化物のヒーローアカデミア 未完   作:濁り丸

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第7話~戦闘訓練・裏~

 不屈が建物の中へと入っていった頃、オールマイト達がいるモニター室では結果の予想が行なわれていた。

 

 「才能マンの爆豪と轟がいるんだし、不屈に勝つんじゃね?」

 

 戦闘訓練の印象が強いのか、稲妻形の黒メッシュが入った金髪の上鳴(かみなり) 電気(でんき)は数の有利もある爆豪・轟ペアを押した。

 

 「不屈の身体能力もヤベーぞ!個性把握テストも圧倒的だったしよ!」

 

 「しかし、今回は屋内戦です。建物への被害を抑えるのでしたら、体も大きく力を加減しなくてはいけない不屈さんの方が不利ですわ!」

 

 身体能力の高さを理由に不屈が勝つと予想した切島に、八百万が身長が2.5mもある不屈が屋内では身体能力も発揮し辛いので不利になる事を告げる。この時、オールマイトを除く生徒達は、ある程度接戦が見られると考えていたのだ。

 

 (確かに爆豪少年も轟少年も才能溢れる存在ではあるが、今回の"敗北"を糧に二人には成長して貰いたい!)

 

 オールマイトは不屈の勝利を半ば確信していた。

 

 (折角の2対1を活かせないんじゃ意味が無いぜ!少年達よ)

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 少し前に戻り、戦闘開始前。

 

 爆豪と轟の二人は言い争いをしていた。

 

 「だぁかーらー!!半分野郎は炎中心で戦えって言ってんだろ!俺は汗が出る程威力が増すんだよ!氷使われると邪魔なんだよ!クソがっ!!」

 

 「悪いが戦闘において()を使うつもりはねぇ!核を一番上に置いて、残りの階を半分ずつに分けてそれぞれ守れば良いだろ…」

 

 相性が悪かったのだろう。お互いに自分を曲げるつもりが無い事と、初めから協力する気がないせいでコミュニケーションも上手くいっていなかった。

 

 「スカしてんじゃねーぞ!半分野郎!俺が下の階だ!テメーの出番なんてねーから上で死んでろっ!!」

 

 「…緑谷にも勝てなかったくせに自信あんな」

 

 轟が爆豪の心の地雷を踏み抜いた。爆豪は元々吊り上がっていた目を更に吊り上げて轟に掴み掛かる。

 

 「今…なんつった?化け物野郎の前にテメーをぶっ殺してやろうか?あ゛ぁ゛!!」

 

 「時間、もう始まんぞ。さっさと下に行けよ」

 

 「ーーッ!!クソがっ!死ねっ!」

 

 こうして協力関係を築くことが出来ないどころか、関係が悪化した二人は上と下に分かれてしまった。

 

 

 この時、通信機越しに爆豪と轟の余りにもあんまりな会話を聞いていたオールマイトは頭を押さえた。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 「クソがっ!!」

 

 爆豪のフラストレーションは頂点に達していた。先程の轟の会話、一回目の戦闘訓練で自分に勝った緑谷に個性把握テストで圧倒的な差を見せつけた不屈。自分の思い通りに何も進まない状況に怒り、オールマイトに言われた建物の被害を出すなと言う言葉を忘れるほどに冷静さを欠いていた。

 

 「ぶっ殺してやる!」

 

 不屈から放たれるプレッシャーで此方に近づいていることは分かっていた。爆豪は緑谷の戦いで見せた汗を溜め込む右手の籠手を扉に向けて構える。扉が開いた瞬間に、爆豪は最大火力を放った。

 

 「喰らえ!化け物野郎っ!」

 

 BOOOOOOOOOOOOOOOOM!!!!!

 

 建物を半壊させる一撃が直撃したのだ、爆豪は勝利を確信していた。この時までは。

 

 「…俺じゃなければ死んでたぞ」

 

 煙の中から不屈は何事もなったように無傷で現れた。爆豪は最低でも重傷だと考えていた予想が外れ、狼狽する。

 

 「なんでテメー生きてんだよ!クソがっ!」

 

 「大規模破壊は止められてたはずだ。…違うか?」

 

 「もう一発喰らえや!」

 

 爆豪は先程とは逆の左手で最大火力を放つ。対して不屈は両手を左右に開くと、爆豪の爆撃に合わせて両手を思いっきり打ち合わせた。今度こそ爆豪は驚愕した。自分の最大の爆破が拍手の衝撃波で相殺されたのだ。

 

 「クソがっ!化け物野郎!」

 

