IS/仮面ライダークウガ  A New Legend   作:赤バンブル

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誕生

・・・・・・・・それは遥か昔。

 

地球上には二つの種族が存在した。

 

一つは争いを好まない友好的な民族「リント」

 

もう一つは残虐かつ闘争心旺盛の民族「グロンギ」

 

殺戮を好むグロンギはゲゲルという殺人ゲームを行い、戦うことを知らないリントを次々と殺した。

 

リントはグロンギを恐れ、無力な自分たちを守る為にある一人の戦士とその戦士のための馬の鎧を生み出した。

 

戦士はリントを守るためにグロンギと戦った。

 

しかし、戦士も元はリント。

 

その心は徐々にグロンギ同様の闇に染まり、ある時多くのグロンギとの戦いに仲間であるリントを巻き込んで死なせてしまった。

 

戦士は自分の力に対して徐々に恐ろしくなっていった。

 

グロンギたちもまた強くなっていく戦士をターゲットに絞り始めた。

 

やがて戦いは激化していき戦士は、自分の限界を感じ始めた。

 

 

 

『聖なる泉枯れ果てし時 凄まじき戦士雷の如く出で 太陽は闇に葬られん』

 

 

戦士はグロンギの王と最後の決戦を望んだ時、彼の心は既に闇に支配されつつあった。

 

王は自分と同格となった戦士を祝福しながら戦いを楽しんだ。

 

両者の戦いは天変地異を引き起こし、二人の同胞を次々と戦いに巻き込んで死なせていった。

 

 

戦士は悔やんだ。

 

守るために身に着けた力が自分の意志に関係なく、仲間を巻き込んでしまったことを。

 

戦士は悲しんだ。

 

自分自身が狩られる側と同様の存在へと変わってしまったことを。

 

戦士は怒った。

 

戦う元凶を作ったこの王に対して。

 

 

『心清き戦士 力を極めて戦い邪悪を葬りし時 汝の身も邪悪に染まりて永劫の闇に消えん』

 

 

戦士は究極の闇へと目覚め、王を倒した。

 

しかし、それでも彼の怒りは収まらない。

 

王の死によって次の王にならんと立ち向かってきたグロンギは戦士によって皆殺しにされた。

 

戦士は、同胞であるリントに手をかけてしまうのを恐れ、完全に闇に染まる前に自らの命を絶った。

 

彼の最期を見たリントたちは、二度と彼の悲劇を繰り返さぬよう、戦士の亡骸を手厚く葬った。

 

戦った戦士の名は・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は流れ、200X年。

 

世界は一人の若き女性科学者の開発したマルチフォーム・スーツ「インフィニット・ストラトス【通称 IS】」が開発される。この女性にしか反応しない世界最強の兵器の登場により、世界情勢は一変。女尊男卑という歪んだ世界を形成してしまった。

 

しかし、ISの生みの親である篠ノ之束はこのようにしたのには訳があった。

 

実は女性にしか起動できなくしたのはある組織への悪用を遅らせるのが目的だった。

 

組織の名は「ショッカー」。

 

世界のあらゆる所に網が張られる悪の組織であり、ISも元々は彼らが世界征服計画の一環として束に資金援助をして作らせていた兵器だったのだ。

 

自分の夢を組織に利用されていたと知った束はプログラムを書き換えた上に、ISコアに関する資料の抹消・生産を中止して政府から逃走。残した家族に対しての罪悪感に駆られながらも組織から身を隠すため自殺までも偽ってショッカーから逃れた。

 

その数年後、ショッカーに発見され危うく殺害されそうになるも目の前に現れた仮面の戦士に助けられて事なきを得た。

 

彼の名は、本郷猛。

 

またの名を仮面ライダー。

 

かつて束に勝るとも劣らぬ秀才と言われながらも消息を絶った男でショッカーに拉致された上体を改造された身である。束は彼に協力を求め、彼の協力者である男の元に身を寄せることになり、打倒ショッカーを目的にしながらも身元を偽って生活することになった。

 

