深夜のコンビニバイトは忙しい時もある。   作:秋涼

19 / 25
朝に日間4位になってました。ありがとうございます。


露骨

ピアノの音を頼りに廊下を歩くと予想通り音楽室にたどり着いた。

誰かいないか中に入って確認する。

 

見まわしたが辛気臭い音楽がピアノから流れているだけで人の気配もしない

ピアノに近づくと鍵盤を強くたたいた音と一緒に音楽が聞こえなくなった。

 

「恥ずかしがり屋かよ」

 

ピアノ弾いてるだけなら別に害はないかと判断して外に出る。

 

「辛気臭いからもっと明るい曲にしてくれ!」

 

音楽室から出ると先ほどとは違い明るいピアノの曲が流れ始める。

いいねぇって聞いててしばらく思ったがこの学校の雰囲気で明るい曲は逆に怖いのではないか?と疑問に思いつつ廊下を歩く。

 

異界とはいえ、変な構造してる学校だな

 

 

「助けて!!」

 

廊下の先から急にロングヘアに黒いセーラー服の少女が飛び出してきた。

こちらに抱きついてこようとしたのでそれを避けて腕を取り背中に回して身動きできないようにする。

 

「露骨すぎるんだよ」

 

「ガァッ…」

 

腕に持っているナイフの柄を殴り飛ばして床に落とそうとしたが殴る力が強すぎたのか壁に突き刺さったのが見えた。

ご丁寧にナイフに糞尿がこびりついているのが見え、殺意が籠もりすぎていて笑えてくる。

 

「トラップがダメなら憑依して襲ってくるとか、多芸だな」

 

「ハナセ!」

 

まぁ霊力が強くても動きは素人だし、女子生徒が怪我しないように気を使うことができるぐらい余裕だった。

 

そのまま壁に追いやり女子生徒の背中に片手を添えて霊力を込めて強めに押す

すると女子生徒が苦し気に呻いたあと少し距離があるところに赤い服の少女が出てくる。

すかさず追い打ちするがやはり間一髪のところで回避されて姿が見えなくなった。

 

周りになにもない所で倒れこんでいる女子生徒を観察する。

瞬きせず虚空をみてぶつぶつとなにか喋っているだけで特にこちらの呼びかけには答えない。大分侵食が進んでいるようでかなり危ない状態だ。

 

「安心しろ、俺がついている。すぐ安全なところに連れてってやるからな」

 

見開いている目を閉じてやり、背中に背負いロープで固定する。

大分目の敵にされているので咄嗟の動きでも彼女を落とさないように行く。

 

周囲を警戒しつつ来た道を戻る。

霊力を体ごしに女子生徒に巡らせ保護する。背中に背負ってるときに襲われたらたまったもんじゃないしな。

 

「良樹お兄ちゃん!」

 

廊下を戻っていると由香ちゃんともう一人見知らぬ男子生徒が一緒に立っているのが見えた。

 

「由香ちゃんじゃないか!よく無事だったね」

 

「おい、止まれ!その手に持っているハンマーはなんだ。後ろの女の子はどうした!」

 

 

近づこうとすると由香ちゃんの近くにいた男子生徒は俺の視線から由香ちゃんを遮るように前に出る。

 

「ハンマーはデカい化け物から取ったんだよ。後ろの女の子はかなり危険な状態だから早く安全なところに連れて行くんだよ」

 

「安全な場所だって!そんなところがあるのか!」

 

「ある、今のところ3人はそこで保護してる。来るならついてこい、急ぐからはぐれないように、由香ちゃんは走れるかい?無理そうなら自分が担いで行こうか?」

 

「ううん、大丈夫!頑張る」

 

「いい子だね。俺の名前は岸沼だ、よろしく」

 

「俺は黒崎だ」

 

「よし、ついてこい」

 

俺たちは拠点へ向かって駆け出した。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。