「どうですか?ひのえさん」
「んー、もうちょっと待ってくださいね」
外は大雨で嵐といっていいほど天気が悪い、普段ならバイトでもなければ家で美耶子とゆっくり過ごしていていたいところだった。
こともちゃんからの連絡を受けて、急遽ひのえさんと一緒に現場に直行して調査を開始したところである。
普段自分は美耶子と組んでるが、生徒達と共に良樹が行方不明、追ってユイちゃんも電話は繋がるが応答が無いため、情報がない。
間違いなく、異界案件な為機敏な動きや羽生蛇村のような、戦闘も想定されるため、美耶子ではなくひのえさんに同行を依頼した。
今回消えた生徒の中にはひのえさんの妹も含まれているらしく、安否が心配だ。俺が着くまでに良樹とユイちゃんが上手くやってくれることを祈るだけだ。
ひのえさんの様子を伺うとまだかかりそうなので、念の為持ってきた、猟銃に異常がないか最終確認をする。通常弾、清めた塩を詰め込んだ物と美耶子に宇理炎の炎を注入してもらった弾の二種類。
宇理炎の弾の方は一発作るたびに大分、美耶子が衰弱してしまう為あまり多くはない。出発前に心配性な美耶子が用意してくれた。
「痕跡はあるけど、繋がりが薄くなってますね。向こうからの干渉がないとこちらから開くのは少し骨が折れそうですよ。」
整備の確認、弾倉の確認、弾薬の配置確認をしていると調査を終えた、ひのえさんが声をかけてきた。
「困ったな……生徒達と同じように儀式をして中に入りますか?」
「入れると思いますが、儀式をしてはいるということは異界のルールに従わなければならない可能性もあるのであまりやりたくないですね。
良樹くんとユイさんがそのルールのせいで身動き取れなくなっている場合、増援の私達も動けないっていう事態は回避したいです。」
「そうですね。店長がいればとりあえず様子見てこいで店長を儀式で突っ込めばいけそうな気がするけど肝心な時にいないからなぁ、あの人、電話も出ないし」
「ふふ、まぁ今いない人の事を言っても仕方がありませんよ。頑張ってこじ開けるのでしばらく待っててください。向こう側に行ったら恭也くんが頼りですので期待してますよ」
「任せてください」
無事でいてください。良樹くん、あゆみちゃんというひのえさんの呟きを聞いてない振りをしつつ。精神を集中させその時を待つことにした。
目の前のゾンビみたいな大男改め、めんどくさいから似てるし屍人でいいかな。
ハンマーの振り下ろしを半身を逸らして避ける。
避けると同時に脱いだ制服の上着を屍人の頭にかぶせ後ろに回り込む。
制服を突然かぶせられて膠着している屍人の膝裏をほぼ同時に蹴り抜き、膝カックンの要領で体勢を崩し、崩した身体を店長直伝の地面スレスレからの垂直蹴り上げで浮かし、回し蹴りで壁まで蹴り飛ばす
壁に張り付いてる屍人が落としたハンマーを拾い上げ、壁に向かって勢いと回転を加えて屍人の頭にフルスイングをすると西瓜がはじけるような感じで壁一面に真っ赤な血が飛び散った。
普通の人間ならこれで終わりだが、こういう空間の化物は頭を潰しても再生するようなやつが多いので体も蹴り上げてハンマーで壁に叩き潰しておく。
再生しないならそれでよし、再生してもこの状態ならしばらく時間がかかるだろうってほどに念入りに潰す。幸いここの屍人は倒してもすごく固くなることもなく思ったより簡単に処理することができた。
羽生蛇村の時は倒したと思ったら身体を丸めてものすごく固くなり再生するまで追い打ちができなかったので今回はマシだなと思う
店長が通った道の屍人は電柱や壁にパイプなどで串刺しにされ、先端も丁寧に抜けないように曲げられてて、ジタバタ動く屍人とその呻き声で安全だけど精神的に危険な空間になってた。
粗方、屍人を壁の染みに変えたなと思った時、後ろに強力な気配が湧いた。
「イヒヒ、オニイチャン、ツヨイネー、どう?ワタシの」
話を聞くまでもなくハンマーでフルスイングをする。
吹き飛んでいく赤い服をきた少女の霊、あの一撃でも消えないのを確認したあと追撃をする為追いかけてハンマーを振り下ろした瞬間、赤い少女の霊の姿が消えた。
「オマエ、ナンナンダヨ!!私の邪魔ばかりシテ!!」
声だけが聞こえて、地面が揺れる。
「イヒヒ、コレで、お兄ちゃんの守りたいもの守れなくなっちゃったね!」
揺れがおさまったあと、声が聞こえて気配が消える。
「篠崎ー!鈴本ー!どこだー!」
閉まってる開かない扉などをハンマーで殴り飛ばし、中を確認してまわる。
これはあの赤い少女になにかされたか?篠崎の状態は自分から見ても不安定の為、早く合流しなければならない。
壊して中を見たあと次の場所に移動しようとしたところ。
廊下の先にポニーテールの他校制服を着た、女の子がいた
「そこの!ちょっと聞きたいことが!」
「ひいぃ!」
声をかけたが女の子は逃げてしまう。
「ちょっと待てよ!何もしないから」
もしかしたら彼女は篠崎やら哲史やらの居場所を知ってるかもしれない。
俺は彼女を全力疾走で追いかけることにした。
ラーン!ラビット!ラーン!