仮面ライダーの活躍により、ショッカーは最高幹部 地獄大使の死により事実上壊滅を迎えたがそれは新たな闘いの始まりに過ぎなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20XX年。

 

長野県九郎ヶ岳にある廃れた遺跡に怪しげな者たちが侵入してきた。

 

「ソーリーッ!ここが例の遺跡か。」

 

先頭に立つ、サソリとトカゲが合わさったような怪人は何とも派手な格好をした覆面軍団を連れて遺跡の奥へと乗り込んで行く。

 

表面の壁は岩と同化して分からなくなっていたが怪人はその腕で平然と破壊して中へと入って行った。中は暗く生身の人間では見えないが改造人間である彼らには問題なかった。

 

「旧ショッカー幹部 ゾル大佐が残した資料を見せられた時、信じられんと思ってはいたが・・・・よもや、こんな古代遺跡があったとはな。」

 

サソリとトカゲの改造人間 サソリトカゲスは、周囲の戦闘員に壁画の撮影をさせながら石室の中央にある棺へと近づいて行く。

 

「資料によれば古代に我ら改造人間とは異なる肉体を変化させて戦う種族が存在し、それに立ち向かった戦士に滅ぼされたという。ブラック将軍すらその存在を出まかせだと仰っておられたがこの遺跡こそ、その戦士の墓地。そして・・・・・・」

 

サソリトカゲスは棺の蓋を強引に持ち上げすぐ横に落とす。中には古代のミイラが埋葬されていた。だが、目的はミイラではない。

 

「このベルトこそが我々の求めている仮面ライダーを倒すための力が隠されているのだ。」

 

サソリトカゲスはミイラの装飾品であるベルトを強引に引きちぎる。劣化しているのか、はめ込まれている宝石らしきものもくすんでしまっている。

 

「ギッ!遺跡の碑文の撮影も終了しました。」

 

「よし!そうと分かればこの遺跡にもう用はない!!」

 

戦闘員たちが全員遺跡の外へ出て行くとサソリトカゲスは遺跡中にセットしておいた時限爆弾を起爆させる。

 

遺跡はミイラ諸共爆発しそこには僅かな瓦礫しか残らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベルトを回収したサソリトカゲスは基地へと帰還した。

 

「ソーリーッ!!ブラック将軍、ただいま戻りました!」

 

そこには軍服を着た神経質な面をした男が立っていた。

 

この男こそ旧ショッカーから新生されたゲルダムショッカーことゲルショッカーの最高幹部であるブラック将軍だ。ブラック将軍は、早速サソリトカゲスからベルトを受け取る。

 

「ふむ・・・・・これがゾル大佐が残した資料に載っていた古代文明の魔石が埋め込まれたベルトか。」

 

「碑文の方もすでに解析班に回しております。」

 

「よくやった、サソリトカゲス。ゲルショッカー最初の任務としてはいささか簡単だったのかもしれんが上出来だ。早速だがこれからお前には私と一緒にドイツに発ってもらう。」

 

「ドイツ?何故、そんなところに?」

 

「例の旧ショッカーから脱走した改造人間適応素体が回収されたそうだ。コイツの実験をするにも旧ショッカーの改造素体で十分だろう。データも欲しい所だからな。素体の基礎手術は我々が着くころには終わっている。すぐにでも見れるだろう。」

 

「はあ・・・・しかし、仮面ライダーの方はどうしますか?」

 

「ガニコウモルに任せてある。万が一に仮面ライダーに敗れたとしてもこちらの動きに気づくことはあるまい。それにライダーは地獄大使との戦いでかなり疲弊している。運が良ければ倒せるだろう。」

 

「・・・・・・」

 

「どうした?ライダーを倒す手柄を奴に取られるのは不服か?」

 

「い、いえ!」

 

一瞬黙ったサソリトカゲスに対してブラック将軍は睨みつけるように言う。

 

「では、これより、ドイツに向かう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間前 少年仮面ライダー隊本部 地下室

 

「・・・・・」

 

薄暗い部屋の中で一人の女性がパソコンをいじりながら眉間にしわを寄せていた。

 

