そして神は人と成る ─GOD EATER 2─   作:嵐牛

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phase0:神を喰らう者達
第1話


蒼氷の峡谷と呼ばれるこの場所は、自分達の活動範囲の一つだ。

青いガラス板のような空。

寒さにピンと張った空気が、かつての人類の文明の残骸の中を静謐で満たしている。

周囲は雪に覆われた山々に囲まれており、このダムの跡地から一望する眺めはいつ見ても壮観だ。

そんな普段ならシンと静まりかえっている氷の谷には今───幾度となく雷鳴が轟いていた。

 

雷雲が地を駆けているようだった。

バリバリと嫌が応にも激痛を連想させる炸裂音が、まだ距離のあるこの地点までハッキリと鳴り響いてくる。

まるで地上に雷神が降り立ったかのような異常な光景が───この蒼氷の峡谷に出現した『たった一匹』の獣神によるものだと、誰が信じるだろうか。

 

「おーおー、凄えや」

 

ガシャンと手に握った巨大な兵器を鳴らした少年が、映画のハデな演出に抱くような感想を口に出す。

 

「お空に向かってカミナリが落ちていやがる。これ本当にヴァジュラ一匹って話で合ってんのか?」

 

「はい。確かに今回のミッションの目的は、蒼氷の峡谷に出現したヴァジュラ一匹を駆逐しろという内容です。ただし」

 

「捕食により凶悪な進化を遂げた個体である、だろ?流石に覚えてるさ。もうちっとアタマ柔らかくいこうぜ、シエル」

 

す、すみません、と恐縮したような声が返ってきた。

指摘じゃなくて軽口だったんだがなあ、と少年がやれやれと肩を落とす。

シエルと呼ばれたこの銀髪の少女は、少年にとってどうにもカッチリし過ぎている。

しかしこれでも一時に比べれば遥かにフランクになった方なので、これはもう生来の性格なのだろう。

 

「この分じゃ気性も相当荒いな。溜まったエネルギーが抑えきれなくて、かなり凶暴になってる」

 

「これお腹空きそうだねー。ムツミちゃんにいつもより沢山作って!って頼んどけばよかったなー」

 

頬に傷のある長身の青年ギルバートの冷静な分析に、ナナの能天気な言葉が続いた。

ネコの耳のような髪型のこの少女は、今日も変わらずチューブトップにホットパンツ。

 

「………ナナ。やっぱここでそのカッコは寒くねえか?」

 

「ぜーんぜん平気だよー!」

 

「そうか………」

 

本人がそう言うのだからそうなんだろうが、見てるこっちが寒いのだ。

もっとも今までの付き合いで慣れているので、こっちも今更そこを追及するつもりはないのだが……気になるものはしょうがない。

 

『時間になりました。ミッションを開始して下さい』

 

通信機器からのオペレーターの声。

物陰に隠れている四人のスイッチがガチリと切り替わる。

 

「────目標を目視」

 

シエルの静かな声と同時に、雷と外套を纏った虎がやや遠くに姿を現した。

平常時であるはずなのに既にその巨躯からはいくつもの電気が漏れ出しており、見る者を射竦めるその眼光は荒々しい気性を反映してか、悪鬼のような凶相を呈していた。

 

「作戦の確認だ。まずは」

 

「遠距離から様子見」

 

「相手の動き・攻撃の範囲や威力を把握した後に」

 

「どかーん!だよね、隊長」

 

「………その通り」

 

セリフを全部持っていかれた少年が苦笑して頷く。

普通のヴァジュラなら一匹や二匹程度一人で楽に狩ってみせるのだが、今回はそうもいかない。

下手を打てば間違いなく死ぬ。

本当に───こういう時に、仲間のありがたさを実感する。

 

「ならいい。行くぜ?………三」

 

少年の言葉に三人が頷く。

カウントダウンが始まった。

 

「二」

 

じり、と靴と地面が擦れる。

 

「一」

 

手に握った巨大な兵器を握り直す。

そして。

 

