどの差があるだろうか。

 

 (もしかしたらアイツも俺と同じように”恵まれなかった人間”なのかもな…)

 

 記憶に残る、一人で食事していた不屈の背中が小さく寂し気になったような気がした。見た目通りに凶悪な奴かもしれない。それでももし、不屈が自分と同じような悩みとヒーローに憧れを持っている人間だったら、話をしたいと思う心操だった。

 

 

 不屈と心操が心の痛みと目標を共有しあえる存在になるかはまだ先の話だ。

 

 

 その後も抗議し続ける物間に、拳藤は初めて首に向けて手刀を放ち、物間の意識を断ち切った。以降も物間の暴走を止めるために頻繫に使用されるようになったらしい。拳藤の苦労が始まる。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 グラウンド・βに1-A組の21名全員が揃った。皆コスチュームを着ているので、並んでいるだけで壮観の光景だ。全身タイツの様なコスチュームが多かったが、なんと自分と似た上半身裸のコスチュームの男子がいたのだ!赤い逆立った髪が目立つ切島君に親近感を覚えていると、オールマイト先生が『いいじゃないか!皆かっこいいぜ!』と褒めてくれた。真面目そうな飯田君?(フルフェイスのコスチュームで自信はない)がどういった戦闘訓練をするのか聞いてくれた。

 

 「今回は屋内で対人戦闘訓練を行うよ!君らにはこれからヴィランとヒーローに分かれて2対2の屋内戦を行って貰う!ヴィラン退治は主に屋外で見られるが、統計で言えば屋内の方が凶悪ヴィランの出現率は高いんだ。真に賢いヴィランは闇に潜む!屋外ではないため、建物に対する被害にも注意することを頭に入れてくれ!」

 

 建物を壊さないために手加減が必要になるわけか。結構難しいな。

 

 クラスメイト達はオールマイト先生に『勝敗のシステムはどうなります?』、『どのような分かれ方をすればよろしいでしょうか?』、『ぶっ飛ばしてもいいんすか?』など一度に沢山の質問をし、応えきれずに困っている様子だった。オールマイト先生は腰の辺りをガサゴソと漁り、カンペと思われる紙を取り出して説明を再開した。

 

 設定はヴィランチームは核をビルの中に隠していて、ヒーローはそれを処理することが目的、勝利条件は制限時間内に相手を捕まえるか核に触れる事、もしくは守り切る事が条件だ。コンビはくじで決めるらしく、適当だと思ったが急なチームアップを想定してのくじ引きだ。なるほどよく考えられているな。

 

 人と協力してなんて中学時代の田中君との体育の授業位だけど、上手く出来るように頑張らないと!

 

 あれ?オールマイト先生は2対2と言っていたが自分たちは合計21人だ、一人余る。当然みんなそれに気付き質問するとオールマイト先生は『それだが昨日の個性把握テストで一位だった不屈少年には、特別に一人で挑んで貰おうと思う。順番は最後に、対戦相手は立候補にしようか!』と言った。

 

 ……え?聞き間違えかな?俺また一人ぼっち!?

 

  オールマイト先生が『それで良いかな不屈少年?君なら多対一にも十分対応可能だろう!』と聞いてきたが『あ、はい』と答えるしかなかった。

 

 その後、皆が楽しそうにくじ引きしているのを見ていたぼっち不屈です。プラスに考えればそれだけ実力を買われていると言う事だ。若しくは個性把握テストで皆が真剣に取り組んでいるときに、友達作りを目的にしていた報いだろうか。甘んじて受けよう。

 

 戦闘訓練は一試合目から爆豪君と緑谷君が熱いバトルを繰り広げていた。音声がないので詳しくは分からなかったが、雰囲気から喧嘩に近いような気がした。結果は緑谷君が超パワーを発揮しビルを破壊した隙に、麗日さんが飯田君を飛び越えて核を回収した。八百万さんも言っていたが、爆豪君はなんでペアの飯田君と協力しなかったのだろうか?そうすれば勝てたと思うんだけどな。

 

 緑谷君は片腕が個性把握テストの時と同じように変色してボロボロになっていた。個性が超パワーなら何で加減しないんだろうか?俺も超パワーみたいなものだしアドバイスできるかも!

 

 第二試合は轟君が氷で無双していた。ヴィラン側の透明人間な葉隠(はがくれ)さんと尻尾が生えてる尾白(おじろ)君どころか、味方の腕が6本ある障子(しょうじ)君にも何もさせないで勝ってしまった。氷を大規模で使用できるのはとても強い個性だなぁ。

 

 第三、第四、第五試合もけが人もなく無事終了し、いよいよ俺の番になったわけだが、対戦相手は誰だろう?

 

 「最後は不屈少年か!皆の反省点を踏まえて頑張るんだぞ!それでは不屈少年と戦いたい人は挙手を!」

 

 「俺だ!」「俺が…」

 

 オールマイト先生の呼びかけに立候補してくれたのは爆豪君と轟君の二人だった。良かった。もし誰もいなかったら泣いていたぞ。二人共高い実力があるし皆にいいところを見せるためにも頑張らなければ。

 

 建物の前に立ち、開始を待つ。

 

 『くれぐれも屋内戦闘であることを忘れずに、大規模破壊は無しで頼むよ!それではSTART!!』

 

 オールマイト先生のスタートを合図に、俺は拳と拳を合わせ気合を入れると建物の中に足を踏み入れた。

 




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 主人公に早く理解者をと言う感想を頂いたので、早めに心操君を出しました。主人公によって実技試験が無くなった事で起こった原作との変更点ですね。今回の話でA組が21人であることが分かり、B組にも21人目がいることを匂わせ、本来は体育祭編にて判明&登場予定でした。
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