「・・・・・やっぱり、奴らの仕業か。」

 

女性は眼鏡を外すと身支度を整え始める。

 

「束ちゃん、そろそろ千冬ちゃんの試合・・・・・・どうしたんだ?急に出かける格好なんかして?」

 

部屋に入ってきた初老の男性は驚きの表情をしながら言う。

 

「立花さん、私・・・・・ちょっと出かけてくるね。」

 

「出かける?こんな時間にどこへ行くんだ?」

 

立花藤兵衛は、心配そうに言う。女性はいつもの余裕そうな表情ではなく真剣な顔で言う。

 

「友達の弟がショッカー・・・・・いや、例の新しい何かに捕まった。」

 

「何!?」

 

「ネットハッキングして確認したんだけどちーちゃんの棄権の要求は、日本政府が遮断しているし、捕らえた連中もGPSで確認してみたんだけど明らかにいっくんを返す気がない。おそらくだけど・・・・・」

 

束は外に出て待機状態のISを展開して、その上に乗る。

 

「それなら、猛たちに知らせた方がいいんじゃないか?」

 

「うんうん、本郷さんたちには黙っておいて。ショッカーが壊滅したと言っても新しい組織が動き出しているのは確かだし。」

 

「だが・・・・」

 

「一応、南米にいる隼人さんには連絡して向こうで落ち合う約束はしているから大丈夫。二、三日で戻るようにするから。少年隊のちびっ子たちにはちょっと出かけているって言っておいてね。」

 

「あぁ・・・・・あんまり目立ったことはするんじゃないぞ?」

 

そう言いながら藤兵衛は、空へ飛んでいく束を心配そうに見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ゲルショッカードイツ支部ではブラック将軍が実験室で例のベルトの移植を行っている者を見て少し不機嫌そうな顔をしていた。

 

「・・・・・・・これはどういうことだ?捕まえたのは女の方ではなかったのか?」

 

「ギッ!申し訳ございません。織斑千冬には、現場に一人で来るよう通達したのですが日本政府が欲に駆られて情報を隠蔽したようで。」

 

「ふん、同じ素体同士とはいえ弟には手が回らなかったようだな。」

 

ブラック将軍は、手術台で寝かされている少年を見ながら言う。

 

「素体の名は織斑一夏・・・・・・確か織斑千冬の弟だったな、戸籍上では。」

 

「ギッ!旧ショッカーのMプロジェクトの資料によれば、成功体である織斑千冬のデータを基に最適化した素体だそうですが・・・・本来の能力を発揮していない現状、どうやら織斑千冬は自分たちの存在を悟られないように制限をかけていたようです。」

 

「本来なら組織で英才教育を施すのがベストだからな。生半可な教育ではその身体能力すら発揮できん。」

 

「まあいい、どの道奴にはデータ収集のモルモットになってもらうからな。」

 

手術が完了すると一夏は眠らされた状態で電気椅子に座らされる。

 

「素体である以上、10万V以上の電流には耐えきれます。」

 

「では、30万Vの電流にかけろ。」

 

「はっ?」

 

ブラック将軍の言葉に研究員はキョトンとする。

 

「今なんと?」

 

「30万Vの電流を奴に流せと言っているんだ。」

 

「し、しかし、いきなり30万Vの電流を流せば素体が耐え切れない危険性があります。通常の改造人間ならまだしも、彼の場合は有機部分を多く残した有機ベースの改造人間ですし。」

 

「このくらいのもので耐え切れなければ実験の意味はない。やれ。」

 

「それでは素体が死んでしまいます!?」

 

「貴様・・・・・私の命令が聞けんのか?」

 

ブラック将軍は研究員を睨みつける。研究員は怯えながら実験装置のパネルに手を触れる。

 

「万が一、この少年が死んだとしても予備がもう一人いる。問題ない。」

 

「ギッ・・・・ギィ!」

 

研究員は一夏に30万Vの電流を流し始める。

 

その瞬間ガラスの向こう側の電気椅子でぐったりしていた一夏は電流が体に流されたのと同時に意識を取り戻し苦しみ始める。

 