「─────出撃!!」

 

ドンッ!!!と、物陰から一気に四人が飛び出した。

少年達に組み込まれたある特殊な因子に補強された身体能力が、標的との距離を放たれた矢のように一気に詰めていく。

 

「ッッガアアアァァアアァァァアアア!!!!」

 

迫り来る四人の存在を察知したヴァジュラが、猛り狂った咆哮を上げる。

マントのような器官に雷が宿り、強靭な四肢に力が籠る。

しかしその剛力が開放される前に───突如放たれたエネルギーの弾丸が、ヴァジュラの顔面に炸裂した。

 

「ガアッ!?」

 

呻き声を上げて怯むヴァジュラ。

弾丸の出所は四人の兵器。

さっきまで握っていた巨大な剣が、いつの間にか巨大な銃に変化していた。

 

《神機》。

ゴッドイーターと呼ばれる彼等が持つ兵器の総称だ。

剣から銃、銃から盾と三つの姿に自在に変化するこの兵器によって、彼等は人類の脅威───《アラガミ》と戦い、そして排除するのだ。

そして四人の神機は今、銃形態。

ヴァジュラの弱点となる属性のオラクル製の弾丸やレーザーが、一斉に標的に向けて殺到する。

 

「これで倒れてくれりゃ楽なんだが……」

 

銃声に紛れて面倒臭そうに呟く少年。

エディットで改造した強力な弾丸や《ブラッドバレット》と呼ばれる特殊な弾丸の雨霰、確かにそこいらのアラガミ一匹なら一堪りもないだろう。

しかし今回はそうはいかない。

標的は幾多の獲物を喰らい続けた、貧食の神なのだから。

 

「グルルルルル…………」

 

少年ら四人の弾幕を浴びながらもヴァジュラは倒れない。

それどころか、攻撃の予備動作までとり始めた。

六本のマント状の器官から放たれた電気が獣の頭上に集まり、一つの雷撃の塊が出来上がる。

特に目新しくもない、ヴァジュラ種のポピュラーな攻撃方法だ。

 

ただし────サイズが圧倒的に違う。

本来なら本体の頭程度の大きさの雷球が、一気にその身体と同程度のサイズまで膨脹した。

 

「ッッガードしろおおおお!!」

 

少年の言葉を待つまでもなく、仲間達は既に神機を構えて盾を展開していた。

着弾。

防御ごと弾かれてしまいそうな凄まじい衝撃に教われ、靴底がガリガリと地面を削る。

しかしそこで終わりではない。

弾幕が途切れたと同時にヴァジュラが猛然と襲いかかってきた。

地鳴りと共に駆け抜ける虎の後ろ足が思い切り地を踏み鳴らし、その巨体が天高く舞う。

圧倒的な重量をもって降ってくるそれは、まさに雷神の槌のようだった。

 

ズッッドォォォン!!!

装甲車すら潰してしまいそうな位置エネルギーの暴力が、コンクリートの地面に降りかかった。

生身で喰らえば絶望的な一撃だったが、四人はまだ絶命してはいない。

全員、即座にその場を回避していた。

 

「おい! 全員生きてるか!」

 

「こっちだ! どういう訳か生きてるよ!!」

 

「ふえー、ビックリしたねー!」

 

忌々しそうなギルに良くも悪くも自分のペースを崩していないナナにまず安心するが、一番大きな気掛かりがある。

それは………

 

「シエル、大丈夫か」

 

「問題、ありません………!」

 

彼女は回避に失敗したのではない。

極大の雷球も盾で防いだし、上空からのプレスも喰らっていない。

しかし───前者が問題なのだ。

神機のパーツには様々な種別があり、それは盾にも三種類存在する。

一番防御力の高いタワーシールドを持つナナ、バランス重視のシールドを持つギルと少年はいい。

しかしシエル………彼女が持っているのは展開速度重視で防御力が低いバックラー。

あのレベルの重撃をそれで受け止めるのは、並々ならぬ負担がかかるはずだ。

それともう一つ。

 

