IS/仮面ライダークウガ A New Legend 作:赤バンブル
一夏がイノカブトンを倒した数日後
新聞で一夏の中学校の同級生たちが担任も含めて修学旅行先で行方不明になっていることが記事に大きくあげられていた。
事件が起きた場所は宿泊する予定だった旅館の途中の山道。警察の捜査では現場の状況から崖崩れによる衝突で車体が谷底に落下したのではないかと推測している。なお、現場では今のところ生徒たちは発見されていない。
少年仮面ライダー隊本部でその記事を見た一夏は唖然としながらも事の詳細を知るべく、本郷と共に彼らが利用したバス会社へ調べに向かったが既に会社はマスコミの取材に覆われていた。
「・・・・・この騒ぎじゃ聞きようがないな。」
「はい・・・・まさか、弾たちが事故に遭うなんて・・・・」
ついこの間まで普通に会っていた友人が事故に遭うなんて信じられないことだった。それも彼のクラスだけではなく他のクラスも含めて。
「本郷さん・・・・・俺、やっぱりただの事故だと思えません。」
「友人が巻き込まれたんだから無理もないことだ。俺は滝と同じ被害が起きることに備える。ゲルショッカーの計画の可能性も否定できないからな。」
「俺も一緒に行きます。」
「いや、君は事故があった現場に行って調べてみてくれ。。今回の事件・・・・・あの学校でいなかったのは君と鈴音君だけだったからな。」
「そんなっ!?俺だって・・・・・」
「そうやって焦っても何も解決できないぞ?それに何か手掛かりがあるかもしれない。お前にはそれを調べてほしいんだ。」
「滝さん・・・・・・・」
「もうすぐ君のお姉さんも帰ってくる。もしものことがあったら申し訳ないからな。滝、行くぞ。」
「おう。」
そう言うと本郷と滝は先にマシンを走らせてその場から離れて行った。
「・・・・・・そう言えば千冬姉、もうじき帰ってくるんだったな。」
一夏も思い出すかのようにヘルメットを被り、事故現場へとマシンを走らせる。
「ん?」
鈴の家を通り過ぎようとしたところ、家の前で手を振っている鈴を見つけた。
「やっほ~い、待ってたわよ~。」
「待ってたって・・・・・どうしたんだよ?」
態々待っていた鈴に対して一夏は言う。
「どうしたもなにしたも調べに行くんでしょ?一人じゃさみしそうだから私も付いて行ってあげるわ。」
「付いて行ってあげるって・・・・・・」
「私だって弾たちのことが気になるのよ。よりによって事故でクラスのみんながいなくなるなんて・・・・」
「それはいいけどおばさんの手伝いしなくていいのか?おじさんの退院まだだし。」
「あっ、そのことね。お店の方はお父さんたちが相談して現在店主が入院中なのでしばらくお休みにしますって休業にしたわよ。一夏に手伝わせるのも悪いと思ったし。」
そう言うと鈴は後部座席に乗る。
「・・・・・はあ。じゃっ、とりあえず弾たちが無事なことを祈って行ってみるか。」
「おう!」
軽く言っているように見えるがその表情は不安を感じさせていた。
一夏は鈴に予備のヘルメットを渡すと現場へと向かっていった。
ゲルショッカー ???基地
『ブラック将軍、計画はどの段階まで進んでいる?』
ここはゲルショッカー秘密基地の一つ。
この基地ではワシカマキリが捕らえた人間たちを使ってある実験が進められていた。
「現段階ではゲブロンを我がゲルショッカー研究陣が最新鋭で導入した変換機で限りなくアマダムとほぼ同質の物へと変換し、被験者に移植手術を行っています。ですが、どういうわけかクウガと全く異なる形状に変態してしまい、その際に理性もなくなってしまうものと不完全で著しくエネルギーを消耗してしまう個体に別れています。」
『我がゲルショッカーの科学力をもってしても完全なクウガを作ることができぬか。』
「ですが、理性のない個体の方は利用にはもってこいです。」
『ゲブロン及びにアマダムは未だ得体のしれないものを秘めている。実験を慎重に進めるのだ。』
その直後、突如基地の警報が鳴り始めた。
「何事だ!」
「ギッ!報告します、冷凍保存作業中だった試験体複数が脱走しました!」
「何っ!?すぐにひっ捕らえろ!場合によっては処分も構わん!!クラゲウルフ、ネコヤモリ、クモライオンを導入して一人たりとも逃がすな!!」
ブラック将軍は、そう言い切ろうとした直後に司令室に一人の白衣の男が入って来た。
「その命令・・・・この計画の責任者でもある私にも参加させていただきたい。」
男はブラック将軍をサングラス越しの目で見ながら言う。
「木野、貴様はこの計画の責任者だ。勝手な振舞いは許さん。それに実験はまだ成功しておらんではないか。」
ブラック将軍に言われると木野と呼ばれた男は腕を下に組む。すると腰のあたりに光が発する。
「ん!?」
???