「グッ、グッ、グワアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

一夏は目を覚ますなり想像を絶する痛みを味わう。彼が最後に憶えているのは姉の試合の応援のために会場に向かう途中怪しい集団に捕まって眠らされたことぐらいだ。更にその後は姉が自分が人質に取られたことを知らずに試合に出ていたことくらいだ。

 

「ガ・・・・・ガア・・・・・・・」

 

電流供給がストップし、一夏はぐったりとその場で顔を伏せる。

 

「ど、どうして俺が・・・・・・・・・・」

 

『目が覚めたか?織斑一夏。』

 

「!?」

 

通信で呼びかけるブラック将軍の声に一夏は首を上げる。

 

「だ、誰だ!?」

 

『誰でも構わん。』

 

「俺をどうするつもりなんだ!?」

 

『どうする?この場を見てわからんのか?お前には実験台になってもらっているのだ。』

 

「実験?」

 

一夏は状況が呑み込めない中、部屋の扉が開く。

 

そこには数体の異形の怪人たちがいた。旧ショッカー残党の怪人たちだ。ショッカーからゲルショッカーに新成されると同時に戦闘員同様にゲルショッカー怪人に処分される予定だったが今回は例外としてこの実験に参加することを条件に生かされていた。

 

「アビ――――、アビ―――――!!ブラック将軍、本当にこのガキを始末すれば俺たちを自由にするだけじゃなくゲルショッカーに入れさせてくれるのは本当なのか!?」

 

シオマネキングは、鋏を動かしながら言う。

 

『本当だ。その小僧を始末することができればお前たちは晴れてゲルショッカーのメンバーへ栄転できる。』

 

「ビリュリュリュ!!なら話は早い!!さっさとここのガキを始末してやる!!」

 

エレキボタルは、早速エレキファイヤーを一夏に投げつける。

 

「うわっ!?」

 

一夏は逃げようと拘束具を動かすと拘束具はあっという間に外れて攻撃を避けることができた。

 

「い、今のは・・・・・・」

 

「ガブ、ガブーッ!どこを見ている小僧!!」

 

自分の力に戸惑う一夏にギリザメスが頭部に付いている鋭い鼻を突き刺そうとする。

 

「クッ!」

 

一夏は無理やりギリザメスの鼻を押さえる。ギリザメスはそれをいいことに力を強めて一夏の胸を貫こうとする。

 

「ガブ、ガブ・・・・・死ね!!」

 

「ケッケッケッケッケッケッ!!」

 

「うっ!?」

 

更にそこへイモリゲスの舌が一夏の首に巻き付いた。

 

「グッ、グウゥ・・・・・・・・・」

 

「悪く思うな小僧!!これも俺たちがゲルショッカーとして入るためだ!!」

 

「イモリゲス!邪魔をするな!!」

 

ギリザメスは、一夏からイモリゲスへと標的を変え、飛び掛かる。思わぬ攻撃にイモリゲスは拘束を解き、一夏はその場に倒れる。

 

「ゲホッ!ゲホッ・・・・・・・」

 

「何をするギリザメス!?」

 

「あの小僧は俺が殺す!!引っ込んでろ!!」

 

「何を!?」

 

ギリザメスとイモリゲスは仲たがいをして取っ組み合いを始める。

 

「ハア・・・・・ハア・・・・・ウグッ!?」

 

「バァーラァー、おバカな男たちね。そうやって喧嘩している間にこの坊やは私が始末してあげるわ。」

 

バラランガは、とげ付きの鞭で一夏の首を絞める。

 

「うぅう!!うぅ!!」

 

「大人しく死になさい。これも私たちショッカーの改造人間が生きるため・・・・・・・・・」

 

「ダメだ・・・・・・・・このままじゃ・・・・・・死ぬ!」

 

一夏は、もがき苦しみながら抵抗するがバラランガは徐々に一夏を自分の元へと近づける。

 

「バァーラァー、苦しむことはないわ。私の毒で苦しむことなく逝かせてあげる。」

 