「隊長、そっちに行くぞ!!」

 

少年の方をギロリと睨んだヴァジュラを見てギルが叫ぶ。

その直後に、旧時代のサーベルを思わせる牙がズラリと並んだ噛みつきが少年に迫る。

 

「うおっとぉ!?」

 

咄嗟に身を引いた瞬間、ガチン!!とあぎとが閉じる硬質な音が目と鼻の先で鳴る。

続けざまに振るわれた巨腕をバックステップで回避する。

体格差と重量差が激し過ぎるし少年の近接武器は威力重視のバスターブレード、真正面から激突するのは避けたいのだが───

 

「くっそ、狭いんだっつーの………!!」

 

そう───この蒼氷の峡谷は、ダムの上という場所柄、横幅がかなり狭いのだ。

そこにヴァジュラの巨体が陣取っているというのだから、横をすり抜ける隙間など無いに等しい。

要は狭い道で向こうから車が迫ってくるようなもので、回避しようと思ったら後ろに逃げるしか手がないのだ。

 

だが、それは一人で戦っていればの話。

疾風の如く吹き抜けたシエルのショートブレードが、ヴァジュラの両後ろ足の腱を正確に切り裂いた。

 

「グゥッ!?」

 

ガクンとバランスを崩すヴァジュラ。

そこに間髪入れずナナのハンマーが襲いかかる。

力任せの一振りがまたもヴァジュラの脚に激突、バキバキと嫌な音が鳴る。

大きく揺らぐヴァジュラの身体。

隙の生まれたその土手っ腹に、飛び込んでいく影が一つ。

 

「はぁぁああああああっっ!!!」

 

《チャージグライド》と呼ばれる、チャージスピア固有の攻撃機能。

展開した槍の穂先から充填したオラクルが迸り、弾丸のように一直線に駆け抜けたギルのスピアが、深々と獣の身体に突き刺さった。

 

「ガアアアアアッッッ!?」

 

獣の口から絶叫が迸る。

ずるりと引き抜かれたスピアの傷口から、オラクル細胞の黒い霧が噴出した。

好機とみた少年がポーチから銀色の円筒を掴み取り、それをヴァジュラの眼前に放り投げる。

スタングレネードだ。

強い光でアラガミの視界を封じ混乱させる為の道具で、そしてこれは怒り状態のヴァジュラ種には効果覿面なのだ。

そして今回もその例に漏れず、標的の目の前で炸裂した光は大きな効果を発揮した。

 

ただし、逆の意味で、だが。

 

「ゴァァアアアアァァァアアアアッッ!!!」

 

激昂の咆哮。迸る稲妻。

天を鳴らすような轟音を引き連れ、その場にいた四人どころか、戦場そのものを纏めて焼き払うような───極大の落雷が発生した。

 

 

 

 

「っあー………ったく、冗談じゃねえ」

 

体力回復のために外壁を捕食しているヴァジュラを遠巻きに観察しつつ、心底ダルそうに少年がぼやく。

生きているのは少年だけではない。

全員無傷とはいかないが、防御や回避には成功している。シエルやナナ、ギルもどこかに隠れて体力を回復しつつ標的を観察しているはずだ。

 

『………目標にスタングレネードは通用しないと、前もって言っておいたはずですが?』

 

「いや、実際どれぐらいキレるのか見ときたくてな。そんでもう絶対やらねえ」

 

『ったく、事前にそれをやるって言われたからいいようなものを』

 

『本当びっくりしたからねー!?』

 

『君は普段は面倒臭がりなのに、なぜこう妙な所でアグレッシブなのでしょうか………』

 

オペレーターと三人から小言を言われ、さーせん、と小さくなる少年。

しかしオペレーターはともかくとして、三人は少年を責めているわけではない。

なぜなら。

 

『ともあれ、これで事前の情報の細部は詰める事ができましたね』

 

『ああ。相手の動きも把握した』

 

