IS/仮面ライダークウガ A New Legend 作:赤バンブル
「束、一夏君の反応はこっちで間違いないのか?」
ゲルショッカー基地の通路を一文字隼人こと仮面ライダー2号は、ISを装備している束に聞きながら急いでいた。
「うん、間違いないよ。いっ君の体内にあるナノマシン反応はこっちを指しているし。」
「しかし、ナノマシンなんて代物を本人の知らないうちに身体に仕込むとはな。趣味が悪すぎるぞ?」
「いっくんは私の弟みたいなもんだからね。本人が無事かどうかを確認するために対策は取っておくもんだよ!!・・・・・・反応が弱すぎて掴めていなかったのは失敗だったけど。」
束は自分の研究の未熟さを痛感しながら戦闘員たちに向かって容赦なく発砲して撃破していくが今まで交戦したショッカーのとは違い、ゲルショッカーの構成員たちは厄介だった。
「それにしてもコイツ等今までの戦闘員とは格が違うな。このぐらいの身体能力なら滝ならともかくおやっさんたち相手だと厄介だな。」
「ギィッ~!!」
2号ライダーのパンチを受けてゲルショッカー戦闘員たちは次々と倒されて行く。
「ソーリーッ、ブラック将軍。本当に一文字隼人と篠ノ之束を相手にしなくてよかったのですか?」
基地の外に待機しているゲルショッカー製の大型輸送機の席でサソリトカゲスが少し納得いかない顔でブラック将軍に聞く。
「一文字隼人と篠ノ之束の目的はおそらく織斑一夏の奪還だ。だが、奴は既にショッカーの改造人間たちに始末されている頃だろう。奴らを相手にする上にそれに基地の自爆までそう時間も残っていない。一文字隼人は運が良ければ助かるかもしれないが我々の存在を深く知らなければ問題はないという事だ。」
「そ、そうですか。」
「それに我々の優先事項は南米のショッカー残党を泳がせることで一文字隼人の動きを封じ、その間に日本の本郷猛を抹殺するのが第一だ。ガニコウモルが敗れた場合、次に相手をすることになるのはお前なのだからな。まあ、体制が本格的に整うまでは表向きの行動は控えたいが・・・・・・」
「お、俺ですか?」
サソリトカゲスは、思わず口を開くがそれ以上のことは言わないことにした。
確かにこの基地を処分してしまえば、一文字隼人は再び南米に戻るだろう。ショッカー南米支部はまだ母体であるショッカーが壊滅したということは首領を通じで隠蔽しているため、しばらく気づくことはない。そのため、しばらく一文字を南米から動けなくすることができる。日本の本郷猛に関しても地獄大使との連戦、さらにショッカー製の改造人間以上のスペックを誇るゲルショッカー怪人をぶつけ続ければいくら仮面ライダーでも倒れるのは時間の問題だ。一文字が異変に気付いたころにはすべてが片付く。ブラック将軍はそこまで考えていたのだと考え、サソリトカゲスも座席に座り、ひそかに日本へと戻って行くのだった。
「このクソガキ!?一体どうなっているというのだ!?」
白から赤に変化した一夏を見て怪人たちは動揺を隠せなかった。
「ケッケッケッ!どうせ見掛け倒しだ!!構う事はない!!」
イモリゲスは先鋒として、一夏に飛び掛かる。
「ハッ!」
しかし、一夏はそのイモリゲスをジャンプで避け切ってしまう。
「なにっ!?」
慌てて振り向くイモリゲスであったが一夏は姿勢を下げ、右足をイモリゲスの腹部にぶつける。
「グッ!?」
「オリャァア!!」
一瞬怯んだイモリゲスに対して一夏は左腕からパンチを繰り出す。パンチはイモリゲスの腹部を貫通し、イモリゲスは腹部を押さえながらその場に倒れた。
「ば・・・・・こんなバカな・・・・・・」
イモリゲスは口から血を吐き出し、その場でドロドロに溶けてしまう。
「ガブ―――――!!」
「ハアッ!!」
続いて突進してきたギリザメスに対しては連続で回し蹴りをぶつける。一発目は避けたが二発目からはまともに受けてしまい、続いて三発、四発と命中して突き飛ばされると蹴られた部位に紋章が浮かび、爆発してしまった。
「アビ―――――!!どういうことだ!?さっきと全然動きが違うぞ!!」