「うぅう・・・・・・うわあああああああ!!」

 

「グッ!?」

 

一夏は苦し紛れにバラランガを殴る。殴ると同時に彼の腕が白と黒の装甲に覆われる。

 

「こ、これは!?」

 

バラランガは一夏の手の変化に驚く。一夏本人も自分の腕の変化に驚いていた。

 

「か、変わった!?」

 

「ブリュリュリュリュ!!コイツも改造人間か!?」

 

シラキュラスは針を一夏に突き刺そうと突っ込んでくる。

 

「うっ、おおおお!!」

 

一夏は、針を避けてシラキュラスを蹴る。すると蹴った足も変化する。

 

「こ、この!?」

 

「ハア!」

 

更に顔を殴り飛ばすともう一方の手も変化し、体が白い装甲に覆われ、顔は怪人たちが最も知っているものへと変わり、腰には移植したベルトが現れた。

 

「「「「仮面ライダー!?」」」」

 

ショッカー怪人たちは一斉に同じ名を呼ぶ。

 

顔は確かに仮面ライダーに酷似していた。変身した一夏はまだ慣れていないこともあってその場で膝をついてしまった。

 

「ハア・・・・ハア・・・・・・」

 

『実験第一段階 体の変化には成功。』

 

『よし、引き続き実験を継続しろ。』

 

そんな一夏に対してショッカー怪人たちは仲間割れをやめ、確実に葬るために彼を包囲する。

 

「アビ・・・・・・まさか、この小僧が仮面ライダーモドキの試作品だとは。」

 

「ウゥニイーッ!!だが、奴はまだ力を完全に使いこなしていない!!殺るなら今だ!!」

 

「バァーラァ・・・・この際、お互い手を組んで確実に始末しましょう。」

 

ショッカー怪人たちはそう決めるとまだ立ち上がれない一夏を掴み上げて袋叩きにする。

 

「グウッ・・・・・・・ガアッ!!」

 

「ケッケッケッ!!」

 

「ガブー!!」

 

袋叩きにされる一夏はどうにか反撃しようと拘束を解いて反撃するが力が弱いのか怪人たちにダメージがない。

 

「う、うぅわああああああああ!!!」

 

一夏は自分が座っていた電気椅子を引きちぎりエレキボタルにぶつける。機材の先端部がエレキボタルの目に突き刺さり、エレキボタルは悲鳴を上げる。

 

「グワアアアアアア!?俺の!俺の目がぁあ!?」

 

「ガブー!!」

 

「うっ!」

 

ギリザメスの体当たりに吹き飛ばされて一夏はそのまま壁を突き破って部屋の外へ放り出された。

 

「逃げなくちゃ・・・・・・・逃げなくちゃ殺される・・・・・・・」

 

一夏は、その異形の姿のまま通路を走って行く。

 

「奴が逃げたぞ!」

 

「逃がさないわよ!」

 

「ケッケッケッケッ!!」

 

ショッカー怪人たちも一夏の後を追って部屋の外へと出て行く。

 

 

「ブラック将軍、どうしますか?」

 

実験室から出て行ってしまった様子を見て研究員が聞く。

 

「・・・・・まあ、こんなものだろう。」

 

そう言うとブラック将軍は席から立ち部屋の外へと行こうとする。

 

「全構成員に通達、この基地を放棄する。」

 

「はっ!?」

 

「実験体の実力はある程度分かった。どうやら、そこまで高い能力はなさそうだ。あのショッカーの改造人間諸共処分する。」

 

「し、しかし・・・・・・」

 

「それに邪魔な虫けら共が侵入してきたようだ。」

 

 

モニターを見ると深紅のマフラーに緑の仮面、赤いブーツとグローブをした戦士が一人の女性と共に基地へ乗り込んで戦闘員たちを蹴散らしている姿が確認できた。

 

「か、仮面ライダー!?」

 

「あの姿から見るにして南米のショッカー残党と戦っている一文字隼人ときたか。そして、あの女はショッカーが手を焼いた篠ノ之束。この基地と道ずれにするにはいい相手だと思わんか?」