『バッチリだよ!』

 

なぜなら、理由もなしにそんな無茶に乗ったわけではないし―――その無茶に応えられるだけの実力が、彼等にはあるからだ。

それを聞いた少年の口許に笑みが浮かぶ。

 

「おし、………ならそろそろ」

 

そして。

 

 

「やろうか」

 

 

その言葉と同時に、潜伏していた四人が同時に飛び出した。

それを察知したヴァジュラは捕食を中断してすぐさま臨戦態勢を取り、多方向から同時に迫る四人の姿を確認する。

まずヴァジュラは、とりあえず今は少年を無視する事に決めた。

先刻の激突で、その人間だけは自分に目立った攻撃をしていなかったためだ。

となると標的はシエルかナナ、ギルとなるのだが………ヴァジュラは迷わずギルを第一に排除すると決めた。

距離は一番離れているが、あの時一番の深手をヴァジュラに負わせたのはギル。

故に彼を真っ先に警戒するのは極めて自然な事だった。

 

ただしそうは問屋が卸さない。

ふわり、と重力を感じさせない程に軽やかに、シエルがヴァジュラの眼前に降り立った。

 

「!!」

 

目の前に現れた邪魔者を排除すべく、ヴァジュラは鉈のような爪を振るう。

そしてそれは同時に起こった。

突如としてシエルの姿が消え、攻撃が空振ったと認識した瞬間───ヴァジュラの顔面を鋭利な刀傷が駆け上がった。

予想外の出来事に一瞬怯んだヴァジュラに、一つ、二つと斬撃が放たれる。

────上!!

その方向からシエルの居場所を突き止めたヴァジュラが視線を上げる。

すぐそこの空中にはやはりそいつがいた。

動作に支障をきたさない程度には回復した後ろ足で地面を蹴り、顎を思いきり開いて空中の獲物に喰らいつこうとするが、しかしそれはまたも空振りに終わった。

空中で四本のオラクル刃を放ったシエルが、その勢いでバックステップをしてのけたからだ。

後退と同時に、置き土産のオラクル刃がヴァジュラの顔面を捕えた。

 

血の色をした煌めきに顔面を刻まれたヴァジュラが二足の状態で不格好に硬直する。

そしてそのずっと後方、ギルのスピアの穂先が展開した。

構えはさっきと同じ《チャージグライド》、しかしその実態はそれとは全くの別物。

彼我の距離はたっぷり二十メートルはある……が、しかし。

真価を発揮した彼のスピアにとって、その程度は距離の内に入らない。

 

ギルのスピアが血色の光を放ったその瞬間、ただの的となったヴァジュラの脇腹を、紅蓮の光が抉り取った。

 

さながら地を駆ける流星。

二十メートルという距離を一瞬でゼロにしたギルは紅く輝く光の尾を引きながら、ヴァジュラの後方十メートルでようやく停止した。

 

「ガッ───────」

 

苦悶の叫びさえ上げる余裕はない。

その上空には、シエルの肩を踏み台に上空に飛び上がったナナがいる。

キン、と甲高い音と共に、ナナのハンマーからも赤い光が発せられた。

 

「どっっっかーーーーーーーん!!!!」

 

上から下。

降り下ろされた隕石のような巨重が、ヴァジュラの背骨を圧し潰す。

ズンッッッ!!!という重低音と共に、その巨体が地面に沈んだ。

突き抜けた力は衝撃の波となり、瓦礫を巻き込み柱となって周囲に噴き上がる。

 

「ガ………カッ………」

 

最早立ち上がる事すらままならなくなった巨躯の雷獣。

だがしかし──動けなくなった訳ではない。獣はまだ生きている。

ここでヴァジュラはわずかばかりの柵を乗り越え、ダムの下に落下する事を選んだ。

ダメージの蓄積した身体だが、その程度ならまだ死にはしない。

とにかく今はこの状況から抜け出さねば!!