シオマネキングは思わず叫ぶがすかさず一夏に向かって鋏を振りかざす。一夏はその鋏を押さえ、そのまま背後に迫っていたバラランガにぶつける。
「ギャアアアアアアアアアア!!!」
「バ、バラランガ!?」
バラランガの首が斬り落とされ、シオマネキングが愕然としていると一夏は近くに落ちていた棒を拾い、シオマネキングに叩きつける。
『邪悪なるものあらば鋼の鎧を身に付け、地割れの如く邪悪を切り裂く戦士あり』
棒がシオマネキングに命中する寸前、一夏のベルトの光が紫に変わり、同時に身体が西洋騎士を思わせるものへと変化し、棒も大剣に変化した。
「か、変わっただと!?」
「ハッ!」
大剣の一撃はシオマネキングの右腕を奪い、切り返しで左腕も切断する。
「こ、この改造人間は・・・・・・・・・」
「オリャアア!!」
最後に真正面から剣を突き刺され、シオマネキングは口から泡を吹き出しながら爆散してしまった。残されたウニドグマとシラキュラス、そして、目を負傷しているエレキボタルは、炎の中に立っている一夏を見て初めて恐怖を感じた。
「つ、強い・・・・・・・」
「たかが改造されて間もないガキが僅か数分で仲間を4人も倒すとは・・・・・」
「くっ!分が悪すぎる!!」
三人は一夏を背にそのまま部屋から出て行く。
「・・・・・・・・」
一夏は元の赤い姿に戻ると箒の亡骸を近くにあった布で包み、抱きかかえるとゆっくりと部屋から出る。
「・・・・・行こう、箒。こんな暗い所から空が見える場所へ。」
一夏は自爆装置が働いている中、僅かな隙間風を聞き取り、外を目指していく。
「くそ!ブラック将軍め。あんな恐ろしい改造人間の実験台として俺たちを使うとは!!」
ウニドグマは、後ろから一夏が追って来ていないかどうかを確認しながら言う。
「ブリュリュリュ、だがどうする?このまま逃げれば俺たちは間違いなくゲルショッカーの粛正に巻き込まれて死ぬぞ?」
「だったら、戻るか!?戻ったら戻ったで奴に殺されるぞ!?」
エレキボタルは傷口を押さえながら怒鳴る。そして、角を曲がった瞬間、運の悪いことに2号ライダーと束に出くわしてしまった。
「「「か、仮面ライダー!?」」」
「お前たちはショッカーの改造人間!!」
2号ライダーは身構えながら三人に警戒する。しかし、当の三人は後ろから追って来ているかもしれない一夏の事で頭がいっぱいだった。
「くそ!そこを退けライダー!!」
「一夏君をどこへやった!?」
「一夏?あのクソガキの事か?」
エレキボタルはオドオドしながら言う。その様子を見て束は何か違和感を感じた。
「隼人さん、少し変じゃない?こいつらの怯え方。」
「あぁ、何かに追われているのか。それとも・・・・・・!」
2号ライダーが言いかけた直後、三人の背後から何かが飛んできた。
「伏せろ!」
「きゃっ!?」
束を強引に伏せさせると2号は目の前にいるウニドグマたちを見る。彼らの胸部に何やら見たことも無い紋章が浮かび上がり、その場で倒れてドロドロに溶けてしまった。
「一体何が・・・・・・・!」
飛んできた方を見るとそこには右肩が黒く、左肩は緑でやや大きく出たアーマーを見に着けている左右非対称の形状なのが特徴の改造人間が何かを抱えながら右手にボウガンのようなものを持っていた。
『邪悪なるものあらば、その姿を彼方より知りて疾風の如く邪悪を射抜く戦士あり』
「奴は一体・・・・・・・」
2号ライダーが困惑している中、改造人間は体色を赤に変化し、持っていたボウガンはどこかで拾ったのかマシンガンへとなりその場で捨てられた。
「変化した?」
「ウオオオオオオオオォオオ!!」
体色を変化させた戦士は抱えていたものをその場に置き、2号ライダーに襲い掛かってきた。2号ライダーはガードをして防ぐが戦士はすかさずキックを繰り出す。
「くっ!・・・・ライダーパァンチ!!」
「うっ!?」
力の2号とも言われている2号ライダーのパンチを受け、戦士は後方へと押し返される。
「・・・・・・お前たちのような奴らのせいで!!」
「ん?」
戦士は、近くで倒れている戦闘員のロッドを奪い取る。すると今度は体色が青に変化し、ロッドもそれに合わせて伸縮自在のものへと変化する。
