化物のヒーローアカデミア 未完   作:濁り丸

8 / 14
 今回はUSJ前までになります。やっと一つ目の山場にたどり着けそうです。


第8話~予兆~

 戦闘訓練の翌日。

 

 HR(ホームルーム)の時間が始まったのだが、相澤が発する空気は重い。

 

 「昨日の戦闘訓練お疲れ。V(ブイ)と成績貰ったが…轟と特に爆豪。俺はオールマイトが庇っていなければお前ら二人を除籍していた。能力が幾らあろうが、言われた最低限すら守れない人間に雄英(ここ)にいる資格はない。次も同じ様な事をしたら分かってるな」

 

 クラスがざわつく。

 轟と爆豪は顔を俯かせたまま「…はい」「分かってる」とそれぞれ返事をした。

 

 「それと緑谷と不屈。緑谷は腕壊して一件落着じゃ先は無いぞ。お前のは一人救って木偶の坊になる蛮勇だ。個性を制御出来ればやれることは多いんだ。焦れよ緑谷」

 

 緑谷は力強く「っはい!」と応えた。

 

 「不屈はオールマイトにも言われただろうが、敵の攻撃全て受けてたんじゃその内死ぬぞ。世の中には触れただけで殺せる奴だっている。ヴィランには基本何もさせないのが一番だ。覚えておけ」

 

 不屈は「分かりました」と応えてノートを取り出し何かを書き込んでいた。

 

 相澤は一呼吸置くと今日の本題を告げた。

 

 「で、今日のHR(ホームルーム)だが、急で悪いが今日は君らに…学級委員長を決めてもらう」

 

 生徒達は「学校っぽいのキターーーーーー!!!!」安堵と共にテンションを上げた。ヒーロー科と言う事もあり、トップヒーローを目指す生徒達は集団を導くための経験になると多数が委員長に立候補した。

 

 「委員長!!やりたいですソレ俺!!」、「ウチやりたいス」、「僕の為にあるやつ☆」、「リーダー!!やるやるー!!」と多くの声が上がった。中には「オイラのマニフェストは女子全員膝上30cm」と自身の欲望を吐露している者もいた。一向に決まる気配のない中、飯田が投票を提案した結果。委員長には緑谷、副委員長には八百万が選出された。自信なさげな緑谷と、委員長に選ばれなかったことが不満気な八百万の対比が印象的だった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 昨日の戦闘訓練でオールマイト先生に貰った反省点はしっかりとノートに残した。ただのノートじゃ味気ないから表紙のタイトルに『特訓ノート』と名付けてみた。これからもアドバイスを貰ったらここに記していこうと思う。色々学んでいってvol.2とノートを増やしていければ良いな。

 

 いつも通り通学路を歩き雄英の近くまで来たのだが、今日もマスコミが校門に押し寄せている。オールマイト先生の話を聞きたいみたいで最近は毎日いるのだが、俺が近付くといつも離れていってしまい、インタビューに来てくれたことは今の所一度もない。念のためインタビューの内容も考えていたのだが使われることはないだろう。

 

 HRの時間に相澤先生が、昨日の戦闘訓練で駄目だった人に反省点を教えてくれた。

 

 爆豪君と轟君は大規模破壊をしてしまったことみたいだ。昨日二人のことを考えたのだが、初めての戦闘訓練の授業でテンションが上がりすぎてしまって、先生の忠告が頭に入ってなかったんじゃ無いかと思う。初めての個性を使った訓練はやっぱり舞い上がっちゃうと思うし。何にせよ対戦相手が俺で良かった、他の人だったら大怪我してたと考えると胸が痛い。

 

 緑谷君は個性の制御についてだった。先生は厳しい言葉で言っていたけど期待の裏返しの様に聞こえた。緑谷君もとても気合が入っているようで良かった。

 

 勿論俺も駄目な人でした…。やっぱり回避出来ないのは駄目だったみたいだ。世の中には触れただけで殺せるヴィランもいるのかぁ…滅茶苦茶怖いんだけど!そんなの反則だと思うんですけど。『ヴィランには基本何もさせないのが一番』か、相澤先生の経験からくる言葉は為になるな。早速ノートに残しておかなきゃ!俺は特訓ノートに相澤先生のコメントを書き残した。