 

 

「んじゃ、トドメは俺か………」

 

 

がしゃん、と神機が軋む音。

大剣を担いだ少年が、ヴァジュラの前に立ちはだかった。

しかしヴァジュラは止まらない。止まっている場合ではない。

この小さな人間など弾き飛ばしてやろうと残った力を振り絞る。

その時だった。

 

ギン!!!と。

闇の色をしたオラクルの奔流が、少年の大剣から迸った。

 

一目見ればわかる程に高密度の力。

カツンと剣先に触れた地面が、音もなく斬れた。

 

「………、………」

 

ゆらりと持ち上がるギロチンの刃。

それを見た時に、ヴァジュラは悟った。

それは本能故に辿り着いた結論で、どうしようもなく冷酷な直感。

 

─────自分はここで、喰われるのか。

 

 

「じゃあな。次はアラガミなんぞに生まれんじゃねえぞ」

 

そして。

 

 

「面倒臭えから」

 

 

その言葉が、ヴァジュラが聞いた最期の言葉だった。

鼻の先から尻尾の先。

地を砕くような重低音と共に、空間すら断ち斬ろうかという一振りが、眼前の贄を一刀の許に両断する。

二枚に卸された荒ぶる神の亡骸が───ズン、と倒れて転がった。

 

決着。

一瞬にして静寂に包まれた蒼氷の峡谷、四人の通信機が本拠地・《アナグラ》からの電波を受診した。

 

『………目標の沈黙を確認。予定より早く終わりましたね』

 

「終いだな」

 

オペレーターの声に緩んだ声を出して神機を担ぎ直す少年。

 

「流石にタフな相手だったな。四人分のブラッドアーツを叩き込んでようやく沈みやがった」

 

「うーん、だけどバースト状態になってたら、多分ギルのでもう終わってたと思うよ」

 

「ところで隊長。さっきの発言ですが、アラガミが死んでもアラガミを構成するオラクル細胞は分離してまた別の場所でアラガミになるので、生まれ変わってもアラガミ以外になる事は───」

 

「いやわかってんよ。そりゃわかってっけどさ、そこツッコんじゃあ───………、?」

 

不意に言葉を止めて周囲を見回した少年に、シエルが首を傾げた。

 

「どうかしましたか?」

 

「いや、誰かに見られてる気がしたんだが………気のせいか。

……それとシエル、明後日までに頭をやわらかくする方法を調べてレポートに纏めて提出。これ宿題な」

 

「っ! は、はいっ!」

 

「いや隊長、そりゃ酷だろ……」

 

『お疲れ様でした。あと報告書を提出した後、エントランスに集合して下さい。

サカキ博士からニュースがあるそうです』

 

「りょーかーい」

 

「えー、なんなんだろうねー」

 

「たぶん朗報だろ。あの人いい知らせは面白がって勿体ぶるから」

 

何て事ない会話をしつつ、迎えのヘリに乗り込んだ四人はアナグラへの帰路に着く。

戦場から日常へと帰還していく彼らのその頭上、凍りついた岸壁の頂上に───本当に自分たちを見下ろす眼があった事に気付いた者はいない。

「気のせい」というヴェールに包まれ、俯瞰する者は姿を消した。

 

『どうだ』

 

「感付かれたかと思った」

 

遠眼鏡を目から外し、男は飛び去っていくヘリから視線を切る。

白い息を吐きながら、彼は求められた感想より先に率直な危機を報告した。

インシデントの弾丸が頬を掠めてもその感情は動かない。

晴れやかに澄んだ空を見上げる心と顔は、厳寒に対する不快さに塗り潰されていた。

 

 

 

その昔、突如この地球上に現れた人類の敵・アラガミ。

生態系の頂点から蹴り落とされた人類が産み出したのはゴッドイーターと呼ばれる戦士。

アラガミから人々を守る為、己の身体に《偏食因子》を宿した者達。

 

その手に巨大な武器を握った彼らは、紛れもない人類の希望。

祈る神が不在の世界で、今日も彼らは自然の理に反逆の剣を突き立てている。

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