IS/仮面ライダークウガ A New Legend 作:赤バンブル
ある山の上で藤兵衛は花を持って下を眺めていた。見えるのはかつて本郷、そして南米にいる一文字がショッカーとの戦いの中で何度も特訓に来た特訓場ともいえる岩々に囲まれた場所だ。
「猛・・・・お前は本当に死んでしまったのか?皆の前じゃ強がったことを言ってたが・・・俺はもう、何をする元気もなくなりそうだ。俺の夢・・・・・俺の希望・・・・・何を心の支えに悪と戦っていけばいいのか。」
幼い頃から親子のような仲だった本郷の消息。望みはあるとは言ったものの、ガニコウモルと共に上空で爆発した彼が果たして生きているのだろうか?息子同然ともいえる本郷を失ったことは藤兵衛にとって自分の無力さに対する後悔とこれから始まるであろうゲルショッカーとの戦いへの不安を与えるのであった。
「一夏君もまだ若い。だが、ゲルショッカーはアイツがお前みたいに一人前になるまで待ってはくれないだろう。・・・・・・ん?」
悲観に暮れていた藤兵衛は、下の方で一台のバイクが来たのに気がつく。乗っていたのは一夏と怪我で療養中のはずの滝だ。
「ここが本郷と隼人が使っていた特訓場だ。」
「こんな岩々に囲まれたところがですか?」
バイクから降りて滝は怪我人でありながらプロテクターを取り付けて身構える。
「よし!じゃあ、早速基礎トレーニングから始めるぞ!」
「滝さん、怪我しているのに本当に大丈夫なんですか?」
「心配するな、これくらいどうってことはない。さあ!どこからでもかかってこい!!手加減はいらねえぞ!」
「はい!」
一夏は、取り敢えず身構えて滝に攻撃を繰り出す。滝は一夏の攻撃をガードし、カウンターで返す。
「うっ!」
「どうした!こんな事じゃゲルショッカーと戦えないぞ!!」
滝は、一夏に格闘術の動きを憶えさせるためにワザと隙を作り、防いではカウンターで返り討ちにする。
「ほらほら!こんなんじゃ、戦闘員にすら負けるぞ!」
「もう一回お願いします!!」
「おう!」
その様子を上から見ていた藤兵衛は呆気にとられる。
「滝の奴・・・・怪我しているのに無理しおって!」
藤兵衛は花をしまい、急いで山から降り始める。
「若い者がああやって動いているというのに俺ときたら・・・・・・」
下では今度はクウガに変身し、基礎技を覚えさせる練習を始めようとしていた。
「いいか?ゲルショッカーとの戦いは普通の喧嘩とはわけが違うんだ。奴らは俺たちを本気で殺しにかかってくる。だから、一撃一撃の攻撃も本気でやらなくちゃいけないんだ。例えば・・・・・」
滝は上の方に上り構えを取る。
「例えばライダーキック。俺は普通の人間だから限度があるが改造人間はその脚力で倍以上に高く跳ぶことができる。飽くまでも見本だからその先は自分でやってみろよ?いくぞ!!トウッ!!」
滝は上の方から飛び上がり、仮面ライダーの繰り出すライダーキックを模したキックを披露する。
「こうやってライダーキック!って・・・・いでっ!?」
しかし、地面に着地した直後、怪我に響いてその場で膝をついた。
「滝さん!?」
「いででででで!?くうぅ!?飛び降りる高さがまずかった・・・・・・」
「全く、何をやっているんだお前たちは!!」
そこへ息を荒立てながら藤兵衛が二人の元へ駆けつけてきた。
「「おやっさん!?」」
「滝、怪我人は寝てなきゃダメだろ?」
「いや、こうしている間にもゲルショッカーが・・・・」
「大事な時に動けなかったらしょうがないだろ!やるなら怪我を治してからやれ!!」
「でも、おやっさん。一夏はまだ改造されて余り経っていないんだ。戦い方を教えなければ」
「そんなことくらい俺が教えてやる!」
「「えっ!?」」
藤兵衛は、真剣な顔でクウガの方を見る。
