インフィニット・ストラトス 亡霊達の戦記   作:薄影 (黒ウサギ党)

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俺、桜庭悠綺がIS学園に行く数週間前、俺はとある捨てられた研究所に来ていた。
『寒っ!なんでこんな所にいんだかなぁ…』
俺がいる場所は、今は閉鎖されたウクライナのチェルノブイリ原子力発電所だ。その地下に俺に会いたい人物が居る。
『えっと?確かこの番号だったよな…』
古く錆びたエレベーターの横に付いてる電子キーを押し始めた、すると動くはずのないエレベーターが動き始めた。
『しかし、追われる身なのはわかるが、わざわざここを選ばなくても良いんじゃないか?』
エレベーターの中で俺はは疑問に思いながらも『まぁ仕方がないか…』っと心で思っていた。
そしてエレベーターが最下層に着き扉が開くとそこには明らかに原発があった頃には無かった電子機器が揃っていた。その奥に椅子に座ってモニターを観ながら作業している男が居た。
『おーい、兄貴!来たぞー!!!』
俺はその男のことを兄と呼んだ。
『ん?』
その声に気づいて作業を中断して俺の方を向き立って俺の方へ歩きながら
『おぉー来たか悠!悪いな忙しいのに来てもらちゃって』
この男の名前は桜庭絢斗(サクラバ・アヤト)俺の実の兄でISとは別のパワードスーツであるMS(モビルスーツ)の第一人者だ。
まぁMSについての説明は今度しよう。
『別にいいけどよ。俺これからIS学園に行かなきゃ行けないんだけど』
『あぁ知ってるよ、だからこれが必要になると思ってな』
すると兄貴は引き出しから少し大き目のスーツケースを出して俺に渡してきた。
『なんでそんなこと知ってんだか…で?なにこれ?』
俺がスーツケースを指さすと兄貴は
『あ?これか?お前の義手の整備道具とテストしてもらいたいMSの試作品だよ』
『なんでまた、試作品なんかを俺に?』
『いやまぁ俺って今追われる身じゃん?だからテストが出来なくてさぁ、はっはっはっはっはっ』
兄貴は笑いながら説明してきた、なぜ?兄貴が追われることになっているのか説明しておこう。
兄貴の作るMSはISとは違い戦闘向けに作られているのがほとんどだ。それらは軍隊や亡霊の傘下の傭兵に配っている。ただ政府としてはそれが気に食わない連中がいるらしい、そんなこんなで兄貴は現在、指名手配になっている訳だ。
『了解だ。で?俺のMSは?』
『あぁ……それなんだが』
『?』
『前の戦闘の傷が酷くてな、まだ治りそうに無いんだよ』
『マジで言ってんの?』
『あぁ外殻装甲は治したんだがレギュレターがイカれててさぁ』
『無理させすぎたか…』
MSにもISと同じで専用機が存在する。俺の専用機は第1世代のMSで2年前の戦闘で激しく損傷してしまっていたから兄貴に修理を頼んでいたが、まさか治るのにこんなに時間がかかるとは思ってなかった。
『わかった、治ったら連絡して、じゃあ俺はIS学園に行く準備しないと』
『あぁ悪かったなわざわざ来てもらっちゃって』
『良いって俺達兄弟だろ?困った時は助け合わないと、じゃあな兄貴!』
俺は兄貴とグータッチをしてチェルノブイリを後にした。
そして、俺は兄貴から渡されたスーツケース2つと自分の荷物を持ってIS学園に出発した。