 

 その後、クラスの学級委員長を決めることになったのだが、皆とてもやりたがっていた。あんまり人気ではない役目だと思っていたけど、嫌なことを率先して出来るとても良い人達なんだろう。最終的には飯田君の提案で投票になった。投票の結果は委員長が緑谷君、副委員長が八百万さんになった。俺はとてもやりたそうにしていた飯田君に投票したけど、飯田君は公平に決めたかったのか自分以外の人に投票していたみたいだ。飯田君は真面目だなぁ。

 

 委員長を決めるので午前中は終わってしまい、お昼になった。午後からは他の委員決めを行うので自分は何委員に立候補しようかな?

 

 何の委員に立候補しようかと考えながら、今日も一人でお昼を食べていた。いつも通り周囲三席分が空いているが、まだまだ友達作りもこれからだ。行く行くは一緒に食べる友達に囲まれる位になるぞ!と決意を固めているときに事件は起こった。

 

 突然前の方から『此処…良いか?』と声を掛けられたのだ。前を向くと紫色の髪が特徴的な男子がご飯をトレーに載せていた。俺は若干パニックを起こしながら何とか『…構わない』と応えた。

 

 あぁ、言い方間違った!座ってくださいお願いしますだろ俺の馬鹿!と、文字通り俺の頭が馬鹿になっていた。

 

 彼は『…ありがとう』と俺の前に座り、食事を開始した。お互い無言で食事をしていたのだが、正直ランチラッシュさんの美味しいご飯の味が全く分からなかった。何この奇跡!物間君以上の友達候補!と小躍りしたいくらいだった。

 

 色々頭がパニックになっている間に、お互い食事が終わってしまった。クソッ!せめて名前をと思って声を掛けた瞬間に彼と被ってしまった。気まずい…。お互い固まっている状態が続き、彼が『あ、あのさ』と再度声を掛けてくれた時に、突然警報が鳴った。

 

 後で分かったことなのだが、何者かに門を破壊されてマスコミが入って来てしまっただけらしい。しかし、マスコミと知らなかった生徒達はパニックになり、一斉に避難を開始したことで出入り口が大渋滞になってしまった。この混乱を収めてくれたのが飯田君だった。機転を利かせた飯田君が麗日さんの個性で浮いて壁に張り付き、侵入者がマスコミだったことを周囲に伝えてくれた。

 

 飯田君はこの功績から、緑谷君の指名で委員長になった。

 

 俺はあのパニックのせいで結局、紫色の髪の彼の名前を聞くこともできなかった。今度見かけることが出来たら俺から声を掛けてみよう。

 

 門を壊してパニックを起こした犯人は絶対に許さん!

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 とあるバー。

 

 

 上半身の各所に掌の装飾を付けた水色の髪の男と、首の装飾以外はバーテンダーの出で立ちをした頭部が黒い霧の様な男は、嬉し気に雄英高校ヒーロー科のカリキュラムを見ていた。

 

 「何が最高の警備体制だ。俺と黒霧(くろぎり)に簡単に盗まれてる。この分だとオールマイトを殺すのも楽勝だ」

 

 「楽観視はお止め下さい。死柄木(しがらき) (とむら)

 

 油断している死柄木に黒霧は苦言を呈するが聞く耳を持っている様子はない。死柄木は自信満々と言った態度で勝てる理由を告げた。

 

 「大丈夫だって。俺達には対オールマイト用のサンドバッグがいる。此奴は"先生"の最高傑作なんだ」

 

 今回の雄英の校門を破壊した犯人が正しくこの二人であり、混乱に乗じてカリキュラムを盗んだのだ。二人は極めて順調に進むオールマイト抹殺計画が失敗するとは考えていなかった。自分達が目的であるオールマイトを殺害し、社会が混乱に包まれる光景を思い浮かべていた。

 

 

 しかし、彼らはまだ知らない。イレギュラー(不屈)の存在を…

 




 沢山のお気に入りありがとうございます。
 感想くれるかた、本当にありがとうございます。いつも励みになっています。
 誤字やルビ機能など教えて下さり、本当にありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。