『邪悪な者あらば、その技を無に帰し流水の如く邪悪を薙ぎ払う戦士あり』
「ヤッ!!」
戦士はロッドを自在に使いこなして2号ライダーに再度挑む。2号ライダーはロッドの攻撃を受け流しながら反撃に出ようとするが戦士のさっき言っていたことが気になり、攻撃を躊躇い始めた。
「やめるんだ!」
「ハア!!」
2号ライダーは、戦士に呼びかけるが戦士は目の前にいるものをすべて敵とみなしているのか攻撃を緩めない。
「セアァアアアア!!」
戦士はロッドの先端部を2号ライダーに当てようとする。
「やめて!いっくん!!」
「!?」
しかし、束の声で戦士は攻撃を中断する。
戦士 一夏はゆっくりと束の方を振り向く。
「・・・・・・束さん?」
「やっぱり、いっくんなんだね。」
束は布に包まれている箒の亡骸を抱えながら一夏へと近づいて行く。一夏も体色を赤に戻して束を見る。
「どうして、ここにいるんだよ?」
「・・・・・・いっくんを助けに来たんだよ。・・・・・でも、箒ちゃんは最後まで助けられなかったね。」
束は、隙間から見える箒の穏やかな顔を見ながら答えた。
「アンタのせいで・・・・・・・アンタのせいで箒も・・・・おじさんやおばさんも死んだんだ。」
「そっか・・・・・・お父さんもお母さんも・・・・・・・」
一夏の言葉を聞いて束は悲しそうな表情をする。そんな重苦しい空気ではあるものの2号ライダーは二人の間に入る。
「二人とも、話したいことがあるようだがそれは後にしてくれ。どうやら、この基地の時限装置が作動しているらしい。」
「!?」
「そうだったね。いっくん、早く此処から出よう。」
「・・・・・・わかった。」
一夏は頷きながら二人と共に脱出して行く。
「・・・・・・逝ったか。」
ブラック将軍は、爆発する基地を上空から眺めていた。
「だが、おそらく奴らの事だ。死んではいないだろう。」
確証はないが彼の直感では一文字隼人も篠ノ之束も死んでいないと感じていた。
そして、あの実験体も・・・・・・。
「・・・・こうなれば南米のショッカー残党が全滅する前に日本の本郷猛を片付けなければなるまい。後、各支部の編成も急がせなければ。」
ブラック将軍が思考を張り巡らせている中、輸送機は密かに日本へと戻ろうとしているのであった。
「見ろよ、箒。朝日だぞ。」
爆発した基地から少しばかり離れた山の上で一夏は変身が解けた状態で箒の亡骸を抱えながら登ってくる太陽を眺めていた。
「・・・・・すまないことをしたな束。親父さんにお袋さん、そして、妹さんまで。」
「・・・・・いいんだよ、ショッカーから逃げたときからいずれはこうなるんじゃないかって感じてはいたから・・・・・でも・・・・・・・・・」
束は朝日を見ながら目から大粒の涙を零し始めた。
「止まらないんだよ・・・・・泣いちゃいけないってわかっているのに。自分が殺したも同然で泣く事すらダメなのに・・・・・・・」
「・・・・・いいんだ。泣いたって。泣きたくなったら思いっきり泣いたっていいんだ。」
「う、うぅ・・・・・・・・・」
束は、隼人の言葉に甘えて膝をついて泣き始める。
「ごめんね・・・・・・ごめんね、箒ちゃん。ごめんね、お父さん、お母さん・・・・・・ほんとに・・・・・・本当に・・・・・あぁああ・・・・・・・ああ、あぁああ・・・・・・・」
「・・・・・・束さん。」
一夏は後ろで泣いている束を見ながら彼女も本当に悲しんでいるのだということを理解した。ISを作って、政府から逃げ出して、箒たちをバラバラにしたとんでもない女という認識があるも、隼人から事情を聴いたおかげでそこまで彼女を責めることはなかった。
ただ、せめてもっと早く見つけることができれば助かったのかもしれない。
そう思うと自分も結局は同類なのだとわかってしまうため、より一層罪悪感を感じる。
「・・・・・もう、誰も悲しませたくない。」
一夏はそう自分に言い聞かせるのであった。
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