第2話 蒼雫

俺がIS学園に着いたのは昨日の夜だった。IS学園は全寮制だから、消灯時間位に着くように来たため生徒達は寮の自分の部屋にいるんだろう静かだった。

俺はIS学園に着いてまず千冬さんに連絡をした。

プルルプルル…………ガチャ

『もしもし』

『あっもしもし千冬さんですか?桜庭です。今着きました』

『あーそうか、なら今から言う場所に行ってくれ』

ガチャ……ツーツーツー

電話が切れると俺は荷物を持って千冬さんに言われた場所へ向かった。そして、着いた場所はIS学園の職員用入口だった。そこには2人の女性が待っていた。

『やっと来たか、意外と時間がかかったな』

『すみませんね、意外と広いんですねこの学園……それでこちらの方は?』

俺は千冬さんに謝りながら隣の女性の方に目線を向けた。

『あぁ紹介しよう、こちらは山田先生、私のクラスの副担任を務めている。山田先生、自己紹介を』

そう言われると隣の女性は自己紹介し始めた。

『あっ!はい!ご紹介に預かりました。私は、山田真耶です。織斑先生と同じ1年1組の副担任をしています。これからよろしくお願いします』

『こちらこそよろしくお願いします。俺は桜庭悠綺です。聞いてると思いますけど、亡霊の2代目隊長を務めています』

そしてお互いに自己紹介が終わると千冬さんが

『さてお前の部屋だが、まだ用意が出来ていないから、別の部屋になるが良いか?』

『俺は寝れるスペースがあればそれで良いんですが』

そう答えると、続いて山田先生が

『駄目ですよ!ちゃんとした場所で寝ないと!』

俺はこの時、山田先生が真面目ということがよくわかったっと心で思った。

そのやり取りが終わると千冬さんと山田先生は俺に代わりの部屋へと案内してくれた。そして千冬さんが別れ際にこう言った。

『明日はHRでお前を紹介する、だから遅れるなよ』

そう言うと千冬さんは山田先生と一緒に廊下の奥へと消えていった。俺はそれを見送ると右腕の義手を外してベットに倒れ込んでそのまま眠った。

―次の日の朝―

俺は今IS学園の廊下を歩いていた。

『えーと?確か1年1組だったよな。千冬さんのクラスは?』

俺は言われた通りに1年1組の教室に向かっていた。そして教室の扉の前に着いた時タイミングが良かったのか中から千冬さんの声がした。

―同時刻、1年1組の教室―

山田先生が教室でHRを行っていた。そして伝えることを伝えると。

『えーそれでは今回皆さんにご紹介したい人が来ています、織斑先生お願いします』

そして山田先生は千冬さんにそうお願いすると。千冬さんは話を続けた。

『今回、IS専用機持ちに対して特別教師に来てもらっている、心するように』

そう千冬さんが説明すると、クラスの女子生徒達が『えー』『誰だろう?』と騒ぎ始めた。

『ええい貴様ら!静かにしろ!』

そう千冬さんが一喝するとさっきまで騒いでいた女子生徒達が一瞬で静かになった。

『よし、入ってこい!』

― 1年1組の教室前―

『入ってこい!』

教室の扉の前で待っていると、教室から千冬さんが俺の事を呼んできた。

『失礼します!』

俺は扉を開けて、千冬さんが立っている場所に向かって歩いた。

『自己紹介しろ』

俺は千冬さんに言われて自己紹介をし始めた。

『今日から皆さんに授業を教えます、桜庭悠綺と言います。よろしくお願いします』

自己紹介が終わると目の前に懐かしい人物が目に入った。織斑一夏、男で初めてISを動かした人物。そして俺の幼なじみである。俺は一夏に小さく手を上げると、久しぶりと小さく呟いた。

そして周りがまた騒ぎ出すと千冬さんが『静かにしろ!』するとみんな沈黙する。更に山田先生が続けて口を開けた。

『桜庭くんはえっと……喋っても良いんでしょうか?』

山田先生は俺と千冬さんの両方を見ながら聞いてきた。

『別に構わないと思うが私は』

と言う千冬さん

『俺も別に構いませんよ。なんだったら自分の口から会いましょうか?』

俺は山田先生に提案した。

『良いんですか?』

『別にいいですよ』

『なら、桜庭に任せよう。山田先生』

俺、山田先生、千冬さんの順で話そして俺は生徒達の方を向いて

『俺は傭兵・亡霊の2代目隊長を務めている。今回は織斑先生に依頼を受けてここにいる。主に専用機持ちの強化訓練が目的だ』

俺は自分の身分とIS学園に来た目的を生徒達に伝えた。そしてまた騒ぎだす生徒達、それを正す千冬さんにそれを宥める山田先生を見て俺は心の中で(これから楽しくなりそうだな)そう思った。

『さてと』

パンッパンッ

俺が手を叩くとさっきまで騒いでいた生徒達が俺の方に目線を向けてきた。

『この後の授業ですが講義室でMS工学について皆さんに教えていきたいと思っています、それでは今ここで質問がある人は受け付けましょう』

すると一斉に女子達が手を挙げ始めた。しかし、それらを遮る声がクラスに響いた。

『お待ちになって!』

その声は綺麗で透き通ったような声だった。俺は声の方へと目線を向けた。そこには、綺麗なブロンドヘアの白人女性が立っていた。

『なぜ?私達が時代遅れで野蛮な人から教えを受けなければいけないのですか?』

『時代遅れとは酷いなーセシリア・オルコットさん?』

『まぁ私の名前はご存知のようですわね』

『えぇよく存じてますよ。名門オルコット家の一人娘、誕生日は12月24日、身長は156cm、血液型はO型、部活はテニス部、使っているISは第三世代遠距離狙撃型ISのブルーティアーズで武装はレーザーライフル・スターライトMk-IIIに誘導兵器であるブルーティアーズのビットタイプが4つミサイルタイプが2つ、近接武器はインターセプトと言ったところかな』