 

ブラック将軍は、不敵な笑みを浮かべながら基地の時限装置を作動し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハア・・・・・・ハア・・・・・・・」

 

怪人たちから逃げた一夏は一つの部屋に隠れた。幸い怪人たちはこちらに来る様子はなく、一夏は尻餅をつきながら呼吸を整えていた。

 

「ハア・・・・・ハア・・・・・・・一体どうしてこんなことになっちまったんだよ。」

 

近くにある鏡で今の姿を見ながら一夏は言葉を失う。

 

「俺はただ・・・・・千冬姉の応援に行っただけなのに・・・・・・・・」

 

拳を握りながら今の現状は姉のせいだと考え始めた。

 

「千冬姉が・・・・・・・千冬姉がいけないんだ・・・・・・俺のことを見捨てて・・・・ISなんかに関わらなければ俺がこんな目に・・・・・・・・・くそ!!」

 

床に拳を叩きつけながら一夏は思わずこの場にいない姉に対して怒りをぶつけ始めた。

 

「こんな姿でどうやって生きて行けばいいんだ!!もう、鈴や弾、蘭に数馬、それに・・・・・・箒にも会わせる顔がないじゃないか・・・・・・」 

 

一夏がそう言いながら落胆すると部屋の隅がガタっと物音がした。一瞬、怪人たちが自分の居場所に気づいたのではないかと思ったがどうやら違うらしい。恐る恐る近づいて物音がした金庫らしき蓋を開けるとどうやら改造人間の失敗作を放棄する所だったらしく辺りには失敗して死にかけ同然の改造人間のなり損ないたちが生きたいという願望でもあるのか一夏に向かって手を伸ばしてくる。

 

「タ・・・・タスケテクレ・・・・・・・・」

 

「うっ!?」

 

あまりにも酷い光景に一夏は変化してしまった顔の口から嘔吐した。自分も失敗していたらこのような場所に捨てられ死ぬまでうごめき続けていたのかと思うとぞっとする。

 

「とんでもない場所に逃げ込んじまった・・・・・・・ん?」

 

一夏は蠢いている怪人たちの出来損ないの中に一つだけ人間の形を保ったものを見つける。体は明らかに不定形に変化してしまっているが顔はどことなく自分の知っている者に似ていた。

 

「あれってもしかして・・・・・・・・」

 

一夏は思わず中に飛び込み、近づいてみる。それは自分と同じ年ぐらいの少女で髪はポニーテールにまとめていた。

 

「・・・・・箒?お前、まさか箒か!?」

 

目を閉じて何も言わない少女に一夏は驚きを隠せなかった。

 

「箒!おい、箒!!」

 

一夏は少女を抱いて揺すって声をかけてみる。少女は薄っすらと目を開けて一夏を見た。

 

「い・・・・・・一夏なのか?」

 

「箒、俺のことがわかっ・・・・・」

 

一目で自分だと理解したかと思ったが違った。目が見えていなかったのだ。

 

「お前・・・・もしかして目が・・・・・・」

 

「ここに連れてこられてからいろいろされてな・・・・・・・・今じゃ・・・・・・何も・・・・見えないんだ・・・・」

 

姿がほぼ異形になり果てた箒は淡々と自分のこれまでのことを話し始めた。

 

 

 

一夏と別れてから政府の重要人物保護プログラムにより両親と離散状態にされたこと。

 

その後、ショッカーから抜け出した束への見せしめとして捕まり、数々の人体実験をされたこと。

 

両親が先の実験台にされて既に死んだこと。

 

ショッカーからゲルショッカーへの新生後、実験台として用済みとなった自分がここに捨てられたことを。

 

「そんな・・・・・そんなことが・・・・・」

 

箒の話を聞いて一夏はなんと言い返せばいいのかわからなくなった。

 

「こんな変わり果てた姿でお前と再会することになるとはな・・・・・ゴフッ!」

 

箒は泣きながら今の自分の姿を見せたくないとばかりに言った直後口から血を吐き出した。

 

「箒!?」

 