「ハア・・・・・・ハア・・・・急げ!足を止めたら連中に連れ戻されるどころか殺されるぞ!!」
試験体の番号札が付けられた作業着を纏った弾たちは、一瞬の隙をついて戦闘員を蹴散らし、一部の仲間を連れて基地の外へと脱出することに成功していた。
「クッ!」
「大丈夫か、数馬!?」
走っている途中で足を付いた数馬を見て弾は一旦戻る。足を見ると銃弾による傷で酷い出血だった。
「お前・・・・その傷・・・・・」
「へへっ・・・・・脱出するときに撃たれたようだ。急所じゃなかったからここまで来れたが限界だ。」
弾に肩を貸されながら数馬は苦笑する。
「ここまで逃げられたんだ。生きて帰って一夏たちにこの計画のことを話そう。」
「クゥウララ・・・・・そうはさせん!!」
そこへ先に逃げた試験体を殺害して戻ってきた狼とクラゲの能力を持った改造人間 クラゲウルフが現れた。
「試験体は一人たりとも生きては出さん!」
「くそ!もう、こんなところにまで!!」
弾は急いでその場を離れようとすると数馬が足を止めた。
「おい、数馬・・・・」
「弾・・・・・・お前だけでも逃げろ。」
「お前何を・・・・・」
「いいから行け!!」
そう言うと数馬は、クラゲウルフの方へと駆けていく。
「数馬!?」
「うわああああああああああ!!」
数馬は走って行く中で赤い複眼、水牛のような二本の角、緑の身体のカミキリムシのような怪人へと姿を変える。
「えっ?」
「ちっ、変身の仕方を覚えた奴がいたか!」
「ウワアアアアァアア!!」
怪人へと姿を変えた数馬は、クラゲの触手を振るってくるクラゲウルフに対して腕の先端から突き出ていた突起を伸ばして切り裂いた。
「何だとっ!?」
「ワァアオォッ!」
驚いているクラゲウルフの動揺を見て数馬は更に拳を繰り出して猛反撃する。
「数馬が・・・・・一夏みたいに・・・・・・・」
弾は、唖然としながら戦っている数馬の姿を見てハッと気づいた。
今まで分けるためだと思っていた着ている服の番号が改造人間にされた人間の個体番号で、自分も既に改造されてしまっているのだと。しかし、目の前で戦っている数馬の姿は一夏のクウガとも本郷の一号とも異なる、怪物ともいえる姿だった。
「ということは・・・・・・・俺もあの姿に・・・・・・・」
「ウゥ!」
呆然としてしまっている弾を見て数馬は急いでクラゲウルフを退けると弾の手を掴んでその場から離脱する。
「おのれ!!」
クラゲウルフは、自分の触手を切られたことに腹を立てて追跡しようとするが、そこへ遅れてクモライオンとネコヤモリが合流してきた。
「クオォー!その辺にしておけ、クラゲウルフ。」
「ヌッ!?」
「ニャ~ア!他の脱走者の処分は完了した。お前は先に基地へ戻れ。そのダメージでは自慢の放電も使えまい。」
「くう・・・・」
クラゲウルフはしぶしぶ基地の方へと引き上げていく。二体はそのまま逃げて行った二人の後を追った。
「ハア、ハア!」
変身している数馬は先ほどよりも荒く呼吸しながら走っていたが弾は気づいていなかった。
「ハア・・・・・!しまった!」
走った先は高い崖になっており、遥か下には川が流れていた。
「ハア、ハア・・・・・・・弾、お前はここから飛び降りてうまく逃げろ!今のお前の身体ならこのくらいの高さ耐えられる。」
「・・・・・・・」
「弾?」
「はあ・・・・はあ・・・・・・・」
「しっかりしろ!」
