深夜のコンビニバイトは忙しい時もある。   作:秋涼

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兆し

「ふぅ、見廻っていないのはこの扉だけかな」

 

「この先は地下か?他の扉と違って嫌な感じがするな。」

 

森繁と一緒に校舎の行ってないところを虱潰しに廻っていくが、見つかったのは私たちがここに来るまでに犠牲となった子達の霊魂と死体だけだった。

 

霊魂達を解放していく傍ら、言葉が話せる霊魂達に聞いたところ、ここに一緒に来たクラスメイト達は無事らしく、一向に見つからない繭ちゃんが心配で顔を曇らせていた森繁も少しは顔が晴れているみたいだった。

 

「フッ!……っとダメだなビクともしない。他の見廻った扉は壊れてたり、穴が空いてたりで通りやすかったのにな」

 

「そうね、きっと何処かの脳筋の弟子がやったんでしょう。そういうことならあいつもここはまだ見てないってことかしら、まぁ私に任せなさい!」

 

扉と格闘している森繁と変わると思いっきり助走をつけて扉を蹴りつける

ものすごい衝撃音が鳴り響くが扉は微動だにしなかった。

 

あいつでも出来ることが私に出来ないのは認められない!

ムキになって扉を蹴りつける

全力で蹴りつけているがやはり扉は微動だにしなかった。

 

「あぁ?なんだこの扉、さっさと開けよ!この!この!……いいもんね!理様に開けてもらうから!」

 

「……」

 

あ、森繁が見てるんだった。

 

「んんっ!別の方法で試すから森繁はちょっと待っててね。」

 

「わりと学校生活でも隠せてないから今更だけど待ってるよ」

 

「まじ?」

 

「岸沼とこともさんと話してる時とか素がでてたし、僕も演劇やってるから分かったのかもしれないけどね」

 

そんな、頼れる女を演出しているはずが!隠せてないなら周りも教えてくれればいいのに!

 

「そんな落ち込まなくても……ってスマホが鳴っているよ?ここって電波通じるのか?」

 

恥ずかしさで見悶えていると、スマホが震えだした。

 

表示を見ると盛に盛ったメリーさんが映っており、文字にはメリーさん☆と書いてあった。

 

こいつの現代かぶれが著しいのは良樹のせいだなと嘆息して受話器のマークを押して電話に出る。

 

「もしもし、私メリーさん」

 

「知ってるから要件を言え」

 

「チッ……鋏女、ワタシの良樹が困ってる。すぐモドレ」

 

電話が切れる。

 

あいつ舌打ちしたよな?それとなんだワタシの良樹って怪異のくせに色づきやがって。

前まで義兄に執着してたのに結婚して、良樹がバイトに入り、ある程度メリーさんに対処できるようになったらすぐこれだ。

私は知ってるぞ!ハルに服をタダで作らせていることを!あとから良樹がハルに電話をかけてお金を振り込んでいることも知ってるぞ!

しかし、なぜいつまでたっても私は鋏女なんだ!他の奴は皆名前で呼んでいるので私だけ鋏女だのシザーウーマンだといいやがって!私も乙女だぞ!鏡見ても美少女ぞ!そんなに捕まえて説教したのを根に持っているのか!

 

「そ、その誰からなんだ?すごい顔してるけど大丈夫か?」

 

「いや、なんでもない、なんか良樹が呼んでるっぽいから一旦戻るよ」

 

まぁ、メリーさんとはまたお話する必要があるが、いまは置いて置こう

 

「廊下の突き当りだからすぐ戻れるけど、一応気は抜かないようにね」

 

森繁に声をかけ、私は拠点へと戻ることにした。

 

 

 

 

 

「ちょうどいいところに、この子を頼めるか?」

 

部屋に戻ると畳に黒い制服の女の子が寝ており、その近くに良樹がいた。

まわりには世似子や中学生の女の子やら見たことない男子生徒などが心配そうに部屋の隅で様子を伺っている。

大分良樹がかき集めてきたみたいだった。

 

女の子に近づき様子を見ると、大分この空間に侵食されているようで、早く対処したほうがいいことが分かる。

良樹が応急処置してなかったら私が来る前に完全に取り込まれてたな……

 

「これから対処するけど、他の子達は目を瞑っていてね」

 

置いてあった鞄から藁人形を取り出し、女の子に乗せる。

しばらくすると藁人形がどす黒く変色してたのを確認し

 

「呪いなんて、もういやだ」

 

と藁人形を上に放り投げると鋏が物を断ち切る音が聞こえ人形がバラバラになる。

女の子の様子をみると心なしか顔色が良くなっている気がする。

 

「ユイ、助かったよ。」

 

「まぁ呪いの影響は取れたけど大分侵食されたから目覚めたあととかにケアが必要かな」

 

「そうか……まぁケアとかはひのえさんにお願いすれば大丈夫だろうしな、それと森繁、無事でなによりだ」

 

「あぁ……岸沼も無事でよかったよ。他の皆も……岸沼は繭を見なかったか?」

 

「委員長と鈴本と一緒に行動してたんだが、化け物の足止めするために逃がしたらはぐれてな、探している途中だ。すまん」

 

「……そうか」

 

「じゃあ探しに行かないとね。良樹、その化け物っていうのはもう倒したの?」

 

「あぁ、再生しそうだったから仮に復活しても時間がかかるようにミ…いや、念入りに倒しといた。」

 

「そう……」

 

良樹の傍らを見ると、褐色に変色してるハンマーが目に入った。

こいつ、武器剥ぎ取ったうえにハンマーを見る限り念入りに磨り潰しやがったな。

 

周りに配慮したところは褒めてやろう、口には出さないが

 

 

「良樹、探しに行く前に開けてもらいたい扉があるんだけど、お願いできる?」

 

「ん?あぁ、いいぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふん!」

 

ハンマーを思いっきり扉に叩きつけるとガラスの割れたような音とともに扉が粉砕されて奥に破片が飛んでいくのが見えた。

 

 

やっぱ脳筋ってすごいんだなってドヤ顔する良樹を見てそう思った。

 

 

 

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