「一夏・・・・すまん!!俺はお前が戦う覚悟を決めていたにもかかわらず猛が生きているのかわからなくなったぐらいで諦めかけていた。これから襲い掛かってくるであろうゲルショッカーを相手にするのに猛なしでやっていけるのかどうか不安を感じて仕方がなかったんだ!!許してくれ!!」
藤兵衛はクウガに対して謝罪をする。
「おやっさん・・・・俺も正直本郷さんの代わりができるのかって不安だったんだ。でも、束さんに言われて気づいたよ。本郷さんの代わりじゃなくて俺は俺として戦えばいいんだって。仮面ライダークウガとして。」
「・・・・・・仮面ライダークウガ・・・・・猛がそう名付けたか・・・・・・よし!こうなったら、特訓の指導は俺が引き受けた!これからビシビシ鍛えるぞ!!」
藤兵衛の心に再び闘志が燃え上がった。
その夜の少年ライダー隊本部の地下室で束は、パソコンを操作しながら古代文字を解読していた。
「えっと『邪悪なる者あらば 希望の霊石を身に付け 炎の如く邪悪を倒す戦士あり』・・・・これはおそらく普段の赤い姿だね。こっちの『邪悪なる者あらば その技を無に帰し 流水の如く邪悪を凪ぎ払う戦士あり』。これはあの時の青い姿かな?『邪悪なる者あらば その姿を彼方より知りて 疾風の如く邪悪を射抜く戦士あり』と『邪悪なる者あらば 鋼の鎧を身に着け 地割の如く邪悪を切り裂く戦士あり』の二つはよくわからないな。射抜くは多分緑の姿だと思うけど。」
ゲルショッカー基地から奪った古代文字の映像を基に完全とまではいかないが着々とクウガに関する謎を解き始めている。
「ハア・・・・・束さんは専門家じゃないからこんな解読しかできないけど、向こうはかなり早く解読を進めちゃっているのかもしれないな・・・・・・」
ため息をつきながらパソコンを閉じ、彼女はライトを付けながらバイクを調整している少女に声をかける。
「クーちゃん、今日はもういいよ。続きは明日にして上で夕飯食べよ。」
クーちゃんと呼ばれた少女はサングラスを外し、黒の眼球に金の瞳という普通の人間ではありえない目で束を見た。
「しかし、完成度がまだ目標に達してません。少なくともノルマの80%は完成させませんと。」
「いいの、いいの。アイツらだって本郷さん倒したと思って今頃ウハウハしているだろうから。最低2、3日は目立った活動はしないよ。」
そう言うと束は彼女の手を引っ張って地下室から出る。上野事務所の隣にある居住スペースでは特訓を終えて帰宅した藤兵衛と一夏が夕飯の支度をしていた。
「おっ、二人とも上がってきたか。」
「立花さ~ん~お腹空いたよ~ご飯プリ~ズ~。」
束はまるで親にねだる子供の用に言う。
「もうちょっとだから待たんか。」
「アイアム ハングリ~。・・・・ところでいっくん、今日の特訓で得られた成果はある?」
盛り付けをしている一夏に束が聞く。
「あぁ。一応基礎的な技の構えは覚えたよ。後は赤い姿と青い姿の違いかな?赤いときは攻守ともにバランスが優れていて、青い方は跳躍力、敏捷性はすごく高くなるんだけど代わりにパンチやキックの威力が一気に弱くなっちゃうんだ。代わりに棒状の武器で攻撃面はカバーするみたいだけど・・・・」
「ふ~ん~なるほどね・・・・・(碑文通りってわけか。)」
「しっかし、驚いたもんだ。今までのショッカーの改造人間とは違い、姿が変化するなんてな。」
藤兵衛は感心そうに言いながら食卓を囲むと四人は食事を始める。
「明日は、緑と紫の姿を試そうと思うんだ。」
「緑と紫?」
「なんだ、まだ他にも姿を変えられるのか?」
「はい、ただ緑の姿は、集中力が一気に上がって力をすごく消耗しちゃう感じなんだけど。まあ、捕まった時はすぐに赤に戻ったんだけど。」
「うん・・・・・・碑文の解析、もっと早くしなくちゃね。」
クウガって名前付いているけどほぼ初代な件。
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