『なっ!』

まぁ驚くのは目に見えていた。俺はここに来るまでの間に頭に叩き込んだ全ての情報を開示した。

『それで?オルコットさんはどうしたいのですかな?』

『え?えぇこの私セシリア・オルコットと決闘ですわ!』

周りからは、おぉーと言った声が聞こえきた。そしてそれを見ていた千冬さんが

『勝手に決めるな!オルコットわかっているのか?相手はあの亡霊だぞ』

『わかっています。織斑先生!ですが私は、男性の方から教鞭を頂くのは些か抵抗があります!ですから!』

『わかったわかった、そこまで言うのなら、桜庭!良いな?』

そしてセシリアの話を聞いた千冬さんが俺の方に向き直って聞いてきた。

『まぁ俺は一向に構いませんよ織斑先生』

『いいだろう。では全員ホームルーム終了後第3アリーナに集合!』

それらを横で聞いていたがまるで1つの軍隊のようだった。

『織斑!後で桜庭をアリーナの更衣室まで案内してやれ』

『あっ!はい!』

千冬さんは、一夏に更衣室までの道案内をお願いしていた。

『じゃあ行こうぜ悠綺!』

『案内頼んだぜ!一夏!』

俺と一夏は第3アリーナの更衣室に向かって歩き出した。

『しかし、驚いたよ。まさか悠綺がこの学園に来たのはそれに傭兵だなんて』

『それはこっちのセリフだ!まさかお前がIS動かしてIS学園に入学しちまうなんて思わなかったぜ』

『あはは俺もだよ……』

『でも大丈夫なのか?』

『何が?』

『いや相手はISたぞ、それも代表候補生なんだぞ?』

『それがどうした?良いか?セシリアだっけ?ああいうプライドが高そうな奴は、いざと言う時に致命的なミスをするんだよ!そんな奴に負けてたら亡霊隊長の、名折れだよ!』

一夏が心配を他所に俺は何故こんなにも余裕なのかを説明していた。

そして俺達は更衣室前まで来ていた。

『じゃあ俺は千冬姉のとこに行ってくるよ』

『案内ありがとな!俺の戦い方ちゃんと見とけよ?』

そして俺と一夏は更衣室前で別れた。

俺は更衣室のロッカーの前で武器を装備していた。

『相手は遠距離が得意なISだからな…さて?どうするか?』

そう考えて、選んだ装備は、S&W PC356を両腰に2丁、背中には、M1887ショットガンとスコーピオンMカスタム、後ろの腰にパイソンマグナムを装備し、弾の確認をしてからISの出撃ハッチに行った。

『さてと、レディを待たせるのは紳士のすることじゃないな、行きますか』

案の定セシリアは自分の専用機ブルーティアーズを装備して待っていた。

『すまない、待たせてしまったかな?』

『いいえ、しかしよく逃げなかったと褒めて差し上げますわ』

『そいつは光栄だ』

そんなお互いに冗談を交えた会話をしているとセシリアがある疑問に引っかかった。

『あなた!なぜ? MSを展開しないの?』

『あ?これか?気にしないでもらおうか、ただのハンデだから』

『なっ!ハンデですって』

セシリアはハンデと聞いて

『ふざけないでくださる!IS相手にまさか生身でやろうと言うやけではありませんよね!?』

『あのね、俺を誰だとお待ってるの?俺は亡霊だよ。いろんな戦場で戦ってISとだって戦ってきてるんだこちとら!そんなん事でビビってて国が守れるのか?あぁ!専用機持ち様よ!』

『言いましたわね……もう容赦はしませんわ!』

『イイねぇそう来なくちゃ面白くねぇ!』

そしてアリーナのアナウンスで山田先生の声が両者の耳元から聞こえてきた。

『それでは、試合を始めます!両者、戦闘準備してください』

そして始まる。学園初、IS専用機持ちVS傭兵の戦いの幕が切って降ろされた。

……To be continued


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