怯えている弾に対して数馬は肩を掴んで揺さぶる。
「蓮さんや蘭ちゃんがいるんだぞ!お前だけでも生き残って一夏と本郷さんにこのことを知らせろ!!」
「で、でも・・・・・・」
「本郷さんたちのところに行けば元の身体に戻してもらえる可能性がないわけじゃないんだ!急いで・・・・・・」
「クオォー!!残念だがそれはない。」
「「!」」
声のした方を見るとクモライオンとネコヤモリが迫って来ていた。
「いいか?生きてこのことを知らせるんだ!」
「おい、数馬・・・・・・」
「頼んだ!」
「うわああああああああ!?」
数馬に突き落とされ、弾は川の中へと姿を消した。
「ニャー、まずは・・・・・」
「・・・お前たちは落ちた奴の方へ向かえ。」
「何っ!?」
数馬に攻撃を加えようとしたネコヤモリは後方から遅れて姿を現した木野を見る。
「コイツは、俺がやる。」
「・・・・フン、科学者風情が。」
木野の命令に対してクモライオンは不満そうな言い方をしながらもネコヤモリと共に弾が流されていく方角へと向かって行った。
「ハア・・・・ハア・・・・・」
「不完全体にしては驚異的なパワーだったようだがやはり、俺には劣る。」
「何?」
「フン!」
息切れを起こしている数馬の目の前で木野が構えを取ると、腰部に一夏のアークルとも本郷のタイフーンとも異なるベルト アンクポイントが出現する。
「俺と同じベルト?」
「変身!」
ベルトのクリスタルから光が発せられると同時に木野は、クウガとも今の数馬の姿でもないバッタやイナゴのような感じで両肩の肩甲骨の辺りからマフラーが出ている仮面ライダーを生物的な姿に書き換えたような姿に変貌する。
「仮面ライダー?」
数馬は身構えながら木野と対峙し、先にクローを展開して斬りかかるが木野はすんなりと受け止め、カウンターを喰らわせた。
「グッ!?」
「お前たち不完全体はパワーはゲルショッカーの改造人間以上だが、代償としてエネルギーの消耗が激しく長時間の戦闘に耐えられない。更に防御に関しては戦闘員クラスだ。フン!」
「ウゥ!」
数馬は腹部を押さえて膝をつきそうになるが、木野は彼の頭部を掴むとさらに攻撃を加える。
「ガハッ!?」
「不完全体は実験中変身できたものは何度か見たがお前のように実戦に耐えられるものを見たのは初めてだ。大人しく戻れ。」
木野は手を離すと倒れた数馬に対して言う。
「ゲホッ、ゲホッ・・・・・誰がお前らみたいな悪の組織なんかのところに戻るか・・・・・・」
「悪・・・・・見方によればそうかもしれんな。だが、正義とは果たしてその正反対だと言い切れるか?」
「!?」
「お前の言う正義とは本郷のような男のことを言うだろうが、アイツもわかっているつもりで何も分かっていない。」
「ど・・・・どういうことだ?」
数馬は何とか立ち上がると木野を見る。
「今の世界を見てみろ?女尊男卑と言って騒いでいるが実際は何も変わってはいない。力のあるものに弱きものは踏みにじられ、力の暴力で成り立っている。アイツがいくら戦おうとそれは同じだ。ショッカーが滅びてゲルショッカーができたようにいくら悪を滅ぼしたとしても次の悪は必ず生まれる。それに悪こそが人間という存在そのものを象徴している。俺はその側面を見続けてきた。」
「だ、だからって・・・・・悪に仕えたんじゃ何の意味もないじゃないか!!」