「ゴブッ・・・・・・私も散々薬の実験台にされてもう長くないんだ・・・・・・でも、最後の願いが叶っただけでも救われた気がする・・・・・・・」

 

「最後の願い?」

 

「一夏にもう一度会う事だったんだ・・・・・・それと・・・・ブッ!」

 

「もういい!これ以上喋るのはやめろ!ここから逃げてすぐに病院へ・・・・・・・」

 

「いいんだ・・・・・・もう私は助からない・・・・・・・」

 

弱々しく言いながら箒は、一夏の手を握り締める。

 

「・・・・・暖かい・・・・・・一夏の手・・・・・少しゴツゴツして何か変だけど・・・・・それでも暖かい・・・・・・」

 

箒は嬉しそうな顔をして言う。

 

「箒・・・・・・・」

 

「一夏の顔も見たかったな・・・・・・・・あれから何年も経っているんだ・・・・・・・きっとすごく男前なんだろうな・・・・・・」

 

「うぅう・・・・・・箒・・・・・・」

 

声が小さくなっていく箒に一夏は泣きそうになってしまった。

 

「一夏・・・・・・・」

 

「ん?」

 

「す・・・・・・・・き・・・・・・・・・」

 

途中まで言いかけて箒は動かなくなった。

 

「箒?・・・・・箒!」

 

一夏は何度も揺さぶるが箒が返事をすることはなかった。

 

「・・・・・・・なんでだよ・・・・・・」

 

一夏は箒の目を閉じさせてそっと抱きしめた。

 

「何で箒が死ななくちゃならないんだよ・・・・箒が・・・・・・おじさん、おばさんが何をしたって言うんだよ・・・・・・・・」

 

悲しむ一夏の後ろから物音がしてくる。

 

「ウゥニイーッ!!ようやく見つけたぞ!」

 

「ブリュリュリュ・・・・・・まさか失敗作の放棄場へ逃げ込むとはな。」

 

「アビー!だがそれもここまでだ!!」

 

怪人たちは一歩一歩と一夏へと近づいて行く。一夏は、箒の亡骸をそっとその場に置くと立ち上がる。

 

「箒・・・・・ここで待っててくれ。」

 

一夏は、怪人たちの方を見る。

 

「ガブー!どうした?大人しく殺される気になったか?」

 

「・・・・・・ここの死んだ者たちはみんなお前たちのせいか?」

 

「あっ?何を言っているんだ?」

 

「バァーラァー、改造手術や実験に失敗はつきものよ?失敗作の一人や二人見て気にしていたんじゃ霧がないじゃない。」

 

「・・・・・お前たちのような奴らがいるから・・・・・・・」

 

「ケッケッケッ!だから何だ!お前もその仲間入りするんだから関係ないだろうが!!」

 

イモリゲスは舌を伸ばして一夏の首に巻き付ける。

 

「このまま大人しく溶け・・・・・」

 

一夏はイモリゲスの舌を掴む。

 

「ん?」

 

「俺は許さない・・・・・箒や・・・・・罪もない人たちを平然として殺すお前たちを・・・・・・・・・・」

 

「ビリュリュリュ!!お前だって俺たちの同類だ!!」

 

エレキボタルは一夏にエレキファイヤーを投げる。一夏はたちまち燃え始める。

 

「ケッ!?エレキボタル!!貴様、俺の舌を!!」

 

「仕方ないだろ!巻きつけていたお前が悪い!!」

 

エレキボタルとイモリゲスは互いに睨み合うがバラランガの叫びで両者の態度は一変する。

 

「ちょっと待って!何よ、あの姿は!?」

 

「「うん!?」」

 

燃え上がる炎の中に誰かが立っている。

 

 

 

 

『邪悪なる者あらば希望の霊石を身に付け、炎の如く邪悪を打ち倒す戦士あり』

 

 

 

一夏は白い戦士の姿から赤き戦士の姿へと変わっていた。

 

「俺は・・・・・・お前たちを許さない!!」

 

一夏は、怪人たちへと向かって行く。




クウガ好きだけど初代も原点にして頂点だと思う。
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