「お姉ちゃんありがとう……」
子供たちに事件で失われた部位を探して返してあげていくと子供たちは正気を取り戻し、成仏したように消えていく。
最後の子が消えたのを確認してほっと息をつく。
「これでなにか変わればいいけど……」
「それでも子供達が安らかになればいいよ!やったね篠崎さん!」
刻命君のほうに目を向けると周囲を見回して警戒しているのが見えた。
「どうしたの?刻命君」
「空気が変わった気がする……」
「え?それってどういう……」
突然、私達は激しい地震と一緒に眩しい光に包まれた。
「動くな」
光に包まれてなにも分からなくなった次の瞬間、ヘッドフォンをしている同い年ぐらいの男の子が猟銃を私に向けていた。
「ひぃ……」
思わず尻もちをつく。彼は厳しい表情で私に銃口を向けていて、銃を降ろす気配がない。
「須田君、大丈夫ですよ。あゆみちゃん大丈夫でしたか?」
声に振り向くと心配そうな顔をしたお姉ちゃんがいた。
「お姉ちゃん!」
「おっとっと、頑張ったね……そちらの子も大丈夫ですか?」
「は…はい」
お姉ちゃんに抱きつきながら頭を撫でられる。
お姉ちゃんの体温が私に安心感を齎してくれていた。
奥にいる男の子も銃を降ろし、なぜか慌ただしく体を伸ばしたり、準備運動みたいなことをし始めていた。
「それで…あゆみちゃん、疲れているだろうけど教えてほしいことがあります。」
私はこれまでの事をお姉ちゃんに話し始めた。
私はお姉ちゃんに、小学校でやったこと、分かった事、岸沼君が死んだこと等をお姉ちゃんに話した。
岸沼君が死んだことを話すと、表情が青ざめて悲しそうだったけど
「岸沼君が亡くなった瞬間は見ましたか?」
と聞かれてみてないと言ったらそう……といった後、普段のお姉ちゃんに戻っていた。
「そう、あゆみちゃん……ありがとうございます。まだ他の方たちは戻ってこれないみたいですね。」
「ひのえさん、あとはお願いします。」
私と一緒にいた男の子が教室の奥にある暗い闇に飛び込んでいく。
「彼が他の子達を探しに行ってくれたんですよ」
私が驚いて見ているとお姉ちゃんが説明してくれる。
「私も!私のせいだから皆を探しに行かないと!」
「あゆみちゃん、私は反対します。お友達も様子を見る限り限界でしょう。あとはお姉ちゃんに任せてください。
保険室に先生とこともがいるので先生に顔を見せてあげてください。とても憔悴されておられるので」
「でも!」
「あゆみちゃん、お願いですから」
「う……うん」
お姉ちゃんの少し怒った顔を初めてみた衝撃から素直に頷き、鈴本さんと教室を出る。
出る間際に振り向くと、少し深刻な顔をしたお姉ちゃんがスマホを握りしめていた。
「結構デカかったな」
「そうね」
大きな揺れを感じて森繁を地面に伏せさせてやり過ごす。
途中蛍光灯が上から降ってきたが蹴り飛ばしたので森繁にケガはなかった。
「じゃあ行くか!」
「良樹、ちょっとストップ!」
ハンマーを担いで地下へ続く道を進もうとしたらユイからストップがかかる。
「周りの雰囲気が変わった。多重空間が一つになったかのような感じがする。誰かがなにかやったのかもしれない」
「まじか、じゃあ他に見つからなかった奴が見つかるかもな……ユイ、どうする?」
「う~ん……私が地下にいくから良樹は保護をお願いしようかな」
「了解!森繁はどうする?」
「僕は一緒に地下に行くことにするよ。」
「そうか、気を付けてな。行ってくる」
「ちょっと!私には気を付けて言わんのかい!」
ユイの文句をスルーしてそのまま廊下を駆ける。
ユイの言う通り、さっきまでいた廊下と構造が違っていた。瘴気は変わっていないがざわざわしているというか人がいるような気配をおぼろげながら感じる。
2Fにあがり教室を一つづつ見回る。ちらっと窓から外を見ると雷鳴の光と共に巨大なムカデが学校を中心に塒を巻きながら小学校を挟むような感じで迫ってきているのが見えた。
「おぉ!これは……勝ったな」
後顧の憂いがなくなった俺は生存者を探しに集中することにした。
島田 快(しまだ かい)
外の森で彷徨っていたところ。気配を感じて上を見上げると巨大なムカデが自分を覗き込んでいた。あまりの恐怖で失禁、気絶。保護される