「違うな、ゲルショッカーが今の社会を統制することでこの腐った人間社会を一から構築し直す。そうすることでゲルショッカーは悪から正義となる。力のあるものが取りまとめるからこそ均衡が保たれる。醜い権力争いも紛争もテロも・・・・・・すべてがなくなる。」
「アンタに何があったかは知らない。でも、俺はこの体にされた段階である程度受け入れた。アイツもこんな感じで苦しんでいたんだろうってな。だから・・・・・俺はこれ以上同じ犠牲者を造らないためにも、ここで抵抗させてもらう!!」
「・・・・・・それが今の世界を見て言う人間の答えか。まだ、甘い。」
「ウォオオオオオオオオオオオオオオ!!」
数馬が咆哮を上げると踵の爪が伸びる。そして、木野の前に向かって高くジャンプし、その爪を突き刺すように踵落としをする。
「ウゥウッ!?」
だが、爪は木野の身体に突き刺さることなく受け止められていた。受けた木野はその目つきから特に恐怖を感じる様子はなく数馬を見ていた。
「言ったはずだ。お前たち不完全体はエネルギーの消耗が激しいとな。」
同時に勢いよく拳を胸部に向かって打ちつけ、数馬を吹き飛ばすと同時に顔の口部のクラッシャーが開き、牙の生えた口が見える。
「うぅ・・・・・・」
「せっかくだから死ぬ前に教えてやる。俺には弟がいた。医者であった俺の手伝いをするために弟は危険だということも顧みないでよく俺と一緒に紛争地域の医療ボランティアにも参加していた。ある時まではな・・・・・・・」
構えを取ると木野の足元に何かの紋章のようなものが現れ、それが吸い込まれるように両脚に収束すると高く飛びあがり、数馬の胸部に強力なアサルトキックを喰らわせた。
「グアアアアッ!?」
数馬は、崖の方へと吹き飛ばされると体中に亀裂が入る。
「俺もここまでか・・・・・・・・一夏・・・・・・・弾・・・・・・後は・・・・・・・・」
最後に言いかけたところで数馬は大爆発を起こしてその体は一片たりとも残ることはなかった。その姿を見届けると木野は無意識に右腕を押さえていた。
「苦しいか雅人・・・・・・そうだな、俺たちはまだ戦場にいたときのままだ・・・・・・」
変身を解くと同時に木野はその場から離れて行った。
一方、現場近くの河原では一夏が鈴と一緒に何か手掛かりがないかどうか調べていた。
「警察がもう引き上げているなんて不気味ね。」
「ゲルショッカーが裏で手を回していたせいかもな。アイツらのことだ、事態が大きくならないようにうまく情報操作をしやがったんだ。」
二人はしばらく川を上って行く。
「ん?ねえ、一夏。あれって弾じゃない?」
「なに?」
鈴が指さした方を見るとそこには流れ着いたのか全身ずぶ濡れの弾が打ち上げられていた。
「弾だ!無事だったのか!?」
二人が駆けつけているところを秘かに追っていたクモライオンたちが見ていた。
「ちっ、クウガが来ていたか。」
「ニャ~、だったら殺るか?」
「いや、ここで戦って本郷達に嗅ぎつかれては厄介だ。時を見てうまく始末する。」
そう言うと二体は現場から離れる。一夏は、弾を抱き上げると揺さぶる。
「おい!おい!弾!!生きているならしっかりしろ!おい!」
「う・・・・うぅ・・・・・・・・」
「私、救急車呼んでくるわ!」
「本郷さんたちにも連絡してくれ。他のみんながどうなったかもわからないからな。」
そう言うと二人は気を失った弾を担いでバイクを止めた場所まで引き上げて行った。
次回は未定。