 爆豪は半ば自棄になり接近戦を挑むために不屈に突っ込むが、迫ってきたところに両手を掴まれた。籠手を不屈は巨大な手でそのまま握り砕いた。『これで大規模破壊は出来ない』と不屈が呟き、爆豪が抵抗する前にそのまま床に叩きつけた。あまりの威力に床にクレーターができ、爆豪は叩きつけられた衝撃に肺から全ての空気が強制的に吐き出され咳き込む。霞む意識の中で爆豪が聞いたのは「先ずは一人」という言葉だった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 『爆豪少年 戦闘不能』

 

 二度の建物が揺れるほどの爆音の後すぐに、アナウンスで爆豪が捕まったことが流れた。

 

 (思った以上に早かったな)

 

 轟は爆豪が勝てないことは予想していたが、もう少し粘り消耗させると考えていたからだ。爆豪の実力は間違いなくクラスでもトップクラスだった。そしてあの二度の大爆発は爆豪が緑谷との戦闘で見せたものだろう。

 

 (2発もあの威力の攻撃を喰らったのなら少なからず消耗してるはずだ。俺の()で拘束して終わりだ) 

 

 基本戦法を考えていると。遠くから僅かにダッダッダッという足音と、質量すら感じる重圧が凄い速さで此方に近づいてきた。余りの重圧に気付けば膝が僅かに震えていた。

 

 不屈が地を這うような声で『見つけたぞ轟。お前で…最後だ』と声を掛けながら、轟のいる広めの部屋へと入ってきた。今まで不屈が放っていたプレッシャーは自分に対してのものではなかった。それが自分に向くだけでこうも違うのかと轟は戦慄していた。

 

 (クソッ!こうなりゃ最大で!!)

 

 轟もまた爆豪と同じように建物の被害を度外視した最大の大氷壁を放った。個性のデメリットで体に霜が付き、体が寒さに震える。氷はビルの大きさに匹敵するほどの大きさを誇り、常人が直撃すればまず助からないだろう。

 

 (やりすぎたか。急いで溶かさねーと)

 

 轟は勝利を確信し、氷を溶かして不屈を助けるべく近付いたときに異変に気付いた。

 

 氷が独りでに割れだしたのだ。パキパキと音を上げ、次第に罅と音は大きくなり、遂に氷が砕けた。砕けた氷の中から、蒸気を発しながら不屈は現れた。

  

 不屈は『大規模破壊はだめだと言われていたろう…本当は違うのか?』と声を掛けたが、轟に応える余裕はなかった。態勢を整える為に距離を離そうとしたが、寒さで身体能力が下がった体ではろくに動けず、数十秒後には不屈に捕らえられてしまった。

 

 

 『轟少年 戦闘不能よってヒーローチームWIIIIIIIN!!』

 

 

 こうして僅か五分程度で、不屈の戦闘訓練は終了した。

 

  

 

***

 

 

 

 

 オールマイトが不屈の勝利を告げたモニター室の空気は重い。

 

 誰もが接戦になると思っていた戦いが、一方的な蹂躙(ワンサイドゲーム)だったのだ。間違いなく爆豪と轟はクラスでもトップの強さを持っていた。爆豪の最大爆破や轟の大氷壁が繰り出されるたびに、クラスメイト達は爆豪と轟の勝利を確信していた。結果は無傷の不屈が、最大火力を出し打つ手の無くなった爆豪と轟を拘束して終了してしまった。

 

 特に氷の中から蒸気を上げ不屈が出てきた時は、あまりの迫力に悲鳴を上げる者までいた。

 

 

 クラスの中で不屈は圧倒的なNo.1になった。

 

 その後、戻ってきた不屈達にオールマイトは反省点を簡潔に告げ、物凄い速さで去っていった。オールマイトの講評中も爆豪と轟の二人は俯いたままだった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 爆豪君も轟君も滅茶苦茶怖いんだが…

 

 オールマイト先生に大規模破壊は駄目だと言われていたのにガンガン使ってくるんだぜ?何度か駄目じゃなかった?と聞いても返事してくれないし。無視されて辛いです。

 

 クラスメイトの反応も特になかった。

 

 多分オールマイト先生の講評で『不屈少年はもっと回避を意識するべきだね!回避でなくても二度目の爆破を防いだ時の様に、衝撃波で相殺するのが良いよ!』と言われたのだが、回避が下手くそな奴だと呆れられているんだと思う。

 

 やはり”初めて”の戦闘は上手くいかないな。今日の反省点を活かしてもっと頑張ろう!

 

 




 沢山のお気に入りありがとうございます。
 感想ありがとうございます。とても楽しく読ませてもらっています。
 誤字修正してくださる方いつも本当に助かっています。
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